あらすじ
岐路に立ち、惑う人々に贈る 喪失と再生の記憶。
この物語は、あなたの明日をやさしく照らす――
絵本作家として活躍する高城好子はかつて美弥子の継母だった。
漫画家のアシスタントを生業とする美弥子は、旅の誘いを受けて再会した好子が余命幾ばくもないと悟る。
共同制作したいという好子の望みを叶えるため、 “母”と“娘”は湖畔のホテルで絵本『あお』の構想を深め合う……(「青い絵本」)。
作家、編集者、セラピスト、書店員――さまざまな形で絵本に関わる人々が、絵本を通じて過去と対話し再生する姿を、静謐な筆致で紡ぎ出す。
表題作ほか全5話収録、短編の名手が、人生の光と影を描いた珠玉作品集。
感情タグBEST3
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もう若さはないが1日1日をただ出来る事をしてきた女性達がこの本の主人公 そしてそこには一冊の絵本が出てくる 表題になっている「青い絵本」文と絵が重なっていく様子に涙がでた
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絵本がつなぐ人の思いを描いた短編集。
桜木さんの文章は、読者の想像の余地をちょうどよい具合に残してくれていて、なんというか絵画みたいだな(美術のことは全く分からないけど)と常々思っていたけど、それをより強く感じた。
親との関係や家族の死や、いろんなことが理由で立ち止まらざるを得なかった人たちが、時間をかけて自分を足止めさせていたことに向き合い、再び歩き出していく。
そんなストーリーになんだか励まされているような気持ちになれた。
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絵本が登場する5編からなる短編集。
卒婚を心に決めた主婦が
夫婦で出かけた豪華列車ななつ星の旅で
感じた気持ちは?(卒婚旅行)
ほんの数年、育ての母と娘だった2人が
支笏湖を眺めるホテルで過ごし、
言葉にせずとも想いを伝え合う。
それはあおい絵本となって完成した。
(青い絵本)
桜木紫乃さんの文章が好きだ。
一文が短く、リズムが心地よい。
響きが美しい。
景色や色や香りや空気を
感じさせてくれる。
例えば「卒婚旅行」の
カタタン、カタタンという音。
一緒に列車に揺られているような
気持ちになる。
カタタン、カタタンと気持ちも揺れる。
「青い絵本」では、あお、青、藍、紺、赤、黒、白、水色、いろんな色味を見せてくれた。青色の様々な表情が人生の味わいを表すかの様に。
読み終わって、もう一度読み返したくなる、何度でも味わいたくなる本。沁みるフレーズは毎回変わるんだろうな。
表題作が一番良かったけど
どの作品もそれぞれの良さがあって
本当に味わい深い短編集。
死を考える、生き方を考える、
心の奥底にあるものに気付かされる、
素晴らしい本でした。
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5編それぞれがとてもいいです。
そして最後の青い絵本がいちばん好きです。
この作家さんはこれで二冊目の本。
ちょっとすべて読みたくなりました…
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人生の半ばを過ぎ、あるいは老境に入り、来し方を振り返り幕の引き方に思いを致す。
静謐に、残りの時間、閉じようとする生に色合いを添える短編集。
「いつもどおり」「青い絵本」がとりわけ良い。
絵に言葉を添えるか、言葉に絵を添わすか。
対処に虚心で向き合うとき、それぞれの前作者の心と共鳴し一体化する。
心の深い箇所に触れる良書。
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絵本をフックに、新たな人生を踏み出してゆく5人の女性を描く。覚悟、決断、そして別離。彼女たちの強い意志が行間から立ち昇る。静謐で毛色が異なる深い短編小説でした。
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表題の青い絵本を含む5つの短編集
どのストーリーも少し淋しくて、悲しくて
でも、絶望するような辛さはなく、淡々と頑張って行こうと思えた。
青い絵本が中でも一番好きかな…
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紫乃さんの一行にゾ〜とすることがある。
心が、不安になることもあれば、嬉しくてたまらないこともある。
小説なのに、詩のように心に響く〜だから〜何度も読み返す❢
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あお色を想う、浸る。
卒婚と、列車の旅。
春採湖。
初心にかえって。
編集者。
あなたは しっていた
こころと こころの まじりあう
こうふくな しゅんかんを
みずうみのむこうぎし
ひろがるけしき
せかいがしずかな
ひとりのたび
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以前『ホテルローヤル』を読んだ時に、従業員のエピソードがあったことを思い出した。
何も求めず、受け入れる事で生を繋いでいる、そんな印象を受けた。
この短編集を読むと、無性に彼女を思い出す。
でも、ここに登場する人達は、諦めのその先に自らたどり着けている。
一番しんどい時間を過ぎた後の穏やかな感情
私はまだその境地にいけない、そんな生き方をしてきてない。
だから、彼女達の背景に勝手に涙する。
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北海道の美しさと共に、鮮明に青のイメージが広がる絵本に関わる人たちの短編。
今まで読んだことのある激しい展開より、心地よい静けさを感じ、それでも心に深く刺さる心情描写、やるせなくも最後は澄んだ気持ちになれました。
鍵 key、いつもどおりが沁みました。他愛のない日常のありがたみを感じます。それぞれの人生への捉え方にぐっと深みがありました。
喪失と再生の繰り返しなのだなと思います。様々な岐路に立ち、その先に人生の終焉をも考えさせられるようになってきました。なのに、本当に自分の足で歩くときが来た。やはりそう感じるのは、まだまだだと、背中を押されているようでした。
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人生も後半にさしかかった女たちの短編集。
苦しかったことも嬉しかったことも時間とともにその人の一部となる。喜びばかりではない人生だからこそ、彼女たちのそばに『絵本』があるのかなと思った。
おとなの絵本というのがあるけれど、子どものための絵本でも、人と出会うと心に深く残る作品であったりする。
それぞれの短編は静かな語り口だ。初めて読んだ作家さん、とても優しい。彼女たちの未来と、北海道の寒さに思いを馳せる。冬に読めてよかった一冊。
本作に付録として入っていた、たかしろこうこの『青い絵本』は、作品を読んだ後に読むのをおすすめしたい。いつ読んでも差し支えはないけれど、じんわりと心に沁みてくる。
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北海道を舞台に描かれた5つの短篇集
絵本作家の母、彼女とは血の繋がりもない。父とは音信不通なのに、人生の岐路には、いつも横に彼女は寄り添ってくれた…
旅の誘いを受け、再会した彼女は…余命いくばくもない。彼女の望み、絵本『あお』の構想を深め合う……青、蒼、葵、碧
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決して明るいストーリーではないのに、読んでいて穏やかで心地よさを感じました。
お気に入りは、「卒婚旅行」と「青い絵本」。
「卒婚旅行」
卒婚を描いた作品なのに殺伐とした空気とは程遠い、穏やかで優しい雰囲気が良かった。
夫の願いが沁みた。その願いに相手への愛情が透けていて切なくなった。
好きな人の声が愛おしい気持ちに、懐かしさを覚えてしまいました。
「青い絵本」
血の繋がらない、切れてもおかしくない「母」と「娘」。二人の距離感が心地よく、それぞれが歩んできた人生を思う。
タイトルと表紙に繋がるストーリーがいい。
桜木紫乃さんの文章を、今度は長編を読んでみたい。
Posted by ブクログ
ブルーの装丁に いつも惹かれてしまう
自分の心の持ちようで ブルーの色が
爽やかで清々しく感じるときもあれば
仄かに暗くどんよりと映るときもある…
この作品は 静謐な空気が感じられて
どの物語も深く
どこまで広がっていくような印象でした
どの短編も絵本に影響を受け
絵本が大切な人生の伴奏者として描かれていて…
絵本好きには たまらない作品でした♡
特にお気に入りな短編は
★青い絵本
★卒婚旅行
読み終わる頃には 私の心も
涼しげで爽やかなアイスブルーの
景色が広がりました
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絵本に関わる熟年の大人の本かな。
今の私が読むには早すぎたかと思う。
義母のことを想ってしまう。
あと10年後20年後かにまた読んでもいいかな。
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絵本にまつわる5つのお話し。
「絵本」だし「短編」だしと、
うっかり気楽に読み始めてしまったのだけれど
深い。後半の二つは特に。
じっくりと、じんわりと主人公たちの人生が心に沁みてくる。
小説なのに、絵本を読んだ後のように
光り輝く様々な碧い色が
いつまでも脳裏に浮かんで来るのでした。
Posted by ブクログ
表紙の青色に惹かれて手にとった。
絵本は、子どもの頃読んでもらって幸せな想いや楽しい思い出があったり。
大人になり、読み聞かせしての思い出が出来たり。
子どもの頃に受けた印象と大人になり読んだ後とでは、感想などが違ったり。
絵本といえば、子どもが対象のような感じも受けますが、大人も十分楽しめると思う。
5編からなる話の中で、私が良かったなと思ったのは、“鍵key”と“青い絵本”。
青い絵本の中の作品『あお』、実際手に取って読んでみたいと思った。読んでいて、色々なあおを想像した。
表紙は、美弥子と好子が見た支笏湖の碧なのでは??と思った。
皆さんがみた “あお”は、どんなあおですか?
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桜木紫乃さんの五編の短編集。
表題作の「青い絵本」では、一時期親子だった2人の来し方行く末が描かれていました。
絵本作家と漫画の背景を描くアシスタントの2人の合作の絵本は、どんな青色で表現されたのか、とても興味深くて見てみたいなと思わせてくれました。言わなくてもわかってしまった悲しい事実と向き合って懸命に作られた絵本。親子として過ごす時間は少なかった2人だけれど、この絵本がずっと2人の繋がりを残してくれることになったのが、とても印象的でした。
もうひとつ印象的だった短編は「卒婚旅行」です。定年後の夫婦の生活は、お互いの思いがすれ違うとよく聞きます。この短編もまさしくそのとおりでした。
ななつぼしの列車の旅を楽しみにする夫。ひとつの決意のもと、計画的にひたすら掃除をする妻。妻の立場は、わかる、わかるでした。
卒婚という言葉を聞いてからの夫は、穏やかに自分の思いをとつとつと語ります。そこで始めてお互いの心うちが通じたように思いました。こういうときに穏やかに話せる人を選んで結婚していたことが、とても羨ましく感じた短編でした。
「卒婚旅行」
「なにもない一日」
「鍵key」
「いつもどおり」
「青い絵本」
Posted by ブクログ
湖面と同じ目線で楽しんだ支笏湖温泉に樽前山登山。青い絵本にピッタリの懐かしいさまざまな“あお”の情景目に浮かぶ。絵本も見たくなった。
「あなたは しっていた
こころと こころの まじりあう
こうふくな しゅんかんをー」
青い絵本は⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
Posted by ブクログ
人生をどのように締めくくるか。
絵本に纏わる5つの短編集です。
小さい時にはもちろん絵本は読みましたが、自分が好きな絵本はなんだったろうと思いました。
各短編は短い言葉(絵本の内容)をどのように捉えるか。
哲学的でもあり深い内容だった気がします。
個人的には、やはりタイトルの「青い絵本」でしょうか。
青って色々な青がありますが、いろいろな感情の青があると思うと深いです。
心にそっと触れられた気がする小説でした。
Posted by ブクログ
絵本に纏わる5つの短編集。
さまざまな形で絵本に関わる人々が、絵本を通じて過去と対話し再生する姿を描いている。
絵本は、短いことばでいちばん伝えたいことを表現していると思う。
その1行に込められた思いが、今の自分の心に届いたときに感動し何度も読み返す一冊となる。
そんな絵本を誰もが持っているのだろう。
卒婚旅行〜大人のための絵本読み聞かせに出会ってから絵本セラピストの資格を取得していた妻に読んでもらったのは『ほら、みて』。
なにもない一日〜やや子が朗読する短編小説の話から義母が昔、夫に読んであげた記憶があった絵本が『だいすき だいすき』。
鍵key〜小説家の夫を亡くし、閉店するまで書店で働いた15年、最後に買った一冊『鍵key』を持ち息子に会いに。
いつもどおり〜キダジュンが描いた「今際」の作品集に文章をつける仕事を依頼したのは小川乙三であり、小夏は書いた『いつもどおり』。
青い絵本〜絵本作家として活躍する高城好子は、かつての美弥子の継母だった。彼女に誘われて行った旅行で余命幾ばくもないことを知り、彼女の望みで絵を描き『あお』が最後の一冊となる。
Posted by ブクログ
人生の終焉に向かう人、
自分の人生を見つめ直す人が
たくさん描かれており、
どれも儚く優しいお話だった。
そしてそんな優しい話に寄り添う絵本の数々に、
改めて絵本の偉大さに触れた気がした!
特に好きな話は表題作。
「あお」には碧や藍...本当に様様な種類があって、
その色には悲しみのイメージがあったけど、
実は温かさも表現できる色であることを
主人公の母好子さんが教えてくれた。
「あお」っていいな。とても好きな色になった…
人生の分岐点になったらまた読みたい作品。
Posted by ブクログ
絵本って言葉が少ない分、心の奥にすっと入ってくる気がする。だから、大人になってから絵本を読むのも、子どもの時とはまた違った楽しみ方があって良い。
そんな大人の絵本にまつわる短編集が5つ。好きだったのは「卒婚旅行」と「青い絵本」。
「卒婚旅行」はひたすら晴美の気持ちに共感。
「青い絵本」は美弥子の描いた青い絵を想像しながら…青って、確かに喜びも悲しみも表現できる色なのかもしれない。
Posted by ブクログ
短編集5篇
別れや再出発とそれぞれの1篇に象徴するような絵本のコラボ。手にとって読んでみたくなるような絵本が心に残る。息子の元へと列車に飛び乗った書店員の「鍵」が良かった。
Posted by ブクログ
好きな話は「卒婚旅行」、印象が強かったのは表題作の「青い絵本」だった。卒婚旅行はその後の2人の生活、関係が気になる。青い絵本は読んでいる最中にいろいろな青をイメージした。