桜木紫乃のレビュー一覧
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モノトーンなのに鮮やか。冷たいけど生々しい。
(瀧井朝世さんの解説より)
忘れられない思いの作品だったので、再読しました。
しかし、
自分の3年前の感想を見ますと、忘れられない作品と思ったわりにはあっけらかんとブログしておりました。
特に短編6篇(「雪虫」「霧繭」「夏の稜線」「海に帰る」「水の棺」「氷平線」)のうち最初の「雪虫」が何とも言えずいいのです。オール読物新人賞デビュー作だそうで、これで世に出ましたという作品だからでしょうか。そもそもの桜木さんワールドのはじまり。
どんな風にいいのか?ストーリーがうまい。情景が湧いてくる。
芳しい牧草の中での交 -
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北の大地に生きる強く逞しい女達の浮き沈みある人生模様を描く桜木紫乃さんの傑作短編集。桜木さんの描くヒロイン達はみんな迷いがなくきっぱりとしていますよね。自らの下した決断に責任を取り後悔せずに今を懸命に生きている男以上の力強さを感じます。みんな十分に聡明で賢いのにどうして自堕落な甲斐性の無い男達に惚れるのかは謎ですが、まあ生まれついての性分なのでしょうね。本書を読んで心に思い浮かんだ2つの歌詞を書きますね。前川清「そして神戸」誰かうまい嘘のつける相手捜すのよ、さだまさし「向い風」倖せの形くらい私に決めさせて
『波に咲く』我愛爾、愛してる、国だけで性格を一括りにすべきではないと思います。『海へ』 -
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引き込まれた。節子の少女時代、母親との関係、幸田・澤木それぞれへの思い、愛したくて愛されたくて、思いが溢れて読んでて苦しくなる。でもこの歌のように凛とした硝子の葦のようだ。
佐野親娘、梢との関わりかたが、時を過ごすうちに人間味が増して描かれ少しほっとしてしまった。
帯広のベーカリーの場面は「絶叫」と重なった。
読書途中で、WOWOWのドラマを観てしまったが為に、キャストがドラマのイメージで読んでしまったのが残念。ドラマはドラマで原作を損なわず、また良かったと思うが。
それにしても、桜木紫乃さん、読むほどにどんどん好きになってしまう作家だ。(好き嫌い両極端かも) -
ネタバレ 購入済み
ゾッとした
この年代の作者が好む、男性像や女性の醜さみたいなものがあると思う。ジャンルを確認せずに読んだので、読んだ後にしばらく背筋が冷え切っていた。ミステリーと呼ぶにはミステリーではなく、ホラーと呼ぶにはホラーでもなく。
ただただゾッとします。 -
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いつもの桜木紫乃とはちょっと違う。
桜木紫乃が描く塗れ場は 全く色がなく ラブシーンを書かせたら こんな下手な作家はいないといつも思っていた。だけど ブルースは どの話も色がある。
桜木紫乃が描く話には 男女問わず 好感を持てる人が登場しない。好きになれないから 感情移入できない。それでも読ませるのだから それはそれで相当な腕だといつも思っていた。
だけど 影山博人は魅力的だ。非情だったり 優しかったり そのときどき いろんな顔をみせるけど それこそカメレオンのように どの顔も魅力的だ。
なぜ まちこなんだろう。関係とタイミングで言えば 圭の方が自然な流れじゃない?と思うけど 圭じゃ 博人のそ -
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桜木紫乃さんの本はこれで7冊目。
これまで読んだ6冊の中では【蛇行する月】に☆5つをつけていて、そのレビューにも”この本が一番好み”とかいています。
が~!
訂正です。
この【ワン・モア】が一番好きです。
医師の柿崎美和は安楽死事件を起こしたため、離島に左遷される。
高校時代から問題児の美和は離島でも、自分の生き方を変えようとせず、元競泳選手の昴と不倫関係になる。
そんな美和のものに、高校時代からの同級生で医師の滝澤鈴音から「癌で余命宣告を受けている」との連絡が。
離島から鈴音のもとに帰る美和。
そんな二人を取り巻く人たち。
それぞれが抱える人生。
いろんなことがあって、いろんなことに傷つく