桜木紫乃のレビュー一覧

  • 青い絵本

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    あお色を想う、浸る。

    卒婚と、列車の旅。
    春採湖。
    初心にかえって。
    編集者。

    あなたは しっていた
    こころと こころの まじりあう
    こうふくな しゅんかんを

    みずうみのむこうぎし
    ひろがるけしき
    せかいがしずかな
    ひとりのたび

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    2025年01月26日
  • 谷から来た女

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    アイヌ民族の赤城ミワをめぐる6遍の物語。
    登場人物はミワの立ち居振る舞いやストレートな言葉によって、自分の感情の気づきを得る。
    始めのほうは、民族問題というテーマを扱っている恋愛小説かと思っていたけど(★3)、最後の2遍が特にアイヌ民族を深掘りしているように感じた(★4)。

    責任を取りたくないから当たり障りのない意見が溢れているし、自分はそんなこと全然気にしないよっていう意見も、当事者にとっては慰めでもなんでもなくて、逆にその無関心さに腹が立つ人もいるんだろうなと思った。でも知りたいっていうのもお節介だという。こういうのはアイヌ民族に限らずだけどね。じゃあどう接したらいいんだって向き合うこと

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    2025年01月22日
  • 凍原

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    明日から夏休みと言う日に水谷貢が行方不明になる。釧路は湿地帯が広がり、誰もが考える事は最悪のケースを想定する、姉の比呂が見た最後の人物湿原と言うのは大量に水分を含み、そこに動物人間が落ち込むと出来る事も出来なく成る。姉の比呂と相棒の片桐修平はこの事件とは別に営業の鈴木洋介の死を探っていた。洋介の青い目の事で両親は離婚。母親は死に父親と姉が残っている。主人公の長部キクは樺太でソ連に家族を殺されキクは生き抜く、白い物を色々な色に染め上げる。そのキクの人生も色々な色に染め上げた。十河キクに成りこの釧路は沼地であるので、霧 モヤ が立ち込め上を向いても下を見ても鼠色。そしてあまり自分のルーツを気にしな

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    2025年01月13日
  • 誰もいない夜に咲く

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    桜木紫乃の作品は、どれを読んでも心の中に静かな波紋を広げてくる。
    本作もどの短編においても、どんよりとした暑い雲が日光を遮っているような空気が漂っていて、どの短編にもどうしようもない社会の落語者が登場する。
    彼らがその流れに身を委ねて生きているのが幸せなのか、それとも不幸なのかは他人には分からない。
    そして理解する必要もない。
    それが人間の儚い一生なのだから。

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    2025年01月12日
  • ヒロイン

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    地下鉄サリン事件を思い出させる宗教団体の無差別テロ、実行犯と共に行動した女の悲しい逃亡劇。
    幸せってホント何でしょうね?当たり前に働いて、当たり前にご飯食べて、当たり前に家族と生活すること、当たり前が一番の幸せ、なんかそんな気持ちになる作品でした。
    プリマになるために母親の厳しい指導叱責に耐えながも挫折、安らぎを求め教団へ
    平穏に暮らす中、訳も分からず連れていかれテロの主犯へと、、、名を変え体型を変え悲しく辛い逃亡劇

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    2025年01月12日
  • 青い絵本

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    どの短編にも「絵本」とそれに関わる人の終わりと再生が描かれてる。

    ちょうど藤井風の「満ちてゆく」を聴いていたので、こと更に染みました。

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    2025年01月03日
  • 谷から来た女

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    ネタバレ

    アイヌ民族の女性の物語で、章ごとに未来へ過去へ飛ぶのが読んでいて、ああ、この時代の主人公はこんなだったんだ、ああ、あれからまた歳を重ねたんだと読むたびに主人公の新たな面が見えてくるのが面白い。これほど強い女性像に久しぶりに出会えたって感じで、でも自分には決して立ち向かうことはできないだろう程の力強さが圧倒的で、その生い立ちがまた感慨深く最後まで常に新たな一面に出会わせてくれるのが読んでいて飽きさせない。ぜひとも一度は背中を見てみたい気もするが、やはり怖いと思ってしまうのだろう、この”ミワ”は強い。自立している人はいつでも強い。

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    2024年12月27日
  • 凍原

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    戦後樺太から北海道に逃げてきた長部キクの人生と、子供の時に弟を釧路の湿原で亡くした主人公の刑事松崎比呂の人生が、それぞれに関わった人々の人生が絡まって、自動車営業の鈴木洋介の殺人事件の解明に進んで行く。
    最後第七章のどんでん返しは想定できないものだった。
    文章が自分の中にスッと入ってこないところはあった(その分マイナス1点)が、様々な人々の人生描写や全体のストーリー自体は素晴らしかった。さすが後に直木賞を取った(「ホテルローヤル」)だけはある。ホテルローヤルも読んでみたい。

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    2024年12月25日
  • 星々たち 新装版

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    連作短篇集9篇
    母、娘3代にわたる物語。咲子の男運のなさ、千春の欠けた心と母への思慕、やや子のまっすぐな逞しさが出会う人たちと混ざり合う。最後の方の案山子の章で物語の二重構造に驚くが、登場人物がそれぞれ自分らしく生きたことが嬉しい。

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    2024年12月25日
  • 家族じまい

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    介護の話は自分もいつか迎える未来でもあるので、自分だったらどうするだろうか、できるだろうかという不安を感じながら読んだ

    この話は小説用に綺麗にしてるわけではなく、描き方も自然。介護という現実やそれまでの家族の背景や関係性もぶっ刺さる感じがした。

    家族じまいは終いじゃなく「仕舞い」という意味で書いた感じもすごく伝わる

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    2024年12月15日
  • 二周目の恋

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    二周目の恋ということで、ほろ苦い大人の恋物語を想像したけど、全ての短編がそういうわけではなかった。「海鳴り遠くに」の描写が綺麗だった。

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    2024年12月15日
  • 青い絵本

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    以前『ホテルローヤル』を読んだ時に、従業員のエピソードがあったことを思い出した。
    何も求めず、受け入れる事で生を繋いでいる、そんな印象を受けた。
    この短編集を読むと、無性に彼女を思い出す。
    でも、ここに登場する人達は、諦めのその先に自らたどり着けている。
    一番しんどい時間を過ぎた後の穏やかな感情
    私はまだその境地にいけない、そんな生き方をしてきてない。
    だから、彼女達の背景に勝手に涙する。

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    2024年12月14日
  • 二周目の恋

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    小説のアンソロジーというものを初めて読んだけど、新鮮な感覚だった。当たり前だけど一作一作作者が違うから作風も文体も全然違っていて1冊のなかで色々なテイストを楽しめてよかった。
    特に一穂ミチさんと窪美澄さんの話が好き。

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    2024年12月08日
  • 青い絵本

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    北海道の美しさと共に、鮮明に青のイメージが広がる絵本に関わる人たちの短編。
    今まで読んだことのある激しい展開より、心地よい静けさを感じ、それでも心に深く刺さる心情描写、やるせなくも最後は澄んだ気持ちになれました。
    鍵 key、いつもどおりが沁みました。他愛のない日常のありがたみを感じます。それぞれの人生への捉え方にぐっと深みがありました。
    喪失と再生の繰り返しなのだなと思います。様々な岐路に立ち、その先に人生の終焉をも考えさせられるようになってきました。なのに、本当に自分の足で歩くときが来た。やはりそう感じるのは、まだまだだと、背中を押されているようでした。

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    2024年12月08日
  • 青い絵本

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    人生も後半にさしかかった女たちの短編集。
    苦しかったことも嬉しかったことも時間とともにその人の一部となる。喜びばかりではない人生だからこそ、彼女たちのそばに『絵本』があるのかなと思った。
    おとなの絵本というのがあるけれど、子どものための絵本でも、人と出会うと心に深く残る作品であったりする。

    それぞれの短編は静かな語り口だ。初めて読んだ作家さん、とても優しい。彼女たちの未来と、北海道の寒さに思いを馳せる。冬に読めてよかった一冊。

    本作に付録として入っていた、たかしろこうこの『青い絵本』は、作品を読んだ後に読むのをおすすめしたい。いつ読んでも差し支えはないけれど、じんわりと心に沁みてくる。

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    2024年12月06日
  • 星々たち 新装版

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    すごくリアルだったし、なんだか人生を追体験しているようで胸が苦しくなった。でも最後はこんなしんどい中でも救われるような作品だった。とても内容が濃く、印象深い作品。

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    2024年12月05日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    こういうタイプの本は、ほぼ読んだ事がなかったのですが、列車の旅を題材にしていたのが、気になり手にとりました
    ななつ星に乗った気分で、それぞれの旅を経験させてもらいました

    お値段もそこそこで、この先乗れることもないであろう列車ですが、様々な主人公を体験でき、切ない気持ちになりました

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    2024年12月03日
  • 蛇行する月

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    高校で同じ部活に所属していた女性たちの生き方を描く短編集。
    皆それぞれに息苦しい生活の中、父親ほどの歳の男性と駆け落ちした順子が、皆の心を波立たせていく。
    順子の生活は相当ギリギリで、苦難が多い。それでも屈託なく、しあわせと言い切れるのは一体何故なのか。
    それぞれが、自分のしあわせとは何なのかを見つめ、向き合うことになる。
    明るい話ではないが、重すぎる訳でもなく、曇り空の中にうすぼんやりと射す光のような表現が好み。

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    2024年11月27日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    男女の情愛が拗れてストーリーが進むだけ…なんてことは一切なく、先の読めないミステリー!
    情景の中に不気味に人物の感情が表れていたり、文学的な表現が多く見られて読み応えがありました。

    序章に戻って読み直すとまた味わいが変わって、色々な言動の意味が見えてきます。

    とし子さんや木田さんがすごく常識人に感じてしまうくらい、登場人物たちには癖があった…

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    2024年10月23日
  • 氷の轍

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    釧路での殺人事件を追う、女刑事のサスペンス。に、見せかけた、肉親の尊さを訴える、桜木さんの家族小説。北海道本の中でも、道東の寒さを思い出させるのが魅力の一つ。4連作だそうですが単独でもOK。

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    2024年10月15日