あらすじ
どうしようもない淋しさにひりつく心。月明かりの晩よるべなさだけを持ち寄って躰を重ねる男と女は、まるで夜の海に漂うくらげ――。切実に生きようともがく人々に温かな眼差しを投げかける絆と再生の物語。
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Posted by ブクログ
「十六夜」安楽死事件を起こし離島へと左遷された内科医柿崎美和と昴。
「ワンダフル・ライフ」美和の同級生で末期癌の滝澤鈴音と元夫志田拓郎。
「おでん」本屋の店長佐藤亮太と坂木詩織。
「ラッキーカラー」看護師浦田寿美子と!赤沢邦夫。
「感傷主義」同級生八木浩一と米倉レイナ。
「ワン・モア」志田拓郎と鈴音と父。
其々の人生に関わる桜木紫乃らしい連作長編。
最後はリンとその子たちで繋がっている。
何度も込み上げる感情で、最高に面白い。
Posted by ブクログ
連作短篇集。「十六夜」と「ワンダフル・ライフ」が好き。犬じゃない方のすばるは結局みつからないままだろうか?どうなったか気になる。短編を読み進めるごとに、美和の人物像がどんどん人間臭くなっている気がする。
余命が短いとわかった時側にいて欲しい誰かがいることだけでも幸せだと思う。生まれた子犬を託すことで託した相手に幸せでいることを約束させる行為はエゴなんだけど、愛を感じる。
Posted by ブクログ
桜木紫乃作品にしては暗い重い気持ちにならずに、読後はあったかい気持ちになった。
短編だけど登場人物がみんな繋がっているタイプで、そこは桜木紫乃さんらしいなぁと。
「おでん」の終わり方は、ああこれ店長の自信のなさ、自分が傷つきたくないから押せないってことでしょ?ってがっかりしたのに、最後に夫婦になっててウルッとした。
赤沢さんに会う時になぜか結婚指輪をしちゃう寿美子の気持ちはわからなかったけど、それを会った途端に絆創膏で隠しちゃうとことか、赤沢さんががっかりしちゃうとこ、否定しないとこに胸が苦しくなった。こちらも最後幸せでよかった…。
登場人物の関係性を書き出して整理したいな。笑
Posted by ブクログ
・「子犬を飼いませんか。ラッキーカラーの赤じゃなく、白衣の白なんですけれど」 子犬、と語尾を上げたきり赤沢が黙り込んだ。寿美子はどこから説明しようかと考えあぐね、ひとまず「できれば一緒に」と付け足した。赤沢が大きく息を吸い込む気配。さぁ何から説明しよう。何と言ってこの男を手に入れよう。 里親の条件どおり、幸せになる。決めた。 いい夢は、これからだ──。
・柿崎美和医師
「鈴音はわたしよりもあんたよりも長生きする。わたしがさせる」
・柿崎美和医師
あなたに支えてほしいのは、彼女の気力です。志田さんが支えてくださらなければ、どんな治療も効果が出ない。
・解説
ここには、死ぬということ、生きるということ、愛するということ、友達とつながるということ、そのすべてがある。これ以上の余計な注釈は無用だろう。あとは黙って読まれたい。
最後はみんな仲良く集まって里親会BBQ。
病気も治ってくっつくもの同士はくっついて
死をテーマにしてた本だったけどわたし的には
ハッピーエンドでした。