あらすじ
舞台上の骨折で引退を決意したストリッパーのノリカ。心機一転、故郷札幌で店を開くことに。訳ありの凄腕バーテンダーやタイプの違う二人の女性ダンサーと店は軌道に乗り始める。しかし、私も舞台に立ちたい、輝きたいという気持ちは募るばかりで──。ノリカの表現者としての矜持と葛藤。そして、胸が詰まるような踊り子たちの鮮烈な生き様を描く、直木賞受賞作『ホテルローヤル』に連なる一冊。
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Posted by ブクログ
何度目かわからないが再読。
ケガでストリッパーを引退したフジワラノリカ。
デビューの地、札幌すすきのでダンスシアターの店を始める。そこでダンサーに応募してきた若い二人と、一緒に仕事をするバーテンダー竜崎との関係性。近すぎても離れすぎても、うまくいかない。
不承不承の引退にも関わらず、ダンサー瑞穂とみのりを束ね、黒子に徹することができたのはノリカのプロとしての矜持か。
笑顔の瑞穂、ストイックなみのり、訳ありの竜崎。ここにノリカが加わった4人の関係が立場も年齢も超え、ステキだった。
うまくいっている最中、瑞穂もみのりも次のステップへ進む道を見つけ始める。その場を離れがたいふたりの背中を押し、ノリカはストリッパーに戻る。
そしてJINはノリカが空けた店舗を借り、今度はバーとしてオープンさせる。みんなが戻れる場所があって、なんて素敵な終わり方かと嬉しかった。
JINが作るものも、たらこバターと、わかめチーズおにぎり、たまらなくおいしそう。
Posted by ブクログ
「ホテルローヤル」の直木賞作家:桜木紫乃の長編。
舞台上での骨折を機に引退を決意した元ストリッパーが、故郷札幌でダンスシアターを開き、バーテンダーや若い女性ダンサーとの出会いを経て自らの生き方を見つめ直していく様子を描いています。
「表現者の矜持と葛藤」を絶妙に切り取り、鮮やかに展開していく感じはさすがでした。
元気になれる小説です(^_^;)
Posted by ブクログ
『ストリップ』『ストリッパー』というものに対しての見方というか考え方が変わる。もちろんこれは小説だから、現実は違うところもあるだろうけど・・・真摯に生きてる人はもうそれだけで美しい。
Posted by ブクログ
ホテルローヤルをきっかけに出会った桜木紫乃さんの作品。ストリップもすすきのにも足を踏み入れたことがないけれど、そのきらびやかに見えながらも孤独でもある夜の世界の空気が伝わってきた。
怪我で踊れなくなって新しい人生を始めようとするノリカ。タイプの違う若い二人に、踊り子として、女として、人生の先輩としていろんな感情を抱くが、決して依存したり強要したりはせずに距離を取りながらそばにいるのが一人で踊ってきた人間らしいなと思った。
でも、みのりと瑞穂と出会ってショータイムを作り上げていく段階や、開店してから少しずつ仲間意識が芽生えて行き、それぞれの役割を果たしながら店が盛り上がっていく時の感情はノリカ一人では味わえなかっただろうし、ノリカにとっての遅れてきた青春のようにも思えて胸が高揚した。
あと、タンバリンのオガちゃんの話は涙せずにはいられなかった。
ノリカの選択はあらすじを読んでうっすら気がついていたけれど、最後まで読んでいくとすごく腑に落ちる。自分にはその道しかないっていうものがある人ってほんの少ししかいないと思うし、そういう人ってやっぱり何かに引っ張られて生かされているのかもしれないと感じた。
そしていくら楽しくてもつらくても、他人との関わりなんてそんなに長くは続かなくて、いつか終わってしまうということに気づかされた。
最後に、出てくる踊り子さんたちのセリフや信念には、本物の舞台に立つ方々への尊敬が込められているように感じられたのもよかった。裸で踊る女たちが受け止めているものがあるなんて、想像もしていなかった。
Posted by ブクログ
はぁっ、これは良い。桜木さんが元ストリッパーを描いたらこうなるだろうな、という予想を見事に裏切られました。四人の出会いが出来すぎているのと瑞穂さんのオチがソレかぁ・・・っていうガッカリ感も、JINさんの「あの」設定(経歴じゃない方)とみのりさんの師匠愛、そしてなんと言ってもオガちゃんだよね、補って余りある良さです。12章の冒頭はこの小説を終えるのに欠かせない挿話。そして読みながらずっと感じていたタイトルに対するモヤモヤ感も最後にキッチリ回収されて、実に晴れやかな読後感でした。
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あと桜木さんの情景描写ほんと巧い、ハッとする珠玉の名文が作中にいくつもいくつも
Posted by ブクログ
この作品は怪我で引退した元ストリッパーノリカが北海道のすすきので再起をかけて奮闘する作品です。ストリッパーなど聞いたことはあるが、どんな職業なのか、そこで生きている人たちの葛藤、生き様はどんなものなのか、この作品で感じると思います。自分が帰る場所はここしかない、ノリカの奮闘劇です。
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ストリッパーとかバーレスクとかダンスとか全く無縁で生きてきたけども。。。
なぜだか興味津々なのです、ウン。
完全に藤原紀香さんを思い浮かべながら読んでしまいました。
Posted by ブクログ
芥川賞読んだ以来、久しぶりに手に取ったけど、こういう本を書く人でしたか。。
みんな優しくて、一生懸命で、潔くて、なんとも切ない。
元ストリッパーの話で、時々すごい描写もあるんだけど、艶かしくて下品さが無くて、私も『小屋』に行ってノリカのダンスを見たいし、瑞穂とみのりもダンスも見てみたい。
オガちゃんのタンバリンはグッときたなぁ。。
そして
何度も出てくる、
たらこバターとチーズわかめのおにぎりが食べたくなる。
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ストリッパーの物語ということで際どいシーンが随所に顔を出すけれどそれもスパイスとして凄みを増してくるのがとても不思議だった。
札幌の景色の描写がとても素晴らしく地元民としては震えてくるほどに感動。ダンサーふたりと凄腕のバーテンの絡みもたまらないしノリカさんの心意気をどこまでも追いかけていたくなるようなお話だった。桜木紫乃さんの作品でトップにランクインしたかも。
Posted by ブクログ
久しぶりの桜木紫乃。
ベストワンと言いそうになるけど なんかもう一冊すごい好きなのあった記憶が。
でも間違いなく わたしの中の桜木紫乃ベストスリーに入る。
途中 胸が痛くなるほど切ない場面はいくつかあるものの 全体として明るい仕上がり。こんな明るい桜木紫乃は初めてかも。明るいというか 軽やかさを感じるというか。ある時期から描く世界に色がついてきたのは感じてたケド それが加速した感じかな。
まぁ 明るい中に 底無しの闇はあるけど 笑。
でも 明暗のコントラストというより もっと近い感じ。うまく言えないけど コントラストって わたしの中では 色相で言うと補色みたいに対極にあるイメージなんだけど これは明暗の差は激しいけど スポットライトの隣にある闇 みたいな。全然わかりやすくないか 笑。
オガちゃんのタンバリン 聞いてみたかった。
タンバリンって そんな上手下手があるとは知らなかった。でもタンバリン芸っていうくらいだからね
なんか違うんだろうなぁ。
オガちゃんが店を訪ねてくるシーン
いろんな意味で 涙なくしては読めない。
ファンってありがたいねぇ。
最後にオガちゃんのタンバリンで踊るノリカを見せられてよかった。お互いに最高のプレゼント。
熱海の静佳に会いに行ったシーンもほんと切なく 読み進めるのがツライほど。暗闇での再開。どんな強い気持ちで踊り終わるまで観てたんだろ。踊るほうも同じく。たぶんこれが最後になるだろうに 最後までコトバを交わすことなく。楽屋を訪ねることもなく。
こんなしんどい思いをしながらも ストリッパーとして死にたいって 強いなぁ。それほど 自分の芸に対して揺るぎない自信と愛情があるってことだろうね。
それにしてもなぁ スポットライト当てる照明さんは
胸が張り裂けそうだろうし 静佳ファンでないイチゲンサンがほとんどだろうアウェイな舞台で いきなりこれを見せられるって お客さん どんな気持ちだろ。酔っ払ってるだろうし 罵声のひとつも飛びそう。その場面さえ目に浮かぶようで胸が痛くなった。
なんでここまでって思いに戻っちゃうんだよ ぐるぐると。まさに凄絶。
そしてノリカ まさかストリッパーに戻るとはなぁ。
自分で踊りたくなっちゃったのかなぁ。
それとも わたしの居場所はやっぱり舞台ってことなのかなぁ。ここでもまたファンって有り難いねぇと。
あたたかいファンの気持ちに迎えられての復活。
ストリッパー冥利に尽きるね。
誰かを育てる元気がなくなっちゃったとしても またちょっと違うタイプの店にしていけば良くない?
わざわざ そんな厳しい道を選ばなくても すごいバーテンダーもいるんだし。と思うわたしは甘いんだろうなぁ。
抜群にカッコいいオンナとオトコが出てくるって ほんと桜木紫乃変わったね 笑。前はほんと感情移入できない 嫌なひとばっかり出てきたもん 笑。
この5年後くらいの話が読みたいな。
ま かかないだろうケド。
ここで切なく終わるのがいいんだろうね きっと。
Posted by ブクログ
足を痛めて北海道に流れてきた元ストリッパーのノリカさん。若いダンサーを集めて、ススキノでダンスバーを立ち上げる。店を手配してくれた不動産店の営業マンは、実は銀座の伝説的バーテンダー。新しい人生は成功するのか?
Posted by ブクログ
元ストリッパー、フジワラノリカの第二の人生の物語!..って、元祖紀香にこれは許可を得ているのだろうか?それはともかく、これは好き。いつもうら寂しさを感じさせる桜木さんにしては、体温高め。怪我で引退したノリカは、新たにダンスシアターをオープンする。ポリシーは、店の踊り子は脱がせない、純粋たるダンサーに育てる。志願してきた若く才能のある踊り子・影のあるバーテンダー。珍しくほんの数摘、少女漫画的要素をたらしてリーダビリティを発揮。登場人物も皆好き。著者らしさと、新境地テイストのバランスが良い。著者既読上位入り!
Posted by ブクログ
浅草のロック座でストリップを見たことがあります。
本当に美しくて、同性がみても惚れ惚れとするまさに芸術的なものを感じました。
卑猥さがない、全身全霊で作り上げるあの空気感は忘れられません。
そういった鑑賞経験を持ってこの本を読むことができて本当に良かったと思える作品。
ストリッパーというもの、踊りに命をかける人がいる。
歓楽街に出入りする人の刹那的な出会いや、それぞれの事情がうまく隠れたり現れたりしていて、ひきこまれてしまった。
Posted by ブクログ
◾️2013年直木賞作家
◾️著者は釧路出身だが本作は札幌ススキノが舞台
◾️独特の夜の世界が最後まで底流に
◾️一本芯の通った女の生き方
◾️著者の性愛への冷めた目線
◾️実はJINが主役のような渋いキャラ
Posted by ブクログ
桜木さんの作品の傾向から、
この人が裏切るのかな?と途中で何度か予想しましたが、酷い人は出ず、良い人達ばかりで読み終えてホッとしました。
お店を閉じるという展開に寂しさを感じましたが、ノリカの踊り続けるという決断には感服しました。また桜木さんの作品読みたいです。
Posted by ブクログ
よい本だった。若い時は「恋人」「友達」「先輩と後輩」みたいなわかりやすい関係に集約されるけど、歳とると色んな関係性があるよなって改めて認識させられた。
何かを始めるにも、何かを終わらせるにも勇気をもらえる本。
Posted by ブクログ
おもしろかった。
夢を見るため、夢の続きを見るため、今日をしっかりと生きている人の話。
登場人物の過去のことは、さらりと触れられるだけ。ノリカの足のけがにしても、その呪縛を受けている感じはしない。明日のために今日をどう生きるかを考えている。
解説の次の文がよいし、重い。
大切なもののほとんどすべてを無くし、どれほどどん底まで堕ちたとしても、たったひとつ真に打ち込めるものを持っているというそのことこそが、明日を生きるための(今日死なずにいるための)原動力になり得るのだ。
個性豊かなキャラクター達
舞踊の経験がある方には共感するところが多い作品だと感じました。題名からは想像し難いかと思いますが、北海道を舞台に人生をやり直していく様な内容です。主人公よりも周囲の人物に惹かれました。
様々な見方ができる作品だと思います。
Posted by ブクログ
なかなか足を踏み入れない世界の話で、
どんな話なのか興味が湧いて、手に取った本。
いろんな生き方ってあるよなぁって思った‥。
なんだから「生きてる」って感じがした。
Posted by ブクログ
桜木紫乃の作品を読むと、毎回「この人はこんな作品を書けるのか」と、驚嘆してしまう。
ストリッパーという特殊な(申し訳ないが、私がこれまで触れたことのない世界なので、特殊な、という表現を許していただきたい)世界で生きる女。
踊ることを一身に愛し、その世界を離れられない女。
妖美で、可憐で、悲しい。でも、潔い。
アスリートとか、芸術家とか、そういう題材と同じように、ストリッパーを捉えている。
狂おしいほど全身全霊をかけて愛し、そしてそれに一生を捧げる人の美しさと強さ、儚さをきっちり書いている。
決して、キレイな話、美談一辺倒としてはおわらせないところが桜木さんの冷静な目であり、でもその目はあたたかで、優しい。愛情を滲ませて、どうしようもない人間というものを書く。
読んで、引き込まれた。
『硝子の葦』と比べて、どちらかというとストーリー重視なのでぐいぐい進むのだが、その分人物像系はどちらかというとキャラクター的かな。
立体的に、人臭さが香り立つところまではいかない。
ドラマ的、映画的なのかもしれないな。
だから、荻原浩とか、原田マハ的な感じもそこはかとなくある。
そしてその点において、対局には『砂上』がある。
桜木紫乃の心象風景は、作品ごとにその景色と色合いを変える北海道の風景、そして女のどうしようもなさ。ひたむきさ、儚さ。そして美しさ。そしてどうしようもなく乾いた砂。
それらの絶妙で危うげなバランスが、きっと桜木紫乃の物語の世界を唯一無二のものにしているし、読者はそこに夢を見るのだと思う。
Posted by ブクログ
厚さにしては要素が多く感じられた。
描き尽くされてない部分が多いような。
JIN周辺と瑞穂の扱いがちょっと雑?
でもすきな作品。読みやすい。
自分は文章から匂いがしてくる作品がすきな傾向にあるが、たらこバターもチーズわかめも、「ダンスシアターNORIKA」の酒やタバコや香水の匂いも、小屋の黴の匂いも自然な生々しさで描かれていて好ましい。
Posted by ブクログ
舞台上の骨折で引退を決意したストリッパーのノリカ。心機一転、故郷札幌で開く店で雇う、訳ありバーテンダーと二人の女性ダンサーとの出会いにより、再び彼女の表現者としての気持ちが昂る。踊り子たちの鮮烈な生きざまを描く長編小説。
解説で紹介された桜木さんのコメントがいい。ストリップという文化に深い畏敬の念を抱き、舞台と小説の世界の共通性を語る内容に共感を覚える。何事でも突き詰める者だけで分かち合える空気が心地好い。
Posted by ブクログ
素直に書かれいてる人間臭さが好きだ。
いつまでもこの状況が続けば良いと思いながら、バラバラになってしまう登場人物に最後はエールを送る気持ちになる。
「誰にも約束された明日なんかなかった。だからこそ信じられる未来があった。」(p238)などの味のある文が散りばめられているところも魅力だ。
Posted by ブクログ
桜木紫乃『裸の華』集英社文庫。
桜木紫乃の描く女性の多くは逞しい。この物語の主人公であるノリカもまた強く、逞しい。しかし、若さと老い、栄光と挫折、何故か残酷さばかりが際立つ作品だった。
舞台で足を骨折し、引退を決めたストリッパーのノリカは故郷の札幌でダンスショーを売りにした店を開き、店も軌道に乗り始めたのだが……
僅かに光を感じる結末ではあるが、ハッピーエンドでは終わらないところが、正に人生そのものか。解ってはいるが、出来ればノリカには平穏な人生を歩んでもらいたかった。
Posted by ブクログ
ケガで引退していた元ストリッパー、ノリカ。日影の職業だと思うのだが誇りを持っている。ケガが治りダンサーがスカウトされたとは言え、軌道に乗っていた店をたたみストリッパーに戻っていく。ちょっとわたしには理解できなかった。
Posted by ブクログ
ざっくりいうと元ストリッパーがすすきのに店を出す話。
情景や人の姿が思い浮かぶようなわかりやすい文章で読みやすい。
夜の世界はもっと生々しい感じもするけど、なんだか綺麗にまとまった感。
Posted by ブクログ
怪我で舞台を降りたストリッパーが再転地とやってきたのは最北の政令指定都市・札幌。すすきの。ダンスを売りとしたバーを立ち上げる。ストリッパーであることを恥じてはいないと度々口にするノリカ。だが、彼女が「ストリッパー」と口にするたびそこに恥と自虐が滲み出る。若手ダンサーの瑞穂とみのり。彼女たちの未来が、自らの出自で汚れるのではないかという恐れ。だけど、それは杞憂だった。日にち薬で癒される心の怪我はあるかもしれないが、きっとそうじゃない。自らの意志で手当をしていかないと癒せない。出来過ぎな物語だが、物語だから。
Posted by ブクログ
いつもはスラスラ読みやすい桜木紫乃だけど
今回はちょっとキツかったかな
だけど、つい探して行ってみたくなるような
その曲を聴いてみたくなる身近な感じはやっぱり好きだった
あの後のノリカはどうなるのかな?
みのりと瑞穂は幸せな人生を歩み始めたーとハッピーエンドっぽいのに、ノリカだけが抜け出せないところにいる様で‥
JINとの新しい展開が待っていたら嬉しい