桜木紫乃のレビュー一覧

  • ワン・モア
    読み始めはずーっと曇天。曇っていて今にも雨が降り出しそうで…そこから雲ひとつない青空に向かっていく、そんな連作だったように思う。

    医療に携わる人びとと、命。
    うまくいきそうでいかない、素直になれない、それでも前を向いて歩いていく。

    桜木紫乃さんの他の本も読んでみたいと思った。
  • ふたりぐらし(新潮文庫)
    紗弓の、言いたいことをすべて口にすると却って傷ついてしまう癖は子供のころから直っていない。思いはできるだけ仕舞っておきたい。信好といるとそれができた。そしてまさにこの、過剰な言葉を欲しない生活の静かな幸福感が、母に上手く説明できないのだった。

    「わたし、お母さんのことたぶん嫌いなの」
    言ってしまう...続きを読む
  • ブルースRed

    前作の衝撃的なラスト‼
    どう展開するのか、わくわくドキドキしながら、一気読み♪

    釧路の小さな田舎町を舞台に、町を牛耳る彼女は一体なんのために生きているのか?
    彼の影を追い続けていたようで、実は違っていたのかもしれない。『男と違って、女のワルにできないことはない』を実践する彼女に見えていたものは…...続きを読む
  • 蛇行する月
    桜木紫乃らしい。
    東京に菓子職人と駆け落ちした、順子から、親子3人の貧しい生活を、しあわせと伝えてくる・・・,
  • ワン・モア
    静かに話が進む連作短編集。人の生命が物語の中心ななるので、特に大きな出来事などがなくても、内容に深みがあり素敵なお話だと思いました。一話ごとでは余韻を持たせる終わりかたでしたが、最終話で綺麗にまとめてあるので、そこもよかったです。星4にちかい3です。
  • それを愛とは呼ばず
    暗い気持ちになったり、問題提起されたような気がして心にモヤモヤを残していくのに、桜木紫乃さんの作品が好きだ。
    でもこの小説はどの人物にも感情移入ができなくて、小説の中の誰かになりきって読むから物語の中の出来事がすんなり受け入れられるんだなと思った。だから、泣いたりドキドキしたり苦しかったり、リアルな...続きを読む
  • 砂上
    北海道・江別市に暮らす柊令央は、友人が経営するビストロ勤務で得る数万円の月収と、元夫から毎月振り込まれる5万円の慰謝料で細々と暮らしていた。いつか作家になりたいと思ってきたものの、夢に近づく日はこないまま気づけば40代を迎えた。
    ある日、令央の前に1人の女性編集者が現れ、彼女は強い口調で今後何がした...続きを読む
  • ブルースRed
    好きな感じの話だったけど、いまひとつ盛り上がりにかけた。前作があったのかと思うほど過去の人物に一同陶酔していた。過去作があったなら読んでみたい。
  • 風葬
    無垢の領域や硝子の葦に通じるような、悲しく、辛く、読後感のある作品。設定にやや無理があるような気がするが、短めでギュッと詰まってるところが読みやすくて良い。
  • 風葬
    過疎地の狭い中とは言え、繋がりすぎでちょっと興醒め。みんな知り合いじゃないか。
    ロシアとの国境で生き方が垣間見えた。
    作風は好き、他の読もう。
  • ブルース
    まさに“男の美しさ”
    ゴミ溜めのようなところで育った男が闇の帝王に
    まで成り上がる、劇画のような世界観
    まったくカタギじゃないのに女たちは皆、彼の危険な香りを意識し繋がる姿を想像する

    表紙の森山大道先生の写真が雰囲気にぴったり
    ハマる
  • 星々たち
    読んでいて苦しくなる。それは、この本が生きることの苦しさや不条理や苦しみから目をそらしていないからだ。真っ直ぐに、容赦なく直視している。
    だからこそだろうか、身につまされて息ができないくらい一気に読み進めて、先が知りたくてどきどきする。そして、読み終えた後に、寂寥感が残る。それは人生の、生きるという...続きを読む
  • ブルースRed

    舞台は北海道の釧路
    桜木さんの書く本で度々、登場しますね。

    今回は、娘の梨奈が主人公でした。
    悪女!ただ、そこまで嫌いになれない‥

    男と女、夜の繁華街、権力、駆け引き、
    紫乃さんの書く危うい世界、入り込みました。
    まち子、潔いな〜
    弥伊知、支静加、忠義が流石です

    裏社会の世界を見せてく...続きを読む
  • ブルースRed
    釧路を舞台に死んだ義父の残した夢の後を生きるような莉菜。裏社会を支配しながら影山の血をひく武博を政治家にするため手を回しクールに生き抜く。この目的のためには手段を選ばないところ、そして垣間見える優しさが人として哀しい。
    ラストの引き際は本当に見事。
  • 風葬


    ミステリ色強めの長編作品。

    オホーツクの岬。
    寒くて暗くて、悲しい。

    真実を明らかにすることだけが正しいとは限らない。

    そっと、そのまま、閉じ込めたまま自然に還す。

  • ふたりぐらし(新潮文庫)
    映画脚本家の夢を追う信好は定職に就かず、看護師の妻の紗弓と2人暮らし。

    紗弓は
    義母の距離
    子供を望むこと
    実母との確執
    などに悩む

    夫婦や家族の形を考えさせられる

    家族には色々な形があってよい
    色々なことを乗り越えてつくられていく
    人への思いも様々で正解はない
  • ブルースRed
    読み始めた途端、夜の歓楽街、ヤクザ、政治家、裏社会、女、男。いや~苦手な桜木さんと思ったら。。。読み進めるうちに、これはこれまで読んだ桜木さんとはちょっと趣きが異なり、珍しい女性が主人公のハードボイルド小説でノワール小説でした。そう理解すればそれなりに面白く、確かに桜木さんの文体とも良く合います。
    ...続きを読む
  • 砂上
    編集者という職業が存在することは知っていましたが、作家に与える影響や関係性がどの程度のものかを考えたことはありませんでした。この本を読む限り、その存在は大きく、力量次第で作家も変わるほどなのだろうと感じました。

    自分の卒業論文を思い出しました。教授が朱書きを入れ、自分の文章はどこへやら。そして力作...続きを読む
  • 光まで5分
    北海道から沖縄へと流れ着いたツキヨは、元歯科医の万次郎、青い目をしたヒロキと出会う。希望を持たない三人は、どこへ向かうのか…。直木賞作家が沖縄を舞台に描く挑戦作。
    いつも北海道が舞台の桜木作品なので、その真反対の沖縄に違和感を覚える。それでも男はやっぱり欲望まみれで、女はしたたかに生きる。
  • 砂上
    スラスラ読みやすい桜木紫乃をイメージして
    読み進めると、あれ?となりながらも
    どうなっていくのかが気になっていく。

    登場人物の女たちが
    これからどうなっていくのか
    気になったままラスト

    こんなラストもまた良い