桜木紫乃のレビュー一覧
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「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」妹からの電話で実家の状況を知った智代。かつて横暴だった父が、母の面倒をみているという。関わり薄くいられたのも、お互いの健康あればこそだった。長男長女、墓守、責任という言葉に距離を置いてきた日々。妹は二世帯同居を考えているようだ。親孝行に名を借りた無意識の打算はないか。家族という単位と役割を、北海道を舞台に問いかける傑作長編。
小説なんだけど とてもリアルに感じた
もう両親は4人とも亡くなってしまったので 介護の心配はないんだけど 今度は私達の番だわ…って思いながら読んでました
義父が認知症だったけど 周りの人達は本当に大変だと思う
いろんな事を忘 -
Posted by ブクログ
ズルズルっと 初めは数ページ読んでおいていたのですが、読み始めたら最後までズルズルっと読めました。人にはそれぞれの人生があり、誰がどのように生きてきたのか、本人から聞いてもそれが真実なのか嘘なのか分かりません。自分が真実だと思えることが真実で嘘だと思うことは嘘なのでしょう。桜木柴乃さんの本は初めて手に取りましたが、今後もどこかで手に取りそうに感じました。
無差別テロの実行犯として追われながら流れていく歳月をドラマティックに描いた作品でした。こういう作品を読むと、自分がどうして生きているのか、生きていてもよいのかなど余計なことを考えてしまいます。様々な境遇で色々な人が生きているこの社会、すぐ隣 -
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Posted by ブクログ
「岡田さんとおつきあいさせていただいているのは、母を一緒に看取って欲しいのではなくて、母に忘れられてゆくわたしを、誰かに見守って欲しかったからなんです。同性じゃだめなのね。どこかに憐れみが混じるから、お互いによくない。ふと見回してみたときに、職場にも職場以外にも知人はたくさんいたけれど、異性と思えるような相手はいなかったの」
「お見合いというかたちを選んだのは、なぜですか」
「知り合う時間を待てなかったの。本当は時間をかけてお互いが理想のひとに育ってゆくのがいいのだけど、自分にはもうそこにかける時間がないんだなって気づいちゃった。……」 -
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雪が降る様は、緩慢な時の流れを思い起こさせる。一年のうち、三分の一はそれが続く。積もれば容易く抜け出せない要塞を築き、人々を中に閉じ込める。
雪国に在って、しだいに神経が麻痺していくような感覚はわかる気がする。
極寒の気候で熱はひときわ存在感をもち、痛みは研ぎ澄まされて鋭く、悲しみは沁み通る。
寥々たる地を背景にすれば、生きた人間の輪郭は否が応でも太く浮き出てくる。
あらゆる要素が舞台装置として、これ以上ないほど有効に機能している。
故に、どの作品も「北海道でなくてはならない」と思わされる。もしも別の場所が舞台だったなら、まったく異なる印象をもったと思う。
全体を通して、思ったことがもう一 -
Posted by ブクログ
カバーに惹かれて読みました。
桜木紫乃さんの作品は「ホテルローヤル」以来。
「ホテルローヤル」があまり私にはフィットしなかったので、この作品はどうかな?と思っていたけど、良かったです!
読み始めてすぐは章介の暮らしぶりの描写から湿っぽいお話かな?と思っていたけど、ショーに出演する3人が登場して章介と暮らし始めてからはガラリと変わった気がします。
この4人の関係がとても良かった。師匠もブルーボーイもストリッパーも、みんな良き人だった。
3人が釧路にいられる期間が決まっていたからこそのこの濃密な関係を築けたのかもしれないけど、3人と別れる時に章介が泣いて寂しいと思えるようになったことが良かったなぁ -
Posted by ブクログ
今回は特に渋いなあ。。。
と思ったら、桜木紫乃さんのまさかのデビュー作
卓越された描写力と人物造形力は既に健在
収録されているのは六編だが、
長編小説を読み終えた様な深い読後感がある
オホーツク沿岸の冷たい大地とは対象的に、北の大地に人生をささげてきた家族や男女の関係が生々しい
狭い社会の中でのままならない日常、行き場のない心はさまよい、温めてくれる他人を求める
しかし、どの話にも出てくる女は逞しくブレない生き様だ
良かったのは『霧繭』と『氷平線』
『霧繭』は和裁師の女の話
『氷平線』とは”水平線”ならぬ”氷水線”
水平線のように広がる氷の大地のことであり、凍てついた海と空の境をなす線をい