桜木紫乃のレビュー一覧

  • 裸の華

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    足を痛めて北海道に流れてきた元ストリッパーのノリカさん。若いダンサーを集めて、ススキノでダンスバーを立ち上げる。店を手配してくれた不動産店の営業マンは、実は銀座の伝説的バーテンダー。新しい人生は成功するのか? 

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    2020年01月24日
  • 裸の華

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    元ストリッパー、フジワラノリカの第二の人生の物語!..って、元祖紀香にこれは許可を得ているのだろうか?それはともかく、これは好き。いつもうら寂しさを感じさせる桜木さんにしては、体温高め。怪我で引退したノリカは、新たにダンスシアターをオープンする。ポリシーは、店の踊り子は脱がせない、純粋たるダンサーに育てる。志願してきた若く才能のある踊り子・影のあるバーテンダー。珍しくほんの数摘、少女漫画的要素をたらしてリーダビリティを発揮。登場人物も皆好き。著者らしさと、新境地テイストのバランスが良い。著者既読上位入り!

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    2019年11月26日
  • 氷平線

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    モノトーンなのに鮮やか。冷たいけど生々しい。
               (瀧井朝世さんの解説より)

    ​忘れられない思いの作品だったので、再読しました。
    しかし、
    自分の3年前の感想​​を見ますと、忘れられない作品と思ったわりにはあっけらかんとブログしておりました。

    特に短編6篇(「雪虫」「霧繭」「夏の稜線」「海に帰る」「水の棺」「氷平線」)のうち最初の「雪虫」が何とも言えずいいのです。オール読物新人賞デビュー作だそうで、これで世に出ましたという作品だからでしょうか。そもそもの桜木さんワールドのはじまり。

    どんな風にいいのか?ストーリーがうまい。情景が湧いてくる。
    芳しい牧草の中での交

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    2019年11月10日
  • 誰もいない夜に咲く

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    北の大地に生きる強く逞しい女達の浮き沈みある人生模様を描く桜木紫乃さんの傑作短編集。桜木さんの描くヒロイン達はみんな迷いがなくきっぱりとしていますよね。自らの下した決断に責任を取り後悔せずに今を懸命に生きている男以上の力強さを感じます。みんな十分に聡明で賢いのにどうして自堕落な甲斐性の無い男達に惚れるのかは謎ですが、まあ生まれついての性分なのでしょうね。本書を読んで心に思い浮かんだ2つの歌詞を書きますね。前川清「そして神戸」誰かうまい嘘のつける相手捜すのよ、さだまさし「向い風」倖せの形くらい私に決めさせて

    『波に咲く』我愛爾、愛してる、国だけで性格を一括りにすべきではないと思います。『海へ』

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    2019年06月07日
  • 裸の華

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    浅草のロック座でストリップを見たことがあります。
    本当に美しくて、同性がみても惚れ惚れとするまさに芸術的なものを感じました。
    卑猥さがない、全身全霊で作り上げるあの空気感は忘れられません。

    そういった鑑賞経験を持ってこの本を読むことができて本当に良かったと思える作品。

    ストリッパーというもの、踊りに命をかける人がいる。
    歓楽街に出入りする人の刹那的な出会いや、それぞれの事情がうまく隠れたり現れたりしていて、ひきこまれてしまった。

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    2019年05月04日
  • 氷平線

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    北海道に生きる大人の男女の愛と人生を描き続ける直木賞作家・桜木紫乃さんの心を打つデビュー作品集。ここに描かれる男女達は意志が強固なしっかり者ばかりなのですが、でも時には自力ではどうしようもない辛くて哀しい運命もあるのですね。『雪虫』達郎の仕事は四季子を愛しマリーを幸せにする事ですね。『霧繭』真紀には男よりも着物なのですね。『夏の稜線』京子は最早限界でこれが最善の道でしょう。『海に帰る』自由気ままでいたい女・絹子。『水の棺』不幸や落ち目の時も見捨てないのが真実の愛。『氷平線』友江の薄幸の人生に涙が溢れます。

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    2019年02月24日
  • ワン・モア

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    特に今回のお話は、美和をはじめ、かなり芯のずしんとした強い女性が多いが、どのひとも可愛さがある。一人ひとり登場するごとに人物に色や形が増していき大きな物語となった。少し大袈裟だが曲「ボレロ」を感じた。
    最後のワンちゃんまで加わる大集合には、好き嫌いが分かれるようだが、自分はとても好き。みんなのワンモアが積み重なっている。それにしてもものすごく上手い。
    このところ桜木さん作品が多くなり、一旦休憩します。

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    2018年04月13日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    引き込まれた。節子の少女時代、母親との関係、幸田・澤木それぞれへの思い、愛したくて愛されたくて、思いが溢れて読んでて苦しくなる。でもこの歌のように凛とした硝子の葦のようだ。
    佐野親娘、梢との関わりかたが、時を過ごすうちに人間味が増して描かれ少しほっとしてしまった。
    帯広のベーカリーの場面は「絶叫」と重なった。
    読書途中で、WOWOWのドラマを観てしまったが為に、キャストがドラマのイメージで読んでしまったのが残念。ドラマはドラマで原作を損なわず、また良かったと思うが。
    それにしても、桜木紫乃さん、読むほどにどんどん好きになってしまう作家だ。(好き嫌い両極端かも)

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    2018年03月27日
  • それを愛とは呼ばず

    K

    ネタバレ 購入済み

    ゾッとした

    この年代の作者が好む、男性像や女性の醜さみたいなものがあると思う。ジャンルを確認せずに読んだので、読んだ後にしばらく背筋が冷え切っていた。ミステリーと呼ぶにはミステリーではなく、ホラーと呼ぶにはホラーでもなく。
    ただただゾッとします。

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    2018年03月11日
  • ブルース

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    いつもの桜木紫乃とはちょっと違う。
    桜木紫乃が描く塗れ場は 全く色がなく ラブシーンを書かせたら こんな下手な作家はいないといつも思っていた。だけど ブルースは どの話も色がある。
    桜木紫乃が描く話には 男女問わず 好感を持てる人が登場しない。好きになれないから 感情移入できない。それでも読ませるのだから それはそれで相当な腕だといつも思っていた。
    だけど 影山博人は魅力的だ。非情だったり 優しかったり そのときどき いろんな顔をみせるけど それこそカメレオンのように どの顔も魅力的だ。
    なぜ まちこなんだろう。関係とタイミングで言えば 圭の方が自然な流れじゃない?と思うけど 圭じゃ 博人のそ

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    2018年01月28日
  • 氷平線

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    短編集、やっぱり好きだな。すぐにぐっと物語に入り込め、瞬時にその世界観を味わうことができるから。そして桜木さんの物語は本当に迷いがない。いつだって登場人部と私が対面できる贅沢な場面を作り上げてくれる。北海道は寂れた街や村。そこで藻掻いて生きる人間たち。当人は努力していても状況環境が許してくれない。いつの間にか足を引っ張られズボズボと地獄へ落とされてしまう。その地獄から這い上がれるかどうかはやっぱ当人次第となる。桜木さんの描く人物、弱さもあるが気骨もある。最終的に幸せになってくれれば、と応援したくなる。

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    2017年08月10日
  • 誰もいない夜に咲く

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    桜木紫乃シリーズもこれで一旦休憩にしようと思う。『ホテルローヤル』よりはこちらが好みかも。
    「誰に何を言われても構わないと思ったら、怖いことなんかなくなる。人は逃げてもいいんだって、」風の女より
    「石のような頑固さが敵を作り、あくの強さは根強い支持者を生んだ」絹日和より

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    2017年07月09日
  • ワン・モア

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    美和、問題ありの医者の危ない恋から始まる物語。美和は自分の信念に基づき行動する。白い目で見られても後ろ指さされても自分が信じた道を歩く。大切なことは何かを分かっている。だからかっこいい。美和を中心にいろいろな人物が関わり合ってくる連作短編集。佐藤店長の話はどうなることかと。あと赤沢さんのけじめ。そして鈴音が捨て身で拓郎にぶつかっていった結果。どれも良かった。泣かされた。登場人物が全員集合する最終話。人生はまだまだ続く、問題もあるだろう。けれどなんとかなる。希望を捨てずに前に進めば。そんな気持ちになる一冊。

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    2017年06月03日
  • 無垢の領域

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    純香と龍生の母、それぞれの家庭が持つ闇の部分をうまく表現している。

    最後がすごい純香からの龍生へのプレゼント!
    こんな展開があるなんて!!!

    桜木紫乃のすごさを見た。

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    2017年05月16日
  • 風葬

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    桜木紫乃の真骨頂である。男女の想いはもちろんのこと、いくつもの親子の姿が凝縮されている。サスペンス風にドラマが進んでいく中で、それぞれの後悔、哀惜、失望が色濃く映し出されていく。胸の痛みが取り除かれることはなく、過去は交差しないままに未来は日常を紡ぎ続ける。ただ風景を切り取った最後の2行にとんでもなく心を揺さぶられる。まさに風葬なのだ。この感情を呼び起こせるこの小説は名作である。

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    2017年05月01日
  • ワン・モア

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    ネタバレ

    連作短篇集。「十六夜」と「ワンダフル・ライフ」が好き。犬じゃない方のすばるは結局みつからないままだろうか?どうなったか気になる。短編を読み進めるごとに、美和の人物像がどんどん人間臭くなっている気がする。
    余命が短いとわかった時側にいて欲しい誰かがいることだけでも幸せだと思う。生まれた子犬を託すことで託した相手に幸せでいることを約束させる行為はエゴなんだけど、愛を感じる。

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    2017年04月14日
  • 無垢の領域

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    覚悟はしていたけど、
    重く苦しく悲しかった
    それでも、桜木さんの小説は
    読もうと思わせてくれる力強さがある
    純香を思う、気持ちや葛藤
    寝たきりの母親と息子の静かな駆け引き
    なみだがとまらなくなりながらも
    ゾッと背筋が寒くなったりして
    人の心の奥底のこわさが辛かった

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    2016年02月08日
  • ワン・モア

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    桜木紫乃って最初はそんなに好きじゃないと思ってたけど だんだん好きになるかも。この人って文章がうまいだけじゃなくて ひとの造形がうまいっていうか。これはこの人のなかでも1番のハッピーエンドって感じだけど そこが好き。

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    2018年07月01日
  • ワン・モア

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    桜木紫乃さんの本はこれで7冊目。
    これまで読んだ6冊の中では【蛇行する月】に☆5つをつけていて、そのレビューにも”この本が一番好み”とかいています。
    が~!
    訂正です。
    この【ワン・モア】が一番好きです。

    医師の柿崎美和は安楽死事件を起こしたため、離島に左遷される。
    高校時代から問題児の美和は離島でも、自分の生き方を変えようとせず、元競泳選手の昴と不倫関係になる。
    そんな美和のものに、高校時代からの同級生で医師の滝澤鈴音から「癌で余命宣告を受けている」との連絡が。
    離島から鈴音のもとに帰る美和。
    そんな二人を取り巻く人たち。
    それぞれが抱える人生。
    いろんなことがあって、いろんなことに傷つく

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    2015年12月19日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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     女性はミステリアスなほうが魅力的だと男性は言う。
     けれども、それは「男性にとって理解しうる範囲のミステリアス」なんだろうなと思った。

     ヒロインの節子は、この物語の主軸であり最大の謎なのだが、もう怖い怖い。節子のやることなすことは、男性にしてみれば、恐ろしいことばかりなのだ。
     節子それ愛やない、情やって言いたくなる。

     この本と直接の関係が無いけれども、「つまをめとらば」で男性作家の描く「怖い女」を知り、「田舎の紳士服店のモデルの妻」で女性作家の描く「普通のヒロインの奥深さ」を知り、そしてこの作品である。
     われながらタイミングが見事だ。

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    2015年09月29日