桜木紫乃のレビュー一覧

  • 誰もいない夜に咲く
    私は寒い土地を描いた物語が物凄く好きです。

    母が北海道出身で、小さい頃に冬の北海道の幻想的な話を良くしてくれていました。
    そのイメージが頭にこびり付いていて、冬は母を思い浮かべる季節。

    本書は北海道を舞台にした短編集。
    北海道の情景が頭に浮かび、懐かしい気持ちになりました。
    淡々と男女のアレコレ...続きを読む
  • 風葬
    桜木紫乃の文章はどこか優しく、悲劇であっても後を引かず読後感がとてもいい。男女の恋沙汰の物語かと思いきや、サスペンスのように展開していきハラハラとさせられる。北の大地の物悲しさをベースに登場人物たちが謎を紐解いてゆく。物語は意外な結末を迎え、それまで鉛色だった空が青空に変わるように感じた。涙香岬を一...続きを読む
  • 星々たち
    咲子、千春、やや子、三代の女性の物語。主に千春が中心に時代が描かれていく。情が薄いことを自覚する彼女たちは自分たちの心の安寧を一体何に求めるのだろう。最終話、やや子が昭彦に告げる言葉に少しだけ明るい未来があった。最後の最後に心を揺さぶられたのは、自分もまた情の薄さを自覚しているからかもしれない。
  • 硝子の葦(新潮文庫)
    一気に読み終わった。凄い。淡々と続く男女のこじれたストーリーを、淡々と流しあるく主人公。
    ラストに巡るまさかの展開までの伏線がとにかく凄い。

    淡々と進みすぎて驚く場所を見失うほどです。

    黙々と読み続け、読み終わってホッとしたあとに、


    ひっ!!!!!!

    となるなんとも言えない読後感。新しい。...続きを読む
  • 硝子の葦(新潮文庫)
    直木賞受賞作「ホテルローヤル」の番外編かと思って購入したのだが、全くの別物。舞台となるホテルの名前が同じだけ。想像以上のハードボイルド。主婦の逸脱を描いた「OUT」を思い出させる。宇都木とし子さんがいい味だしてる。
  • 硝子の葦(新潮文庫)
    ミステリーとしては
    突っ込みどころ満載だが
    ストーリーとしては
    入り込みやすかった。

    全体的にスルスル
    読めてしまったが、
    中でも継母節子と継子梢との
    会話は自然で個人的には
    好きだった。

    感想としては・・・
    澤木のような都合の良い男性がいるもんなのか?
    少なくとも私の周囲には・・・・いない・・...続きを読む
  • 硝子の葦(新潮文庫)
    シリアスな人間ドラマでありミステリであり、素直に面白い小説だった。

    とある事情により幼い頃から知っている、父親ほどの年齢のラブホテル経営者・喜一郎と結婚した女・節子。彼女は元上司である澤木と結婚前から交際していて、結婚後も途切れてはいなかった。
    夏のある日喜一郎が交通事故に遭い昏睡状態に陥る。看病...続きを読む
  • 無垢の領域
    桜木さんらしい抑えた筆致は林原兄妹と秋津夫妻が出会ったことで、何かしら不幸なことが起こることを最初から予感させる。信輝、伶子、龍生の悩み揺れる心理描写に、いつ不幸が起こるのかと身構えながら読んでいる部分がありました。若干引っ張りすぎで冗長かなとも思えますが、1か所だけ純香の視点を入れたのは効果的だっ...続きを読む
  • 誰もいない夜に咲く
    北海道を舞台にした7編の短編を集めた作品。デビュー作を含む単行本『氷平線』と通じる設定のものが多く、いい意味でトーンも似ていた。

    静かに運命を受け入れる諦めと、ひっそりと生きながらも芯の強さをもつ女性。対する男性は、女性に寄生しすることしかできない意気地なしがしばしば登場する。

    タイトルは演歌の...続きを読む
  • 無垢の領域
    大人の男と女、ある時は自ら共鳴し、そしてある時はすれ違う。そんなどうしようもない、滑稽ですらある交わりが一人の純粋無垢な女性を媒介にして饒舌に語られる。ちょっとした心の揺らぎや迷いを掬い上げる言葉の数々が鋭く迫ってくる。
  • 氷平線
    6つの短編からなる作品。
    5つめまでは可もなく不可もなく…という話だったけれど、最後の表題作には完全に心を持っていかれた。
    故郷を棄て、親を棄てて生きて来た主人公が、それでも故郷からは逃れられないでいるのが哀しい。
    果てしなく拡がる流氷原を目の当たりにしているかのような臨場感。読後は体温が下がった感...続きを読む
  • 硝子の葦(新潮文庫)
    かなりよい。好き。
    しかし、旦那殺しって、あんなに簡単に行くものなのかな?w
    子供から大人まで・・・女はコワいね、ってお話w
  • ワン・モア
    安楽死事件を起こして離島に飛ばされた女医の美和と、友人で開業医の鈴音。二人の女性を中心に、孤独な人生を過ごす人々の絆と再生の物語。
    連作短篇集なので、主人公がバトンタッチするように変わっていく。個人的に、『おでん』のトキワ書店店長・亮太の恋の行方が心配で心配で。強く相手を想うことってやっぱり大切だと...続きを読む
  • 誰もいない夜に咲く
    桜木さんの作品には
    いつも北海道の荒涼とした景色があります。

    そしてその景色の一部となる
    登場人物たちは
    あまりにリアルでウェットで
    物悲しいです。

    人の深淵さ、なんて私には
    到底分からないし語れない。
    でもこの短編集には
    潮風をまとったような
    人たちの孤独が見えます。

    中国人の妻を迎えた
    ...続きを読む
  • 硝子の葦(新潮文庫)
    ひとの繋がりの空虚さと尊さ。節子は強い。拒まず受け入れ、でも芯は失わない強さ。
    ホテル経営者の男性と、母子二代で彼と関わる女性と。かなしい強さ。
  • 誰もいない夜に咲く
    桜木紫乃作品2冊目。
    「ホテルローヤル」を読み、桜木紫乃作品を毒破してみようかなっと思い、夏カドフェスにも取り上げらた、この本をチョイス。
    ホテルローヤルより、湿気を帯びた暗さがある作品。
    特に最後の話は、主人公の父親と母親との夫婦の愛情が理解できない。
    父親が友人(というか、仕事関係の人)に、妻を...続きを読む
  • 誰もいない夜に咲く
    寂寥を北海道の風景に重ねて暗くもからっと描いた作品。寂しさに胸を締め付けられつつ、女たちの強さと欠落に引き込まれた。
  • 硝子の葦(新潮文庫)
    グイグイ引き込む…黒と陰の切り返しの表現・単語、、見破られない狡猾な星々の女性陣の逞しさ。無駄を削ぎ落とした分、深みを増すミステリーサスペンス♪。
  • ワン・モア
    美和、鈴音、八木 高校時代の同級生たちが中年になってからの3人とその周辺の人々の物語。美和、鈴音は医師となり、八木は放射線技師になった。安楽死事件を起こし病院を追われた美和は離島でかつてオリンピック競泳選手でドーピングが原因で転落した男と逢瀬を重ねる。そこへ鈴音から余命半年で個人病院を任せたいという...続きを読む
  • ワン・モア
    末期がんで余命宣告された女医を中心として、生きづらい世の中を自分なりに生きている中年男女の群像劇。
    連作短編の形をとって主人公が変わっていく。
    筆者の過去の作品のイメージとは裏腹にどれもハッピーエンドである。安心して読める感と、ちょっとできすぎだなと思う気持ち両方が残る。

    『十六夜』
    安楽死事件を...続きを読む