桜木紫乃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1人の男性を女性からみた視点で次々と繋がっていくストーリー。
北海道での話し。
たばこ、酒、欲望、女、男、雪、夜
桜木さんの本を読むといつもこんなキーワードが出てくる。
頭の中に私の知らない夜の街が次々と浮かんできて読み進めていくのが楽しい。
最後は身体の関係ではなく、心で繋がっていたような関係だったけれど、何も刺されなくても〜!と思ってしまった。ハッピーエンド好きな私は。
でもそれもまた良い終わり方でした。
自分とはあまりにもかけ離れた話のようであるけれど、心がの根底は繋がっている話しであるようでいつも桜木さんの本はすいすいと読めてしまいます。 -
Posted by ブクログ
桜木紫乃節と言いたい、きらりと光る文が、りばめられた連続短編集。
言葉のあや(とり)に心地よくくすぐられるような、あやされるような、うまいんですね。
主人公たちの「ふたり」夫婦も、その親たちの「ふたり」夫婦も、ご近所の、職場の夫婦の「ふたり」も日常はいろいろ事情が様々なんですよ。そこから教訓を得ようが、等身大と思おうが、何気なく安心してしまおうがいいんです。
どちら様もおなじ、夫婦は所詮他人と思えば、大概のことは過ぎていく。突き放しているわけではなく、「ひとりぐらし」も「自立心をもって、頑張って、大丈夫!」と自信満々大きな声で言えないときがあるでしょう。 -
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主人公を変えつつ、それぞれの恋愛模様描く連作短編。
訳アリで島に流れて来た女医と挫折した五輪候補選手の漁師の「業」を感じさせるような出だし。いつもの桜木さんです。
ところがこの作品は少しづつ柔らかくなって行きます。いやDVの話もあるから、いつもと比較すればというレベルで、他の人に比べたらやはり全体に暗調で閉塞感は有りますが。しかし1話1話が少し明かりが見えたような終わり方です。
そして大団円。
本当に桜木さん?と聞きたくなるようなAll Happy。特に不穏な終わり方だった短編「おでん」のさとうしおさんを登場させたのは良かったなぁ。
対比的な二人の女医と放射線技師の男と言う同級生トリオが粋です -
Posted by ブクログ
生まれてから一度も、欲したことなどなかった母。母への怨恨。最後、生家へ行き自分のアルバムを探す節子。その心理の中には、この母娘にしかわかりえない親子の情が見えた気がした。
お金目的、母への復讐か親子ほど年の離れた母の元愛人との結婚。幸田をお父さんと呼ぶ節子の姿に、徐々に愛情が見え、よけいにやるせなかった。節子が求めていたのは父親の愛でもあったのか。
どうして澤木ではいけなかったのか。全力で節子をサポートしているのに繋がらない澤木の祈り。身体は繋がっても、なにひとつ繋がり合えないことを確信する行為、という表現が悲しい。
幸田が瀕死状態になった所から引き込まれ、読まさせられる勢いを感じた。クールで -
ネタバレ 購入済み
個性豊かなキャラクター達
舞踊の経験がある方には共感するところが多い作品だと感じました。題名からは想像し難いかと思いますが、北海道を舞台に人生をやり直していく様な内容です。主人公よりも周囲の人物に惹かれました。
様々な見方ができる作品だと思います。
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Posted by ブクログ
女性の人生における人間模様を上手に描く最近の人気作家といえば、辻村深月さんを思い浮かべるのだが、桜木紫乃さんの本作(そして「ホテルローヤル」も)は、その域において新しく強烈な印象を残してくれた。きっと(特に女性)読者はそれぞれの女性の全て、あるいは何人かのある場面の心情に、自分を重ね、心揺さぶられると思う。関東の都市部出身である自分には、なかなか実感がわかない北海道の(郊外)事情も新鮮だった。主人公だけではなく、それぞれの女性を描く年代も変わるのだが、当時の社会的な雰囲気も伝わる。
さて、私に刺さった一文(というか二文)はここでした。
「子供が大人になるように、ずるさが包容力になり恋が勘違い -
Posted by ブクログ
学生時代から今おっさんになるまで、地続きの自分がいます。突然大人になったわけでもなんでもなく、少年の自分が心の中にしっかり居るのを感じて生きています。
高校卒業後就職した和菓子屋の主人と不倫をして2人で失踪した順子を軸に、同級生や和菓子屋の奥さん等関わった人々の姿を描いた連作集です。
順子が貧しい暮らしをしながら、迷いなく幸せという姿に戸惑う同級生たち。おしゃれ一つ出来ず、籍を入れる事も出来ない生活の中で、親子三人カツカツで生きて行く姿はどう見ても人生の敗者なのに、目を輝かせて幸せを語る順子。読んでいる方も次第に順子に肩入れしてしまっている自分を感じる事でしょう。
どう読んでいい本なのか分か