【感想・ネタバレ】ワン・モアのレビュー

あらすじ

どうしようもない淋しさにひりつく心。月明かりの晩よるべなさだけを持ち寄って躰を重ねる男と女は、まるで夜の海に漂うくらげ――。切実に生きようともがく人々に温かな眼差しを投げかける絆と再生の物語。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

処分する前にもう一回読んでおこうと思って読み始めたら一気に引き込まれた。前回読んだ時はそこまで感じた記憶がないが、歳をとったせいか?
逆境の中で自分の気持ちに正直に生きようとする、キャラクターたちの心の動きが鮮やかに描かれていて素晴らしかった。
売るのやめた。

0
2025年05月05日

Posted by ブクログ

桜木紫乃さんの本、文章は好きだけど暗くてじっとり湿気があるから読むのに体力がいる、と今日まで思っていました。
大人の恋愛や感情の揺れを描かせたらピカイチなんだけど、なんかしんどい、と今日まで思っていました。

今回は違った!違ってないけど違った。暗く湿り気はあるんだけど希望もある。
現実的にありそうな話で綺麗事ばかりじゃないのが余計にいい。甘いだけの恋愛や都合のいいばかりの友情もいらない。
胸に手をあてて読後感に浸りたい。四十代以上のちゃんと生きてきた大人に薦めたい本です。

0
2025年02月22日

Posted by ブクログ

問題を起こして僻地に出向になった医師。母の理想になることを求めすぎて大切な人を失った医師。彼氏にDVを受けた元バイトを匿う店長。患者からの告白に淡い期待をしてしまうベテラン看護師。経済的理由で医学部進学を諦めたことを引け目に感じ続ける技師。それぞれの人生の綻びを紡ぎ直す話。

0
2024年11月03日

Posted by ブクログ

何故か読む度に好きになってしまうのですよ、桜木紫乃さんの世界を♡
ハナマル急上昇中の彼女の作品、次は何を読もうか時間をじっくり掛けて吟味した結果『ワン・モア』に決定
期待した通りとても味わい深い時間を堪能させていただきました

本書は大人の恋愛、それぞれの人生が
色濃く描かれた連作長編です
一話目の『十六夜』は主人公の柿崎美和のやるせない桜木紫乃さんらしい話ですが、二話目以降は趣きが変わって行き、それぞれ語り手が変わります

嬉しい事にどの話にもどっぷりしっかり浸わせてもらい、人間臭いドラマに夢中になってしまいました
解説にもあるのですが、本書の中で心の内が語られていない柿崎美和
多くを語らない美和ですが、自分の信念だけは曲げない彼女の生き方が格好良いのです
謎めいた彼女の存在を仕上げた著者の上手さに感銘を受けました

しかし、最終話最後のエピローグ的な五頁は欲しくなかったです
賛否両論だと思いますが、今までどの話も読み応えがあったのに、最後にあの全て良しのノリはらしくない、あくまでも個人的な希望です

ですので評価はマイナスしちゃうのですが、元々☆5以上だったので☆5のままです 笑

次何読もうか吟味Time楽しみです♪

0
2024年01月07日

Posted by ブクログ

無表情で読み切ったけど、心は打ち震えた。これぞ大人の恋愛小説。恋愛のみならず友情、信頼、生と死…こよりのように細くても強い絆を感じさせた。安楽死事件を起こし離島に左遷された孤高の女性医師、美和。余命半年余りと宣告された美和の同僚医師、鈴音。美和は鈴音の病気をきっかけに島を出る決意をする。不器用な登場人物たちに共感しているわけではない。でも心がねじ切れるような気持ちにさせられるのはなぜだろう。そして想像以上に穏やかな最終章を迎え『ワン・モア』という題名が胸に沁みわたる。文字を嚙みしめるようにして読んだ。

0
2021年08月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「十六夜」安楽死事件を起こし離島へと左遷された内科医柿崎美和と昴。
「ワンダフル・ライフ」美和の同級生で末期癌の滝澤鈴音と元夫志田拓郎。
「おでん」本屋の店長佐藤亮太と坂木詩織。
「ラッキーカラー」看護師浦田寿美子と!赤沢邦夫。
「感傷主義」同級生八木浩一と米倉レイナ。
「ワン・モア」志田拓郎と鈴音と父。

其々の人生に関わる桜木紫乃らしい連作長編。
最後はリンとその子たちで繋がっている。

何度も込み上げる感情で、最高に面白い。

0
2021年01月28日

Posted by ブクログ

特に今回のお話は、美和をはじめ、かなり芯のずしんとした強い女性が多いが、どのひとも可愛さがある。一人ひとり登場するごとに人物に色や形が増していき大きな物語となった。少し大袈裟だが曲「ボレロ」を感じた。
最後のワンちゃんまで加わる大集合には、好き嫌いが分かれるようだが、自分はとても好き。みんなのワンモアが積み重なっている。それにしてもものすごく上手い。
このところ桜木さん作品が多くなり、一旦休憩します。

0
2018年04月13日

Posted by ブクログ

美和、問題ありの医者の危ない恋から始まる物語。美和は自分の信念に基づき行動する。白い目で見られても後ろ指さされても自分が信じた道を歩く。大切なことは何かを分かっている。だからかっこいい。美和を中心にいろいろな人物が関わり合ってくる連作短編集。佐藤店長の話はどうなることかと。あと赤沢さんのけじめ。そして鈴音が捨て身で拓郎にぶつかっていった結果。どれも良かった。泣かされた。登場人物が全員集合する最終話。人生はまだまだ続く、問題もあるだろう。けれどなんとかなる。希望を捨てずに前に進めば。そんな気持ちになる一冊。

0
2017年06月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

連作短篇集。「十六夜」と「ワンダフル・ライフ」が好き。犬じゃない方のすばるは結局みつからないままだろうか?どうなったか気になる。短編を読み進めるごとに、美和の人物像がどんどん人間臭くなっている気がする。
余命が短いとわかった時側にいて欲しい誰かがいることだけでも幸せだと思う。生まれた子犬を託すことで託した相手に幸せでいることを約束させる行為はエゴなんだけど、愛を感じる。

0
2017年04月14日

Posted by ブクログ

桜木紫乃って最初はそんなに好きじゃないと思ってたけど だんだん好きになるかも。この人って文章がうまいだけじゃなくて ひとの造形がうまいっていうか。これはこの人のなかでも1番のハッピーエンドって感じだけど そこが好き。

0
2018年07月01日

Posted by ブクログ

桜木紫乃さんの本はこれで7冊目。
これまで読んだ6冊の中では【蛇行する月】に☆5つをつけていて、そのレビューにも”この本が一番好み”とかいています。
が~!
訂正です。
この【ワン・モア】が一番好きです。

医師の柿崎美和は安楽死事件を起こしたため、離島に左遷される。
高校時代から問題児の美和は離島でも、自分の生き方を変えようとせず、元競泳選手の昴と不倫関係になる。
そんな美和のものに、高校時代からの同級生で医師の滝澤鈴音から「癌で余命宣告を受けている」との連絡が。
離島から鈴音のもとに帰る美和。
そんな二人を取り巻く人たち。
それぞれが抱える人生。
いろんなことがあって、いろんなことに傷つくけれど…

来年はもっと桜木さんの本を読んでみよう!
そう思わせてくれた一冊です。

0
2015年12月19日

Posted by ブクログ

まだ、直木賞受賞作も読んでいない私ですが、今まで読んだ桜木さんの作品の中では、これが一番好きです!
巻末にあった北上さんの解説によると、この作品から桜木さんの第2ステージが始まるとか……その評価も頷ける作品だと思います。
死がモチーフになっている連作長編なのに、重すぎず、どこか爽やかで優しい印象すら受けました。
最初の美和さんが主人公の「十六夜」だけは、今まで読んできた桜木さんの作品らしい、やるせなさを感じ後味の悪さが残ったのですが、次の「ワンダフル・ライフ」最後の方の別れた夫を玄関で見送る場面で、ガツンとやられ、「ラッキー・カラー」のベテラン看護師さんには頑張れと内心で励まし、そして「ワン・モア」の最後のバーベキューの場面では、気になっていたトキワ書店の店長さんのその後を知ることができて、みんなで子犬のの誕生会をする平和な様子にじんわりと涙ぐみました。
あまり正面から「頑張れ」と言われるのも辛い、この作品には、押しつけがましくない前向きさを貰えた気がしました。

0
2015年06月21日

Posted by ブクログ

初めて読んだ桜木紫乃さんの作品。
高校同級生の美和と鈴音と八木君。3人は医師になるのを目指すも、八木君は夢を諦め放射線技師の道へ。3人は一度再会するも離れ離れに。鈴音に癌が見つかり、3人は再び再会へ。
登場人物は皆かっこよくて、どんどん続きを読みたくなった。終盤はちょっとハッピーエンド過ぎかな、とも思ったけど、他の作品も読んでみよ。

2017/04/24再読。

0
2017年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

桜木紫乃作品にしては暗い重い気持ちにならずに、読後はあったかい気持ちになった。
短編だけど登場人物がみんな繋がっているタイプで、そこは桜木紫乃さんらしいなぁと。
「おでん」の終わり方は、ああこれ店長の自信のなさ、自分が傷つきたくないから押せないってことでしょ?ってがっかりしたのに、最後に夫婦になっててウルッとした。
赤沢さんに会う時になぜか結婚指輪をしちゃう寿美子の気持ちはわからなかったけど、それを会った途端に絆創膏で隠しちゃうとことか、赤沢さんががっかりしちゃうとこ、否定しないとこに胸が苦しくなった。こちらも最後幸せでよかった…。

登場人物の関係性を書き出して整理したいな。笑

0
2023年11月30日

Posted by ブクログ

主人公を変えつつ、それぞれの恋愛模様描く連作短編。
訳アリで島に流れて来た女医と挫折した五輪候補選手の漁師の「業」を感じさせるような出だし。いつもの桜木さんです。
ところがこの作品は少しづつ柔らかくなって行きます。いやDVの話もあるから、いつもと比較すればというレベルで、他の人に比べたらやはり全体に暗調で閉塞感は有りますが。しかし1話1話が少し明かりが見えたような終わり方です。
そして大団円。
本当に桜木さん?と聞きたくなるようなAll Happy。特に不穏な終わり方だった短編「おでん」のさとうしおさんを登場させたのは良かったなぁ。
対比的な二人の女医と放射線技師の男と言う同級生トリオが粋ですね。映像化したら面白そうです

0
2021年10月08日

Posted by ブクログ

あと一つ手を伸ばし、幸せを掴もうとする人達の物語。
北海道の日本海側、昼は空と海、夜は月と星しかない小さい島の診療所の医師美和。まっすぐで奔放な美和、安楽死事件をおこし、離島に飛ばされてきた。ここでも島の男性と逢瀬を重ね村人の知るところとなっている。
連作短編で、友人医師鈴音、関わる人達と話は進む。
個人的には、亮太と詩織の「おでん」が好みだった。亮太は真面目でいい人だが、女性には縁が無い。偶然目の前に詩織が転がり込んでくる。別れたのか、と思える終わりかた。が後半の連作で結ばれたことがわかる。良かった。
全体に、思わぬ方向に明るく進んだ。暗さから明るさへイメージが逆転した感が強かった。
余命宣告された、医師鈴音。別れた夫に「一緒に居てほしい(また住もう)」と懇願するところは、正直微妙な気分になった。自分だったら、と考える。

0
2021年02月11日

Posted by ブクログ

それぞれの物語が描かれていて、いろいろ抱える中でも前向きな小説でよかったと思う。不器用だな、人間って

0
2020年07月25日

Posted by ブクログ

短編集なようだけど、登場人物を介して全てが繋がっている構成。桜木紫乃、やっぱいいわぁ。世界観が好き。

0
2017年06月25日

Posted by ブクログ

安楽死事件を起こして離島に飛ばされた女医の美和と、友人で開業医の鈴音。二人の女性を中心に、孤独な人生を過ごす人々の絆と再生の物語。
連作短篇集なので、主人公がバトンタッチするように変わっていく。個人的に、『おでん』のトキワ書店店長・亮太の恋の行方が心配で心配で。強く相手を想うことってやっぱり大切だと思った。ちゃんと『サトウ シオ』になって安心した。

0
2015年11月01日

Posted by ブクログ

美和、鈴音、八木 高校時代の同級生たちが中年になってからの3人とその周辺の人々の物語。美和、鈴音は医師となり、八木は放射線技師になった。安楽死事件を起こし病院を追われた美和は離島でかつてオリンピック競泳選手でドーピングが原因で転落した男と逢瀬を重ねる。そこへ鈴音から余命半年で個人病院を任せたいという電話がかかってきて・・・。人生を重ねてきたが器用には生きられない人たちに温かいまなざしが注がれている。とくに看護師の浦田さんの物語はこれまでの人生に慣れ、幸せへの一歩を踏み出すことに憶病になってしまう気持ちに共感した。鈴音の犬リンのプラチナホワイトの子犬をもらった浦田さん。子犬の生命力にそっと背中を押される姿の大げさでないところもよかった。

0
2015年03月19日

Posted by ブクログ

 桜木さんにしては珍しく、ハッピーエンドのお話でした。途中はなかなか暗いですが…。
 
 連作短編集でその中でも特に「おでん」の章が好きでした。

0
2025年11月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・「子犬を飼いませんか。ラッキーカラーの赤じゃなく、白衣の白なんですけれど」  子犬、と語尾を上げたきり赤沢が黙り込んだ。寿美子はどこから説明しようかと考えあぐね、ひとまず「できれば一緒に」と付け足した。赤沢が大きく息を吸い込む気配。さぁ何から説明しよう。何と言ってこの男を手に入れよう。  里親の条件どおり、幸せになる。決めた。  いい夢は、これからだ──。

・柿崎美和医師
「鈴音はわたしよりもあんたよりも長生きする。わたしがさせる」

・柿崎美和医師
あなたに支えてほしいのは、彼女の気力です。志田さんが支えてくださらなければ、どんな治療も効果が出ない。

・解説
ここには、死ぬということ、生きるということ、愛するということ、友達とつながるということ、そのすべてがある。これ以上の余計な注釈は無用だろう。あとは黙って読まれたい。


最後はみんな仲良く集まって里親会BBQ。
病気も治ってくっつくもの同士はくっついて
死をテーマにしてた本だったけどわたし的には
ハッピーエンドでした。

0
2025年05月18日

Posted by ブクログ

人間の生と死とそして性は繋がっている
登場人物それぞれのドラマの中で綴られて繋がる
後悔するような出来事があっても
人はそこからもう一度歩き出すことができる
人間は意外と強い生き物

0
2024年02月29日

Posted by ブクログ

読み始めはずーっと曇天。曇っていて今にも雨が降り出しそうで…そこから雲ひとつない青空に向かっていく、そんな連作だったように思う。

医療に携わる人びとと、命。
うまくいきそうでいかない、素直になれない、それでも前を向いて歩いていく。

桜木紫乃さんの他の本も読んでみたいと思った。

0
2022年05月12日

Posted by ブクログ

静かに話が進む連作短編集。人の生命が物語の中心ななるので、特に大きな出来事などがなくても、内容に深みがあり素敵なお話だと思いました。一話ごとでは余韻を持たせる終わりかたでしたが、最終話で綺麗にまとめてあるので、そこもよかったです。星4にちかい3です。

0
2022年04月02日

Posted by ブクログ

その日のまえにを彷彿とさせる連続性のある短編集。ドラマになりそうな感じもするが今の私にはどの人もそこまでリアルには迫ってこなかった。

0
2020年11月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短い作品なのでサクッと読める。
読後感は良い。


生きることの辛さと、前を向くことをしみじみ作品から感じた。

0
2018年08月05日

Posted by ブクログ

物語を紡ぐことに
長けていますね。

桜木さんの作品の中では
ふうわり優しく
幸福な物語でした。

爽やかな読後感を
得られるかわりに、
ズンとした重みやアクが
ない軽めの感触。

0
2015年04月30日

Posted by ブクログ

連作長編。

北海道の離島で医師をしている美和から話が始まり、その友人の鈴音、鈴音の離婚した夫、それぞれに個性的に描かれています。

ストーリーはどうと言う話でもないけれど、それぞれの視点で描かれた物語は共感できて、読後感もいいです。

0
2015年04月11日

Posted by ブクログ

人それぞれに歴史もあり、違った価値観もありといった多様性の中で、夫婦として2人がつながり、また友人としてもつながる。そこには融合がある。本来、異質であるものを受け入れて溶け合い一つのものに育っていくんだろう。ハッピーエンドで人間の関係が肯定的に描かれてあることがなんとなく嬉しいと感じる。

0
2015年02月28日

「小説」ランキング