桜木紫乃のレビュー一覧

  • 誰もいない夜に咲く
    初めて読む桜木紫乃。7編を収録した短編集。収録作にない書題がついている短編集は珍しい。
    7編の舞台はいずれも北海道。主人公は女性、ちょっと不幸だったり迷ってたり人生がうまくいってなかったり。最後にはちょっとそんな日常がいい方向に変わるような予感を誘う。でもそれはささやかなもの。きっと彼女たちはこの後...続きを読む
  • 誰もいない夜に咲く
    それぞれが独立した短編集。
    北海道の風土と物悲しさしくもあるけど強い女性が一貫したテーマで描かれる。
    一時はこの裏悲しさや暗さが苦手で気持ちが滅入ってしまうこともあったが
    今回はまた違った目線で読めた。ひとりで生きる女性のやるせなさとある意味の諦めにフォーカスをあてると男たちが悲しい生き物にみえてく...続きを読む
  • 氷平線
    桜木さん作品も未読があと数冊、というところで初期作品にしてみた。ここれまで読んできた作品の原点がここにあった、という感じ。
  • それを愛とは呼ばず
    行き場を失った二人の男女が、偶然邂逅した東京のキャバレー。北海道で再会したことで運命の指針は意外な舵をとる。驚愕の結末を迎える愛の行方を描く異色サスペンス。
    ラストで知るタイトルの意味に、大きな打撃を心に受ける。思い返せば、彼女のその異常さはずっと表面化していたはずなのに、亮介と同様、そこが男の甘い...続きを読む
  • 硝子の葦(新潮文庫)
    最初の1頁から桜木さんの世界に引き込まれる。ヒンヤリした体感。どこか乾いた淡々とした文体が肌に合う。
    道東のさびれた飲み屋街の火災から始まるミステリーは途中はミステリーであることを忘れる展開。
    それは、諦めと閉塞感の漂う叙情の世界。主人公節子は桜木作品に多く登場する女性にもれず、どんなことが起ころう...続きを読む
  • それを愛とは呼ばず
    この前ブルースを読んだとき 桜木紫乃ちょっと変わったと思ったケド これもまたブルースとは違う方向で 桜木紫乃変わったと思った。ブルースほど明確にどこが変わったとは言えないけど 桜木紫乃の描く世界の色が変わった気がする。これって新たなステージに移行したってことなのかな?
    それにしても紗希って こんなコ...続きを読む
  • それを愛とは呼ばず
    愛しいと書いて「かなしい」と読ませるのには訳があって、最後に一気に謎が判明する。ホントびっくりの展開だった。
    桜木紫乃さんの作品は暗くて苦手だったが、これもかなり暗さが際立つが最初から引きこまれて衝撃のラストに呆然。
    途中腑に落ちない点が一気に線で繋がって、女の怖さが倍増。彼らは幸せだったのだろうか...続きを読む
  • 誰もいない夜に咲く
    またお話しの数だけ、哀しいがたくましく強い女性たちが居た。自分は北海道ではないが、生まれ育った土地が厳しい季節を乗り越えなくてはならない所だから?私はこんなにも彼女たちに惹かれるのだろうか。力をもらっているのだと思う。だから読みたくなるのだ。
  • 風葬
    認知症の母が呟いた、耳慣れない地名「ルイカミサキ」。偶然、新聞の短歌に見つけた夏紀は、投稿者の元教師に会いに行く。オホーツクで封印された過去が蘇る、桜木ノワールの原点的作品。
    設定だけみると、安っぽい二時間ドラマになりそうだが、流石の桜木さんである。重い雲が光を遮るような雰囲気が終始立ち込め、私たち...続きを読む
  • ブルース
    同じ桜木紫乃さんの小説で、似たようなつくりの作品を読んだことがある。
    軸にあるのは1人の人物で、主役を変えつつその1人の人物について語るような内容の短編集なのだけど、最後までその人物が語る場面は出てこないから、その人物が実際は何を思っていたのかは分からないまま…という実に謎めいたつくり。

    前読んだ...続きを読む
  • 風葬
    自分の出生を知りたくて、認知症になった母が呟いた岬の名前を頼りに、新聞の投稿短歌にその岬を使った作者に連絡を取った夏紀。
    その出会いが彼女の出生にまつわる事実を掘り起こす。
    そこには様々な悲しみや恐怖等が入り雑じった過去があった。

    今までの桜木作品では一番面白かった。

    2018.2.27
  • 氷平線
    霧繭と氷平線が好き。
    冬の常に薄曇りの道東の風景が蘇ってくるよう。
    桜木作品は、その湿っぽさが癖になる感じだ。
  • ブルース
    北の大地に生まれた指を6本持つ男の奇妙な物語。バラックで生まれ異常な環境で育った影山博人が、出会う女たちを虜にしていく。各エピソードに出てくる博人だが、毎回時代が違うので、雰囲気もだいぶ違う。あるときは寡黙な青年、あるときはヤクザ、あるときは実業家として現れる。短編をまとめたようなので、物語のリンク...続きを読む
  • 星々たち
    母、娘、孫の女三代を軸にした短編集。親子の絆なしに、北国で過剰な期待をせずに淡々と生きる。いびつだけれど輝く星。こういったのは桜木さんならではだなあ。
  • ブルース
    指が六本あった男を柱とした女たちの物語。そして、舞台は釧路。もうどっぷり桜木さんの世界。ウラルの相羽と霧を思い出す。影山の魅力と道東の空気、女、充分味わえました。
  • 風葬
    美しい文体で流れるような風景を感じる作品 内容はめずらしくはないが、清らかな読後感を久々に感じた。大切にしたい本
  • 蛇行する月
    1984 清美
    高校卒業後、ホテルに就職。須賀順子とは同級生で同じ図書部。
    札幌の和菓子屋に就職後、20以上年上の旦那と駆け落ちすると知らされる。
    1990 桃子
    フェリー乗務員、同じ乗務員と船上のみの不倫関係。順子は東京でラーメン屋「宝食堂」を旦那と営む。自分の関係より大変なのに幸せだった。
    19...続きを読む
  • 氷平線
    6つの短編集。どの話も厳しい冬、短い夏、貧しい土地、人のしがらみが混ざった桜木ワールド全開。

    雪虫:札幌で失敗して十勝に帰った達郎の元にやってきたフィリピン人。
    霧繭:和裁師の真紀。武器は針一本。
    夏の稜線:東京から嫁いできた京子。出航時刻午前5時のフェリーを目指し、娘の真由と家を出る。
    海に帰る...続きを読む
  • 風葬
    一気読みせず、数日空いて読んだりしたので、あれどうだっけ?とひっくり返したりしてしまったせいか、いろんな人物の視点だからか、落ち着かない感じだった。
    全体的にドラマか映画を観ているように読んだ。
    そうつながるのね、となるまでに、人間関係を考えながら読むのが面白かった。
    物悲しい空気が流れているお話で...続きを読む
  • ワン・モア
    短編集なようだけど、登場人物を介して全てが繋がっている構成。桜木紫乃、やっぱいいわぁ。世界観が好き。