桜木紫乃のレビュー一覧

  • 人生劇場

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    昭和初期に生まれ理容師となった男の、波乱万丈の人生を描く。

    親兄弟からは疎まれて育ったものの、叔母や幼なじみからは過分な愛情を向けられ、感情の赴くままに身勝手を貫く主人公。
    このダメダメ男のモデルは作者自身の父親だそうで、ご本人も登場するのだが、よくぞこれほど距離感を保って客観的に書けるものだと驚く。インタビュー記事によると、作中人物たちに自分の存在を気付かれないように、という意識で書いているとのこと、なるほど。

    10年以上前に読んだ『ラブレス』は母親サイドの話で、本作と対を成すという。どの人物の言動にも共感するのは難しいのだが、どちらも作品としての底力に圧倒される。
    昭和歌謡や演歌のイメ

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    2025年04月20日
  • 人生劇場

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    作家の父親がモデル? ほんとに身勝手でどうしようもない男と思った。奥さんもよく我慢し、男たちを育てるのもほどがある。今は考えられない。私の身近に少し猛夫ほどではないがこの現在でも同じタイプの男がいる。今でも奥さんは腰が曲がっている者の一生懸命働いて居る.居酒屋 唐揚げ屋 キッチンカー でまた何かをしようとしてる.そのた度お金がいる。時々奥さんに「もうすぐ死ぬから」 もう少し頑張るように話す。猛夫も歳を取るまで奥さんのことに気がつかない男もどうしようもない。本を読んでいて腹が立った。主人が「腹が立つなら読むな」と言うが、最後まで桜木志乃の本なので読んだ。

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    2025年04月19日
  • 人生劇場

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    新川猛夫という男の波瀾万丈の人生。
    壮大な大河ドラマのようだった。
    伯母カツが惜しみない愛情を注いでくれたのに、実家の両親や兄妹の卑屈さと陰湿さがそれを台無しにしてしまうように思えた。
    理容師として確かな技術を身につけ独立したのに、焦燥や苛立ちから妻へ暴力を振るい、身勝手な借金を重ねては見果てぬ夢を追い続ける男になってしまったのが残念。
    自分の境遇を受け入れて女一人で生き、影で猛夫を支え続けた駒子の強さがかっこいい。

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    2025年04月07日
  • ヒロイン

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    娘の啓美をバレリーナにするため、厳しく支配する母親から逃げ光の心教団へ流れるままに入り、流れるままテロに加担して指名手配されてからは名前を何度か変え、23歳から40歳まで17年も逃亡した女の逃亡記。彼女に逃げている感覚はないのと、居場所を変えても人に恵まれているのが不思議だった。本当にただ流れるまま男と住み、遺体を処理したり子供も産む。そこに罪の意識は一切ない。中国人のワンウェイのその後だけが気になる。

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    2025年04月06日
  • 人生劇場

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    まさに人生劇場。
    波瀾万丈の一生を読み終えてお腹いっぱい。
    読後、著者の父親がモデルになっていると知って驚いた。
    まさに昭和の男といった感じで見栄と意地で生きているような男。
    不快になる部分も多かったけど、時代背景においてこうだっただろうなと納得。

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    2025年04月05日
  • 人生劇場

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    戦前室蘭で生まれた猛夫が不幸な生い立ちから成功しようともがく話。

    作者の父がモデルだそう。猛夫のコンプレックスとか欲望とか、わかるーと言いたいのと、全編に渡って暗いのと。ダメな自分を癒してくれたり、こんな男じゃダメだと叱咤してくれる。

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    2025年04月01日
  • ヒロイン

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    ネタバレ

    面白かったです。入信していた教団がおこした事件の実行犯にされてしまった女性の逃亡生活を描いたお話です。色々な人との出会いと別れ、良いことが起これば、悪いことも起こる、でき過ぎた展開にならないところが面白かったです。最初実行犯にされてしまった時に自首して状況を警察に説明したほうがよいのでは?とは思いましたが、実行犯にされてしまう怖さ、捕まる怖さは分かります。

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    2025年03月30日
  • ふたりぐらし(新潮文庫)

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    書いてる方が多いけど、良作。
    思ったより平均の☆が低いけど、わたし的には4.5くらい!
    こういう、どこにでもいそうな、なんでもない日常がいちばんリアルでおもしろい。
    看護師の紗弓と、脚本家を目指す信好。夫婦と、それぞれの家族と、それぞれを取り巻く人たちとのお話。
    愛情と絆で結ばれているけど、だからこそ知られたくない姿があって、聞けないことがある。
    相手のことをすべて知るなんてできない。知らない顔がある。あたりまえのことかもしれないけど、その微妙なすれ違いがうまーく書かれている。
    一番印象的だったのは鰻の話。信好が母と食べた鰻。その店の前を通った時に、信好は母を思ったのだろう。でも、そのことを知

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    2025年03月27日
  • 人生劇場

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    昭和13年に室蘭で生まれた新川猛夫の一生を描いた作品。桜木さんのお父上をモデルにして書かれた小説らしい。
    主人公はもちろん猛夫だが、著者の目線は彼の周りにいた女性たちにより多く注がれている気がする。猛夫の母タミ、タミの姉であるカツ、カツの営む旅館の下働き・駒子、妻の里美などなど。彼女たちとの関わりによって、猛夫の人生が複雑に変わっていく。
    男の見栄や矜持、弱さなどを考えさせられた。タイトルも含めて“昭和”の香りが濃厚に漂う作品だった。

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    2025年03月21日
  • ふたりぐらし(新潮文庫)

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    もし子供を授からなければ、この先ずっと夫との「ふたりぐらし」を生きていくんだな。

    不妊治療をしていた頃、そんな風に考えることで授からなかった時に備えようとしていた。子供の声がしない、大人2人の生活。2人の為だけにお金も時間も費やせて、それはそれで静かで満ち足りた人生じゃないか、って。治療生活が長引くにつれ、保険のようにそんな想像をすることもしばしばだった。

    そんな時に、書店の店頭で本作に出会って、なんとなく手に取ってから早数ヶ月。
    2ヶ月前に私たちのもとに来てくれた赤子がスヤスヤと寝ている隣の部屋で、ようやく本作を読み終えた。完全に読む時期を逸した感があるけど、こういう読書体験もあるあるだ

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    2025年03月21日
  • ヒロイン

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    ネタバレ

    幼いうちからバレエ教室を経営している母親にバレエを叩き込まれていたが才能がなかった啓美は叔母の薦めでカルト集団に入った。毒親から逃れ洗脳されてる環境が平穏だった日々が、ある時毒ガス事件の実行犯について行っただけで追われる身になった。すぐ出頭すれば大した罪にならなかっただろうに、転々として生活を続けていく。離婚して別の家庭を持っていた父親のところで腹違いの妹に会ったり、別の名前を名乗って孫娘になりすましたり、身元の知れない男に惚れたり、共感できないし、嫌な気持ちになるのだが続きが気になり読んでしまった。

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    2025年03月19日
  • 誰もいない夜に咲く

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    寒い土地、
    荒波、
    雪の白に覆い尽くされる大地。
    人の噂が広がる界隈
    そして、寂れゆく街
    そんな土地でのさまざまな女。となぜかパッとしない男の繋がりと生業。
    どの短編も女が強い。寒さに耐え、性に耐え強くなる女
    だからこそ男が情けなくなるんじゃないかなどと思うけど、だからこそその辺りが桜木さんの描く小説の素敵なところだ
    毎日が天候のようにグレーでいると一時の温もり、凪ぐ煌めく海、雪の白が美しい大地が狭いからこそある人情が宝物に思える

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    2025年03月16日
  • 凍原

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    銀鼠色の湿原の街で起きた時を超えた2つの事件。

    17年前に弟を行方不明で亡くした刑事が、
    新たに起きた殺人事件の捜査に関わる。

    日本人なのに青い目のご遺体。
    それを隠すように暮らしていた。

    青い目の男性が探していた人は?
    捜査上行き着いた1人の女性の過去の壮絶な人生と、青い目の秘密。

    そして、弟の事件の交わる時に全てが解ける。

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    2025年03月05日
  • 俺と師匠とブルーボーイとストリッパー

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    ネタバレ

    じんわりあったかくて、それぞれのキャラクターが非常に立ってて面白かった。別れのシーンは泣けました。

    恋愛要素が出てきてしまってそこが少し残念でした。
    そこは抜きで書ききってほしかった。

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    2025年02月27日
  • ヒロイン

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    何度もどん底のような状況に立たされながらも、懸命に生きていこうとする主人公の姿にとても心を打たれました。
    導入は、よくありがちなオウム事件をモチーフにした新興宗教関係の物語かな、と思っていたのですが、浅はかでした。
    読み進めるごとに、女性を主人公にしたノワール的な内容になっていき非常に引き込まれました。
    ヒロイン、というタイトル通り、登場する男性が良い意味でヒロインたちを引き立てる舞台装置のような描かれ方でした。
    対して、主人公の母親や、仕事仲間(?)、出会った人々など、女性のキャラクターはどれもがヒロインのように力強くに描かれています。
    本当の強さとは何か?を教えてくれるような作品です!

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    2025年02月21日
  • 谷から来た女

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    アイヌの血を引くミワと、その周囲の人々の関係性からなる短編連作。
    関わる人に、消化しきれない何かを残していくような、凛々しいミワが印象的。

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    2025年02月20日
  • ヒロイン

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    桜木さんは、訳あり女性を描くのがとてもうまいと思う。
    いつも北海道の話ばかりだったので、最近は遠ざかっていたけど、なかなか面白かった。

    長い逃亡生活の中で、深く関わるのはごく限られた人間だったけど、それぞれとの繋がりは深い。
    エピローグ読んだ後、思わずプロローグをもう一度読んでしまった。繋がりが絶妙。

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    2025年02月19日
  • 俺と師匠とブルーボーイとストリッパー

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    北海道のキャバレーの下働き青年が、ドサ回りの出演者達と一時的に同居するお話

    以下、公式のあらすじ
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    「血のつながり」はなくても、そこには家族があった。

    【第13回 新井賞受賞決定!】
    切ない事情を持ち寄って、不器用な四人が始めた同居生活。

    ギャンブルに溺れる父と働きづめの母から離れ、日々をなんとなく生きる二十歳の章介。北国のキャバレーで働きながら一人暮らしをする彼は、新しいショーの出演者と同居することになった。「世界的有名マジシャン」「シャンソン界の大御所」「今世紀最大級の踊り子」……店に現れたのは、売り文句とは程遠いどん底タレント三人。だが、彼ら

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    2025年02月17日
  • 裸の華

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    ◾️2013年直木賞作家
    ◾️著者は釧路出身だが本作は札幌ススキノが舞台
    ◾️独特の夜の世界が最後まで底流に
    ◾️一本芯の通った女の生き方
    ◾️著者の性愛への冷めた目線
    ◾️実はJINが主役のような渋いキャラ

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    2025年02月15日
  • ヒロイン

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    初めて読む(聞く)桜木紫乃さんの作品。
    世間を震撼させた某毒ガス事件に関与することになる女性が主人公となり、指名手配犯として追われ続ける生活、その逃亡生活の中での様々な出会いが描かれる。
    重大事件の逃亡犯ということで、日々の生活の中に小さな幸せがあったとしても、その背後には終始儚さが残り、読んでいて切ない。
    プロローグで結末が明らかになる展開のため、どのようにしてその結末を迎えるのかを追っていくことになるが、次第に行き場の無くなっていく展開がこれまた切ない。
    読後の余韻がしばらく残った作品です。

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    2025年02月14日