【感想・ネタバレ】家族じまいのレビュー

あらすじ

「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」妹からの電話で実家の状況を知った智代。かつて横暴だった父が、母の面倒をみているという。関わり薄くいられたのも、お互いの健康あればこそだった。長男長女、墓守、責任という言葉に距離を置いてきた日々。妹は二世帯同居を考えているようだ。親孝行に名を借りた無意識の打算はないか。──「認知症になった母が私の名前を忘れたのが書くきっかけとなりました」(著者)。家族という単位と役割を、北海道を舞台に五人の女性の視点から問いかける連作長編。第15回中央公論文芸賞受賞作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

介護の入り口の現実。
身につまされすぎてどの登場人物にも共感と同情と批判と許容とがないまぜになったなんとも言えない感情がわく。

さて、自分が親に対してどうするのか。どうしたいのか。自分はどうされたいのか。向き合わずに歳をとるのはもう逃げでしかない。

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2024年05月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

猛夫とサトミは80代の夫婦。
毎日母に電話をする次女の乃理が、母の異変に気付いた。
父に問いただし、母が認知症になったことを知った乃理は、実家とほとんど連絡を取ろうとしない姉の智代にそれを伝えた。

猛夫は腕のいい理容師で、中学を卒業した智代を進学させずに自分の跡取りとして修業をさせた。
しかし山っ気の強い彼は、うまい話に手を出して、結果自分の店を手放す羽目になる。
はしごを外された形になった智代は、それを気に実家と距離を置く。
母が認知症になったからといって、今更当てにされても…と思う。

もう、智代の逡巡が刺さりまくり。
私が中卒ではないし、後を継ぐ親の財産もないけれど、長女としての責任を背負わされて育てられたので、この息苦しさは痛いほどわかる。
で、父親が自分勝手で、自分の都合で家族を振り回した挙げ句に、言うことを聞かないと暴力をふるうという、昔はありがちの頑固おやじ。

最初猛夫がサトミの面倒をみている部分で感心したのだ。
ダメなことは断固ダメといい、興味を逸らしながら言うことを聞かせるやり方は、うちの父にも見習ってほしいと思ったくらい。
うちの父は結局「手に負えん」と私に丸投げしましたからな。

でも、人に同情を買えるところは頑張るけれど、どうにもならなくなるとサトミを殴っていたことがわかってから、私のなかで彼の存在は地に落ちました。
わかるんだけどね、頑張っても頑張ってもリセットされる空しさ。
それが家族だからこそ、余計に腹立たしいのも。
でも、暴力はいかん。

サトミの姉は阿寒の温泉街で、一人暮らしている。
離婚をし、長女には縁を切られ、次女は音信不通。
家族の縁が薄いのは、彼女の情が薄いせいだと長女になじられる。
でも、家族といえども過度の期待をしない、もたれ合わずにそれぞれで立つという姿勢は私は好きなのだが。
私もそのうち縁を切られるのだろうか。

釧路に暮らす猛夫とサトミ。
江別に暮らす智代と、函館の乃理。
同じ北海道といえど、その距離感のはるかなことが、地理的によくわかる。

智代の気持ちはわかるんだけどさ、乃理の気持ちはちょっとわからん。
誰からも評価されない妻や母としての目に見えない頑張りがしんどくなってきたのはわかるけど、アルコール依存、大丈夫なの?

そして智代の夫の実家もちょっと気持ち悪い。
商売に失敗して実家に戻った次男の借金を払って、生活の面倒をみて…まではわかるけど、結婚相手を探す?
農協の窓口にいた若い娘に、家を買ってやる、生活費のほかにつき10万円のお小遣いを上げる等々の条件を、毎日その職場の窓口で訴え続ける母なんて、それだけで嫌だよ。
でも田舎だから、農協なんてみんな顔見知りのようなものだから、断るなんてできなくて。

智代の夫が実家と疎遠になったのは、智代が第一子を妊娠した時に「あと取りを生むのが長男の嫁の仕事」と毎日のように電話をよこす母親に「なら長男を辞める」と夫が言ったことから。
夫えらい!
で、次男55歳未婚のままでは自分たちの墓を守ってくれる人がいない、と躍起になって嫁探しに奔走したのだ。
絶対親戚になりたくない。

でまあ、サトミの姉のおかげで読後感はさほど悪くない。
みんな年を取るし、少しずつできないことが増えていくけど、できることはできるだけ、できないことは人の手を借りたっていいんじゃないかくらいの気持ちで、お迎えが来るまで過ごしていけたらいいと思っている。

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2026年01月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

おもしろかったなぁ
ひさびさに夢中で読んだ

乃理の回が息をつかせぬ感じだった、不気味で、角田光代の「紙の月」をちょっと思い出した

それにしてもよくもまぁこんなにいろんなバージョンの女たちを描いたもんだ
それぞれに家族のしがらみをくっつけて…

桜木紫乃って、「ホテルローヤル」がちっともおもしろくなかったもんだからそれっきり読まなかったけど、こんなにリアルに切なく、下品にならずに描くひとならもっと他も読んでみようと思う

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2025年07月16日

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