桜木紫乃のレビュー一覧

  • ヒロイン

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    ネタバレ

    面白かったです。入信していた教団がおこした事件の実行犯にされてしまった女性の逃亡生活を描いたお話です。色々な人との出会いと別れ、良いことが起これば、悪いことも起こる、でき過ぎた展開にならないところが面白かったです。最初実行犯にされてしまった時に自首して状況を警察に説明したほうがよいのでは?とは思いましたが、実行犯にされてしまう怖さ、捕まる怖さは分かります。

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    2025年03月30日
  • ふたりぐらし(新潮文庫)

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    書いてる方が多いけど、良作。
    思ったより平均の☆が低いけど、わたし的には4.5くらい!
    こういう、どこにでもいそうな、なんでもない日常がいちばんリアルでおもしろい。
    看護師の紗弓と、脚本家を目指す信好。夫婦と、それぞれの家族と、それぞれを取り巻く人たちとのお話。
    愛情と絆で結ばれているけど、だからこそ知られたくない姿があって、聞けないことがある。
    相手のことをすべて知るなんてできない。知らない顔がある。あたりまえのことかもしれないけど、その微妙なすれ違いがうまーく書かれている。
    一番印象的だったのは鰻の話。信好が母と食べた鰻。その店の前を通った時に、信好は母を思ったのだろう。でも、そのことを知

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    2025年03月27日
  • 人生劇場

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    昭和13年に室蘭で生まれた新川猛夫の一生を描いた作品。桜木さんのお父上をモデルにして書かれた小説らしい。
    主人公はもちろん猛夫だが、著者の目線は彼の周りにいた女性たちにより多く注がれている気がする。猛夫の母タミ、タミの姉であるカツ、カツの営む旅館の下働き・駒子、妻の里美などなど。彼女たちとの関わりによって、猛夫の人生が複雑に変わっていく。
    男の見栄や矜持、弱さなどを考えさせられた。タイトルも含めて“昭和”の香りが濃厚に漂う作品だった。

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    2025年03月21日
  • ふたりぐらし(新潮文庫)

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    もし子供を授からなければ、この先ずっと夫との「ふたりぐらし」を生きていくんだな。

    不妊治療をしていた頃、そんな風に考えることで授からなかった時に備えようとしていた。子供の声がしない、大人2人の生活。2人の為だけにお金も時間も費やせて、それはそれで静かで満ち足りた人生じゃないか、って。治療生活が長引くにつれ、保険のようにそんな想像をすることもしばしばだった。

    そんな時に、書店の店頭で本作に出会って、なんとなく手に取ってから早数ヶ月。
    2ヶ月前に私たちのもとに来てくれた赤子がスヤスヤと寝ている隣の部屋で、ようやく本作を読み終えた。完全に読む時期を逸した感があるけど、こういう読書体験もあるあるだ

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    2025年03月21日
  • ヒロイン

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    ネタバレ

    幼いうちからバレエ教室を経営している母親にバレエを叩き込まれていたが才能がなかった啓美は叔母の薦めでカルト集団に入った。毒親から逃れ洗脳されてる環境が平穏だった日々が、ある時毒ガス事件の実行犯について行っただけで追われる身になった。すぐ出頭すれば大した罪にならなかっただろうに、転々として生活を続けていく。離婚して別の家庭を持っていた父親のところで腹違いの妹に会ったり、別の名前を名乗って孫娘になりすましたり、身元の知れない男に惚れたり、共感できないし、嫌な気持ちになるのだが続きが気になり読んでしまった。

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    2025年03月19日
  • 誰もいない夜に咲く

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    寒い土地、
    荒波、
    雪の白に覆い尽くされる大地。
    人の噂が広がる界隈
    そして、寂れゆく街
    そんな土地でのさまざまな女。となぜかパッとしない男の繋がりと生業。
    どの短編も女が強い。寒さに耐え、性に耐え強くなる女
    だからこそ男が情けなくなるんじゃないかなどと思うけど、だからこそその辺りが桜木さんの描く小説の素敵なところだ
    毎日が天候のようにグレーでいると一時の温もり、凪ぐ煌めく海、雪の白が美しい大地が狭いからこそある人情が宝物に思える

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    2025年03月16日
  • 凍原

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    銀鼠色の湿原の街で起きた時を超えた2つの事件。

    17年前に弟を行方不明で亡くした刑事が、
    新たに起きた殺人事件の捜査に関わる。

    日本人なのに青い目のご遺体。
    それを隠すように暮らしていた。

    青い目の男性が探していた人は?
    捜査上行き着いた1人の女性の過去の壮絶な人生と、青い目の秘密。

    そして、弟の事件の交わる時に全てが解ける。

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    2025年03月05日
  • 俺と師匠とブルーボーイとストリッパー

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    ネタバレ

    じんわりあったかくて、それぞれのキャラクターが非常に立ってて面白かった。別れのシーンは泣けました。

    恋愛要素が出てきてしまってそこが少し残念でした。
    そこは抜きで書ききってほしかった。

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    2025年02月27日
  • ヒロイン

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    何度もどん底のような状況に立たされながらも、懸命に生きていこうとする主人公の姿にとても心を打たれました。
    導入は、よくありがちなオウム事件をモチーフにした新興宗教関係の物語かな、と思っていたのですが、浅はかでした。
    読み進めるごとに、女性を主人公にしたノワール的な内容になっていき非常に引き込まれました。
    ヒロイン、というタイトル通り、登場する男性が良い意味でヒロインたちを引き立てる舞台装置のような描かれ方でした。
    対して、主人公の母親や、仕事仲間(?)、出会った人々など、女性のキャラクターはどれもがヒロインのように力強くに描かれています。
    本当の強さとは何か?を教えてくれるような作品です!

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    2025年02月21日
  • 谷から来た女

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    アイヌの血を引くミワと、その周囲の人々の関係性からなる短編連作。
    関わる人に、消化しきれない何かを残していくような、凛々しいミワが印象的。

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    2025年02月20日
  • ヒロイン

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    桜木さんは、訳あり女性を描くのがとてもうまいと思う。
    いつも北海道の話ばかりだったので、最近は遠ざかっていたけど、なかなか面白かった。

    長い逃亡生活の中で、深く関わるのはごく限られた人間だったけど、それぞれとの繋がりは深い。
    エピローグ読んだ後、思わずプロローグをもう一度読んでしまった。繋がりが絶妙。

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    2025年02月19日
  • 俺と師匠とブルーボーイとストリッパー

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    北海道のキャバレーの下働き青年が、ドサ回りの出演者達と一時的に同居するお話

    以下、公式のあらすじ
    --------------------
    「血のつながり」はなくても、そこには家族があった。

    【第13回 新井賞受賞決定!】
    切ない事情を持ち寄って、不器用な四人が始めた同居生活。

    ギャンブルに溺れる父と働きづめの母から離れ、日々をなんとなく生きる二十歳の章介。北国のキャバレーで働きながら一人暮らしをする彼は、新しいショーの出演者と同居することになった。「世界的有名マジシャン」「シャンソン界の大御所」「今世紀最大級の踊り子」……店に現れたのは、売り文句とは程遠いどん底タレント三人。だが、彼ら

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    2025年02月17日
  • 裸の華

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    ◾️2013年直木賞作家
    ◾️著者は釧路出身だが本作は札幌ススキノが舞台
    ◾️独特の夜の世界が最後まで底流に
    ◾️一本芯の通った女の生き方
    ◾️著者の性愛への冷めた目線
    ◾️実はJINが主役のような渋いキャラ

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    2025年02月15日
  • ヒロイン

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    初めて読む(聞く)桜木紫乃さんの作品。
    世間を震撼させた某毒ガス事件に関与することになる女性が主人公となり、指名手配犯として追われ続ける生活、その逃亡生活の中での様々な出会いが描かれる。
    重大事件の逃亡犯ということで、日々の生活の中に小さな幸せがあったとしても、その背後には終始儚さが残り、読んでいて切ない。
    プロローグで結末が明らかになる展開のため、どのようにしてその結末を迎えるのかを追っていくことになるが、次第に行き場の無くなっていく展開がこれまた切ない。
    読後の余韻がしばらく残った作品です。

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    2025年02月14日
  • 俺と師匠とブルーボーイとストリッパー

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    あぁ、ここでこうなるんだな、と思ったところから涙が。
    人との関わりが、人を変えていきそうで、そうでもなくて。
    いい小説を読みました。

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    2025年02月14日
  • ヒロイン

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    10年以上前に「ホテルローヤル」を読んで以来。当時、それほど魅力を感じなかったので、著者の本はずっと選ばずにいた。
    気まぐれに借りた本作は、貪るように読めた。自分が年を重ねたせいもあると思う。

    なれの果て
    この世の裏側
    腑に落ちないことも飲み込んで生きていく女たちから目が離せなかった。

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    2025年02月08日
  • ブルースRed

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    ブルースの続編。
    殺された義理の父から娘に主人公が交代。
    前作もそうだったと記憶しているが読んでいる時に頭でイメージするのだがずっと白黒映像で展開していくのが妙に心地良かった。
    内容は影山博人の後継者となり釧路のフィクサー的な役割として生き抜いていく様を描いているのだが、事柄に焦点を当てるのではなく、生き様そのものを冷静に淡々と描いているのがハードボイルド的というか渋くてカッコ良かった。
    また、博人を父としてだけでなく、男としてヒロトと表現しているのもカッコ良かった。
    タイトルに相応しい作品。

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    2025年01月30日
  • 家族じまい

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    終いじゃなくて仕舞い
    キーマンは認知症の“ サトミおばあさん”かな
    横暴な理髪師の夫の苦悩、距離を取りながら口は出す長女、少しずつお酒に依存していく次女、サトミおばあさんの姉、旅先でのサックス奏者、55歳に嫁いだ28歳バツイチの娘……いろんな家族としての存続の危機と北海道の情景が良かった

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    2025年01月29日
  • ヒロイン

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    知らないうちに犯罪に巻き込まれて、身を隠して暮らす女性のお話。

    身を隠している間にも、ヒロインを信用して
    味方になってくれる人に囲まれて
    1人の男性を愛し、

    身元を知られても通報されることもなく
    過ごせたのはこのヒロインの人柄がそうさせたのか

    読み応えのある
    どんどん続きを読みたくなるお話だった

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    2025年01月27日
  • ヒロイン

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    登場人物それぞれが良い。
    少しずつわかるところもあって、決して素晴らしい人生ではなさそうだが。
    「後悔ってさ、文章にするとただの言いわけと自慢話なんだねえ」
    とか、何か所か真髄と思える箇所がある。
    それでも、生きてるし、生きてほしい。

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    2025年01月25日