あらすじ
「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」妹からの電話で実家の状況を知った智代。かつて横暴だった父が、母の面倒をみているという。関わり薄くいられたのも、お互いの健康あればこそだった。長男長女、墓守、責任という言葉に距離を置いてきた日々。妹は二世帯同居を考えているようだ。親孝行に名を借りた無意識の打算はないか。──「認知症になった母が私の名前を忘れたのが書くきっかけとなりました」(著者)。家族という単位と役割を、北海道を舞台に五人の女性の視点から問いかける連作長編。第15回中央公論文芸賞受賞作。
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介護の入り口の現実。
身につまされすぎてどの登場人物にも共感と同情と批判と許容とがないまぜになったなんとも言えない感情がわく。
さて、自分が親に対してどうするのか。どうしたいのか。自分はどうされたいのか。向き合わずに歳をとるのはもう逃げでしかない。
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老いた老夫婦の家族とその周辺を巡る連作短編集
以下、公式のあらすじ
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「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」。
突然かかってきた、妹からの電話。
両親の老いに直面して戸惑う姉妹と、それぞれの家族。
認知症の母と、かつて横暴だった父……。
別れの手前にある、かすかな光を描く長編小説。
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認知症になったサトミと、夫の猛夫
その家族や関係者の女性5人の視点で描かれる連作短編集
猛夫は本業の理容師の傍ら様々な商売に手を出しては借金を重ね、家族に対して横暴な態度を振る舞ってきた
そんな両親とは駆け落ち同然に結婚し、今は子どもたちも巣立って夫婦二人の生活になった長女の智代
智代の夫の弟(55歳)と結婚する事になった28歳の陽紅(ようこ)
金銭的に苦しい生活ながら、物凄く優しい夫がいる次女の乃理
猛夫とサトミが旅先で出会ったサックス奏者の紀和(きわ)
サトミの姉で、娘二人とは疎遠な登美子
それぞれの立場での考えや感情に同意できる部分が多数
智代は空の巣症候群は感じていないようだけど、本当にそうなのかはわからないかな
実体験として、今まで一緒に暮らしていた家族が巣立つという経験は中々に寂しい気持ちもあった
巣立ちそのものは喜ばしい事なんだけど、それと同時に不安や心配する気持ちの方が大きかったからなぁ
まぁ、結局はその後にまた戻ってきたり家族そのものの形態が変わったりしたわけだけれども
私は親との確執なんてものはないけど、前よりは実家に帰省する機会は減った
毎年年末年始は実家で過ごしていたけど、コロナ禍で帰れなかった事もあり、別に帰らなくてもいいという認識になってしまった面もある
田舎の結婚事情
55歳で独身の男って、もう一生独身で過ごせばいいんじゃないですかねぇ
そして田舎特有の情報の早さ
あと、お見合いでまともに会話すらした事がないのに結婚することになるという状況
今どきこんな事あるのかねぇ?
もしかして、田舎ならまだリアルにあり得るのだろうか?
でも、お見合いってむしろ現代にこそ合っている結婚システムなのではなかろうか
お互いの条件が整っていれば、別に恋愛感情の有無なんて関係ないような結婚している人が結構いそうな気がする
それで結局は結婚前に抱いていた幻想とのギャップで離婚する人も増えているんでしょうけどね
何やかんや言って、この夫婦はいい感じに仮面夫婦を続けていけば普通に暮らしていけると思うんだけど
子供ができたとして、涼介は普通に受け入れると思うし
となると、陽紅さんがどういう選択をするかという問題なんだけど、この結婚生活を手放すようには思えないんだけどなぁ……
他のエピソードでもこの後の展開に言及されていないあたりがちょっと不安
乃理さんのところが一番身にしみたかな
苦しい生活ながらも、何につけても優しい夫
しかし、両親の面倒の問題のストレスからアルコールにに手を出してしまうという状況
何と言うか、この閉塞感わかるわー
現状の問題と解決の希望がありつつも上手くいかない現状
後のエピソードを読む限り、結局両親は実家に戻っているし
この生活は上手くいかなかったって事なのでしょうねぇ
両親と縁を薄くした姉とは違って自分にはその役目があると自覚しているし、母に頻繁に連絡をしているという行動にも移しているし、でも周囲は自分の事を助けてくれないというのは辛いよなぁ
紀和は唯一、家族の親族ではない立場
他人だから言える、言ってしまった事
うーん、やはり猛夫に対してはダメ男としか思えないなぁ……
でも、いざとなったら自分にも猛夫と共通した部分があるかもと想い返してしまい、自己嫌悪に陥るあ
一番最後、サトミの姉の登美子
自分の娘二人のうち一人は行方知れず、もう一人には絶縁宣言を告げられる
ある意味で私に一番近いのかもしれない
「産みっぱなしの放し飼い」と表される子育てだったようだけど
それは子供視点であって、登美子からしてみればもっと違ったものだった可能性もある
私自身、下の娘とは離れて暮らしているし、ほとんど会っていないので、後にどんな事を言われても仕方がないとは思っている
そんな親子関係と比べられるのが姉のサトミの家族なわけだけれども
今までの家族関係に区切りをつけることで新たな道が開ける事ってありますからね
タイトルの「家族じまい」は「お終い」ではなく「仕舞い」の意味らしいですし
終わるのではなく、今までの関係を一旦締めるという機会は必要なのかもしれない
あと、仕舞うというよりは、家族の形態が変化する過渡期なだけなんだよね
口ではどんな事言っても親子の関係ってそう簡単には切り離せないものなのではなかろうか
血の繋がりあるからこその甘えや意地もあり
だからこそ適切な選択肢を選べなかったりドツボにはまったりね
どこの家庭にもリアルに起きそうな出来事だと思った
一番印象に残ったセリフは
「お互い元気で死にましょう」かな
私自身、いつ何が起こってもおかしくないわけで
死ぬ寸前まで元気でいられるような生き方がいいなとは思う
この本は読む人の状況によって感想が変わりそうだなぁ
親の面倒を看る子の立場
子供に面倒をかける可能性の立場
それぞれどこに自分を重ねるかによる
私の場合はどちらも可能性があると思って読んだわけだけれども
実際問題、両親の事とか自分の事とかリアルに想像してしまった
うちの両親は幸いにして二人とも未だに健康でいるけど、いつどちらかが介護が必要になってもおかしくない
もしそうなったらどうなるのか?
兄弟三人の中で私だけ特に遠方に住んでいるけど、兄二人も実家の近くにいるわけでもなし
そして家族と暮らしていないのは私だけという状況なわけで
もしそうなったらどうなるかはわからないなぁ
あと、自分が面倒をかける状況になったとして
今のところ上の子は成人しているけど、面倒をかけたくない
となると、やはり選べる選択肢は限られてくるよなぁ
などと考えて結構気分が落ち込んだ
Posted by ブクログ
認知症になった母親を軸に、娘や姉など周りの女性目線で家族を描いた物語。
家族や夫婦だからこそ踏み込めるところと踏み込めないところがあって、面倒くささと愛情がリアルだった。どの話も余韻を残すようなラストでよかった。
Posted by ブクログ
親子の話で夫婦の話、家族の話それを娘…女性の側から書いている物語
きっとこの中の話に似たような話が自分にも、自分の近くでも起こって来るのかなぁ
と、切なくなったり、でも、なんとかやって行けるかな?と前向きな気持ちも持ちつつ本を閉じました
Posted by ブクログ
おもしろかったなぁ
ひさびさに夢中で読んだ
乃理の回が息をつかせぬ感じだった、不気味で、角田光代の「紙の月」をちょっと思い出した
それにしてもよくもまぁこんなにいろんなバージョンの女たちを描いたもんだ
それぞれに家族のしがらみをくっつけて…
桜木紫乃って、「ホテルローヤル」がちっともおもしろくなかったもんだからそれっきり読まなかったけど、こんなにリアルに切なく、下品にならずに描くひとならもっと他も読んでみようと思う
Posted by ブクログ
積ん読から。
「ママがぼけちゃったみたい」
この言葉は子ともにとって一番聴きたくない。
ましてや、その子どもも身動きがとれない年代になっているからなおさら。
5人の女性からの観点であるお話。
姉妹であり他人であり義姉妹であり
なんだかな、軸である姉妹の旦那さんが味があって優しくていい。無関心であり無関心でなく朴訥として、この姉妹はきっと自分の父親と違う男性に惹かれたのか。姉妹の母親の認知症とその家族を含みながら物語は進む。
どうしようもない女としての立場や性と戦いながら、ちゃんと介護や連絡を取り合わなかった家族とも繋がり助け合う。
ピンク=陽紅さんと、
屺和さんの話がこの物語の中でちょっとしたスパイスや和みになってまたいい。
終わりはちょい哀しくも素敵だ。
こっそりプリンを食べる老姉妹(笑)
「サトミ」さんは一番幸せだ。
Posted by ブクログ
終いじゃなくて仕舞い
キーマンは認知症の“ サトミおばあさん”かな
横暴な理髪師の夫の苦悩、距離を取りながら口は出す長女、少しずつお酒に依存していく次女、サトミおばあさんの姉、旅先でのサックス奏者、55歳に嫁いだ28歳バツイチの娘……いろんな家族としての存続の危機と北海道の情景が良かった
Posted by ブクログ
介護の話は自分もいつか迎える未来でもあるので、自分だったらどうするだろうか、できるだろうかという不安を感じながら読んだ
この話は小説用に綺麗にしてるわけではなく、描き方も自然。介護という現実やそれまでの家族の背景や関係性もぶっ刺さる感じがした。
家族じまいは終いじゃなく「仕舞い」という意味で書いた感じもすごく伝わる
Posted by ブクログ
呆けてしまった母親と、昔気質な父親、2組の娘夫婦。付かず離れずで、老いという人生の不都合に立ち向かう。距離感や生活感が、故郷を思い出させる北海道本の傑作。
Posted by ブクログ
「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」妹からの電話で実家の状況を知った智代。かつて横暴だった父が、母の面倒をみているという。関わり薄くいられたのも、お互いの健康あればこそだった。長男長女、墓守、責任という言葉に距離を置いてきた日々。妹は二世帯同居を考えているようだ。親孝行に名を借りた無意識の打算はないか。家族という単位と役割を、北海道を舞台に問いかける傑作長編。
小説なんだけど とてもリアルに感じた
もう両親は4人とも亡くなってしまったので 介護の心配はないんだけど 今度は私達の番だわ…って思いながら読んでました
義父が認知症だったけど 周りの人達は本当に大変だと思う
いろんな事を忘れていって…子供のことも義母のことも…それでも生きていくって…
家族って…時には心強いものであり でも縛られることもあり…
みんな自分の生活で精一杯…
Posted by ブクログ
それぞれの心象の表現が秀逸だ。
家族なんてこんなもんだと現実を突きつけられる。
親子の関係、夫婦の関係、結局他人同士で皆自分のことしか考えていない。
表面上はうまくいってるように見える家族でも、本当に分かり合えているわけではない。
他人同士だからどこかに折り合いをつけて生きていくしかないのだ。
これは、うまく折り合いがつけられなかった家族の話だ。
みんなが本音を言いだしたらこうなるというサンプルのようだ。
Posted by ブクログ
やり残したことはたくさんあるのに、やり直しのきかないところに来てしまったと気づく。このまま起伏なく働く日々が続くことも、その後のことも想像できてしまう。
みな、自分が選んだ自分を生きている。
あちらこちらに散らばるようにしてそれぞれの事情が転がり、その事情に足を取られながら歩いている。
Posted by ブクログ
桜木紫乃さん の作品は初(はじめまして)
タイトルの 家族じまい に惹かれました。
家族がいて、親も自分も年老いて行く。
物語では、両親健在で母親が認知症になってしまう。
介護を父親がしているが、手を挙げてしまうことも。
1人では、やっばり介護は出来ないんだろうなと思う。
色んな登場人物に自身の身に置き換えて見た人も沢山いるのではないでしょうか。
紀和さんの章 船旅してみたいな。
Posted by ブクログ
桜木さんならではの安定の暗さと救われない感じを堪能できました。
各章の主人公のその後が、あとの章で、少しずつ分かるのもリアルでした。
遠くない未来、私も考えなくてはいけない事として勉強にもなりました。
また桜木さん作品を読みたくなりました。
Posted by ブクログ
どの人物にも少しの共感を感じ又少しの嫌悪感も感じた。それは自分自身に投影してるからなのかな。来た道行く道、どれが正解なんてない。感情はその人だけのものであり環境も千差万別
人間最後は忘れてしまうこともとても大事なんじゃないかって痛感した
Posted by ブクログ
怖くて息苦しくなるくらい切なかったけど一気に読んでしまいました。家族しかわからない家族の歴史、家族で何とかするしかない家族の問題。よく普通の家庭などと言いますが、家族はどこの家族も閉鎖的で特殊で普通ではありません。そこがいやで出ていったつもりでも、やがて戻ってしまう。疎ましく、愛おしく、逃れ難い場所。登場人物それぞれに自分を見たような気がしました。
Posted by ブクログ
家族じまい
タイトルにすごく潔さを感じました。
認知症になった母を中心に、夫・娘たち・姉妹それぞれ役割が生まれ、過去の葛藤と向き合いながら折り合いをつけていく話。
家族とは何?
娘の責任は果たさないといけないの?
って思いながら、それぞれの立場が抱える事情にも同情してしまって読み応えのある内容でした。
Posted by ブクログ
印象に残る作品だった。
横暴な父が妻を殴ってしまったが、妻は叩かれたことすら忘れてしまって救いなのか罰なのか…の話を聞いて、その面だけ見たらボケてしまった妻を1人で支える辛さみたいなものを感じるのに、その父に育てられた娘から見たら「苦労話をうまく丸めて,いい話にすり替えようなんてーー」という風に捉えられることに驚いた。
妻を世話している一面からしか見ていないからすごく可哀想に見えるけど、それまでの経緯をずーっと見てきた娘視点だとこんなにも見え方が変わるんだなと…。
この夫婦の周りの視点しか無いところが想像の余白があって面白かった。
Posted by ブクログ
認知症になった女性の娘2人、義弟嫁、姉etc目線で話が進んでいく。
夫だから家族だから…といって何でもかんでも言い合えるわけではなく、伝えたい言葉を飲み込んでしまうこともある。
次女は自分に役割が与えられたことに浮き足立って張り切る。確かに頑張っているけど、なんだか空回っている印象。
夫は善良で優しく、外から見れば好印象しかないけど、妻からすれば何かが満たされない要因でもある。良い人なだけに余計しんどいだろう。
長女は冷静なのはいいけど、もうちょっと寄り添う姿勢を見せてくれたらいいのにと思う笑
認知症云々の話というより「夫婦」についての物語であるように感じた。
Posted by ブクログ
桜木紫乃さんの著書は初めて読みました。
私の母親も認知症だったため、他の家族の介護とはどういうものなのかが気にり、読みました。
妻が認知症になった老夫婦とその家族や周囲の女性5人の視点で物語が進みます。
介護、認知症はやはり多くの周囲の人に多大な影響を及ぼすもので、楽しい話ではないですね。
最後まで読んで、「家族じまい」というのはそういうことなのかぁと納得。
また、最後の登美子のお話を呼んで人たち、なんとなくホッとしました。
Posted by ブクログ
核家族などと言われて久しいけれど、もはや核家族どころかおひとり様世帯の時代と言っても過言ではない。
「ママがね、ボケちゃったみたいなのよ。」
長女である智代の元へ届いた、妹乃理からの一本の電話。
身勝手でワンマンな父について行けず、実家とは疎遠となった智代に「これはお姉ちゃんにも関係あることなの!親は親でしょ。」と妹の言葉が重くのしかかる。
28歳バツイチの陽紅は、農協の窓口業務について間もなく、3日に1回は訪れる80歳過ぎのおばあちゃんから「ウチの嫁にきてくれ」と迫られていた。
55歳未婚。
結婚離婚を5回も繰り返した母は、悩む娘に「ありだね」と言った。
とうとうテレビも映らなくなってしまった。
これを機に大型テレビにしようと言われたらどうしよう…これ以上、切り詰めようがない。
仕事帰りに買う1本の缶ビールが乃理の心のモヤモヤを取り除いてくれる。
大丈夫。1本だもの。
少しずついびつさを増してゆく家族の物語。
連作5話のしまいの物語。
突飛すぎるわけじゃなない。どこにでもありそうな家族がしまえてゆく憂鬱な5話。
夫婦であっても親子であっても同じ屋根の下に暮らしていても、おひとり様感が拭えない。
他人事ではない感じが読後にじわじわとくる。
今年の5冊目
Posted by ブクログ
人ごとではいられない、親の老化、介護。
それぞれの登場人物の正直な心情が語られる点は好み。
ただこの先どうなるの?というところで終わってしまった
章が多く、やや不完全燃焼だった。
Posted by ブクログ
地元の直木賞受賞作家なので存じてはいたが、これまで読んだことはなかった(と思っていたが「凍原」は読んだことがある)。現代文の共テ模試に使われてたのを少し読んで、心情描写が少しクセのある文体だなあ、と引っかかって、ちゃんと読んでみることに。
結論としては、次積極的に買うことはないかな、と。年が同じくらいで、「燃え残ったものなんてあるんだろうか」とか共感できるところも多いし、心理の描き方が特に上手だなと感じるけれど…
家族関係の設定がウェットすぎる点が入り込めなかった。道民のドライな気質風に書いてるのだろうけど、心に重しがある登場人物ばかり。まあそうでないと、物語は進まない訳で。老夫婦の道行きはオチがついたようだけれど、それぞれの登場人物がどうなるのか気になる終わり方で終わってるのも、それも味なんだろうなと思うしかない。最終章での登美子さんの清涼感が救いです。
Posted by ブクログ
桜木紫乃さんの恐ろしさは、その土地の空気感を文章に落とし込む所だ。長女は江別、次女は函館、実家は釧路。その土地ならではの人柄や風習・慣習は確実にある。それを言葉にするのは難しい。中にいれば気が付けない。外からの目線なのに、ナチュラル。親の老後と子供の巣立ちと、おそらく更年期だって入ってくる年頃で、そういった穏やかとは言い難い日々を過剰にドラマチックに仕立てるでなく、どこの家にもおきていそうな温度で描く。他人事ではない切実さがある。墓じまいのように家族がしまえたら…そんなことを思う。
Posted by ブクログ
家族という構成内での自分の立ち位置や役割。
長男だから。
次男だから。
長女だから。
次女だから。
父だから。
母だから。
祖父だから。
祖母だから。
若いから。
高齢だから。
未婚だから。
既婚だから。
夫だから。
妻だから。
… 。
全ての人が上記のような "何か" にカテゴライズされ、
それぞれが必要とされる役割と向き合う。
「○○だからこうであるべき」という役割を果たす事が人としての "正" と考える人もいれば、
その役割に疑問を持つ人もいる。
その考え方の分岐は、この世に生を受けてから現在に至るまで家族とどう生活してきたかに寄って大きく変わる。
本作は、高齢となり認知症を患った母をきっかけとして、周囲の人々がそれぞれの「役割」と向き合い、その心情を細かに描いている。
誰しもに当てはまる話でありながら、正解/不正解がない難しい問題。
自分事として向き合い改めて考えたいと思わせてくれた一冊だった。