桜木紫乃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第13回新井賞受賞作
釧路のキャバレーで働く二十歳の青年
ギャンブルに堕ちていた「サソリのテツ」と呼ばれていた父親は亡くなった
葬儀にも出ず遺骨だけが彼の元へ
家族という存在に縁が薄かった青年は
「世界的有名マジシャン」の師匠
「シャンソン界の大御所」のブルーボーイ
「今世紀最大級の踊り子」のストリッパー
どさ回りの三人と 年を越す一カ月、キャバレーの寮で同居生活
社会からはみ出しているけれど、人としてなんだか暖かい人達
クセは強め 人情は厚め 後味が良い三人組
本当の家庭のような 一時の家族のような
彼らに出会った青年は、何かを求めて釧路を出ていく -
Posted by ブクログ
地元の直木賞受賞作家なので存じてはいたが、これまで読んだことはなかった(と思っていたが「凍原」は読んだことがある)。現代文の共テ模試に使われてたのを少し読んで、心情描写が少しクセのある文体だなあ、と引っかかって、ちゃんと読んでみることに。
結論としては、次積極的に買うことはないかな、と。年が同じくらいで、「燃え残ったものなんてあるんだろうか」とか共感できるところも多いし、心理の描き方が特に上手だなと感じるけれど…
家族関係の設定がウェットすぎる点が入り込めなかった。道民のドライな気質風に書いてるのだろうけど、心に重しがある登場人物ばかり。まあそうでないと、物語は進まない訳で。老夫婦の道行きはオ -
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Posted by ブクログ
※
読み終えて小説を書くってことは、ある真実に
たくさんの嘘を装飾して限りなく現実にみえる
虚構を作り上げることなのかなと思いました。
作家さん全てがこの方法で小説を書いている
訳ではないだろうけれど、少なくとも『砂上』の
作者である桜木紫乃さんは、話を生み出す際に
こんなふうに話を構築していく手法を取ることが
あるんじゃないかと感じました。
話の中で主人公に感情の薄さが武器になると
告げた編集者との出会いは主人公にとって
運命的に感じましたが、編集者には別の意図が
あって、主人公が自分に利する人間かどうかを
様子見するために網を張られただけと考えるのは
穿ちすぎでしょうか。
物語の中の