桜木紫乃のレビュー一覧
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7篇のショート短編集。
最初の話で、舞台であるホテルローヤルはすでに廃業し、廃墟となっていることが示される。時代が逆戻りする構成で、読み進むにつれて、ホテルローヤルに関わってきた人たちのドラマがひとつずつ語られる。
自分は一人旅が好きで、旅先ではよくホテルの廃墟を見てまわる。
当たり前だが、どの廃墟にも、人が住み、人が訪れ、毎日さまざまな出来事があったはず。今は誰もおらず、建物も朽ち果てている。そんな事を考えながら廃墟を見ると、何もかも終わってしまうのだなあ、でも、その時々でそれぞれの物語があったのだなあ、と考える。それぞれの物語の中では、それぞれの人が主人公だったのだろう。
この作品でも -
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すごく良かった。
良かったという表現は不適切かもしれないが、すごく素晴らしい作品だった。
地下鉄サリン事件がモデルになっている作品であり、かなりセンシティブなテーマを取り上げている。
読む人によっては不快感を抱くかもしれない。
また、無実であるにも関わらず何故逃げ続けるのか不思議に思う人もいるかもしれない。
さっさと出頭すればいいじゃん、と。
いやいやいや...そんなこと冷静に考えられる精神状態なら最初からカルトに心酔しないんだわ...
逃亡生活の中で出会う多くの人々のバックグラウンドを丁寧に描いていて読み応え抜群だった。
この作品の心理描写の表現、とても好き。
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Posted by ブクログ
絵本が登場する5編からなる短編集。
卒婚を心に決めた主婦が
夫婦で出かけた豪華列車ななつ星の旅で
感じた気持ちは?(卒婚旅行)
ほんの数年、育ての母と娘だった2人が
支笏湖を眺めるホテルで過ごし、
言葉にせずとも想いを伝え合う。
それはあおい絵本となって完成した。
(青い絵本)
桜木紫乃さんの文章が好きだ。
一文が短く、リズムが心地よい。
響きが美しい。
景色や色や香りや空気を
感じさせてくれる。
例えば「卒婚旅行」の
カタタン、カタタンという音。
一緒に列車に揺られているような
気持ちになる。
カタタン、カタタンと気持ちも揺れる。
「青い絵本」では、あお、青、藍、紺、赤、黒、白、水色、 -
Posted by ブクログ
純愛だった。
プロローグが結末の話がすごく好きだから
冒頭から引き込まれた。
表現の仕方もすごく軽やかで展開もサクサクだから読みやすくて
17年間の彼女の生き様に夢中になった。
自分を隠して、他人として生きてきた彼女だけど
紛れもなく彼女の人生で
歪だけどまっすぐな愛の物語だと思う。
みどり、すみれ、まこと、梅乃、ジョー、ワンウェイ...
父親も母親も
みんなが彼女の人生をつくったんだと思うと
なんというか感慨深い。
自分の人生を考えさせられてしまう。
みんなにもみんなの人生があるんだなと。
それは紛れもなく自分のものなのだ。
最後まで読んだらプロローグに戻る。
これでこの物語は完 -
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昭和の北海道で生まれた次男の猛夫は、男兄弟に挟まれ両親の愛情の薄いなか、ただひとり伯母のカツだけが優しくしてくれ、そこで中学卒業まで育つ。
理容の道へと進みカツの元を離れるのだが、心身を滅ぼし戻ってくる…という始まりから理髪店を持ち家族をつくり、そしてホテル事業を始めるという、かなりの波瀾万丈の人生である。
幼い頃のひ弱で物静かなイメージから大人になるにつれて、こうまで変わってしまうのか…と思うほど感情が激しく抑えが効かない、欲しいものが目の前に現れるといてもたってもいられない性格に落ち着くことはないのかと思ってしまう。
伯母のカツが亡くなれば、駒子が心の拠り所となってはいたが、最後まで -
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ネタバレ好きが詰まった盛り合わせ!めっちゃ良かった!
最悪よりは平凡 (岛本理生)
魔美のしんどさがしんどくて、それでも好きな人ができてこれから始まっていく感じに、人生捨てたもんじゃないよねと思えた。
深夜のスパチュラ (綿谷りさ)
ひとりで買物行く時のグルグルハイテンション感にめちゃくちゃ共感。スパチュラに泣けちゃう気持ちもわかりみしかなかった。
カーマンライン (一穂ミチ)
回想から始まるストーリー展開に安心感。「ホテル・ニューハンプシャー」読んでみようと思った。
無事に、行きなさい (桜木紫乃)
「アプンノ パイエ」の言葉の意味と2本の線のデザインがそのまま主人公へのメッセージになっていて良か