桜木紫乃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
桜木紫乃『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』角川文庫。
ちょっと変わったタイトルの1人の青年の再生の物語。ラストの余韻が素晴らしい。
人生というのは山あり谷あり。すんなりと山を登り切れないのが人生だ。静かに暮らそうとしても波風は必ず起きる。それが家族のことだったり、家庭のことだったり、仕事のことだったりと。しかし、何があっても家族の支えがあれば、大概のことは乗り切れるものだ。そして、そういう困難を乗り切る度に人は強くなれる。
昭和という古き善き時代の北海道が舞台。
母親から博打打ちの父親の訃報を聞いても、キャバレーの下働きで糊口を凌ぎながら、廃屋のような寮に帰って寝るだけという名倉章介の生活は一つも変わることはなかった。
しかし、年末に師匠と名乗るマジシャンのチャーリー片西、女言葉の男性シャンソン歌手のソコ・シャネル、ストリッパーのフラワーひとみの3人がキャバレーに出演し、章介が暮らす寮で奇妙な共同生活が始まる。
苦労の多い人生を送りながらも、毎夜キャバレーのステージを沸かす3人と触れ合ううちに章介の中で何かが少しずつ変わっていく。
時代は平成に変わり、章介は東京で働いていた……
本体価格740円
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Posted by ブクログ
読んでみたいけど、なかなか手が伸びなかった作家さんばかりのアンソロジー。思わず買ってしまった。
『最悪よりは平凡』 島本理生
主人公の和田魔美ってどんな女性なんだろうか?会ってみたいと思った。とても魅力的らしい。読んでて、真面目でしっかりとした女性だと思うんだけど、なぜか下心がある男ばかり寄ってくる。本人はそんなつもりは全くないのに。身体が魔性の女みたいに言われてるし。最後はいい感じに終わって良かった。
『深夜のスパチュラ』 綿谷りさ
バレンタインデーは恋する女子にとっては戦いだねって改めて思った。主人公の可耶ちゃんがチョコを買いに行くところから渡すまでの奮闘が読んでて面白かった。ガトーショコラが出来た時、良かったね、よく頑張ったと声を掛けたくなった。読んでて自分の事を思い出した。チョコレートケーキを作って大失敗した事がある。お菓子作りって材料の計量をちゃんとやらないといけないのに、私はとても適当に計量して大失敗。ものすごく言い訳をしてから食べてもらった覚えがある。
『フェイクファー』 波木銅
波木銅さんはこの本で初めて知った作家さん。着ぐるみに魅せられた人たちの話。自分で作ったり、着ぐるみの写真を撮るのが好き、など好きな理由は人それぞれ。なんとなく現実逃避をしたい人達が集まっている気がした。読んでて二つほど謎があったんだけど、分からないまま終わってそこがモヤっとする。でも面白いと思った。「裁縫は暴力の逆」、「裁縫は、誰かを傷つけたりしない」、「誰にだって秘密はある」という言葉が印象に残った。
『カーマインライン』 一穂ミチ
5歳で家庭の事情で離ればなれになった双子の話。14年ぶりに再開し、2ヶ月一緒に過ごす。14年という時間は関係なく、すぐ馴染むんだけど…。一穂ミチさんの作品はこれで二つ目なんだけど、"人の想い"に何か隠されてる、そんな印象を持ちました。2人の子供の頃の思い出に、天井に星のシールを貼るっていうのがあるんだけど、このシーンが作品で重要かな。
『道具屋筋の旅立ち』 遠田潤子
ずっとイライラ、ムカムカしながら読んでた。真相が分かって同情もするけど、それにしても主人公の優美に対する態度はダメだよね。美味しいものを食べて幸せになると思ってたけど、この作品は食べ物で苦しめられる。読んでて苦しくなってしまった。でも最後は食べる事で吹っ切れたみたい。「自分の身体は自分のもの」と気付けて良かった。
『無事に、行きなさい』 桜木紫乃
大人な恋愛小説。ミワと倫彦の関係をミワが自分の作品で表現したというのが、さすがアーティストだなと思った。その作品でお互いの道を決めたって事だと思うんだけど、う〜ん大人だね。
『海鳴り遠くに』 窪美澄
主人公の中野恵美が気持ちを佐伯絹香に伝えることが出来て良かった。こんなの本当の自分ではない、でもその事は言えない。これは辛い事だと思う。
題名の『二周目の恋』って人によって捉え方が違うんだなと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ何度目かわからないが再読。
ケガでストリッパーを引退したフジワラノリカ。
デビューの地、札幌すすきのでダンスシアターの店を始める。そこでダンサーに応募してきた若い二人と、一緒に仕事をするバーテンダー竜崎との関係性。近すぎても離れすぎても、うまくいかない。
不承不承の引退にも関わらず、ダンサー瑞穂とみのりを束ね、黒子に徹することができたのはノリカのプロとしての矜持か。
笑顔の瑞穂、ストイックなみのり、訳ありの竜崎。ここにノリカが加わった4人の関係が立場も年齢も超え、ステキだった。
うまくいっている最中、瑞穂もみのりも次のステップへ進む道を見つけ始める。その場を離れがたいふたりの背中を押し、ノリカはストリッパーに戻る。
そしてJINはノリカが空けた店舗を借り、今度はバーとしてオープンさせる。みんなが戻れる場所があって、なんて素敵な終わり方かと嬉しかった。
JINが作るものも、たらこバターと、わかめチーズおにぎり、たまらなくおいしそう。
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Posted by ブクログ
ネタバレ何が起こるか分からない、面白い話だった。読み終わってもするりと指の間を抜けていくような、掴みどころのない登場人物たち。それなのに惹かれてしまう女たちが書かれている。とにかく、面白い。
主人公が小説を書き、その話に出てくる主人公も同名の小説を書いている。主人公の家族を題材に書いているし、読んでいる方もフィクションの中の更に事実と虚構の境目が曖昧になっていくのがなんともいえない感覚だった。
実話を読んでいるような気持ちになる。本当にそういう反応を相手が示したんだというような錯覚をさせられる。
虚構でも問題ないのかもしれない。これは小説なのだから。
主人公は小説を書き上げるために自分を見つめ、母の過去を辿り、その他様々な人の言葉を飲み込み自分のものにしたのだと思う。自分を認めなければ先には進めない。その過程で得た感触はそのまま実生活に反映され、ますます強固な自分になっていくように見えた。
自らの意思で物語を生み出していく女たちに引き摺り込まれる。ミオ、令央、美利、そして乙三。豊子も珠子もそうかもしれない。
どれもが真実でどれもが嘘なのだ。こんな魅力的なこと、あるだろうか。こんな女たちのようになれたらいいのに。 -
購入済み
全体を読むと
一つ一つの物語がそれとなくつながっていて、時間の流れもさまざまで、それが読者にその間の出来事を想像させる。そんな全体の構成はすごいと思う。
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Posted by ブクログ
ホテルローヤルをきっかけに出会った桜木紫乃さんの作品。ストリップもすすきのにも足を踏み入れたことがないけれど、そのきらびやかに見えながらも孤独でもある夜の世界の空気が伝わってきた。
怪我で踊れなくなって新しい人生を始めようとするノリカ。タイプの違う若い二人に、踊り子として、女として、人生の先輩としていろんな感情を抱くが、決して依存したり強要したりはせずに距離を取りながらそばにいるのが一人で踊ってきた人間らしいなと思った。
でも、みのりと瑞穂と出会ってショータイムを作り上げていく段階や、開店してから少しずつ仲間意識が芽生えて行き、それぞれの役割を果たしながら店が盛り上がっていく時の感情はノリカ一人では味わえなかっただろうし、ノリカにとっての遅れてきた青春のようにも思えて胸が高揚した。
あと、タンバリンのオガちゃんの話は涙せずにはいられなかった。
ノリカの選択はあらすじを読んでうっすら気がついていたけれど、最後まで読んでいくとすごく腑に落ちる。自分にはその道しかないっていうものがある人ってほんの少ししかいないと思うし、そういう人ってやっぱり何かに引っ張られて生かされているのかもしれないと感じた。
そしていくら楽しくてもつらくても、他人との関わりなんてそんなに長くは続かなくて、いつか終わってしまうということに気づかされた。
最後に、出てくる踊り子さんたちのセリフや信念には、本物の舞台に立つ方々への尊敬が込められているように感じられたのもよかった。裸で踊る女たちが受け止めているものがあるなんて、想像もしていなかった。