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Posted by ブクログ
結末は終わりではなく、始まりである。
思えば、この作品においてはすべてがそうかもしれない。
何かが終わること、それは取りも直さず、何かの始まりとまったくの同義なのだ。
全体の作りとしては、上質な、けれどももどかしい、大人の恋愛である。
大人の恋愛と本来は相反するプラトニックな愛と交流が(途中までは)描かれている。それを浮き彫りにしているのが不倫という道ならぬ恋と、母親の介護、日の目を見ない才能という生々しいものだ。
終盤に入って、物語は急展開を迎えるが、それはそれまでにたくさんあったわだかまりの、一つの出口の塊なのかもしれない。
心理戦(といってよいのか、わからないが、幾人ものモノローグが語ること)が多く、12回の連続ドラマにしたらもしかしたら物足りないかもしれない。けれどもだからこその重厚な物語の造形であるように感じる。
桜木紫乃さんは生身の人間を描くのが上手だ。
それもある程度、自分自身に諦めているような、自分の弱さを知っている、けれども懸命に毎日を生きている、どうにかして前に進んでいる、どうしようもない人を描くのが上手だ。
角度によっては、誰もがそういう弱さや生々しさを抱えている。それを教えてくれる。
絶対的な悪なんてどこにもいないのと同じように、絶対的な善なんてものも、やっぱりない。
人は思惑を持って生きている。その思惑に自分を染めている人もいれば、その思惑に辟易し、けれどもそれにすがって生きていくしかない人もいる。
そしてやはり、道東に行きたい。
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