桜木紫乃のレビュー一覧
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ネタバレ久しぶりに小説を読んで涙が溢れた。
百合江と里美、理恵と小夜子、最初は誰がなんだか関係がよくわからなかったけど、みなさんそうみたいで安心した。人に勧めるときは最初にこの4人の説明だけしておきたいと思った。
物語は杉山百合江の生涯を描いた大河小説って部類らしい。それがまぁ、あまりにも苦しくて苦しくて、気分が落ちてる時は読まない方がいい。元気な時でもパワーは持っていかれる。
一生懸命読めば百合江が報われるんじゃないか、幸せになれるんじゃないかと信じて読み進めるけど、辛い経験しすぎ。多くは望んでいないはずの百合江なのに、なぜこんなに報われないものか。
そう思って読んで、ラストシーンで涙がこぼれた -
Posted by ブクログ
ネタバレすごい!これは一つの伝記のような物語。冒頭から引き込まれるタイプの話では無いけど、百合江と里実の幼い頃からの話を読んでいるうちにのめり込み始め、時々ある現代の描写に戻ってくると誰が誰の娘だっけ?この男性は?と確認しに戻り、また先を読み続ける。彼女の数奇な運命、親も含めた周りのひどい人たち。
タイトルのラブレス、愛されない、愛のないというのは誰を指しているのか。心当たりが多すぎて…百合江と里実の親、宗太郎から綾子、高樹親子、里実から小夜子そして、ハギ
百合江は許し、里実は許さないタイプ、姉妹のコントラスト、小夜子と理恵、そしてそれぞれの姉妹、絹子と綾子。理恵とババの関係、よかったな。そこから -
Posted by ブクログ
沁みる、沁みる。
それぞれ独立した6つの短編、「兎に角」「スターダスト」「ひも」「グレーでいいじゃない」「らっきょうとクロッカス」「情熱」。一つの短編を読み終えるたびに、しばらく余韻に浸りたくなり、次の短編へとページをめくる手が止まります。
桜木作品には『ホテルローヤル』をはじめ、「血」「業(ごう)」「因縁」「宿命」といったキーワードが思い浮ぶものが多いですが、主に60代前後、熟年から老境にさしかかる男女を扱ったせいでしょうか、この作品では、そういったドロドロとした関係性は少なく。もちろん全体を通して暗調で、突き抜けるような解放感はありませんが、柔らかな感じの作品集です。
特に気に入ったのは「 -
Posted by ブクログ
7篇のショート短編集。
最初の話で、舞台であるホテルローヤルはすでに廃業し、廃墟となっていることが示される。時代が逆戻りする構成で、読み進むにつれて、ホテルローヤルに関わってきた人たちのドラマがひとつずつ語られる。
自分は一人旅が好きで、旅先ではよくホテルの廃墟を見てまわる。
当たり前だが、どの廃墟にも、人が住み、人が訪れ、毎日さまざまな出来事があったはず。今は誰もおらず、建物も朽ち果てている。そんな事を考えながら廃墟を見ると、何もかも終わってしまうのだなあ、でも、その時々でそれぞれの物語があったのだなあ、と考える。それぞれの物語の中では、それぞれの人が主人公だったのだろう。
この作品でも -
Posted by ブクログ
すごく良かった。
良かったという表現は不適切かもしれないが、すごく素晴らしい作品だった。
地下鉄サリン事件がモデルになっている作品であり、かなりセンシティブなテーマを取り上げている。
読む人によっては不快感を抱くかもしれない。
また、無実であるにも関わらず何故逃げ続けるのか不思議に思う人もいるかもしれない。
さっさと出頭すればいいじゃん、と。
いやいやいや...そんなこと冷静に考えられる精神状態なら最初からカルトに心酔しないんだわ...
逃亡生活の中で出会う多くの人々のバックグラウンドを丁寧に描いていて読み応え抜群だった。
この作品の心理描写の表現、とても好き。
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