桜木紫乃のレビュー一覧

  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    「ホテルローヤル」で、すっかり桜木紫乃作品の虜になった。
    恋愛小説だと思い読み進むたら、あら?
    ミステリーでした。
    最後に進むまで、気が付かなかった。
    殺人事件→犯人はだれ?
    なんて単純な話ではない。
    誰にでもある闇を綺麗に書く桜木紫乃さんは、すごい作家さん。
    そして、舞台はぶれずに北海道。
    ますます、桜木紫乃作品を読みたくなりました。

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    2015年10月04日
  • 誰もいない夜に咲く

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    壮絶なのに醒めている。不思議な印象が残る作品群。
    全て北海道の街が舞台の短編集。
    雄大で美しい風景…ではなくて、過疎が進んだ雪深い田舎や、寂れた漁師町、うらぶれた夜の街、などが主な舞台で、だからこそ寒々しくてリアル。

    桜木紫乃さんて直木賞をとった時に実家がラブホテルだったって言ってて気になってたけれど、その環境が、男女の肉欲をこんな風に醒めた感じで描くきっかけになったのだろうかと考えたりした。
    言ってしまえばどうしようもないダメ男とずるずる付き合ってしまう女が何人か出てくるのだけど、そのわりに溺れてるような雰囲気はなくて、醒めた諦めみたいなものに包まれてるから。

    それぞれ印象に残ったからひ

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    2015年07月16日
  • ワン・モア

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    まだ、直木賞受賞作も読んでいない私ですが、今まで読んだ桜木さんの作品の中では、これが一番好きです!
    巻末にあった北上さんの解説によると、この作品から桜木さんの第2ステージが始まるとか……その評価も頷ける作品だと思います。
    死がモチーフになっている連作長編なのに、重すぎず、どこか爽やかで優しい印象すら受けました。
    最初の美和さんが主人公の「十六夜」だけは、今まで読んできた桜木さんの作品らしい、やるせなさを感じ後味の悪さが残ったのですが、次の「ワンダフル・ライフ」最後の方の別れた夫を玄関で見送る場面で、ガツンとやられ、「ラッキー・カラー」のベテラン看護師さんには頑張れと内心で励まし、そして「ワン・

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    2015年06月21日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    解説には、削れるところはバッサリ削ったと。確かにそんなに厚くはないけど、厚さ以上の読み応えがあった。

    夫は母親の元愛人で、ラブホテル「ホテルローヤル」の経営者。その夫が自損事故で意識不明。またガンでもともと余命数ヶ月だったことが分かる。
    夫の継子の捜索、句会仲間のDV、税理士との関係、ホテルの経営といろんな綻びが出てくる。

    節子、倫子、まゆみちゃんは最後まで逃げ切ったのだろうか。たぶん、あの3人なら逃げ切れるだろう、って思えるくらい狡賢さが印象に残った。

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    2015年06月05日
  • ワン・モア

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    初めて読んだ桜木紫乃さんの作品。
    高校同級生の美和と鈴音と八木君。3人は医師になるのを目指すも、八木君は夢を諦め放射線技師の道へ。3人は一度再会するも離れ離れに。鈴音に癌が見つかり、3人は再び再会へ。
    登場人物は皆かっこよくて、どんどん続きを読みたくなった。終盤はちょっとハッピーエンド過ぎかな、とも思ったけど、他の作品も読んでみよ。

    2017/04/24再読。

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    2017年04月25日
  • ホテルローヤル

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    ネタバレ

    ラブホテルというある種裏の世界が舞台なのに、そこに関わっている人達はあくまでもごくごく普通の人達なのが印象的でした。そこにいるのはただの利用客であり、働く人であり、経営者であるという点では、ラブホテルもただの一施設に過ぎないんだなと思いました。ラブホテルの掃除婦が主人公の「星をみていた」が、彼女の人生の苦労を思わせてじーんと響きました。

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    2025年12月21日
  • 情熱

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    はじめての桜木紫乃。
    6つのお話が収録されており、前半は、うーん…と思っていたのですが、"らっきょうとクロッカス"、"情熱"を読んで、これは新しい官能小説なのではないか?エッロ!!と思い、最後まで興味深く読み終えました。
    調べてみると、やはり、新官能と言われるジャンルなんですね、納得です!!

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    2025年12月21日
  • 氷平線

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    思うに任せぬ人生を歩女性の切ない話。雪虫のフィリピン人女性、幼馴染、夏の稜線の都会から来た女性、「深奥」に潜む熾火のようなものを通して、女の幸せとは何かを考えさせられる。
     

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    2025年12月21日
  • 情熱

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    俳句を想定するほどギリギリまで削ぎ落とした文章。文学的な修辞も嫌みになっておらずうまいなあと感じた。

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    2025年12月17日
  • ホテルローヤル

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    廃墟になったラブホテルを舞台に、そこに積み重なった人間ドラマを少しずつ遡っていく構成が印象的でした。
    短編ごとに時代が逆流するように進んでいくので、読みながら「この場所にはどんな人生があったのだろう」と覗き見している感覚になります。

    地方を旅するときに、車でラブホテルの廃墟を通り過ぎることありますが、これまではただ通り過ぎるだけの建物にも、実は多くの人の孤独や愛情が刻まれているのかもしれないと思うと胸に迫るものがありました。

    物語の中でホテルが廃業するきっかけとなる出来事に触れたとき、断片がつながって「そういうことか」と腑に落ちる瞬間があり、胸がキュッと締め付けられました。

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    2025年12月16日
  • ホテルローヤル

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    時系列が現在から過去へ。
    現在廃となっているラブホを舞台に語られるそれぞれの登場人物の、「いま」。
    タイムマシン感覚で、過去に流れている中で、「あ、この人」と、徐々に明らかになっていき、最終的に繋がる。
    単純に現在から過去への流れなのですが、読み終えたあと、逆から読んでみたいなと思いました。
    好きな作品です。

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    2025年12月15日
  • 二周目の恋

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    綿矢りささんの「深夜のスパチュラ」は、現代っぽくて入ってきやすい。でも文章が続いていて読みにくい。主人公がかわいい。
    一穂ミチさんの「カーマンライン」は、表現できないけれど良さがあって好きだと思った。双子って素敵だなあ。
    遠田潤子さんの「道具屋筋の旅立ち」は、いかにも昭和的な男と、女の話で最初は嫌だなあって読んでた。でも、八角魔盤空裏走(はっかくのまばん、くうりにはしる)という言葉を聞いてからの優美の自分自身と向き合っていく姿が清々しかった。最後の誠とのシーンがなんかいいなあって。
    窪美澄さんの「海鳴り遠くに」は、紡がれている物語の雰囲気がなんだか好きだなあ。最後ちゃんと結ばれてよかった。

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    2025年12月02日
  • ふたりぐらし(新潮文庫)

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     桜木さん作品の男性といえば、DV気味のクズ男かヒモ男(口が悪くてすみません…)が多いのですが、今回は違いました。

     頼りない男性が描かれているのですが、桜木さん作品にしては珍しくほっこりするお話でした。

     私的には実家をリフォームして暮らし始めるあたりがなんだか温かく優しい気持ちになりました。

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    2025年11月30日
  • それを愛とは呼ばず

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     面白かったです。最後の展開は読めず、驚きました。
     亮介と紗希、それぞれが相手をどう感じているのか、各章交互に明らかになっていく。
     ずっと擦れ違い続け最後は…。

     廃墟同然のマンションのシーンは情景が目に浮かび、なかなか怖かったです。
     このお話はどのジャンルになるんだろう…。

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    2025年11月29日
  • 誰もいない夜に咲く

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    寄せては返す波のような欲望に身を任せ、どうしようもない淋しさを封じ込めようとする男と女。
    安らぎを切望しながら寄るべなくさまよう孤独な魂。
    とても素敵な角川の紹介文、引用させていただきます。
    そんな人々の“どうしようもなさ”と“それでも生きていく姿”を、北海道の風景に託して叙情豊かに描き出す七つの短編。

    「波に咲く」
    中国人妻との静かな生活を守ろうとする畜産業の青年。寂しさを封じ込めているのは日本の女だけではない。青年にも言葉にならない悲しさがあるのが見えてくる。

    「海へ」
    クズ男に貢ぎ、身体を差し出す女。
    やがて 彼女は彼らを捨てて離れていく。
    “ん、それが良い”と思える、ささやかなカタ

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    2025年11月28日
  • ヒロイン

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    かなり分厚い本だけどおもしろい。

    《どこで間違ったわけでもない。へまはしたけれど、それが岡本啓美の選択だった。》

    一度道を踏み外すと、こうも外れた道ばかりを選んでしまうのか。

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    2025年11月23日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    道東・釧路で『ホテルローヤル』を営む幸田喜一郎が交通事故で意識不明の重体となった。年の離れた夫を看病する妻・節子の平穏な日常にも亀裂が入り、闇が溢れ出すーー。彼女が愛人関係にある澤木とともに、家出した夫の一人娘を探し始めると、次々と謎に直面する。短歌仲間の家庭に潜む秘密、その娘の誘拐事件、長らく夫の愛人だった母の失踪……。驚愕の結末を迎える傑作ミステリー。(解説・池上冬樹)

    いや〜面白かったです(*´∇`*)
    節子が火災で死んだところから始まるんですけどね
    男と女のドロっとした話も、桜木さんが書くとどこか渇いた文章で淡々としていて
    それがすごく良い♪
    中盤からミステリー感が増し増しでラストま

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    2025年11月20日
  • 無垢の領域

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     うわ〜…面白かったです。
    他の方々の評価は、低めな印象でしたが、十分に面白かったと思います。

     じっとりした展開で、秋津親子にはずっと嫌悪を感じながら読みました。最後の展開も、あ、なるほど…と納得。伶子さんが秋津と離婚したら、幾分気持ちがスッキリするのに…とモヤモヤ。でも、最後の展開が周囲に発覚すれば、さすがに伶子さんも見限るのかな?

     私的に、嘉史にも、もう少しスポットを当てて、心情を描いて欲しかったなと思いました。

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    2025年11月20日
  • ブルースRed

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     前作より続編。偉大なる父を亡くし、その後を継ぐ義理の娘の莉菜の人生を描いている。

     話はハードボイルドで、裏の世界が描かれている。淡々と歳月が進み、余計な文章はなく、読みやすく、面白かった。

     前作より、終始暗いが、その暗さが好きで、くせになる。

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    2025年11月18日
  • 起終点駅

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     一話一話が重く、深いお話でした。

     ただ、少し物足りなさ感じ、それぞれ長編で読んでみたいと思いました。

     桜木さん作品、まだまだ読み進めます。

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    2025年11月13日