桜木紫乃のレビュー一覧
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アイヌの血を引き、新進デザイナーとして活躍する若い女性・赤城ミワを主人公にした連作短編集です。
主人公の祖父が二風谷ダム訴訟(アイヌ民族の先住性を問う契機となった事件)の原告の一人という設定です。ですからアイヌの問題(私はこの領域に関しては全く無知なので、調べつつ読み進める事になりました)は出て来ますが、それについては極端に偏ることは無く、主人公(モデルになった人が居る)の言葉を介して淡々と重い事実が語られる感じです。むしろ、物語の焦点は凛として生きる主人公や彼女を取り巻く人々の生き様を描くことに重点があるように思います。
それにしても、どんどん上手くなりますね。読み始め”酔いを片手にひとりに -
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桜木紫乃さんは五作品目
いつもどの作品にしようか、レビューを読みながら決めるのを楽しみにしている° ✧ (*´˘`*) ✧ °
話は暗めなのだが、初めて読んで以来、著者の凍てつく北の大地の世界に時々戻ってきたくなるようになってしまった
著者が描く女達は、まるで極東の冷たい大地にのように逞しく芯が強い
そしてその周りにいる男達は頼りない
今作は六章に分かれていて、それぞれの語り手(女六人)がどの物語にも登場する”順子”と繋がっている
そして今の”順子”のしあわせを確認したくなると同時に、自分と比べてみる
「私は、あの人(順子)よりしあわせ」
みんなそう思っていた
しかし、妻子持ちの男 -
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「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」妹からの電話で実家の状況を知った智代。かつて横暴だった父が、母の面倒をみているという。関わり薄くいられたのも、お互いの健康あればこそだった。長男長女、墓守、責任という言葉に距離を置いてきた日々。妹は二世帯同居を考えているようだ。親孝行に名を借りた無意識の打算はないか。家族という単位と役割を、北海道を舞台に問いかける傑作長編。
小説なんだけど とてもリアルに感じた
もう両親は4人とも亡くなってしまったので 介護の心配はないんだけど 今度は私達の番だわ…って思いながら読んでました
義父が認知症だったけど 周りの人達は本当に大変だと思う
いろんな事を忘 -
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ズルズルっと 初めは数ページ読んでおいていたのですが、読み始めたら最後までズルズルっと読めました。人にはそれぞれの人生があり、誰がどのように生きてきたのか、本人から聞いてもそれが真実なのか嘘なのか分かりません。自分が真実だと思えることが真実で嘘だと思うことは嘘なのでしょう。桜木柴乃さんの本は初めて手に取りましたが、今後もどこかで手に取りそうに感じました。
無差別テロの実行犯として追われながら流れていく歳月をドラマティックに描いた作品でした。こういう作品を読むと、自分がどうして生きているのか、生きていてもよいのかなど余計なことを考えてしまいます。様々な境遇で色々な人が生きているこの社会、すぐ隣 -
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「岡田さんとおつきあいさせていただいているのは、母を一緒に看取って欲しいのではなくて、母に忘れられてゆくわたしを、誰かに見守って欲しかったからなんです。同性じゃだめなのね。どこかに憐れみが混じるから、お互いによくない。ふと見回してみたときに、職場にも職場以外にも知人はたくさんいたけれど、異性と思えるような相手はいなかったの」
「お見合いというかたちを選んだのは、なぜですか」
「知り合う時間を待てなかったの。本当は時間をかけてお互いが理想のひとに育ってゆくのがいいのだけど、自分にはもうそこにかける時間がないんだなって気づいちゃった。……」 -
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雪が降る様は、緩慢な時の流れを思い起こさせる。一年のうち、三分の一はそれが続く。積もれば容易く抜け出せない要塞を築き、人々を中に閉じ込める。
雪国に在って、しだいに神経が麻痺していくような感覚はわかる気がする。
極寒の気候で熱はひときわ存在感をもち、痛みは研ぎ澄まされて鋭く、悲しみは沁み通る。
寥々たる地を背景にすれば、生きた人間の輪郭は否が応でも太く浮き出てくる。
あらゆる要素が舞台装置として、これ以上ないほど有効に機能している。
故に、どの作品も「北海道でなくてはならない」と思わされる。もしも別の場所が舞台だったなら、まったく異なる印象をもったと思う。
全体を通して、思ったことがもう一