桜木紫乃のレビュー一覧

  • 俺と師匠とブルーボーイとストリッパー

    Posted by ブクログ

    舞台が似合いそうなお話。頭の中ではすでに読みながら上演されていた。実際に舞台化したら見てみたい。
    後半を読んでいる時は竹内まりやの縁の糸が脳内を流れていた。(キャバレーっぽくないけど)
    みんないいキャラで、夜の世界を、芸事を心得ている感じで、その世界で出会ったら絶対仲良くなりたい!と思っただろうな。

    先日読んだ千早茜さんの『男ともだち』でも思ったけど、何かをなくすならなくしきった方が、挫折するなら挫折しきった方が、中途半端よりもいいだろうなと思う。
    別れもきっちりとする。そうしたら次の出会いを心から喜べる。
    ついつい色んなものや関係をずるずる引き延ばしがちだけど、覚えておきたいなと思う。

    0
    2024年10月10日
  • ラブレス(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    謎の位牌を握りしめて、百合江は死の床についていた。開拓村標茶で極貧の家に育ち、中学と同時に奉公に出されるが、旅芸人に飛び込んだ百合江、地元に残り理容師になった妹の里実との関係を軸に、子供の小夜子と理恵、親の酒呑みの夫と駆け落ちして5人産んだ文盲のハギと女三世代の壮絶な人生を描いた話だった。道産子としては開拓者の苦労を忘れてはならないし、こういうこともあったのではと思わされた内容だった。「どこへ向かうも風のなすまま。からりと明るく次の場所へ向かい、あっさりと昨日を捨てる。捨てた昨日を惜しんだりしない。」

    0
    2024年10月01日
  • 彼女たち

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ジョンとイチコ
    「なつかしいものなんてひとつもないの」というイチコさんと暮らす猫⁉︎のジョン。イチコさんの「なつかしいもの」に。

    モネの一日
    今したいこと。自分のページをめくる。

    夕暮れのケイ
    今を乗り越える力

    書き残した手紙
    〜どうか明日も、笑っていてください。〜

    こぼれ涙…やられた…。

    添えられた優しい写真。

    0
    2024年09月30日
  • ブルースRed

    Posted by ブクログ

    『ブルース』の続編として本書を手に取った読者は、影山博人に恋をしていると思う。

    本書の主人公:莉菜は、継父の博人に恋焦がれ、この世にいない博人の亡霊をいつも追いかける。
    莉菜の目標は、博人の遺伝子を受け継いだ武博を、代わりに担ぎ上げること。
    道東の釧路の裏社会を牛耳るも、その土地をどこかで恨んでいる。

    『ブルース』は博人の視点で描かれなかったが、本書は莉菜の視点でしか語られていない…両書とも【女目線】なのだ。

    「男と違って女のワルには、できないことはない」は莉菜の呪縛ではなかったのか⁈
    紫乃氏作品は、余韻が凄い。

    0
    2024年09月29日
  • 谷から来た女

    Posted by ブクログ

    こんなうだるような暑い最中に読んだとしても、一瞬で冬の北海道に降り立ったような空気感に染めてしまう桜木さんの作品。北海道と孤高の女を書かせたら右に出るものはいない作者だが、今作はアイヌ民族の血を引き、アイヌ紋様のデザイナーとして活躍する赤城ミワが主人公。語彙力のなさを承知で言うと、なんかカッコ良かった。クールだ。以前の作品から感じられる泥水をすするような、しょっぱい女の痛みのような雰囲気はあまり感じられない。個人的にはそっち系の方が自分の好みなのだが、行間から想像力を掻き立てる文章は流石のひと言。

    0
    2024年09月22日
  • 霧

    Posted by ブクログ

    三姉妹の次女の話、次女。家を出て芸者として生きるその後相羽と知り合う、三浦と言う男の身代わりになって助けていただいた恩があると言い警察に出頭する。珠生は、この男相場を待とうと、心に決め出所後芸者を辞め、相羽組を作り、妻となる。事務の木村は、珠生にとって心強い相手、相羽の骨を海に返す時三浦を殺したのは木村で最後にポツリと話す全ては愛であった。

    0
    2024年09月18日
  • 家族じまい

    Posted by ブクログ

    呆けてしまった母親と、昔気質な父親、2組の娘夫婦。付かず離れずで、老いという人生の不都合に立ち向かう。距離感や生活感が、故郷を思い出させる北海道本の傑作。

    0
    2024年08月27日
  • 俺と師匠とブルーボーイとストリッパー

    Posted by ブクログ

    タイトルに惹かれて読んでみたら、まさにタイトル通りの物語。
    桜木紫乃さんが描く、北海道の寒々しさを感じる夜の世界の人々のお話、やっぱり好きだ。

    北海道のキャバレーで雑用係として住み込みで働く主人公の章介と、年の瀬近くなった12月にそのキャバレーにやってきた、トランスジェンダー(ブルーボーイ)のシンガーソコ・シャネル、年かさのストリッパーフラワーひとみ、インチキ臭いマジシャンチャーリー片西(師匠)が送る、ひと冬の物語。

    4人の関係性がとてもよかった。章介が住むキャバレー持ちの寮はねずみなども発生するくらいオンボロで、短期間ではあるけどその寮の別々の部屋に住む予定だったゲストの3人も、結局章介

    0
    2024年08月07日
  • 谷から来た女

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ん〜〜〜?え?で、ミワは何処に行っちゃったの?
    なんか難しいラストで、よくわからなかったぞ…
    ?(^◇^;)

    0
    2024年08月04日
  • 谷から来た女

    Posted by ブクログ

     赤城ミワのほれぼれとした生き方に感動し自分ではできない生き方に嫉妬さえします。

    ― わたしを守るのは、わたし自身だったんです。 ―
     

    0
    2024年07月27日
  • 二周目の恋

    Posted by ブクログ

    深夜のスパチュラ
    なんか煮え切らない恋ってところが沁みた。男らしさを求めてしまうところは同じだな、毎度思うが綿矢りささんの小説に出てくる女は客観視してしまうほど過激。
    フェイクファー
    自分の中で思い出を消化し、少し客観的な立場で自分を見る主人公が少し羨ましい。
    海鳴り遠くに
    恋愛にタイミングは必要。ただ、わたしは肉体関係を生々しく描く作品はあまり得意としないと感じた。それだけで文章がドロドロに感じてしまう。

    0
    2024年07月15日
  • 谷から来た女

    Posted by ブクログ

    赤城ミワはアイヌの血をひき、背中に父親から彫られた彫物を背負っていた。
    奔放な女性を描いているようだが、背中の彫物と同じにアイヌの血が背負った重さに負けない姿勢に共感する。
    ミワと関わった和人の人々はミワとの距離感を掴めず近くに居ながらも関係を解消してゆく様は、谷から来たアイヌという存在がくびきとなっているのか。
    赤城ミワは力強く哀しく不器用な生き方しか出来ない女性の物語。

    0
    2024年07月13日
  • 氷の轍

    Posted by ブクログ

    前作 凍原とはタイプの異なる主人公。
    舞台は同じ釧路ですが、色味の異なる印象にまたまた次作が楽しみです。

    0
    2024年07月07日
  • 谷から来た女

    Posted by ブクログ

    アイヌの血を引き、新進デザイナーとして活躍する若い女性・赤城ミワを主人公にした連作短編集です。
    主人公の祖父が二風谷ダム訴訟(アイヌ民族の先住性を問う契機となった事件)の原告の一人という設定です。ですからアイヌの問題(私はこの領域に関しては全く無知なので、調べつつ読み進める事になりました)は出て来ますが、それについては極端に偏ることは無く、主人公(モデルになった人が居る)の言葉を介して淡々と重い事実が語られる感じです。むしろ、物語の焦点は凛として生きる主人公や彼女を取り巻く人々の生き様を描くことに重点があるように思います。
    それにしても、どんどん上手くなりますね。読み始め”酔いを片手にひとりに

    0
    2024年07月05日
  • 蛇行する月

    Posted by ブクログ

    桜木紫乃さんは五作品目
    いつもどの作品にしようか、レビューを読みながら決めるのを楽しみにしている° ✧ (*´˘`*) ✧ °

    話は暗めなのだが、初めて読んで以来、著者の凍てつく北の大地の世界に時々戻ってきたくなるようになってしまった

    著者が描く女達は、まるで極東の冷たい大地にのように逞しく芯が強い
    そしてその周りにいる男達は頼りない

    今作は六章に分かれていて、それぞれの語り手(女六人)がどの物語にも登場する”順子”と繋がっている
    そして今の”順子”のしあわせを確認したくなると同時に、自分と比べてみる

    「私は、あの人(順子)よりしあわせ」

    みんなそう思っていた

    しかし、妻子持ちの男

    0
    2024年07月03日
  • 家族じまい

    Posted by ブクログ

    「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」妹からの電話で実家の状況を知った智代。かつて横暴だった父が、母の面倒をみているという。関わり薄くいられたのも、お互いの健康あればこそだった。長男長女、墓守、責任という言葉に距離を置いてきた日々。妹は二世帯同居を考えているようだ。親孝行に名を借りた無意識の打算はないか。家族という単位と役割を、北海道を舞台に問いかける傑作長編。




    小説なんだけど とてもリアルに感じた
    もう両親は4人とも亡くなってしまったので 介護の心配はないんだけど 今度は私達の番だわ…って思いながら読んでました
    義父が認知症だったけど 周りの人達は本当に大変だと思う
    いろんな事を忘

    0
    2024年05月31日
  • 彼女たち

    Posted by ブクログ

    3人の女性とミルクコーヒー。人生の苦味とやわらかな甘味が溶け合う。あたたかい。彩りを添えるなんでもない風景写真がじんわりと心に沁み入る。切り取り方の巧さ!写真家さんのことが気になりインスタ見に行くと、とても美しい人でした。

    0
    2024年05月31日
  • 俺と師匠とブルーボーイとストリッパー

    Posted by ブクログ

    釧路のキャバレーで下働きをする、若い男が主人公。そのキャバレーへ余興に来た3人の芸人とのふれあいを描いた作品。その3人のキャラクターが個性的で、3人との絡みがめちゃくちゃ面白かった。
    特に、自分の父親の遺骨を同じ名前の他人のお墓にこっそり納骨したシーンは、思いもしない発想で笑った。

    0
    2024年05月22日
  • 家族じまい

    Posted by ブクログ

    それぞれの心象の表現が秀逸だ。
    家族なんてこんなもんだと現実を突きつけられる。
    親子の関係、夫婦の関係、結局他人同士で皆自分のことしか考えていない。
    表面上はうまくいってるように見える家族でも、本当に分かり合えているわけではない。
    他人同士だからどこかに折り合いをつけて生きていくしかないのだ。
    これは、うまく折り合いがつけられなかった家族の話だ。
    みんなが本音を言いだしたらこうなるというサンプルのようだ。

    0
    2024年05月22日
  • 蛇行する月

    Posted by ブクログ

    連作短編集。
    それぞれの視点から書かれていて、年代も少しずつ変わっているので時代の流れも感じられてリアルだった。
    たとえお金に余裕がなくても、好きな人と一緒に逃避行した順子は1番キラキラして見えた。
    読み終わったあとの余韻がじわじわくる。

    0
    2024年05月16日