桜木紫乃のレビュー一覧

  • 蛇行する月
    順子のひたむきで、あまりにもまっすぐなところが、少し痛々しくもあり、うらやましくもある。
    順子のようになりたくないような、なりたいような。
    胸がズキズキする部分もあるが、明日を生きるためには前を見ないといけないと気づかされる一冊。
  • 蛇行する月
    蛇行する川というタイトルについて、解説による解題がわかりやすかった。6人の女の名前が付いた各章。蛇行する女たち。三日月湖に溜まる。
  • ラブレス(新潮文庫)
    けっこう読みごたえがある。
    映像が頭に浮かぶ感じだ。
    この作者の実家が床屋(理容室)らしく、必ずと言っていいほど舞台に床屋が出てくる。
  • 氷平線
    桜木さんが生れ住む北海道を舞台に、男女の愛を描いた短編集。
    「雪虫」「霧繭」「夏の稜線」「海に帰る」「氷の棺」「氷平線」の6編。

    それにしても独特の雰囲気を持った上手い作家さんだと思う。
    この人の描く北海道はいつもどんよりと重く、性愛を通して描く男女の愛はひたすらやるせない。
    一度嵌り込むとなかな...続きを読む
  • 氷平線
    「ホテルローヤル」以来、桜木紫乃の作品を読んだのは2作目だったが、こちらも短編で土地のしがらみや人間関係の窮屈さが描かれている。読後感はあまり良くないが、そこがかえってリアリティがあり、物事のケジメや再出発を感じた。
  • 裸の華
    桜木紫乃の作品を読むと、毎回「この人はこんな作品を書けるのか」と、驚嘆してしまう。
    ストリッパーという特殊な(申し訳ないが、私がこれまで触れたことのない世界なので、特殊な、という表現を許していただきたい)世界で生きる女。
    踊ることを一身に愛し、その世界を離れられない女。
    妖美で、可憐で、悲しい。でも...続きを読む
  • 硝子の葦(新潮文庫)
    なんだこの小説は。素晴らしすぎる。
    桜木紫乃は砂上だけ読んだが、こちらはそれとは違って本格ミステリの感もある。
    骨太で厚みのある人物描写はそのままに、第一級のエンターテイメントに仕上げている。おもしろい。
    後半の幾度ものどんでん返しの波に読みながらさらわれる心地がした。
    行ったこともない北の大地の海...続きを読む
  • 裸の華
    厚さにしては要素が多く感じられた。
    描き尽くされてない部分が多いような。
    JIN周辺と瑞穂の扱いがちょっと雑?

    でもすきな作品。読みやすい。
    自分は文章から匂いがしてくる作品がすきな傾向にあるが、たらこバターもチーズわかめも、「ダンスシアターNORIKA」の酒やタバコや香水の匂いも、小屋の黴の匂い...続きを読む
  • 裸の華
    舞台上の骨折で引退を決意したストリッパーのノリカ。心機一転、故郷札幌で開く店で雇う、訳ありバーテンダーと二人の女性ダンサーとの出会いにより、再び彼女の表現者としての気持ちが昂る。踊り子たちの鮮烈な生きざまを描く長編小説。
    解説で紹介された桜木さんのコメントがいい。ストリップという文化に深い畏敬の念を...続きを読む
  • 氷平線
    この人の小説は大分読んだので、パターンが読めるようになってきたけど、この感じ、好きな世界観なんだなぁ。
  • 裸の華
    素直に書かれいてる人間臭さが好きだ。
    いつまでもこの状況が続けば良いと思いながら、バラバラになってしまう登場人物に最後はエールを送る気持ちになる。
    「誰にも約束された明日なんかなかった。だからこそ信じられる未来があった。」(p238)などの味のある文が散りばめられているところも魅力だ。
  • 硝子の葦(新潮文庫)
    ひきこもりGWの読書その1
    この人の作品を初めて読んだけど、すごく面白かった。ミステリーとしてだけでなく、北海道の空気感や登場する人物(とくに女)がどんどんイメージできて、ページをめくる手が止まらなかった。
    同じ作者の直木賞受賞作「無垢の領域」をさっそく予約してみた。GW後半に読みたい。
  • 硝子の葦(新潮文庫)
    再読。、結末を知ってるから、この部分は主人公はこういう気持ちだったんだなと思いつつ読む事が出来た。主人公の一見ひょうひょうとしながら内面にくすぶっている激しさが色々な行動に結びついてるのかなと思う。
  • ブルース
    霧がたちこめる釧路で生まれた六本指の男・影山博人。貧しく苛烈な少年時代を経て夜の支配者にのしあがった男は、女たちに何を残したのか。謎の男をめぐる八人の女たちの物語。
    とにかく影山の存在感が圧倒的。冷酷で感情がないように見えて、何故か一部の女たちの心を救っていく。そのルーツは母に対する憎しみから生まれ...続きを読む
  • 無垢の領域
    本のタイトルにピッタリの話。無垢の領域がひたひたと広がり周りを侵食していく。桜木紫乃さんの人の心の動きを丁寧に書いてるところが好き。しかし呆けてる事を装いながら生活するほどの念、欲望って末恐ろしいわ。。
  • エロスの記憶 文藝春秋「オール讀物」官能的コレクション2014
    粒揃いの作品集です。小池真理子さんの作品を目当てに買いましたが、各先生の作品それぞれ格調の高いエロスで楽しめました。このお値段でこの内容はお得です。
  • 星々たち
    咲子、千春、やや子という母娘三代に渡る大河物語です。
    登場人物の設定、ストリートの展開が素晴らしいの一言です。
  • 誰もいない夜に咲く
    初めて読む桜木紫乃。7編を収録した短編集。収録作にない書題がついている短編集は珍しい。
    7編の舞台はいずれも北海道。主人公は女性、ちょっと不幸だったり迷ってたり人生がうまくいってなかったり。最後にはちょっとそんな日常がいい方向に変わるような予感を誘う。でもそれはささやかなもの。きっと彼女たちはこの後...続きを読む
  • 誰もいない夜に咲く
    それぞれが独立した短編集。
    北海道の風土と物悲しさしくもあるけど強い女性が一貫したテーマで描かれる。
    一時はこの裏悲しさや暗さが苦手で気持ちが滅入ってしまうこともあったが
    今回はまた違った目線で読めた。ひとりで生きる女性のやるせなさとある意味の諦めにフォーカスをあてると男たちが悲しい生き物にみえてく...続きを読む
  • 氷平線
    桜木さん作品も未読があと数冊、というところで初期作品にしてみた。ここれまで読んできた作品の原点がここにあった、という感じ。