桜木紫乃のレビュー一覧
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沁みる、沁みる。
それぞれ独立した6つの短編、「兎に角」「スターダスト」「ひも」「グレーでいいじゃない」「らっきょうとクロッカス」「情熱」。一つの短編を読み終えるたびに、しばらく余韻に浸りたくなり、次の短編へとページをめくる手が止まります。
桜木作品には『ホテルローヤル』をはじめ、「血」「業(ごう)」「因縁」「宿命」といったキーワードが思い浮ぶものが多いですが、主に60代前後、熟年から老境にさしかかる男女を扱ったせいでしょうか、この作品では、そういったドロドロとした関係性は少なく。もちろん全体を通して暗調で、突き抜けるような解放感はありませんが、柔らかな感じの作品集です。
特に気に入ったのは「 -
Posted by ブクログ
7篇のショート短編集。
最初の話で、舞台であるホテルローヤルはすでに廃業し、廃墟となっていることが示される。時代が逆戻りする構成で、読み進むにつれて、ホテルローヤルに関わってきた人たちのドラマがひとつずつ語られる。
自分は一人旅が好きで、旅先ではよくホテルの廃墟を見てまわる。
当たり前だが、どの廃墟にも、人が住み、人が訪れ、毎日さまざまな出来事があったはず。今は誰もおらず、建物も朽ち果てている。そんな事を考えながら廃墟を見ると、何もかも終わってしまうのだなあ、でも、その時々でそれぞれの物語があったのだなあ、と考える。それぞれの物語の中では、それぞれの人が主人公だったのだろう。
この作品でも -
Posted by ブクログ
すごく良かった。
良かったという表現は不適切かもしれないが、すごく素晴らしい作品だった。
地下鉄サリン事件がモデルになっている作品であり、かなりセンシティブなテーマを取り上げている。
読む人によっては不快感を抱くかもしれない。
また、無実であるにも関わらず何故逃げ続けるのか不思議に思う人もいるかもしれない。
さっさと出頭すればいいじゃん、と。
いやいやいや...そんなこと冷静に考えられる精神状態なら最初からカルトに心酔しないんだわ...
逃亡生活の中で出会う多くの人々のバックグラウンドを丁寧に描いていて読み応え抜群だった。
この作品の心理描写の表現、とても好き。
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Posted by ブクログ
絵本が登場する5編からなる短編集。
卒婚を心に決めた主婦が
夫婦で出かけた豪華列車ななつ星の旅で
感じた気持ちは?(卒婚旅行)
ほんの数年、育ての母と娘だった2人が
支笏湖を眺めるホテルで過ごし、
言葉にせずとも想いを伝え合う。
それはあおい絵本となって完成した。
(青い絵本)
桜木紫乃さんの文章が好きだ。
一文が短く、リズムが心地よい。
響きが美しい。
景色や色や香りや空気を
感じさせてくれる。
例えば「卒婚旅行」の
カタタン、カタタンという音。
一緒に列車に揺られているような
気持ちになる。
カタタン、カタタンと気持ちも揺れる。
「青い絵本」では、あお、青、藍、紺、赤、黒、白、水色、 -
Posted by ブクログ
純愛だった。
プロローグが結末の話がすごく好きだから
冒頭から引き込まれた。
表現の仕方もすごく軽やかで展開もサクサクだから読みやすくて
17年間の彼女の生き様に夢中になった。
自分を隠して、他人として生きてきた彼女だけど
紛れもなく彼女の人生で
歪だけどまっすぐな愛の物語だと思う。
みどり、すみれ、まこと、梅乃、ジョー、ワンウェイ...
父親も母親も
みんなが彼女の人生をつくったんだと思うと
なんというか感慨深い。
自分の人生を考えさせられてしまう。
みんなにもみんなの人生があるんだなと。
それは紛れもなく自分のものなのだ。
最後まで読んだらプロローグに戻る。
これでこの物語は完