桜木紫乃のレビュー一覧
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桜木紫乃『孤蝶の城』新潮文庫。
『緋の河』の続編。カルーセル麻紀をモデルにした小説である。主人公の秀男の芸名がカーニバル真子とは良く思い付いたものだ。
自分は、最近流行りのLGBTQなるものには、どうしても抵抗を感じる昭和世代である。昭和の時代にもゲイとかオカマと呼ばれる人たちが存在したが、今ほど権利や何だと騒ぐことも無く、一般人にその存在を容認しろと強要することは無かった。
今や一般企業の管理職向け教育などでLGBTQを容認しろと強要してくるものだから呆れてしまう。そういう存在や生き方を嫌うのも自由であるはずだ。そういう今流行りの立派な教育を行う企業もLGBTQの皆様のために多くの種類 -
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「ホテルローヤル」「ラブレス」に連なる、作者の家族を描いた作品。
作者の父親がモデルだという主人公の猛夫。卑屈で身勝手で、怒りに任せて女子供に手を挙げる、どこまでも自分本位で身勝手で、山気があって、堪え性がない。
読んでいて本当に不快になるけれど、こういう親父昭和初期生まれにはザラにいたな〜とも思う。
「男だもん仕方ないんだ」と我慢し、受け入れ、甘やかせてきた女がこういう男たちを育ててきた時代だったと思う。
カツ、駒子、里見といった女たちは皆、強かでたくましい。そして作者自身投影した春生も。
「親を肯定することは自己肯定に直結する」という作者が、この小説を書いて親の生き方を肯定できたと言 -
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2013年第19回島清恋愛文学賞
恋愛文学賞を受賞しているけれど、ラブレス
愛がない
北海道の開拓民の家に生まれた女性の生涯は、
生まれた家にも嫁いだ先にも愛がない
そんな女性の一生を 歌う事が好きだった彼女に合わせて昭和歌謡曲を挿入しながらの大河小説
父親、弟達、奉公先の主人、結婚した男
いずれも手の負えない男達に
文句も言わずにその人生を受け入れる
愛がなくても生きるしかない
愛がなくても生きてはいける
ただ一人、好きだった男は娘の出産前に何処かへ居なくなる
好きだった男の娘は、行方もわからず
彼女の人生に息苦しさを感じるのは読み手で
彼女は人生を送り続けているだけなのかも
昭和中期 -
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表紙の青色に惹かれて手にとった。
絵本は、子どもの頃読んでもらって幸せな想いや楽しい思い出があったり。
大人になり、読み聞かせしての思い出が出来たり。
子どもの頃に受けた印象と大人になり読んだ後とでは、感想などが違ったり。
絵本といえば、子どもが対象のような感じも受けますが、大人も十分楽しめると思う。
5編からなる話の中で、私が良かったなと思ったのは、“鍵key”と“青い絵本”。
青い絵本の中の作品『あお』、実際手に取って読んでみたいと思った。読んでいて、色々なあおを想像した。
表紙は、美弥子と好子が見た支笏湖の碧なのでは??と思った。
皆さんがみた “あお”は、どんなあおですか?
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桜木紫乃さんの五編の短編集。
表題作の「青い絵本」では、一時期親子だった2人の来し方行く末が描かれていました。
絵本作家と漫画の背景を描くアシスタントの2人の合作の絵本は、どんな青色で表現されたのか、とても興味深くて見てみたいなと思わせてくれました。言わなくてもわかってしまった悲しい事実と向き合って懸命に作られた絵本。親子として過ごす時間は少なかった2人だけれど、この絵本がずっと2人の繋がりを残してくれることになったのが、とても印象的でした。
もうひとつ印象的だった短編は「卒婚旅行」です。定年後の夫婦の生活は、お互いの思いがすれ違うとよく聞きます。この短編もまさしくそのとおりでした。
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核家族などと言われて久しいけれど、もはや核家族どころかおひとり様世帯の時代と言っても過言ではない。
「ママがね、ボケちゃったみたいなのよ。」
長女である智代の元へ届いた、妹乃理からの一本の電話。
身勝手でワンマンな父について行けず、実家とは疎遠となった智代に「これはお姉ちゃんにも関係あることなの!親は親でしょ。」と妹の言葉が重くのしかかる。
28歳バツイチの陽紅は、農協の窓口業務について間もなく、3日に1回は訪れる80歳過ぎのおばあちゃんから「ウチの嫁にきてくれ」と迫られていた。
55歳未婚。
結婚離婚を5回も繰り返した母は、悩む娘に「ありだね」と言った。
とうとうテレビも映らなくなって -
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ネタバレシャッターチャンス
加賀屋美幸
短大を卒業してから十三年「スーパー・フレッシュマートしんとみ」の事務を執っている。貴史にヌード写真を撮らせて欲しいと頼まれ、断れず撮影に備えてダイエットしている。
木内貴史
「フレッシュマートしんとみ」の正社員。宅配運転手。美幸の中学の同級生。地元パルプ会社のアイスホッケー選手だったが、二十八で右膝靱帯を損傷して引退した。
本日開店
設楽幹子
「歓楽寺」の大黒。結婚前は看護助手をしていた。
中学卒業まで養護施設で育ち、その頃施設に来ていた初代住職と出会う。
佐野敏夫
幹子の夫が二代目住職を務める「歓楽寺」の檀家のひとり。父親の興した水産会社を五十歳で受け