桜木紫乃のレビュー一覧

  • 風葬

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    桜木ノワールの原点ともいうべき作品、らしい。確かに独特の雰囲気があるノワールで、物悲しさの漂うラストは桜木紫乃にしか描けないように思う。

    この作品も舞台は北海道。釧路で書道教室を営む篠塚夏紀が認知症を発症した母親の春江の呟きを発端に自分のルーツに触れていく。最初は夏紀を主人公にストーリーが展開するが、短歌をきっかけに、夏紀と関わる元教師の沢井徳一と息子の優作に主役の座が移ると一気にノワールは加速する。

    少し人間関係や背景が複雑なせいか、ストーリーの筋が読み取りにくい。

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    2016年12月03日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    一気に読み終わった。凄い。淡々と続く男女のこじれたストーリーを、淡々と流しあるく主人公。
    ラストに巡るまさかの展開までの伏線がとにかく凄い。

    淡々と進みすぎて驚く場所を見失うほどです。

    黙々と読み続け、読み終わってホッとしたあとに、


    ひっ!!!!!!

    となるなんとも言えない読後感。新しい。油断させまくります。まさか、サスペンスだったなんて!!!!!!!!!の、ホテルローヤルで有名な作者の一冊。かなりオススメです!!!

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    2016年09月29日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    直木賞受賞作「ホテルローヤル」の番外編かと思って購入したのだが、全くの別物。舞台となるホテルの名前が同じだけ。想像以上のハードボイルド。主婦の逸脱を描いた「OUT」を思い出させる。宇都木とし子さんがいい味だしてる。

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    2016年09月24日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    ミステリーとしては
    突っ込みどころ満載だが
    ストーリーとしては
    入り込みやすかった。

    全体的にスルスル
    読めてしまったが、
    中でも継母節子と継子梢との
    会話は自然で個人的には
    好きだった。

    感想としては・・・
    澤木のような都合の良い男性がいるもんなのか?
    少なくとも私の周囲には・・・・いない・・・。

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    2016年08月09日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    シリアスな人間ドラマでありミステリであり、素直に面白い小説だった。

    とある事情により幼い頃から知っている、父親ほどの年齢のラブホテル経営者・喜一郎と結婚した女・節子。彼女は元上司である澤木と結婚前から交際していて、結婚後も途切れてはいなかった。
    夏のある日喜一郎が交通事故に遭い昏睡状態に陥る。看病が続く日々の中、節子は短歌会の仲間である倫子が抱える家庭の事情に巻き込まれる。
    そして喜一郎の事故から数日後、節子の実家であるスナックで爆発事件が起き、一体の女性の遺体が発見される。

    “身体は繋がっても、心が繋がることはない”そういう孤独が漂う小説。
    節子はその生い立ちから気が強く男に頼ることはない性格で、人と群れることを好まず、どこか醒めている。
    澤木はそんな節子に惹かれて、彼女が結婚した後も彼女の助けになりたいと思い続けているのに、芯の部分では通い合うことが出来ない。身体では求め合って繋がっても、節子の本心はいつまで経っても見えない。
    一歩踏み込むことを躊躇うのはお互いを思うからなのだけど、その一歩の足りなさが二人の大きな距離になっているのが切ない。

    様々な面倒事に巻き込まれた後、節子がした選択。起こした行動が、ミステリの大筋になっていく。
    肉欲、暴力、嘘、怨恨、様々な想いが渦巻いているのに作品自体の温度は低い。
    実家がラブホテルだったという作者の桜木さんが、ラブホテルという場所に対して思うこと(恐らく)が登場人物の言葉を介して表されたりしていて、そこもまた興味深かった。
    この小説に出てくる“ローヤル”というラブホテル。桜木さんが直木賞を受賞した小説も「ホテル・ローヤル」だけどまたそれとはまったくの別物らしく、次に桜木さんの小説を読むならこれだ、と思った。

    節子の生き様を見ていると、女とは恐ろしい、と思う。業の塊で、欲深くて。
    でもそういう部分を偽らず格好つけずに「私は私」というスタンスで生きる様はとても潔い。
    そしてこの小説の中で一番恐ろしいのは、ある幼い子ども。女は幼い頃からやっぱり女なのだ。そんなことを思った。

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    2016年07月17日
  • 無垢の領域

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    桜木さんらしい抑えた筆致は林原兄妹と秋津夫妻が出会ったことで、何かしら不幸なことが起こることを最初から予感させる。信輝、伶子、龍生の悩み揺れる心理描写に、いつ不幸が起こるのかと身構えながら読んでいる部分がありました。若干引っ張りすぎで冗長かなとも思えますが、1か所だけ純香の視点を入れたのは効果的だったと思う。彼女の才能が明らかになった時点でオチは予測できたけど、これから先、どうするのかなと余韻を持たせる終わり方だった。

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    2016年05月31日
  • 誰もいない夜に咲く

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    北海道を舞台にした7編の短編を集めた作品。デビュー作を含む単行本『氷平線』と通じる設定のものが多く、いい意味でトーンも似ていた。

    静かに運命を受け入れる諦めと、ひっそりと生きながらも芯の強さをもつ女性。対する男性は、女性に寄生しすることしかできない意気地なしがしばしば登場する。

    タイトルは演歌のようで、これにはちょっと苦笑い。桜木紫乃じゃなかったら買わないな。でも、不幸を乗り越えてさらりと進んでいく女性の底力に支えられて、中身には演歌ほどの湿り気はない。
    耐え忍ぶ姿を、涙ながらにじくじく描いていたら、自分とは考え方も生き方も異なる人たちの登場する作品に、こんなにも強くひきつけられることはないだろう。
    一歩退くことによって生まれる距離感が絶妙で、重い内容を引き立てているのだと改めて感じた。

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    2016年05月17日
  • 無垢の領域

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    大人の男と女、ある時は自ら共鳴し、そしてある時はすれ違う。そんなどうしようもない、滑稽ですらある交わりが一人の純粋無垢な女性を媒介にして饒舌に語られる。ちょっとした心の揺らぎや迷いを掬い上げる言葉の数々が鋭く迫ってくる。

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    2016年04月17日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    かなりよい。好き。
    しかし、旦那殺しって、あんなに簡単に行くものなのかな?w
    子供から大人まで・・・女はコワいね、ってお話w

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    2016年04月09日
  • ワン・モア

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    安楽死事件を起こして離島に飛ばされた女医の美和と、友人で開業医の鈴音。二人の女性を中心に、孤独な人生を過ごす人々の絆と再生の物語。
    連作短篇集なので、主人公がバトンタッチするように変わっていく。個人的に、『おでん』のトキワ書店店長・亮太の恋の行方が心配で心配で。強く相手を想うことってやっぱり大切だと思った。ちゃんと『サトウ シオ』になって安心した。

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    2015年11月01日
  • 誰もいない夜に咲く

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    桜木さんの作品には
    いつも北海道の荒涼とした景色があります。

    そしてその景色の一部となる
    登場人物たちは
    あまりにリアルでウェットで
    物悲しいです。

    人の深淵さ、なんて私には
    到底分からないし語れない。
    でもこの短編集には
    潮風をまとったような
    人たちの孤独が見えます。

    中国人の妻を迎えた
    牧場の男の話が一番好みでした。

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    2015年09月14日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    ひとの繋がりの空虚さと尊さ。節子は強い。拒まず受け入れ、でも芯は失わない強さ。
    ホテル経営者の男性と、母子二代で彼と関わる女性と。かなしい強さ。

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    2015年07月25日
  • 誰もいない夜に咲く

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    ネタバレ

    桜木紫乃作品2冊目。
    「ホテルローヤル」を読み、桜木紫乃作品を毒破してみようかなっと思い、夏カドフェスにも取り上げらた、この本をチョイス。
    ホテルローヤルより、湿気を帯びた暗さがある作品。
    特に最後の話は、主人公の父親と母親との夫婦の愛情が理解できない。
    父親が友人(というか、仕事関係の人)に、妻を抱くことをお願いするのは、いくらお金が絡んだとはいえ、わからない。
    私の思考がまだまだ、餓鬼なのかな?

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    2015年10月04日
  • 誰もいない夜に咲く

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    寂寥を北海道の風景に重ねて暗くもからっと描いた作品。寂しさに胸を締め付けられつつ、女たちの強さと欠落に引き込まれた。

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    2015年06月28日
  • 誰もいない夜に咲く

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    著者作品も順不同にて数冊目。悲しみを心の奥底に秘めながらも、強い意思の女性力を描ききる各短編。行き詰まりとさまよいの、、このゾクゾク感が堪らない!。解説がこりゃまた絶品♪。

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    2014年08月11日
  • 誰もいない夜に咲く

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    ダメな男の話ばかりで、「世の中に、普通の男はいないのか?」と叫びたくなる。
    女性の方が、ずいぶんまともでしっかりしている。

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    2014年04月09日
  • 異常に非ず

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    昭和54年1月に、本作のモデルとなった大阪で起きた三菱銀行立て籠もり事件。その記憶が全くないのは、長男誕生時の前後で私自身が妊娠と育児の初体験にあたふたとしていたからだろう。ウィキで残虐な事件の全貌を知り、早くも撤退しようと思ったのだが、桜木さんは推しの作家さんで、強い牽引力に抗えなかった。

    挑戦的でセンセーショナルな”異常に非ず”というタイトルは、犯人が残して死んでいった言葉らしい。第三者が付けたならともかく自らそう語るとは何とも言い難い。『オレは精神異常やない。道徳と善悪をわきまえんだけや』とは、ふてぶてしさにもほどがある。5人の命を奪ったのを反省し悔いる気持ちが全く伺えない。自分が道徳と善悪をわきまえない人間である、と断言する男のたどった人生とはいったいどのようなものだったのか、清史の母カヨと元恋人亜紀、彼女らを取材した記者・海原将志らの視点から描き出される。清史に翻弄されながらも、カヨと亜紀が本当の母と娘のような関係になっていく過程は想像できる反面、切なかった。
    一方、記者の将志は、既婚者で彼もまた清史と同じ30歳の同年齢で犯人に強くシンパシーを感じ、事件を追う。2人は”団塊の世代”と呼ばれたベビーブーム時代に生まれた世代だった。将志は記者としての腕を買われて赴任先の大阪へ単身でやって来ていた。妻は北海道へ残り仕事を続けているすれ違いの夫婦で、これからを模索中の二人だった。将志は同年代を生きた対比として登場させたのだろうか? 桜木さんはインタビューで『あの時代の特に男の人には、〈その他大勢〉に埋もれたくないという強烈な焦りや葛藤があったように思う』と語っている。
    巻末にあった参考文献”破滅-梅川昭美の三十年”を読めば理解が深まるのだろうが、その気にならない。

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    2026年10月07日
  • 蛇行する月

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    誰もが自分と周りを比較し、誰もが経験したことのある「あの人よりまし」との考え。そんな女性たちと真っ直ぐ生きるある女性のお話。
    お話を通じて共感できる部分もあるし共感できない部分も多数。最終的に自分の幸せを見つめ直してる姿は見習いたい。

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    2026年09月28日
  • 異常に非ず

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    重い内容だった‥。読むのも時間掛かった。同じ一人息子を持つ母親としてとても考えさせられたのだが、私は『母親』が発端だったのではないかと感じた。
    学がないからとか、貧乏だったからとか、ましてや丙午生まれだとかでは無く、息子の事を叱らず、善悪を教えず、命の尊さを伝えず、息子の事を肯定し続けたことに発端があるのではないかと。
    子供の味方でいることと、叱らないことは全く異なる。カヨは清史が非行に走っても叱らず、家の金を盗んでも見て見ぬふり。
    遂に15歳で強盗殺人を犯しても、息子のことばかりで、被害者に申し訳ないと思う気持ちも無く、仏前への謝罪すらなし。
    息子に貧乏の負い目ばかりを持ち続けるから、息子は他責思考の犯罪者となったのでは?カエルを殺し、友達を叩いたと聞いた時にいけないことだと叱り、金を盗む事を叱り、貧乏でも2人で支え合って生きて行こうとしっかり話をできれば違ったのでは?

    息子を盲目的に溺愛する毒親と母親に何でも強請り、何でも赦して貰えると思っているマザコン

    ーおれは精神異常じゃない。道徳と善悪をわきまえんだけやー
    人間社会において、道徳と善悪をわきまえない者を精神に異常をきたしているものというのでは。もちろん責任能力はあるうえで。

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    2026年09月26日
  • ヒロイン

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    ネタバレ

    地下鉄サリン事件とその教団にモチーフを取ったフィクション。モチーフ自体が強烈なのでそっちに引っ張られるけど、詰まるところは母娘とシスターフッドの物語だったように思う。捕まってしまった後、逃亡者に関わった人たちはどうなるのかもまた物語になりそうだが。

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    2026年09月16日