桜木紫乃のレビュー一覧

  • 風葬

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    桜木紫乃の真骨頂である。男女の想いはもちろんのこと、いくつもの親子の姿が凝縮されている。サスペンス風にドラマが進んでいく中で、それぞれの後悔、哀惜、失望が色濃く映し出されていく。胸の痛みが取り除かれることはなく、過去は交差しないままに未来は日常を紡ぎ続ける。ただ風景を切り取った最後の2行にとんでもなく心を揺さぶられる。まさに風葬なのだ。この感情を呼び起こせるこの小説は名作である。

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    2017年05月01日
  • ワン・モア

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    ネタバレ

    連作短篇集。「十六夜」と「ワンダフル・ライフ」が好き。犬じゃない方のすばるは結局みつからないままだろうか?どうなったか気になる。短編を読み進めるごとに、美和の人物像がどんどん人間臭くなっている気がする。
    余命が短いとわかった時側にいて欲しい誰かがいることだけでも幸せだと思う。生まれた子犬を託すことで託した相手に幸せでいることを約束させる行為はエゴなんだけど、愛を感じる。

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    2017年04月14日
  • 無垢の領域

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    覚悟はしていたけど、
    重く苦しく悲しかった
    それでも、桜木さんの小説は
    読もうと思わせてくれる力強さがある
    純香を思う、気持ちや葛藤
    寝たきりの母親と息子の静かな駆け引き
    なみだがとまらなくなりながらも
    ゾッと背筋が寒くなったりして
    人の心の奥底のこわさが辛かった

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    2016年02月08日
  • ワン・モア

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    桜木紫乃って最初はそんなに好きじゃないと思ってたけど だんだん好きになるかも。この人って文章がうまいだけじゃなくて ひとの造形がうまいっていうか。これはこの人のなかでも1番のハッピーエンドって感じだけど そこが好き。

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    2018年07月01日
  • ワン・モア

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    桜木紫乃さんの本はこれで7冊目。
    これまで読んだ6冊の中では【蛇行する月】に☆5つをつけていて、そのレビューにも”この本が一番好み”とかいています。
    が~!
    訂正です。
    この【ワン・モア】が一番好きです。

    医師の柿崎美和は安楽死事件を起こしたため、離島に左遷される。
    高校時代から問題児の美和は離島でも、自分の生き方を変えようとせず、元競泳選手の昴と不倫関係になる。
    そんな美和のものに、高校時代からの同級生で医師の滝澤鈴音から「癌で余命宣告を受けている」との連絡が。
    離島から鈴音のもとに帰る美和。
    そんな二人を取り巻く人たち。
    それぞれが抱える人生。
    いろんなことがあって、いろんなことに傷つく

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    2015年12月19日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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     女性はミステリアスなほうが魅力的だと男性は言う。
     けれども、それは「男性にとって理解しうる範囲のミステリアス」なんだろうなと思った。

     ヒロインの節子は、この物語の主軸であり最大の謎なのだが、もう怖い怖い。節子のやることなすことは、男性にしてみれば、恐ろしいことばかりなのだ。
     節子それ愛やない、情やって言いたくなる。

     この本と直接の関係が無いけれども、「つまをめとらば」で男性作家の描く「怖い女」を知り、「田舎の紳士服店のモデルの妻」で女性作家の描く「普通のヒロインの奥深さ」を知り、そしてこの作品である。
     われながらタイミングが見事だ。

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    2015年09月29日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    「ホテルローヤル」で、すっかり桜木紫乃作品の虜になった。
    恋愛小説だと思い読み進むたら、あら?
    ミステリーでした。
    最後に進むまで、気が付かなかった。
    殺人事件→犯人はだれ?
    なんて単純な話ではない。
    誰にでもある闇を綺麗に書く桜木紫乃さんは、すごい作家さん。
    そして、舞台はぶれずに北海道。
    ますます、桜木紫乃作品を読みたくなりました。

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    2015年10月04日
  • 誰もいない夜に咲く

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    壮絶なのに醒めている。不思議な印象が残る作品群。
    全て北海道の街が舞台の短編集。
    雄大で美しい風景…ではなくて、過疎が進んだ雪深い田舎や、寂れた漁師町、うらぶれた夜の街、などが主な舞台で、だからこそ寒々しくてリアル。

    桜木紫乃さんて直木賞をとった時に実家がラブホテルだったって言ってて気になってたけれど、その環境が、男女の肉欲をこんな風に醒めた感じで描くきっかけになったのだろうかと考えたりした。
    言ってしまえばどうしようもないダメ男とずるずる付き合ってしまう女が何人か出てくるのだけど、そのわりに溺れてるような雰囲気はなくて、醒めた諦めみたいなものに包まれてるから。

    それぞれ印象に残ったからひ

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    2015年07月16日
  • ワン・モア

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    まだ、直木賞受賞作も読んでいない私ですが、今まで読んだ桜木さんの作品の中では、これが一番好きです!
    巻末にあった北上さんの解説によると、この作品から桜木さんの第2ステージが始まるとか……その評価も頷ける作品だと思います。
    死がモチーフになっている連作長編なのに、重すぎず、どこか爽やかで優しい印象すら受けました。
    最初の美和さんが主人公の「十六夜」だけは、今まで読んできた桜木さんの作品らしい、やるせなさを感じ後味の悪さが残ったのですが、次の「ワンダフル・ライフ」最後の方の別れた夫を玄関で見送る場面で、ガツンとやられ、「ラッキー・カラー」のベテラン看護師さんには頑張れと内心で励まし、そして「ワン・

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    2015年06月21日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    解説には、削れるところはバッサリ削ったと。確かにそんなに厚くはないけど、厚さ以上の読み応えがあった。

    夫は母親の元愛人で、ラブホテル「ホテルローヤル」の経営者。その夫が自損事故で意識不明。またガンでもともと余命数ヶ月だったことが分かる。
    夫の継子の捜索、句会仲間のDV、税理士との関係、ホテルの経営といろんな綻びが出てくる。

    節子、倫子、まゆみちゃんは最後まで逃げ切ったのだろうか。たぶん、あの3人なら逃げ切れるだろう、って思えるくらい狡賢さが印象に残った。

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    2015年06月05日
  • ワン・モア

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    初めて読んだ桜木紫乃さんの作品。
    高校同級生の美和と鈴音と八木君。3人は医師になるのを目指すも、八木君は夢を諦め放射線技師の道へ。3人は一度再会するも離れ離れに。鈴音に癌が見つかり、3人は再び再会へ。
    登場人物は皆かっこよくて、どんどん続きを読みたくなった。終盤はちょっとハッピーエンド過ぎかな、とも思ったけど、他の作品も読んでみよ。

    2017/04/24再読。

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    2017年04月25日
  • 蛇行する月

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    ネタバレ

    桜木紫乃ならでは、という筋立て。釧路の高校で図書部だった女子高生4人がそれぞれたどる人生を描く。

    国語教師に恋し、官舎に押しかけ愛を告白した女子高生時代。時は流れ同じ国語教師と結婚したのは別の図書部員だった。

    就職した和菓子店の職人と駆け落ちした順子。職人は店主である妻の前から、身ごもった順子とともに北海道から東京へ逃げる。時は流れ失踪宣言がなされ、順子はこの世に存在しなくなった夫と、その間にできた子と暮らし…まだ40代なのに不治の病にかかった順子。

    再会した別の部員に順子が言う。「子どもの目が見えなくなる。私の角膜を移植して、息子が、その目でいろいろな建物を見て、建築の道に進み続ける」

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    2026年02月01日
  • ふたりぐらし(新潮文庫)

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    子供のない30代の夫婦の話

    夫は映画の脚本家になることを諦めきれず定職はない。実家では母親が一人で暮らしている。
    妻は看護師として働き生活を支えている。実母との確執に悩む日々。

    夫がいつもの桜木さんの作品に出てくるクズ男だと思ってたら違うのよ笑
    妻もわたしのイメージの看護師とは違うし…

    お互いが相手に気遣いながら波風を立てないように
    暮らしている日常が、夫と妻の視点から交互に語られていきます。

    自分の至らなさに悩みながらも相手に対して不満を持つことはない。
    劇的に変化が起きることもないし。
    この空気感にイライラする人には向かない作品だな
    わたしには良作でした:.゚٩(๑˘ω˘๑)۶:.

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    2026年01月30日
  • 蛇行する月

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     自己啓発本を読み漁っていた時期に度々出会した考えに「今を生きる」というものがありました。
    過去を後悔するでも未来を心配するでもなく、今この一瞬に集中して全力で生きること。
    順子ってこの典型なんだと思う。
    今更変えられない過去を嘆くでもなく、心配したところでやって来てしまう未来に過剰に怯えることもない。ただ、今を全力で生きている。
    そしてないものを数えるのではなく、あるものに目を向け感謝する。
    だから彼女は死を前にしても「幸せだ」と言いきってしまう。
    高校の同級生や順子の親はどうしても幸せをステータスや世間体で測ってしまうので、順子の“幸せ”が理解できない。仕事、パートナー、収入…ないものを数

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    2026年01月27日
  • 家族じまい

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    ネタバレ

    猛夫とサトミは80代の夫婦。
    毎日母に電話をする次女の乃理が、母の異変に気付いた。
    父に問いただし、母が認知症になったことを知った乃理は、実家とほとんど連絡を取ろうとしない姉の智代にそれを伝えた。

    猛夫は腕のいい理容師で、中学を卒業した智代を進学させずに自分の跡取りとして修業をさせた。
    しかし山っ気の強い彼は、うまい話に手を出して、結果自分の店を手放す羽目になる。
    はしごを外された形になった智代は、それを気に実家と距離を置く。
    母が認知症になったからといって、今更当てにされても…と思う。

    もう、智代の逡巡が刺さりまくり。
    私が中卒ではないし、後を継ぐ親の財産もないけれど、長女としての責任を

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    2026年01月26日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    ネタバレ

    正直、最初の3分の2は、よくわからなかった。

    端的に言うと、読み進めるのが辛かった。

    ちっとも話が見えないから。

    でもその後、そう狂言誘拐のあたりから、面白くなってきた。

    序章で主人公が自殺する場面から始まるから、どんな展開かとハラハラしてたけど。

    一応ハッピーエンドと言えなくもないラストに、少しだけ胸を撫で下ろした。

    2件の殺人。宜なるかな。必然とも言える成り行き。

    自分が彼女の立場でも、同じことをしてしまうかも?と思えるほど、真に迫ってた。

    最初でグッとつかんで、中盤もたせる作りとは思ったが、もう少し何か捻りが欲しかった。

    なので星1つ減らします。

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    2026年01月22日
  • 二周目の恋

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    群を抜いて一番面白かったのは
    「深夜のスパチュラ」

    手先不器用&料理苦手族の方は大共感してくれると思う笑。

    双子の「兄弟以上恋人未満」の話だったり
    同性愛の話もあったりするので
    単調な「純粋な異性愛」の話だけじゃないのもおすすめポイント。

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    2026年01月18日
  • ワン・モア

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    やっぱり桜木紫乃の文章が好き。
    はじめの章の美和が強烈だったが決して嫌いではなく、私の大好きな連作短編集なので一気読み。
    桜木紫乃らしく、そこここに死の影が漂ってるのだが、最後はみんなでバーベキュー。
    登場するペットは犬。なんでネコじゃないのかと思ってたけど(ネコが好きなので)、夫婦で散歩するとか里親同士が犬連れで集まってBBQとか、こういうことができるのはやっぱり犬だよね。
    私の推しキャラは、拓郎ちゃんと店長。いい人そう。

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    2026年01月11日
  • 人生劇場

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    小心なのに虚勢を張る。欲しいとなれば後先見ずに突っ走る昭和の男。『人生劇場』の主人公、猛夫(タケオ)の名を見て「ホテルローヤル」や「家族じまい」を思い出した。

    昭和13年の室蘭で、新川彦太郎とタミの間に生まれた次男の猛夫。「馬鹿タケ」と呼ばれ居場所のない猛夫を伯母カツが引き取り育てる。

    戦争で皆が貧しかった時代。
    鉄の町を襲った砲弾の雨。
    敗戦後の町で生きる人々。
     
    桜木紫乃さんがご自身の父親をモデルにしたフィクションで、巧みな人物描写が光る。
    理容師を目指した猛夫の挫折。やっと叶えた夢の城で妻の頬を叩くしようもない男と、そんな男の人生に巻き込まれていく女たち。生きる希望を託し春生と名づ

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    2026年01月07日
  • ホテルローヤル

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    ラブホをめぐるショートストーリー。
    章が進むと過去に繋がり、人や出来事も
    繋がってくる。
    ラブホの中で働く人々や、作った人の思い、
    それを引き継ぐ娘、客、それぞれの事情や思いを
    面白く読んだ
    寺の嫁に話、星を見ていたのミコが印象的。
    ミコのように働き者で素直な人になりたい

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    2026年01月03日