感情タグBEST3
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介護の入り口の現実。
身につまされすぎてどの登場人物にも共感と同情と批判と許容とがないまぜになったなんとも言えない感情がわく。
さて、自分が親に対してどうするのか。どうしたいのか。自分はどうされたいのか。向き合わずに歳をとるのはもう逃げでしかない。
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老いた老夫婦の家族とその周辺を巡る連作短編集
以下、公式のあらすじ
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「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」。
突然かかってきた、妹からの電話。
両親の老いに直面して戸惑う姉妹と、それぞれの家族。
認知症の母と、かつて横暴だった父……。
別れの手前にある、かすかな光を描く長編小説。
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認知症になったサトミと、夫の猛夫
その家族や関係者の女性5人の視点で描かれる連作短編集
猛夫は本業の理容師の傍ら様々な商売に手を出しては借金を重ね、家族に対して横暴な態度を振る舞ってきた
そんな両親とは駆け落ち同然に結婚し、今は子どもたちも巣立って夫婦二人の生活になった長女の智代
智代の夫の弟(55歳)と結婚する事になった28歳の陽紅(ようこ)
金銭的に苦しい生活ながら、物凄く優しい夫がいる次女の乃理
猛夫とサトミが旅先で出会ったサックス奏者の紀和(きわ)
サトミの姉で、娘二人とは疎遠な登美子
それぞれの立場での考えや感情に同意できる部分が多数
智代は空の巣症候群は感じていないようだけど、本当にそうなのかはわからないかな
実体験として、今まで一緒に暮らしていた家族が巣立つという経験は中々に寂しい気持ちもあった
巣立ちそのものは喜ばしい事なんだけど、それと同時に不安や心配する気持ちの方が大きかったからなぁ
まぁ、結局はその後にまた戻ってきたり家族そのものの形態が変わったりしたわけだけれども
私は親との確執なんてものはないけど、前よりは実家に帰省する機会は減った
毎年年末年始は実家で過ごしていたけど、コロナ禍で帰れなかった事もあり、別に帰らなくてもいいという認識になってしまった面もある
田舎の結婚事情
55歳で独身の男って、もう一生独身で過ごせばいいんじゃないですかねぇ
そして田舎特有の情報の早さ
あと、お見合いでまともに会話すらした事がないのに結婚することになるという状況
今どきこんな事あるのかねぇ?
もしかして、田舎ならまだリアルにあり得るのだろうか?
でも、お見合いってむしろ現代にこそ合っている結婚システムなのではなかろうか
お互いの条件が整っていれば、別に恋愛感情の有無なんて関係ないような結婚している人が結構いそうな気がする
それで結局は結婚前に抱いていた幻想とのギャップで離婚する人も増えているんでしょうけどね
何やかんや言って、この夫婦はいい感じに仮面夫婦を続けていけば普通に暮らしていけると思うんだけど
子供ができたとして、涼介は普通に受け入れると思うし
となると、陽紅さんがどういう選択をするかという問題なんだけど、この結婚生活を手放すようには思えないんだけどなぁ……
他のエピソードでもこの後の展開に言及されていないあたりがちょっと不安
乃理さんのところが一番身にしみたかな
苦しい生活ながらも、何につけても優しい夫
しかし、両親の面倒の問題のストレスからアルコールにに手を出してしまうという状況
何と言うか、この閉塞感わかるわー
現状の問題と解決の希望がありつつも上手くいかない現状
後のエピソードを読む限り、結局両親は実家に戻っているし
この生活は上手くいかなかったって事なのでしょうねぇ
両親と縁を薄くした姉とは違って自分にはその役目があると自覚しているし、母に頻繁に連絡をしているという行動にも移しているし、でも周囲は自分の事を助けてくれないというのは辛いよなぁ
紀和は唯一、家族の親族ではない立場
他人だから言える、言ってしまった事
うーん、やはり猛夫に対してはダメ男としか思えないなぁ……
でも、いざとなったら自分にも猛夫と共通した部分があるかもと想い返してしまい、自己嫌悪に陥るあ
一番最後、サトミの姉の登美子
自分の娘二人のうち一人は行方知れず、もう一人には絶縁宣言を告げられる
ある意味で私に一番近いのかもしれない
「産みっぱなしの放し飼い」と表される子育てだったようだけど
それは子供視点であって、登美子からしてみればもっと違ったものだった可能性もある
私自身、下の娘とは離れて暮らしているし、ほとんど会っていないので、後にどんな事を言われても仕方がないとは思っている
そんな親子関係と比べられるのが姉のサトミの家族なわけだけれども
今までの家族関係に区切りをつけることで新たな道が開ける事ってありますからね
タイトルの「家族じまい」は「お終い」ではなく「仕舞い」の意味らしいですし
終わるのではなく、今までの関係を一旦締めるという機会は必要なのかもしれない
あと、仕舞うというよりは、家族の形態が変化する過渡期なだけなんだよね
口ではどんな事言っても親子の関係ってそう簡単には切り離せないものなのではなかろうか
血の繋がりあるからこその甘えや意地もあり
だからこそ適切な選択肢を選べなかったりドツボにはまったりね
どこの家庭にもリアルに起きそうな出来事だと思った
一番印象に残ったセリフは
「お互い元気で死にましょう」かな
私自身、いつ何が起こってもおかしくないわけで
死ぬ寸前まで元気でいられるような生き方がいいなとは思う
この本は読む人の状況によって感想が変わりそうだなぁ
親の面倒を看る子の立場
子供に面倒をかける可能性の立場
それぞれどこに自分を重ねるかによる
私の場合はどちらも可能性があると思って読んだわけだけれども
実際問題、両親の事とか自分の事とかリアルに想像してしまった
うちの両親は幸いにして二人とも未だに健康でいるけど、いつどちらかが介護が必要になってもおかしくない
もしそうなったらどうなるのか?
兄弟三人の中で私だけ特に遠方に住んでいるけど、兄二人も実家の近くにいるわけでもなし
そして家族と暮らしていないのは私だけという状況なわけで
もしそうなったらどうなるかはわからないなぁ
あと、自分が面倒をかける状況になったとして
今のところ上の子は成人しているけど、面倒をかけたくない
となると、やはり選べる選択肢は限られてくるよなぁ
などと考えて結構気分が落ち込んだ
Posted by ブクログ
ホテルローヤルの印象で止まっていた桜木紫乃さん。
化けてました!
家族について、親、姉妹、子供、夫婦、
年齢を重ねて様々な問題が噴出してきたり、自分が辿ってきた軌跡が間違っていたのではないか?と突きつけられるような場面があったり。
50歳を過ぎた頃から見える、
この先の自分の人生。
自分が達し得なかった様々なことへの後悔。そして言い訳。
短編で主人公の視点が変わるからこそ
見える本質。
ずっと同じ視点では
偏ってしまう。
結局はひとつの家族の話なんだけど、
登場人物からの切り取り方で違った側面が見えてくる。
自分の中で
もやもやとしていたことが
小説の中で
明文化されていた。
あー!もっと読みたい!
桜木紫乃さん。
小説の技巧も
素晴らしく、
あー、こんな表現うま過ぎる!
と身悶えする言葉がさりげなく出てくる。
参ったな。
そして、読後、少し時間が欲しくなる。
自分の感じた事、今の自分と家族や周りの人のこと、頭の整理をして、感情の整理をして、明日へ繋げていきたくなった。
Posted by ブクログ
小説読んだのいつぶりだろう。
なんかもう現実的な悩みで日々頭がいっぱいなので小説って手に取ろうと思えなかったんだけど、この本はなんか気になって買ったんだった。
まだ人生折り返してはないと思ってるんだけど、子供のいる人生とそうでない人生、結婚してる人生とそうでない人生、親と良好な関係を晩年まで気づける人生とそうでない人生とで人生見える景色って違いすぎるんだが。
それを言っちゃあそもそも分類などできるもんでもなくて、
人は1000人いれば1000通りの人生がある。
一般論とかに頼ったって意味ないしむなしさに襲われるだけなんだけど、自分の道に悩む時、やはり他を見る。
他者と共鳴しあえる瞬間ってのが人生にあって、それが私には実際の人間関係にも小説にもある。
そこがやっぱり人生の面白さであり小説やめられないところ。
こちらの作家さんの作品読むの初めてなんだけど、久々に小説読んでて私に高揚感をくれてありがとう。他のも読んでみます。
Posted by ブクログ
タイトルにひかれて読んでみた。
自分自身の家族との関わりや、この先の人生を意識させられる内容だった。一気に読まずにはいられなかった。
登場人物に共感したり、切なくなったりと、様々な感情があった。
私の家族とのストーリーはどのようなものにできるのだろう。死ぬまでどのように生きていけるのかを強く考える機会となった。
Posted by ブクログ
やり残したことはたくさんあるのに、やり直しのきかないところに来てしまったと気づく。このまま起伏なく働く日々が続くことも、その後のことも想像できてしまう。
みな、自分が選んだ自分を生きている。
あちらこちらに散らばるようにしてそれぞれの事情が転がり、その事情に足を取られながら歩いている。
Posted by ブクログ
桜木紫乃さん の作品は初(はじめまして)
タイトルの 家族じまい に惹かれました。
家族がいて、親も自分も年老いて行く。
物語では、両親健在で母親が認知症になってしまう。
介護を父親がしているが、手を挙げてしまうことも。
1人では、やっばり介護は出来ないんだろうなと思う。
色んな登場人物に自身の身に置き換えて見た人も沢山いるのではないでしょうか。
紀和さんの章 船旅してみたいな。
Posted by ブクログ
桜木さんならではの安定の暗さと救われない感じを堪能できました。
各章の主人公のその後が、あとの章で、少しずつ分かるのもリアルでした。
遠くない未来、私も考えなくてはいけない事として勉強にもなりました。
また桜木さん作品を読みたくなりました。
Posted by ブクログ
どの人物にも少しの共感を感じ又少しの嫌悪感も感じた。それは自分自身に投影してるからなのかな。来た道行く道、どれが正解なんてない。感情はその人だけのものであり環境も千差万別
人間最後は忘れてしまうこともとても大事なんじゃないかって痛感した
Posted by ブクログ
怖くて息苦しくなるくらい切なかったけど一気に読んでしまいました。家族しかわからない家族の歴史、家族で何とかするしかない家族の問題。よく普通の家庭などと言いますが、家族はどこの家族も閉鎖的で特殊で普通ではありません。そこがいやで出ていったつもりでも、やがて戻ってしまう。疎ましく、愛おしく、逃れ難い場所。登場人物それぞれに自分を見たような気がしました。
Posted by ブクログ
読み進めていくうちに、自分にもこんな時がくるんだろうなぁと親の介護だったり、介護される側になったり、家族が認知症になったり。
自分は家族愛がすごく強いからそんな事になったら耐えられるかなぁと思いながら読んだり、自分だったら姉妹で協力しながらやるだろうなぁと思ったり、んー大丈夫かなぁと思ったり、ページをめくる度に色んな感情にさせられた。とにかくこの小説に出てくる人たちは一言で言うと潔が良い。自分の考え方や育ち方とは違うけど、全然理解できないわけでもなく、そういう人生もあるよね。って納得してしまう感じ。いろんな考え方や人生があるなぁと改めて。桜木さん初でした。もっと読んでみたいな。
Posted by ブクログ
そんなご無体な~、って言いたくなる、家族のリアルを描いた連作短編。ある家族を、いろんな血縁・姻戚関係の人たちから描いている。一人だけ旅で行き合わせただけの他人目線からも。親が老いて、ちょっと痴呆も始まって、娘たちが世話をしなきゃいけなくなる。娘たちにもいろいろな事情がある。長女は親とは縁を切りたいくらい。次女は姉を見返す?気持ちもあって、親の面倒を見ようと心を決めるが、うまくはいかない。それぞれの夫の実家にも、いろんな事情がある。痴呆が始まった老母の妹の家族も、バラバラになって、娘からは「縁を切る!」と宣言される。
みんないつかは老いるということと、家族に支えられて見守られて老いたいと思うのか、子どもたちに迷惑をかけず、一人で最期を迎えようと思うのか、老いていくとき家族(配偶者)がいることはありがたいことなのか、面倒なことなのか、というような話です。
それにしても、もうちょっと救いがあってもいいのにな、親子なんてこんなものですか?と悲しくなるような展開でした。中心となっている老夫婦の絆は強いけど、強いがゆえの辛さもあるし。結局は最期は一人、ということなんだろうか。娘たちの夫婦も、夫とは理解し合えないようだし。
文庫の帯にも、解説にも、桜木紫乃さんの文章表現が素晴らしいと書いてあったけど、私はちょっとくどすぎて、読みづらいなと思いました。心理描写が細かすぎて、ちょっとわざとらしいような気がしてしまいました。読みなれてないからかな。
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老いてもそれぞれの人が持つ性質、内面って変わらないのだろうなぁ、と感じました。
生まれもった性質に育つ環境で、性格がつくられるのかと思うけど、親子でも夫婦でも結局は完全には分かりあえないし、分からなくなる時がある。
家族じまいは難しい!
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罪悪感なく家族を捨てられる、という日常で吐くことのできないリアルな感情が綴られていた。帯で村山由佳さんが「どうやったらこんな一行が書けるんだろう」とあったが、本当にそう感じさせる表現力で何度も目に留まる文章があった。自分の家族が置かれている状況次第で、何度読んでも受け止め方が変わりそうな物語。結論は出ていなくても物語が少しずつ時系列も進んでいるのがわかる。
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墓じまいならぬ家族じまい。
家族の形について考えることがあり
タイトル買いしてしまった小説。
自分の身にいつ起きてもおかしくないリアルさがあった。
299ページ(文庫)
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桜木紫乃さんの恐ろしさは、その土地の空気感を文章に落とし込む所だ。長女は江別、次女は函館、実家は釧路。その土地ならではの人柄や風習・慣習は確実にある。それを言葉にするのは難しい。中にいれば気が付けない。外からの目線なのに、ナチュラル。親の老後と子供の巣立ちと、おそらく更年期だって入ってくる年頃で、そういった穏やかとは言い難い日々を過剰にドラマチックに仕立てるでなく、どこの家にもおきていそうな温度で描く。他人事ではない切実さがある。墓じまいのように家族がしまえたら…そんなことを思う。
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家族という構成内での自分の立ち位置や役割。
長男だから。
次男だから。
長女だから。
次女だから。
父だから。
母だから。
祖父だから。
祖母だから。
若いから。
高齢だから。
未婚だから。
既婚だから。
夫だから。
妻だから。
… 。
全ての人が上記のような "何か" にカテゴライズされ、
それぞれが必要とされる役割と向き合う。
「○○だからこうであるべき」という役割を果たす事が人としての "正" と考える人もいれば、
その役割に疑問を持つ人もいる。
その考え方の分岐は、この世に生を受けてから現在に至るまで家族とどう生活してきたかに寄って大きく変わる。
本作は、高齢となり認知症を患った母をきっかけとして、周囲の人々がそれぞれの「役割」と向き合い、その心情を細かに描いている。
誰しもに当てはまる話でありながら、正解/不正解がない難しい問題。
自分事として向き合い改めて考えたいと思わせてくれた一冊だった。
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家族とは、夫婦とはどうあるべきか。
色々考えさせられました。
家族だからこそ、ちょっとしたボタンの掛け違いをしないようにしないと、と思いました。
自分なりの落とし所を見つけようと思います。
Posted by ブクログ
親の老化を通して、それを支える家族の葛藤が描かれた作品。
結婚をして子供を産み夢中で子育てをして、その子供が親の手を離れたあたりで空の巣症候群なるものがあらわれ、ふと立ち止まる。
そうして自分がいつの間にか中年と言われる年になっている事に改めて気付かされる。
そして子育てに代わる何かをなんて考えているのはまだ良い方で、すぐに親の介護問題に頭を悩ますことになる。
親を持つ身なら避けては通れない問題。
物語を読みながらもつい自分の親のことを思い出して重ね合わせてしまった。
そうして今度は自分が親として子供に心配をかける立場になってしまうんだなとしみじみ思ってしまった。
Posted by ブクログ
家族じまい
家族のイロイロなカタチ
年齢を重ねると
自分自身のことだけではなく
心配ごとは多岐にわたりある
解決策と
感情論は別にして
考えていけたら
何かしら問題の糸口は
みいだせるのかもしれない
Posted by ブクログ
家族って難しい。
親子、夫婦、兄弟姉妹…
近いからこそわかってほしいと期待する分、所詮家族でも別の人間。
年齢を重ねると、親も完璧じゃないんだと感じることが出来る気がする。
桜木紫乃さん、ふたりぐらしという作品がとても好きだったけど
この作品はなんとなく読んでて楽しい気持ちにはなれなかったなぁ。
それが妙にリアルな気もした。
Posted by ブクログ
最近読んだ中ではちょっと読むのに時間かかった本。
まるでノンフィクションのような、小説的な話の終わりがないし、救いもバッドエンドもない。本当に存在する北海道のそれぞれのある家族の日常を切り取ってそのまま文字に起こした感じ。
家族が認知症になったら結構しんどいよね。家族だからでやっていける話でもないだろう。手を出すなんて最低だけど、手を出したくなる気持ちがわかるからやるせない。
Posted by ブクログ
ストーリーは良くできて面白かったです。明るい話ではないけど。
桜木さんの作品では、前回読んだ「ふたりぐらし」の方が私は好きです。
確かに表現が凝ってるですが、それが私にはさりげない、とは感じられなかったです。
もっとさりげない方が良いかも。