桜木紫乃のレビュー一覧
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子どものいない夫婦の日常が、淡々と描かれています。仕事を選び働かない夫が出てきますが、家事はしますし、妻も生活優先で給与の安い勤務先に転職した過去があります。
経済的には厳しいけれども、相手を批判せず、互いに認めながらも、どこか言い出せない秘密がある。そんな夫婦の話。
結婚は当人同士の話ではあるけれども、互いには育ててくれた親があって、それがどんな親であれ、関係ないとは割り切れない当人たちの気持ちが丁寧に描かれています。
家族を想う言葉が、ストレートすぎれば反発を招き、気遣いが過ぎれば重くなる。縁の切れない家族との付き合いは他人よりも難しい。
切なく優しい大人向けの話でした。 -
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ネタバレ桜木紫乃ならでは、という筋立て。釧路の高校で図書部だった女子高生4人がそれぞれたどる人生を描く。
国語教師に恋し、官舎に押しかけ愛を告白した女子高生時代。時は流れ同じ国語教師と結婚したのは別の図書部員だった。
就職した和菓子店の職人と駆け落ちした順子。職人は店主である妻の前から、身ごもった順子とともに北海道から東京へ逃げる。時は流れ失踪宣言がなされ、順子はこの世に存在しなくなった夫と、その間にできた子と暮らし…苦労の末、これから、というところでまだ40代なのに不治の病にかかった順子。
再会した別の部員に順子が言う。「子どもの目が見えなくなる。私の角膜を移植して、息子が、その目でいろいろな -
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子供のない30代の夫婦の話
夫は映画の脚本家になることを諦めきれず定職はない。実家では母親が一人で暮らしている。
妻は看護師として働き生活を支えながら実母との確執に悩む日々。
夫がいつもの桜木さんの作品に出てくるクズ男だと思ってたら違うのよ笑
妻もわたしのイメージの看護師とは違うし…
お互いが相手に気遣いながら波風を立てないように
暮らしている日常が、夫と妻の視点から交互に語られていきます。
自分の至らなさに悩みながらも相手に対して不満を持つことはない。
劇的に変化が起きることもないし。
この空気感にイライラする人には向かない作品だな
わたしには良作でした:.゚٩(๑˘ω˘๑)۶:.。 -
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自己啓発本を読み漁っていた時期に度々出会した考えに「今を生きる」というものがありました。
過去を後悔するでも未来を心配するでもなく、今この一瞬に集中して全力で生きること。
順子ってこの典型なんだと思う。
今更変えられない過去を嘆くでもなく、心配したところでやって来てしまう未来に過剰に怯えることもない。ただ、今を全力で生きている。
そしてないものを数えるのではなく、あるものに目を向け感謝する。
だから彼女は死を前にしても「幸せだ」と言いきってしまう。
高校の同級生や順子の親はどうしても幸せをステータスや世間体で測ってしまうので、順子の“幸せ”が理解できない。仕事、パートナー、収入…ないものを数 -
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ネタバレ猛夫とサトミは80代の夫婦。
毎日母に電話をする次女の乃理が、母の異変に気付いた。
父に問いただし、母が認知症になったことを知った乃理は、実家とほとんど連絡を取ろうとしない姉の智代にそれを伝えた。
猛夫は腕のいい理容師で、中学を卒業した智代を進学させずに自分の跡取りとして修業をさせた。
しかし山っ気の強い彼は、うまい話に手を出して、結果自分の店を手放す羽目になる。
はしごを外された形になった智代は、それを気に実家と距離を置く。
母が認知症になったからといって、今更当てにされても…と思う。
もう、智代の逡巡が刺さりまくり。
私が中卒ではないし、後を継ぐ親の財産もないけれど、長女としての責任を -
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ネタバレ正直、最初の3分の2は、よくわからなかった。
端的に言うと、読み進めるのが辛かった。
ちっとも話が見えないから。
でもその後、そう狂言誘拐のあたりから、面白くなってきた。
序章で主人公が自殺する場面から始まるから、どんな展開かとハラハラしてたけど。
一応ハッピーエンドと言えなくもないラストに、少しだけ胸を撫で下ろした。
2件の殺人。宜なるかな。必然とも言える成り行き。
自分が彼女の立場でも、同じことをしてしまうかも?と思えるほど、真に迫ってた。
最初でグッとつかんで、中盤もたせる作りとは思ったが、もう少し何か捻りが欲しかった。
なので星1つ減らします。 -
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小心なのに虚勢を張る。欲しいとなれば後先見ずに突っ走る昭和の男。『人生劇場』の主人公、猛夫(タケオ)の名を見て「ホテルローヤル」や「家族じまい」を思い出した。
昭和13年の室蘭で、新川彦太郎とタミの間に生まれた次男の猛夫。「馬鹿タケ」と呼ばれ居場所のない猛夫を伯母カツが引き取り育てる。
戦争で皆が貧しかった時代。
鉄の町を襲った砲弾の雨。
敗戦後の町で生きる人々。
桜木紫乃さんがご自身の父親をモデルにしたフィクションで、巧みな人物描写が光る。
理容師を目指した猛夫の挫折。やっと叶えた夢の城で妻の頬を叩くしようもない男と、そんな男の人生に巻き込まれていく女たち。生きる希望を託し春生と名づ -
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廃墟になったラブホテルを舞台に、そこに積み重なった人間ドラマを少しずつ遡っていく構成が印象的でした。
短編ごとに時代が逆流するように進んでいくので、読みながら「この場所にはどんな人生があったのだろう」と覗き見している感覚になります。
地方を旅するときに、車でラブホテルの廃墟を通り過ぎることありますが、これまではただ通り過ぎるだけの建物にも、実は多くの人の孤独や愛情が刻まれているのかもしれないと思うと胸に迫るものがありました。
物語の中でホテルが廃業するきっかけとなる出来事に触れたとき、断片がつながって「そういうことか」と腑に落ちる瞬間があり、胸がキュッと締め付けられました。
毎 -
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綿矢りささんの「深夜のスパチュラ」は、現代っぽくて入ってきやすい。でも文章が続いていて読みにくい。主人公がかわいい。
一穂ミチさんの「カーマンライン」は、表現できないけれど良さがあって好きだと思った。双子って素敵だなあ。
遠田潤子さんの「道具屋筋の旅立ち」は、いかにも昭和的な男と、女の話で最初は嫌だなあって読んでた。でも、八角魔盤空裏走(はっかくのまばん、くうりにはしる)という言葉を聞いてからの優美の自分自身と向き合っていく姿が清々しかった。最後の誠とのシーンがなんかいいなあって。
窪美澄さんの「海鳴り遠くに」は、紡がれている物語の雰囲気がなんだか好きだなあ。最後ちゃんと結ばれてよかった。