桜木紫乃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「今いる場所を否定も肯定もしない。どこへ向かうのも、風のなすままだ。からりと明るく次の場所へ向かい、あっさりと昨日を捨てることができる。捨てた昨日を、決して惜しんだりしない」
こういう生き方がいいなって思うのは
手に入れられないかもしれないものを含んだ幻の未来を想定するのを現在とすることが怖いから。
達成や向上への執着という、一見地に足がついているように見える状態が、夢うつつ状態かもしれないというのが怖い
過去から現在、そして未来へと一貫して自分のものであり続けるわけではないものをアイデンティティとして自分の土台にすることに怯えている
だから所有をあっさりと捨てられ、かといって所有しないことに -
Posted by ブクログ
どの話も好きだけれど特に好きな2つを。
まずは川上弘美さんの「アクティビティーは太極拳」から。
何となく合わないと感じていた母と娘が、コロナ禍の最中、距離はありながらも同じ風景を共有し、長い旅の時間を過ごす贅沢さとほんの少しの切なさに胸がいっぱいになる。
違う場所で暮らし、たまに顔を合わせるとやっぱり合わないと感じながらもその関係の面白さに気付いていく様子がとても丁寧に描かれていてとても気に入った。
桜木紫乃さんの「ほら、みて」はどこかでも読んだことがあったと思うのだけれど2度目もやっぱり素敵だった。
自分の両親もこうであってほしいと、こうなってくれるのならば、ななつ星の 旅をプレゼントして -
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Posted by ブクログ
ストレートな感情ではなかった。かといって、穏やかでもない。思いの丈はあるのだが、若い頃のようにストレートに伝えることができない。それは社会的地位だったり、人間関係だったり、本当に好きな人からは嫌われたくないと思う、人生を積み重ねてきた人たちの、世渡りの果ての人生だったりする。
マイノリティの人たちに寄り添う女性、ミュージシャンたちの、明日を思うことの辛さ。ひもとして生きることを決めた老人の狡猾な、しかし滑稽な生き方。自分の思い描いた100点満点の人生を少しも外したくない女性。望まない地方で、別の人生が訪れるところは、地方に住んでいる自分にもちょっと嬉しかった。
ここに等身大の桜木紫乃を見る気が