桜木紫乃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
(2023年12月21日の感想。帰りのバスで書く。)
アンソロジーっていいよね。宝箱みたい。いろんな作家さんたちが一度に会していて豪華。
この本を買った頃は丁度自分のなかで島本理生、窪美澄、一穂ミチのブームが来ていた。だからウッキウキで買って、そのあと暫く読めずにいたのを今になってようやっと読めた。
面白かったのは綿矢りさ「スパチェラ」
綿矢りさは、中学生の頃に『蹴りたい背中』、大学二年の秋に『勝手にふるえてろ』を読んだ。両方とも、それから今回の「スパチェラ」にも当てはまることだけど、今を生きる若い女の子を描くのが本当に上手。綿矢りささん自身は歳を重ねているのに、寧ろ作品のなかではより若く、より瑞々しく、そしてより甘く仕上がってきていて面白いと思う。
桜木紫乃「無事に、行きなさい」も印象的だった。
別れを告げる言葉を持たない民族のさよなら、無事に、行きなさい。別れる人の無事を願うことができるなんて懐が深いと思った。私は馬鹿みたいに重たいから、倫彦の無事なんて絶対願わない。私の預かり知らぬところで不幸になってくれと思う。
意外だなって思ったのは窪美澄「海鳴り遠くに」
この人こんなキャラクターも描けるのね、という点で意外だった。絹香のような子、珍しい気がする。最初に読んだのが『やめるときも、すこやかなるときも』だったから、多分その影響を引きずっているのだろうけど。年が明けたら『さよなら、ニルヴァーナ』読もうかなって計画中。 -
Posted by ブクログ
桜木紫乃『ブルース Red』文春文庫。
『ブルース』の続編。『ブルース』は極貧の中から這い上がる影山博人という孤独な男と、彼に溺れる女たちの姿を描いた連作短編集だったが、本作では影山博人の娘の莉菜を主人公に釧路の街で父親の影を追う独りの女の熱い生き様を描いている。
本作は、ワルい女を演じる独りの女性を主人公にしたハードボイルドのような風合いの不思議な小説であった。著者は敢えて意識してなのか、端々で多くを描かず、読んでいると逆にその描かれない部分に想像が膨らんでいく。
タイトルの『ブルース』のような小説ではなく、古いジャズの雰囲気が全編に漂う骨太の小説である。主人公の影山莉菜は街を支配するためには女衒にも殺人者にもなるのだ。
霧の立ち込める釧路で極貧の中、六本の指を持って産まれた影山博人は、自ら六本目の指を切り落とし、夜の支配者としてのし上がる。しかし、博人は殺害され、博人を殺害した男は娘の莉菜に嬲り殺される。
かつて父親の用心棒を務めた齋藤弥伊知に助けられながら釧路の街を裏社会から牛耳る影山莉菜は、昔のやり方では街の支配が難しいと知り、父親の忘れ形見ではある松浦武博を跡継ぎに考える。
武博を釧路の市長に据え、後には国政に進出させようと陰から手を差し伸べる莉菜の前に、かつて博人により市長の座を奪われた元市長の娘が現れる。元市長の娘で女医を務める儀俄内あすみは、莉菜の助言で釧路市長に立候補し、あっさり当選してしまう。
あすみは市長を3期務めた後、その座を武博に譲るという約束だったが、莉菜はあすみと武博、武博の父親にまで裏切られ、釧路の街を捨てる決意をする。
本体価格700円
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ネタバレ現代におけるアイヌとは何か、に対する答えが、この中に見え隠れしている。それはアイヌに少しでも関心がない人には見えてこないかもしれない。
シサムの間に入っていても見かけがアイヌらしくないからと言われる、デザイナーの赤城ミワ。アイヌ紋様をモチーフにしたデザインを手がけて世界に知られるようになるが、伝統的なものを踏まえつつ、自身でデザインをオリジナルにしていく。
アイヌとして育ち、アイヌの文化をもつミワのバックボーンは、シサムの男にはない。彼らはミワにある種の怖れを抱くが、それは彼らの自信を喪失させるし、自尊心を奪っていく。
女たちは違う。専門学校で一緒だった千紗、九州から文通相手に会いに北海道へやってくる時江。彼女たちは自分の身ひとつで生きていく。その運命に関わってくるのがミワだ。
ミワもシサムの間に自分の居場所を見出せない。
谷に帰っていくミワは、ある一つの答えを見つけ出す。
守られているのではなく、守るのは自分自身。
「谷」で生まれ、故郷がダムに沈んでもそこが生まれたところであり、自分が帰るところであり、死ぬ場所だという。
たとえ水が濁り、腐っていても、そこが自分の最後の場所であることにかわりないと。 -
Posted by ブクログ
恋愛小説のアンソロジー。
著者ラインナップが『一穂ミチ・窪美澄・桜木紫乃・島本理生・遠田潤子・波木銅・綿矢りさ』こんなの全員海老の天ぷらじゃん。海老天しかない天丼じゃん…。
私はれんこんの天ぷらが一番好きだけど。文芸誌の恋愛特集のために書き下ろされた作品をまとめたもの。
どれもほんとーーーによかった。全部好き。
なんか恋愛ってどうしても自分の生きてきた環境から受け取った価値観がインストールされて、それがよくも悪くも作用してるよなあと読んでいて思うのだった。
あとけっきょく他人と深く向き合うことは自分と深く向き合うことでもあって、そらつらいわあ…。
ヒリヒリしてて苦しくて、でも文字からそれを体感できるところが小説のおもしろさだよなあ…!名手たちの恋愛アンソロジー超おもしろかった -
Posted by ブクログ
何故か読む度に好きになってしまうのですよ、桜木紫乃さんの世界を♡
ハナマル急上昇中の彼女の作品、次は何を読もうか時間をじっくり掛けて吟味した結果『ワン・モア』に決定
期待した通りとても味わい深い時間を堪能させていただきました
本書は大人の恋愛、それぞれの人生が
色濃く描かれた連作長編です
一話目の『十六夜』は主人公の柿崎美和のやるせない桜木紫乃さんらしい話ですが、二話目以降は趣きが変わって行き、それぞれ語り手が変わります
嬉しい事にどの話にもどっぷりしっかり浸わせてもらい、人間臭いドラマに夢中になってしまいました
解説にもあるのですが、本書の中で心の内が語られていない柿崎美和
多くを語らない美和ですが、自分の信念だけは曲げない彼女の生き方が格好良いのです
謎めいた彼女の存在を仕上げた著者の上手さに感銘を受けました
しかし、最終話最後のエピローグ的な五頁は欲しくなかったです
賛否両論だと思いますが、今までどの話も読み応えがあったのに、最後にあの全て良しのノリはらしくない、あくまでも個人的な希望です
ですので評価はマイナスしちゃうのですが、元々☆5以上だったので☆5のままです 笑
次何読もうか吟味Time楽しみです♪