桜木紫乃のレビュー一覧
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今回は特に渋いなあ。。。
と思ったら、桜木紫乃さんのまさかのデビュー作
卓越された描写力と人物造形力は既に健在
収録されているのは六編だが、
長編小説を読み終えた様な深い読後感がある
オホーツク沿岸の冷たい大地とは対象的に、北の大地に人生をささげてきた家族や男女の関係が生々しい
狭い社会の中でのままならない日常、行き場のない心はさまよい、温めてくれる他人を求める
しかし、どの話にも出てくる女は逞しくブレない生き様だ
良かったのは『霧繭』と『氷平線』
『霧繭』は和裁師の女の話
『氷平線』とは”水平線”ならぬ”氷水線”
水平線のように広がる氷の大地のことであり、凍てついた海と空の境をなす線をいう
あの頃を思い出し友江を手に入れたいと思う誠一郎
誠一郎を思いながらも将来を見てしまう友江
交わることのない二人の想いがどこまでも続く氷平線に溶けていく
最後は衝撃が待っている
雪虫、海霧、氷平線、出面取り等、北海道ならではの言葉に、より凍てつく大地の描写がリアルになった -
Posted by ブクログ
題名に惹かれて読み始めた、初・桜木紫乃さん。読み終わりに「師匠〜」と章介の視線と重なって涙が出てしまった。
昭和の終わり、極寒の地、道東の港町にあるキャバレー「パラダイス」が舞台。
博打うちの父が亡くなりようやく解放された母から骨つぼを押し付けられ、綺麗好きなひとなら気絶しそうな寮で寝起きしているキャバレーの下働きの章介が主人公。
そんな折、月替わりゲストにやってきたのは、失敗ばかりするマジシャン、お寺の次男のシャンソン歌手ブルーボーイと自称28歳の口の悪いストリッパー。キャラ強めな三人となぜか一緒に住むことになって…というお話です。
読み進めるうちに当たり前だけど本のページが減ってきて、少なくなっていく本の左側の厚みに寂しい気持ちが募って、読み進めたいけど、読み終わりたくない…となってました。
あとがき…是非とも実現してほしい。シャネルのその後、ひとみさんのその後も短編でもいいから読みたいなぁ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ普段ミステリーは手にしないけど、気になってた桜木紫乃さん初めまして本。全体的に暗くてどんよりした、いつ何が起こるかわからない空気感。それが作品全体に緊張感を与えてくれてる。
2人の視点から語られる形式だけど、あくまでそれぞれの視点で都合のいいところだけ語ってるから、ほんとのところはわからない部分も多い。
芸能界で活躍することを夢見ていた紗希。その真面目すぎる性格がゆえに苦しい思いもしてきたんだろうけど、かなりやばい。書かれてないだけで紗希はほかにも殺人や自殺のほう助をしてきてるんじゃないかと思ってしまう。しかもそれを「愛」と捉えてるあたり。捕まっても反省することはないだろうな。あくまで自分の信念は貫いてる。
亮介はひたすら翻弄される人生。女の力でのし上がり、女によって狂わされる。ある意味自分がないのかもしれないけど、不憫な役どころ。
ラストの展開に思わず「えっ」と声が出てしまった。おもしろかった。 -
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でじゃぶ
ってな事で、桜木紫乃の『誰もいない夜に咲く』
波に咲く
海へ
プリズム
フィナーレ
風の女
絹日和
根無草
の短編集。
読み始めから、あれ?何か見た事ある風景が頭を過ぎる…
あっ、これ読んだ事ある…。じゃが、本のタイトルが違う
ここで自分が読んだ本がすぐ調べられる様に # を付けとるんよね。
わしの場合は#やっさん~で、~を作家さんの名前にしてるから #やっさん桜木紫乃 で調べたら自分が読んだ桜木紫乃リストが出るから調べると『恋肌』が単行本で、更に調べると恋肌に加筆・修正、未発表の風の女が入って『誰もいない夜に咲く』が文庫版になってるとの事…。
紛らわしい…
まあ、再読したけど半分はほぼ忘れてて初読みした感じじゃった
桜木紫乃さんらしく、北海道、女、生き様、苦悩、諦め、不甲斐ない男、儚い未来、女は強し、って感じでした
2022年6冊目 -
Posted by ブクログ
ネタバレ写真が素敵。写真に合わせてテキストを考えたのでしょうか?こういうテイストの本好きです。好きな人が多いのでは。
更には桜木さんがこういうテイストの物語をつけるということもちょっと意外性があって良かった。素敵な温かい物語を紡ぎながらもピリッとするところや切なくなるところ苦みの効いたところを感じられるのが桜木調というか「らしさ」を感じて嬉しくなりました。
本書の写真家の方と桜木さんの対談?の記事をナニカで読みましたが、写真家の方のコメントが自信が透けすぎてて正直言うとちょっと嫌な感じだなぁと思ったんですが、本書の写真を見ると自信家なのもさもありなんと思わされてしまうセンスを感じました。言うだけのことはあるといいますか、むしろ芸術家というのはそのくらいでないと世に名を馳せられないものかもしれないとも。
元気が欲しい時、手元においてゆっくりまた味わいたい一冊でした。 -
Posted by ブクログ
これは、とても丁寧な作り方をされている本だなと感じられ、単行本サイズの広々とスペースを取った写真と、メッセージとも受け取れる、一ページ毎に間隔を空けた、少ない文体で手軽に読める短篇小説とのバランスも絶妙な、桜木紫乃さんにとって、『Our Stories』な物語は、今を精一杯生きている、そんな『彼女たち』に贈る、新たな視点をそっと教えてくれるフォトストーリーです。
『なつかしいものなんて、ひとつもないの』
『だまって言うことをきいていたら、胸が苦しくなってくる。
本音と建前が透けて見えるのは、つらいんだ』
三つある内の、一つ目の物語は、誰も彼女の心の中に興味の無い環境で暮らしてきた、ひとりぼっちの彼女が、そんな彼女に目を留めた人のアドバイスにより、『なんのために?』でも『誰のために?』でもなく『自分のために』生きる自由を手に入れ、その後、同じくひとりぼっちの猫と出会うことで、彼女の心の内に芽生えたのは、果たして・・・。
『どんなでこぼこ道も、ひとりで歩く。
喜びも失敗も、ぜんぶ自分のものだ』
二つ目の物語は、『今しかできないこと』に囚われた彼女の物語。
『楽しいことを考えるのが苦手になったのは、子育てのせいじゃない。
わかってる』
『仕事も恋も結婚も、
今しかできないことを選びつづけてきたのに。
どうしてこんなに疲れているんだろう』
『「助けて」なんて言えない』
何年間も、ただ通り過ぎるだけだったお店にふと入ってみたくなった。
そして、いつもと違うことをやってみることで、心にちょっとした余裕が芽生え、これまでに無かった別の見方が頭の中に浮かび上がってきた。
『今しかできないこと──いいえ』
『今したいことは、なに?』
最後の物語は、七十歳の誕生日を迎え、最愛の人に先立たれた彼女は、現実の過酷さに必死なあまり、甘えられない彼女たちにささやかな、言葉は無くとも確かに伝わる、心の休息をそっと与え続けてゆく。まるで、それが彼女自身の心にも与え続けていることを、彼女自身、実感しているかのように。
『だいじょうぶよ。
あなたたちにはいまを乗り越える力があること、
わたしは知っているの』
中川正子さんの写真は、まるで温度が手に伝わってくるような、ほのかに差し込む光の温かさが心地好く、普段、目にしている光景よりも抑えた色調には、思わずハッとさせられるものがあり、それは、あなたが普段見ている変わらない景色も、その時の心境によって、変わって見えることもあるんだよと言われているようで、そこには、心に余裕を持ちたくても、とてもじゃないが、そんな余裕なんか持てないと感じている、『彼女たち』に向けて、そっと差し出して共に寄り添ってくれるような、これまで閉じかけていた視界がパーッと開けていく、そんな新たな世界を写真から感じさせられた、ありふれた日常の光景は、こんなにも美しかったのだということであり、それは、『彼女たち』も同様だという素晴らしさへと変わってゆく。
そして、最後の『Our Stories Continue』に込めた桜木さんの思い、彼女たちの物語は、当然、これから先もずっと続いていくということであり、ものの見方に正解なんてないということを、心に留めて、これから先もずっと生きていってほしい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ桜木紫乃作品にしては暗い重い気持ちにならずに、読後はあったかい気持ちになった。
短編だけど登場人物がみんな繋がっているタイプで、そこは桜木紫乃さんらしいなぁと。
「おでん」の終わり方は、ああこれ店長の自信のなさ、自分が傷つきたくないから押せないってことでしょ?ってがっかりしたのに、最後に夫婦になっててウルッとした。
赤沢さんに会う時になぜか結婚指輪をしちゃう寿美子の気持ちはわからなかったけど、それを会った途端に絆創膏で隠しちゃうとことか、赤沢さんががっかりしちゃうとこ、否定しないとこに胸が苦しくなった。こちらも最後幸せでよかった…。
登場人物の関係性を書き出して整理したいな。笑
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「最悪よりは平凡」島本理生
顔は平凡だけど体がグラビアアイドルなみの魔美は、こんな名前をつける親に育てられたという心の傷と、しょっちゅう男性から誘いをかけられる体質。彼女にとっての幸せな恋愛は?
「深夜のスパチュラ」綿矢りさ
大学生の可那は気になっている男の子に手作りチョコ前日に思いつきあげようとするけど、料理スキルなく、買い物から四苦八苦。オチ秀逸だった。
「フェイクファー」波木銅
主に着ぐるみ作る手芸サークルに入っていた男子の回想。仲間が一人死んだという連絡入る。
「カーマンライン」一穂ミチ
私が五歳の時、母は父と死に別れたアメリカから日本に戻ってきた。双子のケントをアメリカの、父の実家に残して。もちろん、その後は疎遠。大学生になり、ケントが母を訪ねてくる。
「道具屋筋の旅立ち」遠田潤子
優美は短大を出たばかりの、綺麗な細い女性。でも、母親は優美と父に異常にご飯を食べさせる人で、高校始めまで太っていた。そんな優美が付き合っている誠が大学で大食い大会やるという。
「無事に、行きなさい」桜木紫乃
シェフの男と、インテリアデザイナーのミワと新しくオープンしたビストロに来てくれた出来るアルバイト、大人の関係。
「海鳴り遠くに」窪美澄
夫を亡くして千葉の片田舎に持っていた別荘に引きこもった女性が、隣家に絵を描きに来た女性画家と親交深めながら結婚していたときの心の傷と向き合い、新しい恋を始めていく。
最悪より平凡!丁度、久しぶりに(流石に年をとった)飲み屋で知り合っただけのおじさんから奢られ、誘われるという体験をした直後だっただけに、あー、こういう目に合う女性って一定数いるんだろうなー、と共感深く読んだ。断れないとか、怒られないとか、オーラで分かるんだろうな、きっと。