桜木紫乃のレビュー一覧
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ネタバレ桜木紫乃氏、「ホテルローヤル」「蛇行する月」を読み、筆力のある作家、と思っていました。さて税込2,750円の長編、どんな本に仕上がっているのか…
題材は、昭和54年、1979年に起きた、銀行人質立てこもり事件。当時私は高校生か…この事件、テレビ中継や新聞報道で内容を知ったはず。Focus、Fridayが創刊するのは1980年以降で当時はまだ存在していない。
本書では事件そのものにほとんど触れない。焦点は、犯人の花川清史の母、内縁の妻、の目線を主に、なぜこの男が犯行に至ったのかをゆっくりと描き出す。
作中、描き出す側としてこの事件のノンフィクションをまとめる記者とその上司も重要な登 -
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ネタバレ釧路の高校で同級生だった女性たちのその後の人生を追う小説。
それぞれの章が清美、桃子、弥生、美菜恵、静江、直子と全6章から構成されているが、いずれの話にも登場する『順子』という女性がいる。この『順子』が主人公の章は無いのだが、それぞれ物語の話題として登場するのだ。
順子は高校卒業後に就職した札幌の和菓子屋の20歳も上の旦那の子供を孕んでしまい、東京に駆け落ちするが、彼女はどんな貧乏な貧相な状況でも『私は幸せだ』と言い切る。
6章のうちの4章(清美、桃子、美菜恵、直子)は順子の同級生。
残りの2章、弥生は和菓子屋の捨てられた妻であり、静江は逃げた順子の母親の立場での物語。
人はいま自分が幸 -
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「兎に角」60年振りに再会した同級生と、自分ならどんな言葉を交わすだろう…淡い夢物語がシャボン玉のようにポッと浮いてプチンと消える。「ひも」70代ホストの登場に驚く!さらに”ボケたら関係解消”が条件の美容師のひもだという。70代で、こんなに豆に動けるのは愛情のたまものではないのかと、ほっこりと感動。「グレーでいいじゃない」厳しいピアノ教師に育てられた息子とその母との関係。昔の母は、”背中を読め”と本音なんて見せなかった!「スターダスト」久し振りに、コルトレーンの”スターダスト”を聴いてみた。みんな優しい。短編集。中年と呼ばれる事にもとうに慣れ、体力的にも心の有り様にも、淡白になる男と女の物語。
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二人暮らしの夫と妻 交互の視点で描かれた連作短編集。
『ふたりぐらし』というタイトルに
同じ身の上として食指が動いた。 ただ 私の場合はプラス 猫一匹とときどき義母だけれど。
定職に就かず脚本家の夢を追う不惑の夫・信好とそれを支える看護師の妻・紗弓 三十五歳。
信好の胸中は常に自尊心と妻への遠慮でせめぎ合っている。一方 紗弓は収入の大部分が生活費に消えてしまい ごく近い将来さえも見えないという不安を抱えている。
家計のやりくりもさることながら、
お互い 相手を傷つけないように そして自分も傷つかないようにと気持ちのやりくりも大変そうだ。
本書には様々な形の “ふたり” が出て -
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開拓小屋で育った百合江の生涯 妹と自分達の娘の人生 父の卯一はいつも酒ばかりを飲み、母は何も言わない人になり、中学を出て牛舎の仕事ばかりさせられる弟たち、家族は貧乏から脱出する事はできなかった。昔は皆こんな時代だったかも。ただ最後まで百合江を思う人がいた。石黒だ。男はその場を過ぎると逃げる。だが、石黒だけは最後までゆりえを大切に思っていた、人は育った環境に大きく左右されるのかこの本を読んでそう感じた。ただ昨日を捨てる事はできないダブレスとは「愛がない 愛情を感じない。愛されない。冷たいと言った意味」百合江はラブレスのような人だったのかな、桜木紫乃の本は本当に飽きが来ない。
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高校の同級生だった二人の女医を軸に、不器用な男女の関係を描いた連作短編集。
「十六夜」
過去のトラブルを背負い、離島の診療所に勤める女性医師。
彼女は社会を恨むことも、自分を省みることもなく、ただ淡々と生活している。贖罪も再生もなく、あるのは日々をやり過ごす身体。
島の男との恋が海の飛沫のように。
「ワンダフル・ライフ」
母親に請われ、個人医院を開業した女性医師。
自分にも他人にも厳しかった父を亡くしたあとも、彼女は毅然とした母の「良い娘」であり続ける。人生の最期に、彼女は恋した人を求める。
「おでん」
前作で描かれた、個人医院の家。
その建物が売りに出され、次の人生へと受け渡されていく -
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子どものいない夫婦の日常が、淡々と描かれています。仕事を選び働かない夫が出てきますが、家事はしますし、妻も生活優先で給与の安い勤務先に転職した過去があります。
経済的には厳しいけれども、相手を批判せず、互いに認めながらも、どこか言い出せない秘密がある。そんな夫婦の話。
結婚は当人同士の話ではあるけれども、互いには育ててくれた親があって、それがどんな親であれ、関係ないとは割り切れない当人たちの気持ちが丁寧に描かれています。
家族を想う言葉が、ストレートすぎれば反発を招き、気遣いが過ぎれば重くなる。縁の切れない家族との付き合いは他人よりも難しい。
切なく優しい大人向けの話でした。 -
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ネタバレ桜木紫乃ならでは、という筋立て。釧路の高校で図書部だった女子高生4人がそれぞれたどる人生を描く。
国語教師に恋し、官舎に押しかけ愛を告白した女子高生時代。時は流れ同じ国語教師と結婚したのは別の図書部員だった。
就職した和菓子店の職人と駆け落ちした順子。職人は店主である妻の前から、身ごもった順子とともに北海道から東京へ逃げる。時は流れ失踪宣言がなされ、順子はこの世に存在しなくなった夫と、その間にできた子と暮らし…苦労の末、これから、というところでまだ40代なのに不治の病にかかった順子。
再会した別の部員に順子が言う。「子どもの目が見えなくなる。私の角膜を移植して、息子が、その目でいろいろな