桜木紫乃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
子供のない30代の夫婦の話
夫は映画の脚本家になることを諦めきれず定職はない。実家では母親が一人で暮らしている。
妻は看護師として働き生活を支えながら実母との確執に悩む日々。
夫がいつもの桜木さんの作品に出てくるクズ男だと思ってたら違うのよ笑
妻もわたしのイメージの看護師とは違うし…
お互いが相手に気遣いながら波風を立てないように
暮らしている日常が、夫と妻の視点から交互に語られていきます。
自分の至らなさに悩みながらも相手に対して不満を持つことはない。
劇的に変化が起きることもないし。
この空気感にイライラする人には向かない作品だな
わたしには良作でした:.゚٩(๑˘ω˘๑)۶:.。 -
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自己啓発本を読み漁っていた時期に度々出会した考えに「今を生きる」というものがありました。
過去を後悔するでも未来を心配するでもなく、今この一瞬に集中して全力で生きること。
順子ってこの典型なんだと思う。
今更変えられない過去を嘆くでもなく、心配したところでやって来てしまう未来に過剰に怯えることもない。ただ、今を全力で生きている。
そしてないものを数えるのではなく、あるものに目を向け感謝する。
だから彼女は死を前にしても「幸せだ」と言いきってしまう。
高校の同級生や順子の親はどうしても幸せをステータスや世間体で測ってしまうので、順子の“幸せ”が理解できない。仕事、パートナー、収入…ないものを数 -
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ネタバレ猛夫とサトミは80代の夫婦。
毎日母に電話をする次女の乃理が、母の異変に気付いた。
父に問いただし、母が認知症になったことを知った乃理は、実家とほとんど連絡を取ろうとしない姉の智代にそれを伝えた。
猛夫は腕のいい理容師で、中学を卒業した智代を進学させずに自分の跡取りとして修業をさせた。
しかし山っ気の強い彼は、うまい話に手を出して、結果自分の店を手放す羽目になる。
はしごを外された形になった智代は、それを気に実家と距離を置く。
母が認知症になったからといって、今更当てにされても…と思う。
もう、智代の逡巡が刺さりまくり。
私が中卒ではないし、後を継ぐ親の財産もないけれど、長女としての責任を -
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ネタバレ正直、最初の3分の2は、よくわからなかった。
端的に言うと、読み進めるのが辛かった。
ちっとも話が見えないから。
でもその後、そう狂言誘拐のあたりから、面白くなってきた。
序章で主人公が自殺する場面から始まるから、どんな展開かとハラハラしてたけど。
一応ハッピーエンドと言えなくもないラストに、少しだけ胸を撫で下ろした。
2件の殺人。宜なるかな。必然とも言える成り行き。
自分が彼女の立場でも、同じことをしてしまうかも?と思えるほど、真に迫ってた。
最初でグッとつかんで、中盤もたせる作りとは思ったが、もう少し何か捻りが欲しかった。
なので星1つ減らします。 -
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小心なのに虚勢を張る。欲しいとなれば後先見ずに突っ走る昭和の男。『人生劇場』の主人公、猛夫(タケオ)の名を見て「ホテルローヤル」や「家族じまい」を思い出した。
昭和13年の室蘭で、新川彦太郎とタミの間に生まれた次男の猛夫。「馬鹿タケ」と呼ばれ居場所のない猛夫を伯母カツが引き取り育てる。
戦争で皆が貧しかった時代。
鉄の町を襲った砲弾の雨。
敗戦後の町で生きる人々。
桜木紫乃さんがご自身の父親をモデルにしたフィクションで、巧みな人物描写が光る。
理容師を目指した猛夫の挫折。やっと叶えた夢の城で妻の頬を叩くしようもない男と、そんな男の人生に巻き込まれていく女たち。生きる希望を託し春生と名づ -
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廃墟になったラブホテルを舞台に、そこに積み重なった人間ドラマを少しずつ遡っていく構成が印象的でした。
短編ごとに時代が逆流するように進んでいくので、読みながら「この場所にはどんな人生があったのだろう」と覗き見している感覚になります。
地方を旅するときに、車でラブホテルの廃墟を通り過ぎることありますが、これまではただ通り過ぎるだけの建物にも、実は多くの人の孤独や愛情が刻まれているのかもしれないと思うと胸に迫るものがありました。
物語の中でホテルが廃業するきっかけとなる出来事に触れたとき、断片がつながって「そういうことか」と腑に落ちる瞬間があり、胸がキュッと締め付けられました。
毎 -
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綿矢りささんの「深夜のスパチュラ」は、現代っぽくて入ってきやすい。でも文章が続いていて読みにくい。主人公がかわいい。
一穂ミチさんの「カーマンライン」は、表現できないけれど良さがあって好きだと思った。双子って素敵だなあ。
遠田潤子さんの「道具屋筋の旅立ち」は、いかにも昭和的な男と、女の話で最初は嫌だなあって読んでた。でも、八角魔盤空裏走(はっかくのまばん、くうりにはしる)という言葉を聞いてからの優美の自分自身と向き合っていく姿が清々しかった。最後の誠とのシーンがなんかいいなあって。
窪美澄さんの「海鳴り遠くに」は、紡がれている物語の雰囲気がなんだか好きだなあ。最後ちゃんと結ばれてよかった。 -
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寄せては返す波のような欲望に身を任せ、どうしようもない淋しさを封じ込めようとする男と女。
安らぎを切望しながら寄るべなくさまよう孤独な魂。
とても素敵な角川の紹介文、引用させていただきます。
そんな人々の“どうしようもなさ”と“それでも生きていく姿”を、北海道の風景に託して叙情豊かに描き出す七つの短編。
「波に咲く」
中国人妻との静かな生活を守ろうとする畜産業の青年。寂しさを封じ込めているのは日本の女だけではない。青年にも言葉にならない悲しさがあるのが見えてくる。
「海へ」
クズ男に貢ぎ、身体を差し出す女。
やがて 彼女は彼らを捨てて離れていく。
“ん、それが良い”と思える、ささやかなカタ