桜木紫乃のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
直木賞受賞作「ホテルローヤル」を読んで、文章は上手いが文体と湿った行間は肌にあわない感じがして敬遠していたが、梅川昭美の三菱銀行人質事件が題材なら話は別。絶対に面白そうだと思ったので拝読し、やはり期待を裏切らない傑作だった。梅川本人を描くために、悲惨な家庭環境と、母と元カノの関係性と梅川との関わり方を、如何にもな桜木ウェット感で見事に描写している。また大阪で1強の読売新聞社会部に一矢報いるかたちでの毎日新聞社会部の奮闘を、梅川と同い年の北海道出身記者の全く違う生い立ちでありながら、団塊世代特有の閉塞感の体感を通しての視点で、デスクに鍛えれながら読み解いていくことで梅川の人生に迫る。事件そのもの
-
Posted by ブクログ
桜木紫乃作品を10年ほど前にかなり読みましたが、この本は読んでなかった。
今回は、期間限定の営業担当イチオシのカバーに、「しあわせって誰かと張り合うものじゃない」という言葉に惹かれて購入。
主人公は6人の女性だけど、みんな順子という女性につながる。
昔、生活にいろいろ大変だったときに、ある方に
「今あるものを数えて、無いものは数えるな。今の幸せに感謝を」
と言われたことを思い出した。
順子のいう女性はまさに、今ある存在する幸せに感謝している女性。
周りの女性たちから見たら、綺麗にお化粧し着飾ってもせず、何が幸せかわからない順子の生活だけど、順子自身は小さな小さな幸せを毎日感謝して噛み締めて生き -
Posted by ブクログ
久しぶりの桜木作品。
発売日のサイン会で桜木紫乃先生にお会いできた。
少しだけお話できる時間をとってくださった。
わたしは緊張しすぎて上手く話せず、大好きな作品「ブルース」の影山博人に惚れました。といきなり言った。それでも先生は優しく、「いつもだらしない男ばかり書いてたから、たまにはいい男を書いてみたかったのよ」とおっしゃった。またあんな過激なものが好きなのねとも。おだやかで気さくな方だった。
異常に非ず、、淡々と語られる犯罪に至るまでの日々。良いことが一つもない人生を生きた親子の哀しみなのか寂しさなのか諦めか、何とも言えない空気が全編にわたって感じられる。すべてをなくし何もない男は、大きな事 -
Posted by ブクログ
1979年1月、大阪の三菱銀行の支店に男が侵入し、強盗を試みた末に警官2人と行員2人を猟銃で射殺して立てこもる事件が起きた。犯人の梅川昭美(30)は42時間の籠城の後、警察に射殺された。日本犯罪史上に残る極めて重大な事件だった。
この事件を題材にした作家の桜木紫乃さんの最新作「異常に非(あら)ず」が新潮社から4月に刊行された。
桜木さんはかつて事件を取材した元毎日新聞記者との話が、本書を書くきっかけになったという。毎日新聞は事件後、梅川の生い立ちから籠城、射殺までを追った連載記事「破滅」を載せた。その連載をもとに全文をあらたに書き下ろした「破滅 梅川昭美の三十年」(毎日新聞大阪社会部編、19 -
Posted by ブクログ
物語は、音信不通だった母・百合江の昏睡現場から始まります。理恵が従姉妹の小夜子と訪ねた町営住宅で、老衰した百合江が握りしめていたのは「杉山綾子」という名の位牌。理恵は、叔母の里美に促されてその位牌の謎を知る人物を訪ねていきます。ミステリーのような導入ですが、本書は百合江の生き様を描きながら「愛」の形を炙り出す物語です。
北海道の開拓村で生まれた百合江は、奉公先を飛び出し、夢を追い旅一座に弟子入りします。一座が解散すると、百合江は弟弟子の宗太郎と深い仲になり綾子という娘を授かりますが、宗太郎は姿を消してしまいますーーーー
百合江や妹の里美、そして母のハギは苦労します。ハギに至っては文盲でルコー