桜木紫乃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
物語は、音信不通だった母・百合江の昏睡現場から始まります。理恵が従姉妹の小夜子と訪ねた町営住宅で、老衰した百合江が握りしめていたのは「杉山綾子」という名の位牌。理恵は、叔母の里美に促されてその位牌の謎を知る人物を訪ねていきます。ミステリーのような導入ですが、本書は百合江の生き様を描きながら「愛」の形を炙り出す物語です。
北海道の開拓村で生まれた百合江は、奉公先を飛び出し、夢を追い旅一座に弟子入りします。一座が解散すると、百合江は弟弟子の宗太郎と深い仲になり綾子という娘を授かりますが、宗太郎は姿を消してしまいますーーーー
百合江や妹の里美、そして母のハギは苦労します。ハギに至っては文盲でルコール依存症、夫や息子たちから暴力を受けても耐え続ける受け身で無力な存在として描かれ、手に職を持ちせっせと働く娘たちとは対照的です。本書に登場する男性がほとんど身勝手でクズなので、「女性の自立」「生きること」というテーマが際立ちます。一方で「ラブレス」というタイトルの意味も物語の展開とともにじわりと重要性を帯びてくるのがとてもいいです。
そしてラストはめちゃくちゃ泣きました。こんなに涙が出た小説はひさしぶりです。作中のキーワードを反芻してまたうるうる(TᵕT) -
Posted by ブクログ
他ト我 北原白秋
二人デ居タレドマダ淋シ、
一人ニナッタラナオ淋シ、
シンジツ二人ハ遣瀬ナシ、
シンジツ一人ハ堪エガタシ。
冒頭に書かれているこの白秋の詩で物語が始まる。
もうわたしは曇天の暗い北海道に迷い込む…
期待を裏切らない桜木ワールドの幕開けだ!!
この作品は前作「凍原」の第二弾であり、北海道警釧路方面本部シリーズです。
主人公を変え、一作目のバディだったキリさんが今作の主人公と組むといった設定です。
キリさんがサポートしながら主人公の女性刑事が成長していくのも物語の重要ポイント。
事件は北海道の海で発見された身元不明の老人…
指紋からすぐに身元は判明したのだが情報量の少なさから捜査は難航する。
北海道から青森へと被害者の足跡を辿るうちにわかってくる真実…
もう大好物のストーリーです:.゚٩(๑˘ω˘๑)۶:.。♡︎
そしてずっと暗い!哀しい!!
桜木さん大好き笑
全てが明らかになって読後の余韻に浸りながら
冒頭の白秋の詩を再び読む!
必ず読みたくなる!!
切ない。゚(゚´Д`゚)゚。
ちょっと印象に残ったセリフを残しておきます
生きてきた時間に良し悪しなんてないんじゃないかって思う…自分しか生きる箱がないこととどう折り合うか、一生かけて考えるんじゃないか…
善意の人だったと思うんですよ…言葉も言動も、なにもずれがない。ずれがないから他人の嘘と都合にも気づかないし気づけない…善意しか優先するものがないんです。
感情は希薄なくらいでちょうどいい
過剰なものを削ることも出来なければ、希薄なものを濃くすることも無理なんです。
落としどころを見つけるのも、生きる作業のひとつじゃないかと思うんです…
事実が真実とは限らない…
氷の轍というタイトルが胸にくる(/ _ ; )
桜木先生また警察小説書いて欲しいな〜
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Posted by ブクログ
ネタバレサイン会で買って2年半ぐらい積んでたけど7月に文庫化するようだから慌てて読んだ。
積んでたのを後悔するぐらい面白かった。
訳も分からないまま追われる身になった主人公。
周りに気づかれるのではないかと常にビクビクしながら暮らしていくのは息が詰まりそうになった。
とはいえ優しい人や変わった人もいて教団にいた時より幸せだったのではないかと思えるほど。
色んな人と出会って別れていくなかでどんどん本来の自分がなくなっていく虚ろさもあり読むのが止まらなかった。
なぜこうなってしまったのか、いつまでこうしていくのか自問する主人公はそのまま読者の自分にも返ってくる感じがした。
夢中で読んだけど、読後感は手からするりと物語が落ちていく感覚があった。
良かったのになんかうまく言語化できないのがもやもやする。