桜木紫乃のレビュー一覧

  • 硝子の葦(新潮文庫)

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     女性はミステリアスなほうが魅力的だと男性は言う。
     けれども、それは「男性にとって理解しうる範囲のミステリアス」なんだろうなと思った。

     ヒロインの節子は、この物語の主軸であり最大の謎なのだが、もう怖い怖い。節子のやることなすことは、男性にしてみれば、恐ろしいことばかりなのだ。
     節子それ愛やない、情やって言いたくなる。

     この本と直接の関係が無いけれども、「つまをめとらば」で男性作家の描く「怖い女」を知り、「田舎の紳士服店のモデルの妻」で女性作家の描く「普通のヒロインの奥深さ」を知り、そしてこの作品である。
     われながらタイミングが見事だ。

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    2015年09月29日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    「ホテルローヤル」で、すっかり桜木紫乃作品の虜になった。
    恋愛小説だと思い読み進むたら、あら?
    ミステリーでした。
    最後に進むまで、気が付かなかった。
    殺人事件→犯人はだれ?
    なんて単純な話ではない。
    誰にでもある闇を綺麗に書く桜木紫乃さんは、すごい作家さん。
    そして、舞台はぶれずに北海道。
    ますます、桜木紫乃作品を読みたくなりました。

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    2015年10月04日
  • 誰もいない夜に咲く

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    壮絶なのに醒めている。不思議な印象が残る作品群。
    全て北海道の街が舞台の短編集。
    雄大で美しい風景…ではなくて、過疎が進んだ雪深い田舎や、寂れた漁師町、うらぶれた夜の街、などが主な舞台で、だからこそ寒々しくてリアル。

    桜木紫乃さんて直木賞をとった時に実家がラブホテルだったって言ってて気になってたけれど、その環境が、男女の肉欲をこんな風に醒めた感じで描くきっかけになったのだろうかと考えたりした。
    言ってしまえばどうしようもないダメ男とずるずる付き合ってしまう女が何人か出てくるのだけど、そのわりに溺れてるような雰囲気はなくて、醒めた諦めみたいなものに包まれてるから。

    それぞれ印象に残ったからひ

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    2015年07月16日
  • ワン・モア

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    まだ、直木賞受賞作も読んでいない私ですが、今まで読んだ桜木さんの作品の中では、これが一番好きです!
    巻末にあった北上さんの解説によると、この作品から桜木さんの第2ステージが始まるとか……その評価も頷ける作品だと思います。
    死がモチーフになっている連作長編なのに、重すぎず、どこか爽やかで優しい印象すら受けました。
    最初の美和さんが主人公の「十六夜」だけは、今まで読んできた桜木さんの作品らしい、やるせなさを感じ後味の悪さが残ったのですが、次の「ワンダフル・ライフ」最後の方の別れた夫を玄関で見送る場面で、ガツンとやられ、「ラッキー・カラー」のベテラン看護師さんには頑張れと内心で励まし、そして「ワン・

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    2015年06月21日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    解説には、削れるところはバッサリ削ったと。確かにそんなに厚くはないけど、厚さ以上の読み応えがあった。

    夫は母親の元愛人で、ラブホテル「ホテルローヤル」の経営者。その夫が自損事故で意識不明。またガンでもともと余命数ヶ月だったことが分かる。
    夫の継子の捜索、句会仲間のDV、税理士との関係、ホテルの経営といろんな綻びが出てくる。

    節子、倫子、まゆみちゃんは最後まで逃げ切ったのだろうか。たぶん、あの3人なら逃げ切れるだろう、って思えるくらい狡賢さが印象に残った。

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    2015年06月05日
  • ワン・モア

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    初めて読んだ桜木紫乃さんの作品。
    高校同級生の美和と鈴音と八木君。3人は医師になるのを目指すも、八木君は夢を諦め放射線技師の道へ。3人は一度再会するも離れ離れに。鈴音に癌が見つかり、3人は再び再会へ。
    登場人物は皆かっこよくて、どんどん続きを読みたくなった。終盤はちょっとハッピーエンド過ぎかな、とも思ったけど、他の作品も読んでみよ。

    2017/04/24再読。

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    2017年04月25日
  • 蛇行する月

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    釧路の高校を卒業してすぐ、年の離れた男と駆け落ちした順子。
    彼女はいつだってひたむきで、時に危ういほど直情的に突き進み、そして今、貧しさのなかで「とても幸せだ」と言う。

    この物語の凄みは、順子本人の波乱万丈さ以上に、彼女と交わり、揺さぶられていく女たちの「様々な生き様」のリアルさにある。
    順子の眩しいほどの「幸せ」に触れたとき、彼女たちの心に去来するのは、純粋な祝福だけではない。羨望、蔑み、嫉妬、自己嫌悪、そして自身の抱える生活の歪み…。
    順子というひとつの強い光によって、彼女たちの隠したかった孤独や葛藤が、容赦なく照らし出されていく。
    満ちては欠け、時に歪んだ軌道を描く月のように、彼女たち

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    2026年05月22日
  • 異常に非ず

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    大変な労作で面白かった。

    あの異常犯罪の犯人の「真実」の物語ではない。もちろんノンフィクションを下敷きにしたフィクションなので「真実」には辿り着けない(辿り着かない)のは当然ではあるが、主人公は犯人の母と、情人と、取材する記者たち。
    社会に媚びる生き方しかできなかった人間が社会に復讐をする、という大きな骨組みの上にに、母の情、愛人としての情、そしてその情にこそ真実が隠れていると迫る記者の思いが物語として語られる。
    息も継がせぬ勢いで様々にゴツい情念が次から次へと現れて、それを書き切った筆者の凄さに感服するとともに、作者の世界観を顕現させるのに「良いネタ」を見つけたなあ、と思ったのが正直なとこ

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    2026年05月10日
  • 異常に非ず

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    ネタバレ

     桜木紫乃氏、「ホテルローヤル」「蛇行する月」を読み、筆力のある作家、と思っていました。さて税込2,750円の長編、どんな本に仕上がっているのか…

     題材は、昭和54年、1979年に起きた、銀行人質立てこもり事件。当時私は高校生か…この事件、テレビ中継や新聞報道で内容を知ったはず。Focus、Fridayが創刊するのは1980年以降で当時はまだ存在していない。

     本書では事件そのものにほとんど触れない。焦点は、犯人の花川清史の母、内縁の妻、の目線を主に、なぜこの男が犯行に至ったのかをゆっくりと描き出す。

     作中、描き出す側としてこの事件のノンフィクションをまとめる記者とその上司も重要な登

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    2026年05月08日
  • 俺と師匠とブルーボーイとストリッパー

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     桜木さん作品にしては明るく楽しい作品でした。暗い背景を持つ主人公なのですが、出てくる人達が主人公を明るい方へ引っ張っていってくれる。

     最後には良かった…
    とほっこりする作品でした。

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    2026年05月04日
  • 家族じまい

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    初桜木紫乃。途中まで読んで間を開けてしまって、登場人物が誰が誰だか分からなくなりかなり混乱した(こちら側の問題でしかないけど)。
    「夫の何一つ間違っていないことがきつい」という心理描写、理不尽だけど分かるなあと思った。

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    2026年05月02日
  • 蛇行する月

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    ネタバレ

    釧路の高校で同級生だった女性たちのその後の人生を追う小説。
    それぞれの章が清美、桃子、弥生、美菜恵、静江、直子と全6章から構成されているが、いずれの話にも登場する『順子』という女性がいる。この『順子』が主人公の章は無いのだが、それぞれ物語の話題として登場するのだ。

    順子は高校卒業後に就職した札幌の和菓子屋の20歳も上の旦那の子供を孕んでしまい、東京に駆け落ちするが、彼女はどんな貧乏な貧相な状況でも『私は幸せだ』と言い切る。

    6章のうちの4章(清美、桃子、美菜恵、直子)は順子の同級生。
    残りの2章、弥生は和菓子屋の捨てられた妻であり、静江は逃げた順子の母親の立場での物語。

    人はいま自分が幸

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    2026年04月21日
  • 情熱

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    桜木紫乃さんの短編集。期待以上だった。
    ホテルローヤルから追いかけて読んでいるが年々彼女の描くお話の虜になっているような気がする。胡蝶の城は特に好きな作品。北海道在住だけあって吹き荒ぶ自然を描くのが秀悦。今回は気持ちを揺さぶられるお話が多く、
    表現や読みやすい文章の素晴らしさをひしひしと感じ、表題の情熱以外はのめり込んで読んでいたように思う。情熱は物書きならでは視点が興味深かったが内容は共感できなかったかな。今後も追いかけていきたい

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    2026年04月20日
  • ラブレス

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    重苦しい中にも、からりとした明るさを表現しようとしている小説だ。釧路周辺を舞台とした小説は珍しい。登場人物の理恵が話す、釧路の空の色は、象徴的だ。
    北海道に暮らす人のどこかに、フロンティア、バガボンド精神が漂っていること、昭和から平成にかけて、長い時間が経過したが、その時代に生きた人間には須臾の間とも感じられること、などなど、いろいろなテイストを感じる。

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    2026年04月19日
  • ホテルローヤル

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    初めて読んだ桜木紫乃さんの作品。逆クロニクル型の章立てがほんとうに美しかった。今は廃墟となったラブホテルが、どんな歴史をたどってきたのか……。各登場人物は傍から見ればみな不幸だが、そこに宿る一筋の光を描いている。最後の章を読み終わったとき、その微かな光がいっそう際立って見えた。

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    2026年04月17日
  • 裸の華

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    どっぷりとこの本の世界につかった。登場人物にはみんなクセがあり、自分の周りにいないタイプばかりだったが、いきいきと描かれていた。中でもオガちゃんの登場、別れの場面は感動した。
    ただ、ラスト近くの師匠との再会シーンだけは、もうちょっとどうにかしてほしかったなあ。

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    2026年03月31日
  • ラブレス

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    『貧しい』って人それぞれの測り方があって…私も決して裕福ではなかったけれど、ここまで貧しい生活をしてきた人がいた時代に唖然としてました。でも、この頃の時代ではよくあったとの事…。貧しいって人格を変えてしまう。そんな中での生き様、出会う人達…去って行く人達…変わらずにそばにいてくれる人達…過ぎ去って仕舞えばそれも良い思い出なのかもしれない。私は、これからどんな人生を歩んで、どんな信念を貫けるんだろう…。読み終わった後の『余韻』をとても味わえる作品でした。

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    2026年03月28日
  • 人生劇場

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    タケは能力あるのに、何で時々サボるの?それに暴力とパチンコ麻雀は論外!
    コレそれほど古い話では無いのに今時こんな人(まわりの人も含めて)いるのかな?
    まっ小説だからね。

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    2026年03月25日
  • ホテルローヤル

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    ネタバレ

    ラブホテルが題材のわりに、いやらしいシーンは少なめ。某レビューサイトで事前に確認はしていましたが、安心しました。連作短編になっていて、後日談が違う人物の話でなにげに語られることが、想像力をかきたてます。心中をした先生と生徒はあの傷を慰め合う寂しい二人なのだろうな。おもしろかった。良い作品です。

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    2026年03月23日
  • 二周目の恋

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    恋愛アンソロジー。

    どの作品も、一筋縄ではいかないけれど読後に希望の残る。こういうアンソロジーでは珍しく、どの作品も何かしら心に残る箇所があったのでとても得をした気持ち。

    特に「深夜のスパチュラ」のとりとめがないけどキュートな読み味や、「道具屋筋の旅立ち」のラスト、「海鳴り遠くに」のタイトルの意味が分かった瞬間が特に心に残った。

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    2026年03月21日