桜木紫乃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
絵本が登場する5編からなる短編集。
卒婚を心に決めた主婦が
夫婦で出かけた豪華列車ななつ星の旅で
感じた気持ちは?(卒婚旅行)
ほんの数年、育ての母と娘だった2人が
支笏湖を眺めるホテルで過ごし、
言葉にせずとも想いを伝え合う。
それはあおい絵本となって完成した。
(青い絵本)
桜木紫乃さんの文章が好きだ。
一文が短く、リズムが心地よい。
響きが美しい。
景色や色や香りや空気を
感じさせてくれる。
例えば「卒婚旅行」の
カタタン、カタタンという音。
一緒に列車に揺られているような
気持ちになる。
カタタン、カタタンと気持ちも揺れる。
「青い絵本」では、あお、青、藍、紺、赤、黒、白、水色、 -
Posted by ブクログ
純愛だった。
プロローグが結末の話がすごく好きだから
冒頭から引き込まれた。
表現の仕方もすごく軽やかで展開もサクサクだから読みやすくて
17年間の彼女の生き様に夢中になった。
自分を隠して、他人として生きてきた彼女だけど
紛れもなく彼女の人生で
歪だけどまっすぐな愛の物語だと思う。
みどり、すみれ、まこと、梅乃、ジョー、ワンウェイ...
父親も母親も
みんなが彼女の人生をつくったんだと思うと
なんというか感慨深い。
自分の人生を考えさせられてしまう。
みんなにもみんなの人生があるんだなと。
それは紛れもなく自分のものなのだ。
最後まで読んだらプロローグに戻る。
これでこの物語は完 -
Posted by ブクログ
昭和の北海道で生まれた次男の猛夫は、男兄弟に挟まれ両親の愛情の薄いなか、ただひとり伯母のカツだけが優しくしてくれ、そこで中学卒業まで育つ。
理容の道へと進みカツの元を離れるのだが、心身を滅ぼし戻ってくる…という始まりから理髪店を持ち家族をつくり、そしてホテル事業を始めるという、かなりの波瀾万丈の人生である。
幼い頃のひ弱で物静かなイメージから大人になるにつれて、こうまで変わってしまうのか…と思うほど感情が激しく抑えが効かない、欲しいものが目の前に現れるといてもたってもいられない性格に落ち着くことはないのかと思ってしまう。
伯母のカツが亡くなれば、駒子が心の拠り所となってはいたが、最後まで -
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Posted by ブクログ
ネタバレ好きが詰まった盛り合わせ!めっちゃ良かった!
最悪よりは平凡 (岛本理生)
魔美のしんどさがしんどくて、それでも好きな人ができてこれから始まっていく感じに、人生捨てたもんじゃないよねと思えた。
深夜のスパチュラ (綿谷りさ)
ひとりで買物行く時のグルグルハイテンション感にめちゃくちゃ共感。スパチュラに泣けちゃう気持ちもわかりみしかなかった。
カーマンライン (一穂ミチ)
回想から始まるストーリー展開に安心感。「ホテル・ニューハンプシャー」読んでみようと思った。
無事に、行きなさい (桜木紫乃)
「アプンノ パイエ」の言葉の意味と2本の線のデザインがそのまま主人公へのメッセージになっていて良か -
Posted by ブクログ
ネタバレ2025/02/28リクエスト 1
まさに桜木紫乃作品。
室蘭で四人兄弟の次男に生まれた猛夫が主人公。兄にいじめられ、母には冷たくされる日々、そんな中、伯母のカツだけが猛夫を可愛がってくれる。養子でもなく口減らし的に、カツのもとで育てられる。理容師修行のため札幌に出たが精神的に崩し挫折して室蘭に帰る。
その後、床屋独立、結婚、子どもが産まれ、ラブホテル経営と、山師的な生き様。
父親をモデルに描かれたとのこと、小説として面白く読めるが実際暮らすには大変な人だろう。この猛夫は幼少期に兄に暴力を受けたのに、結局、妻に暴力をふるう男になってしまった。あんなにカツによくしてもらって性根を入れ替えた、とは