桜木紫乃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分の来し方を思う時
いつも心に浮かぶのは、
娘が産声をあげた日と
思いがけず雪が降った
大学入試の朝。
どちらもその後の私の
生活が大きく変わった
人生の転機でした。
主人公の啓美に訪れた
それは、
母の束縛から逃れ教団
の門を叩いた日と、
思いがけず指名手配犯
となった23歳の春。
望むと望まざると自分
の人生の主人公として、
私たちはそのドラマの
新たな章が始まる転機
に何度も立ち会います。
美しく装丁され一冊の
本となった私の人生を、
いつか静かに読み返す
日が訪れたなら、
すべて最終章へ繋がる
伏線だったと感じるの
かな。
道を一本違えていたら
私の人生もこう -
Posted by ブクログ
昭和初期に生まれ理容師となった男の、波乱万丈の人生を描く。
親兄弟からは疎まれて育ったものの、叔母や幼なじみからは過分な愛情を向けられ、感情の赴くままに身勝手を貫く主人公。
このダメダメ男のモデルは作者自身の父親だそうで、ご本人も登場するのだが、よくぞこれほど距離感を保って客観的に書けるものだと驚く。インタビュー記事によると、作中人物たちに自分の存在を気付かれないように、という意識で書いているとのこと、なるほど。
10年以上前に読んだ『ラブレス』は母親サイドの話で、本作と対を成すという。どの人物の言動にも共感するのは難しいのだが、どちらも作品としての底力に圧倒される。
昭和歌謡や演歌のイメ -
Posted by ブクログ
作家の父親がモデル? ほんとに身勝手でどうしようもない男と思った。奥さんもよく我慢し、男たちを育てるのもほどがある。今は考えられない。私の身近に少し猛夫ほどではないがこの現在でも同じタイプの男がいる。今でも奥さんは腰が曲がっている者の一生懸命働いて居る.居酒屋 唐揚げ屋 キッチンカー でまた何かをしようとしてる.そのた度お金がいる。時々奥さんに「もうすぐ死ぬから」 もう少し頑張るように話す。猛夫も歳を取るまで奥さんのことに気がつかない男もどうしようもない。本を読んでいて腹が立った。主人が「腹が立つなら読むな」と言うが、最後まで桜木志乃の本なので読んだ。
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書いてる方が多いけど、良作。
思ったより平均の☆が低いけど、わたし的には4.5くらい!
こういう、どこにでもいそうな、なんでもない日常がいちばんリアルでおもしろい。
看護師の紗弓と、脚本家を目指す信好。夫婦と、それぞれの家族と、それぞれを取り巻く人たちとのお話。
愛情と絆で結ばれているけど、だからこそ知られたくない姿があって、聞けないことがある。
相手のことをすべて知るなんてできない。知らない顔がある。あたりまえのことかもしれないけど、その微妙なすれ違いがうまーく書かれている。
一番印象的だったのは鰻の話。信好が母と食べた鰻。その店の前を通った時に、信好は母を思ったのだろう。でも、そのことを知 -
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もし子供を授からなければ、この先ずっと夫との「ふたりぐらし」を生きていくんだな。
不妊治療をしていた頃、そんな風に考えることで授からなかった時に備えようとしていた。子供の声がしない、大人2人の生活。2人の為だけにお金も時間も費やせて、それはそれで静かで満ち足りた人生じゃないか、って。治療生活が長引くにつれ、保険のようにそんな想像をすることもしばしばだった。
そんな時に、書店の店頭で本作に出会って、なんとなく手に取ってから早数ヶ月。
2ヶ月前に私たちのもとに来てくれた赤子がスヤスヤと寝ている隣の部屋で、ようやく本作を読み終えた。完全に読む時期を逸した感があるけど、こういう読書体験もあるあるだ -
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何度もどん底のような状況に立たされながらも、懸命に生きていこうとする主人公の姿にとても心を打たれました。
導入は、よくありがちなオウム事件をモチーフにした新興宗教関係の物語かな、と思っていたのですが、浅はかでした。
読み進めるごとに、女性を主人公にしたノワール的な内容になっていき非常に引き込まれました。
ヒロイン、というタイトル通り、登場する男性が良い意味でヒロインたちを引き立てる舞台装置のような描かれ方でした。
対して、主人公の母親や、仕事仲間(?)、出会った人々など、女性のキャラクターはどれもがヒロインのように力強くに描かれています。
本当の強さとは何か?を教えてくれるような作品です! -
Posted by ブクログ
北海道のキャバレーの下働き青年が、ドサ回りの出演者達と一時的に同居するお話
以下、公式のあらすじ
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「血のつながり」はなくても、そこには家族があった。
【第13回 新井賞受賞決定!】
切ない事情を持ち寄って、不器用な四人が始めた同居生活。
ギャンブルに溺れる父と働きづめの母から離れ、日々をなんとなく生きる二十歳の章介。北国のキャバレーで働きながら一人暮らしをする彼は、新しいショーの出演者と同居することになった。「世界的有名マジシャン」「シャンソン界の大御所」「今世紀最大級の踊り子」……店に現れたのは、売り文句とは程遠いどん底タレント三人。だが、彼ら