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道東釧路で図書館長を務める林原を頼りに、25歳の妹純香が移住してきた。生活能力に欠ける彼女は、書道の天才だった。野心的な書道家秋津は、養護教諭の妻伶子に家計と母の介護を依存していた。彼は純香の才能に惚れ込み、書道教室の助手に雇う。その縁で林原と伶子の関係が深まり……無垢な存在が男と女の欲望と嫉妬を炙り出し、驚きの結末へと向かう。濃密な長編心理サスペンス。
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Posted by ブクログ
桜木紫乃にはまりつつある。 中年の男女がメールの行間を読んだり嫉妬したり絶望してたり、じめっとしてるけどリアルな人間模様の作品。このまま終わっていくと思ったら、中盤とラストで2段階の衝撃にやられた。秋津のその後が知りたいような知りたくないような。 発達障害で、若く純真無垢な純香を介して、周りの大人た...続きを読むちが欲望や嫉妬でそれぞれ破滅していくようなぞくっとする一冊だった。
純香と龍生の母、それぞれの家庭が持つ闇の部分をうまく表現している。 最後がすごい純香からの龍生へのプレゼント! こんな展開があるなんて!!! 桜木紫乃のすごさを見た。
覚悟はしていたけど、 重く苦しく悲しかった それでも、桜木さんの小説は 読もうと思わせてくれる力強さがある 純香を思う、気持ちや葛藤 寝たきりの母親と息子の静かな駆け引き なみだがとまらなくなりながらも ゾッと背筋が寒くなったりして 人の心の奥底のこわさが辛かった
うわ〜…面白かったです。 他の方々の評価は、低めな印象でしたが、十分に面白かったと思います。 じっとりした展開で、秋津親子にはずっと嫌悪を感じながら読みました。最後の展開も、あ、なるほど…と納得。伶子さんが秋津と離婚したら、幾分気持ちがスッキリするのに…とモヤモヤ。でも、最後の展開が周囲に発覚...続きを読むすれば、さすがに伶子さんも見限るのかな? 私的に、嘉史にも、もう少しスポットを当てて、心情を描いて欲しかったなと思いました。
結末は終わりではなく、始まりである。 思えば、この作品においてはすべてがそうかもしれない。 何かが終わること、それは取りも直さず、何かの始まりとまったくの同義なのだ。 全体の作りとしては、上質な、けれどももどかしい、大人の恋愛である。 大人の恋愛と本来は相反するプラトニックな愛と交流が(途中まで...続きを読むは)描かれている。それを浮き彫りにしているのが不倫という道ならぬ恋と、母親の介護、日の目を見ない才能という生々しいものだ。 終盤に入って、物語は急展開を迎えるが、それはそれまでにたくさんあったわだかまりの、一つの出口の塊なのかもしれない。 心理戦(といってよいのか、わからないが、幾人ものモノローグが語ること)が多く、12回の連続ドラマにしたらもしかしたら物足りないかもしれない。けれどもだからこその重厚な物語の造形であるように感じる。 桜木紫乃さんは生身の人間を描くのが上手だ。 それもある程度、自分自身に諦めているような、自分の弱さを知っている、けれども懸命に毎日を生きている、どうにかして前に進んでいる、どうしようもない人を描くのが上手だ。 角度によっては、誰もがそういう弱さや生々しさを抱えている。それを教えてくれる。 絶対的な悪なんてどこにもいないのと同じように、絶対的な善なんてものも、やっぱりない。 人は思惑を持って生きている。その思惑に自分を染めている人もいれば、その思惑に辟易し、けれどもそれにすがって生きていくしかない人もいる。 そしてやはり、道東に行きたい。
本のタイトルにピッタリの話。無垢の領域がひたひたと広がり周りを侵食していく。桜木紫乃さんの人の心の動きを丁寧に書いてるところが好き。しかし呆けてる事を装いながら生活するほどの念、欲望って末恐ろしいわ。。
桜木さんらしい抑えた筆致は林原兄妹と秋津夫妻が出会ったことで、何かしら不幸なことが起こることを最初から予感させる。信輝、伶子、龍生の悩み揺れる心理描写に、いつ不幸が起こるのかと身構えながら読んでいる部分がありました。若干引っ張りすぎで冗長かなとも思えますが、1か所だけ純香の視点を入れたのは効果的だっ...続きを読むたと思う。彼女の才能が明らかになった時点でオチは予測できたけど、これから先、どうするのかなと余韻を持たせる終わり方だった。
大人の男と女、ある時は自ら共鳴し、そしてある時はすれ違う。そんなどうしようもない、滑稽ですらある交わりが一人の純粋無垢な女性を媒介にして饒舌に語られる。ちょっとした心の揺らぎや迷いを掬い上げる言葉の数々が鋭く迫ってくる。
違う人間の価値観で作られる違う人生が混ざり合う物語。 小説は1つの事件に全員が巻き込まれる形式が多いけど、この作品はそれぞれに事件がある中で全員がゆるく絡み合い、人生、という感じがした。 自分の卑屈さを紛らわすために、より惨めになりたい気持ち。 自分の冷たさに気づかないように傷を求める気持ち。 自...続きを読む分の狡さを隠すために、相手に委ねる気持ち。 人間の汚い感情が丁寧に描写されていて、そこに存在する無垢が強調されていた。
北海道の地方を舞台に鬱屈した想いを抱えた三者三様な登場人物による愛憎劇とでも言おうか 主要登場人物3人誰もが煮え切らず共感はしにくいが、ストーリーとしては読ませる
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桜木紫乃
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