桜木紫乃のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
引き込まれた。節子の少女時代、母親との関係、幸田・澤木それぞれへの思い、愛したくて愛されたくて、思いが溢れて読んでて苦しくなる。でもこの歌のように凛とした硝子の葦のようだ。
佐野親娘、梢との関わりかたが、時を過ごすうちに人間味が増して描かれ少しほっとしてしまった。
帯広のベーカリーの場面は「絶叫」と重なった。
読書途中で、WOWOWのドラマを観てしまったが為に、キャストがドラマのイメージで読んでしまったのが残念。ドラマはドラマで原作を損なわず、また良かったと思うが。
それにしても、桜木紫乃さん、読むほどにどんどん好きになってしまう作家だ。(好き嫌い両極端かも) -
ネタバレ 購入済み
ゾッとした
この年代の作者が好む、男性像や女性の醜さみたいなものがあると思う。ジャンルを確認せずに読んだので、読んだ後にしばらく背筋が冷え切っていた。ミステリーと呼ぶにはミステリーではなく、ホラーと呼ぶにはホラーでもなく。
ただただゾッとします。 -
Posted by ブクログ
いつもの桜木紫乃とはちょっと違う。
桜木紫乃が描く塗れ場は 全く色がなく ラブシーンを書かせたら こんな下手な作家はいないといつも思っていた。だけど ブルースは どの話も色がある。
桜木紫乃が描く話には 男女問わず 好感を持てる人が登場しない。好きになれないから 感情移入できない。それでも読ませるのだから それはそれで相当な腕だといつも思っていた。
だけど 影山博人は魅力的だ。非情だったり 優しかったり そのときどき いろんな顔をみせるけど それこそカメレオンのように どの顔も魅力的だ。
なぜ まちこなんだろう。関係とタイミングで言えば 圭の方が自然な流れじゃない?と思うけど 圭じゃ 博人のそばにいるには 弱くて優しすぎるのか。
まちこは博人に似てるのかな?それにしても ここまで家族になれる?最終話がちょっとゴーインな気はするものの 読後感が良いのも ちょっと今までと違う。
変わらぬものは しぶとく たくましい北のオンナたち。
そして釧路の湿った空気。 -
Posted by ブクログ
桜木紫乃さんの本はこれで7冊目。
これまで読んだ6冊の中では【蛇行する月】に☆5つをつけていて、そのレビューにも”この本が一番好み”とかいています。
が~!
訂正です。
この【ワン・モア】が一番好きです。
医師の柿崎美和は安楽死事件を起こしたため、離島に左遷される。
高校時代から問題児の美和は離島でも、自分の生き方を変えようとせず、元競泳選手の昴と不倫関係になる。
そんな美和のものに、高校時代からの同級生で医師の滝澤鈴音から「癌で余命宣告を受けている」との連絡が。
離島から鈴音のもとに帰る美和。
そんな二人を取り巻く人たち。
それぞれが抱える人生。
いろんなことがあって、いろんなことに傷つくけれど…
来年はもっと桜木さんの本を読んでみよう!
そう思わせてくれた一冊です。 -
Posted by ブクログ
壮絶なのに醒めている。不思議な印象が残る作品群。
全て北海道の街が舞台の短編集。
雄大で美しい風景…ではなくて、過疎が進んだ雪深い田舎や、寂れた漁師町、うらぶれた夜の街、などが主な舞台で、だからこそ寒々しくてリアル。
桜木紫乃さんて直木賞をとった時に実家がラブホテルだったって言ってて気になってたけれど、その環境が、男女の肉欲をこんな風に醒めた感じで描くきっかけになったのだろうかと考えたりした。
言ってしまえばどうしようもないダメ男とずるずる付き合ってしまう女が何人か出てくるのだけど、そのわりに溺れてるような雰囲気はなくて、醒めた諦めみたいなものに包まれてるから。
それぞれ印象に残ったからひとつを選びにくい。挙げるとすれば「海へ」と「根無草」かな。
切ない。胸が痛い。そして女は強い。
北海道、男女の肉欲、貧しさ、というワードから、佐藤泰志の小説と雰囲気が共通するような気がする。
暗部がひとつもない人生を歩んでる人はほとんどいない。
ふわっとしててどこか現実離れしている物語も好きだけど、同じくらいこういう胸が軋むような生々しい物語も好き。 -
Posted by ブクログ
まだ、直木賞受賞作も読んでいない私ですが、今まで読んだ桜木さんの作品の中では、これが一番好きです!
巻末にあった北上さんの解説によると、この作品から桜木さんの第2ステージが始まるとか……その評価も頷ける作品だと思います。
死がモチーフになっている連作長編なのに、重すぎず、どこか爽やかで優しい印象すら受けました。
最初の美和さんが主人公の「十六夜」だけは、今まで読んできた桜木さんの作品らしい、やるせなさを感じ後味の悪さが残ったのですが、次の「ワンダフル・ライフ」最後の方の別れた夫を玄関で見送る場面で、ガツンとやられ、「ラッキー・カラー」のベテラン看護師さんには頑張れと内心で励まし、そして「ワン・モア」の最後のバーベキューの場面では、気になっていたトキワ書店の店長さんのその後を知ることができて、みんなで子犬のの誕生会をする平和な様子にじんわりと涙ぐみました。
あまり正面から「頑張れ」と言われるのも辛い、この作品には、押しつけがましくない前向きさを貰えた気がしました。 -
Posted by ブクログ
作者・桜木紫乃さんの父親がモデルの半生記。想像を超えた凄まじい男性ですが、作者は「北海道には珍しくない。集まりがあれば4人に1人位はこういう人がいた」とおっしゃる。
確かに昭和時代は「芸のためなら女房も泣かす」的な人はいましたし、家族に暴力を奮ってもDVなんて言われなかったですよね。
そしてそんな男を甘やかに支えてしまう女たちもいた‥‥それが、カツと駒子。
慈悲深くて聡明で色香があって、実にカッコいい。二人の女性たちの一つ一つ言動がこの作品の価値を高めている気がします。
作者は「親の生き方を肯定していくことが娘の仕事。性愛を含めて父を描ききった」というだけあって、その覚悟と冷徹な目は、父親の人生を劇場のスポットライトのように眩しく照らしています。
※Audibleで。