桜木紫乃のレビュー一覧

  • 家族じまい

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    読み始めてすぐ、これは他人の話じゃ済まされないな、と身構えました。
    親の老い、介護、夫婦やきょうだいの距離感が、特別な事件ではなく「よくある現実」として静かに迫ってきます。
    自分は男ですが、やはり妻や娘など、女性への負担が多いと感じ、ゆかえない夫、息子になってはいけないと、気が引き締まるおもいでした。
    誰も極端に悪くないのに、少しずつ噛み合わなくなる感じがリアルで、読んでいて何度も息をつきました。
    淡々としすぎて盛り上がりに欠ける章もあり、もう一歩踏み込んでほしいと思う場面もありましたが、それでも読み終えると、「家族をどう畳むか」という問いが自分の問題として残ります。

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    2026年07月28日
  • 蛇行する月

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    順子という光を受けて、自分の幸せとは何かを考える女性たちの話
    年齢も境遇も様々な各話主人公たちだけど、彼女たちの感じる鬱屈にはどこかしら共感できるところがあった。
    順子については、最後まで誰かから語られる情報だけで、内面を描写されることがなかったのもよかった。自分も各話の主人公たちのように、順子の人生を思いながら自分の人生や幸せについて考えてしまう。

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    2026年07月27日
  • ふたりぐらし(新潮文庫)

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    読み始めは、
    貧乏な夫婦が日々鬱々と暮らし、お互いのことももうあんまり好きじゃなくて、諦めの境地でただ惰性で生きている・・・みたいな話なのだろうと思った。
    でも読み進めていくとそうでもなくて、紗弓は信好のことが大好きだし、信好も食事の支度を率先してやる良い夫。
    ハツラツとした部分が表に出にくい二人ではあるけど、紗弓の父のような良き理解者にも恵まれ、なんとかここから明るい方向(信好の収入アップや、できれば子どもができたら嬉しい)へ行けるかな?

    友近の解説がとてもよかった。

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    2026年07月26日
  • 異常に非ず

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    世間の受け止め方と本人の思いには天と地ほどの開きが。それを関係者を深掘りして浮き彫りにできるものだろうか。
    「最後の欲や見栄は納得するように死ねること」今際の際に、そんなこと考えるゆとりがあるとは思えないが。なんだか切ない。

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    2026年07月26日
  • ヒロイン

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    ネタバレ

    はからずも追われる身となった女性の半生を描いた作品。
    オウム真理教と地下鉄サリン事件をモデルにしているようでした。
    新興宗教や技能実習生、中国残留孤児、家庭内暴力など、いろいろな問題が盛り込まれていました。
    スナックで働き始める頃までは、みどり・すみれ母娘との出会いなど面白く読んだのですが、ワンウェイが出てきたぐらいから、彼のどこがいいのか理解できず、読むのがスローペースになりました。
    ただ、おそらくワンウェイが自分の意思で啓美のもとに戻らなかったのではないみたいだったのはよかったです。

    貴島解体の場面は酷くて少し読み飛ばしてしまいました。ここで、まことが触れていた小説は桐野夏生氏著作の『O

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    2026年07月22日
  • 異常に非ず

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    昭和54年に起きた実際の事件を題材にした長編

    銀行に立て籠り5人を殺害した犯人の30年とはなんだったのか。母親や恋人との関係、当時の社会の貧富の差、貧しさからか屈折した考えや行動を取り続ける犯人自身の人生を追いかけ記事にしていく。
    暗く、重い。結末もスッキリとはならないが、生きる事に我慢と苦悩を強いられてきた母と娘の間に生まれた絆だけが唯一の救いの場面だった様に感じる。

    章立てがないので、時代や場面の切替わりを整理しながら読み進めねばならなかったが、文体自体は読みやすかった。

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    2026年07月20日
  • 俺と師匠とブルーボーイとストリッパー

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    これは舞台(根室?釧路?)に行ったことがあって、土地勘があればもっと楽しめたんだろうなあ〜と思う。かけがえのない刹那的な時間って感じでいいね

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    2026年07月17日
  • 異常に非ず

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    昭和54年1月26日に起きた三菱銀行立てこもり事件を題材にした作品である。とはいうものの、事件そのものを直接描くのではなく、この事件を深く掘り下げた記事を書いた新聞記者の目を通して描くという手法を取っている。これにより間接的に犯人像が構築され、花川清史という男の内面を窺い知ることができた。その一方で視点があちこちに飛び、本筋には関係ない描写も多くなったように思う。
    検索すると『破滅 梅川昭美の三十年』(毎日新聞社会部編)という本が見つかった。献辞にある故近藤勝重氏は本書の近藤のモデルだろうか?

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    2026年07月14日
  • ホテルローヤル

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    ラブホテルが題材の中心となっている作品というのは、珍しいのでは?と思いながら、読み進めていきました。1つ1つの話やエピソードは、色々な人間関係の模様が描かれていくということもあり、時には切なく、時には深刻なものもありましたが、キャッチフレーズにある「身体を使って仕事をしなければいけない時がある」というのには、やはり、社会で生きていくことの辛さが滲み出ているような気がしました。

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    2026年07月12日
  • 異常に非ず

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    「オレは精神異常やない。道徳と善悪をわきまえんだけや。」

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    1979年(昭和54年)
    大阪の阪央銀行北畠支店に1月26日、猟銃を持った男が押し入り、支店長ら2人を射殺したうえ、客と行員多数を人質にして立てこもった。通報で駆け付けた警察官2人も射殺された。男は二昼夜にわたって立てこもり、香川から出てきた母親の説得にも応じない。28日午前8時41分、機動隊員が現場に突入して犯人を射殺し事件は解決する。

    犯人は無職、花川清史、三十歳。

    その後 人質となった行員たちの証言から、犯行の残虐さと異常さが明らかになる。しかし、花川の死亡により犯行の目的や動機は謎のままとなる。

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    2026年07月10日
  • 異常に非ず

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    期待値を上げすぎて読んだせいか、題名の「異常に非ず」の意味の切れ味不足に思えてならない。
    どこかで、うーん、やられた!と作者に思わされるところがきっとあるだろうと思いつつ読んだのだけど。

    花川があまりに魅力的でないせいで、ただのおバカさんに見えてしまう。「オレは精神異常やない。道徳と善悪をわきまえんだけや」という言葉が上滑りして、なんやそれ、で?と思ってしまう。
    そういうことか!と腑に落ちたかったのだけどね。
    この言葉が一人歩きしてる割に、中身を伴ってないと思うのだけどどうでしょう。

    力作だとは思うのだけど…。

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    2026年07月06日
  • ラブレス

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    百合江と里実の姉妹二人の生い立ちから人生の終焉までを描く。
    姉妹、母娘の名前(名付け)がバラバラなのがちょっと違和感があったが、なるほどそういう経緯で…と思わせる。
    しかし波乱万丈の人生だな…

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    2026年06月28日
  • それを愛とは呼ばず

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    ネタバレ

    最後そうきたかー
    まあでもあのままだといつか捕まってしまうかもしれなかったから、幸せなうちにというのも良かったのかな…なんて思ったりもしてしまったが。
    うーんでも難しかった。愛ってなんだ、とかよく分からなかった。

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    2026年06月28日
  • ホテルローヤル

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    すっかり廃墟と化した現在から開業直前の過去に遡るように、北海道のラブホテル「ホテルローヤル」での人間模様を描いた連作短篇集。

    ラブホテルを舞台としながらもホテル自体や性の営みではなく、そこに出入りし、また来ては去る人々が物語の中心。それぞれ緩やかな繋がりがある各篇での、生きていくうらめしさ・生々しさと一時の快楽との対比がいい。

    収録7篇のうち、日々の生活に追われている主婦 恵がふとしたきっかけで「ローヤル」にて夫と愉しむ「バブルバス」が好き。「五千円」という金額の描写がいい。

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    2026年06月25日
  • 家族じまい

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    訳ありな登場人物たち、それぞれの視点で家族を捉えていく。それぞれの人生、生き方が大きく変わっていて家族内の結びつきが変化して亀裂が入ることも…

    自分も老後とかこれから先の家族との関わり方がどんなふうになるのだろうかと考えた。

    少しでもお互いに楽しく仲の良い家族で居続けたいなと感じた。

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    2026年06月03日
  • 異常に非ず

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    昭和54年に大阪で実際に起きた「三菱銀行人質事件」をモデルにした小説。

    5人が亡くなり、立てこもり中は裸にした女性行員を自らの前に置いて人間の盾にしたというなかなかショッキングな事件のことはうっすらと覚えているが、この作品は事件そのものではなくその背後にあるものを描き出す。

    なぜ男はこんな事件を起こしたのか?事件の本質に迫ろうとする犯人と同年代の新聞記者、息子の説得の前に美容院へ行ったという犯人の母親、そして八年間男と共にいた元同棲相手、それぞれの目線で描かれる犯人の男の三十年の生涯。

    男を犯行に駆り立てたものはなんだったのか。
    「異常」という理由をつければ私たちは安心できる。だが、異常

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    2026年06月03日
  • 無垢の領域

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    ネタバレ

    これはダブル不倫ものか?
    秋津が母に対して床に物を投げつける動作を見せるところがこいつ妻の収入に頼る生活しといてクズやなと思ってヒリヒリしたけど、自分も同じ生活になったら同じことするわ多分
    秋津をクズと思って一歩引いたつもりで嘲笑いたかったけど自分にも起こり得ることだし一瞬嘲笑ったの卑しいな自分

    無垢の領域って本当に深い意味なんだろうな
    上手いなこの人
    姑お前…
    心理サスペンスって書いてあるから殺されちゃうのか?
    え、姑が亡くなったおばあちゃんに会わせてあげるからすごいもの書きなって純香に言ってまんまと息子はそれを提出したってこと?やば
    純香は好きな物書けって言われて母の模倣を書いたのか

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    2026年06月02日
  • 氷平線

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    ネタバレ

    短編集だった。一番最後の水平線が面白かった。
    短編集のためか、なぜ長編にできなかったのか理解が出来る内容だった。
    情景の描写が少しだるかった。もう少し巧みだと読んでいても面白い。

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    2026年05月29日
  • 家族じまい

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    ネタバレ

    "ふたりを単位にして始まった家族は、子供を産んで巣立ちを迎え、またふたりに戻る。そして、最後はひとりになって記憶も散り、家族としての役割を終える。"

    "結婚は、できるなら何度でもしたらいいのさ。いろんなものが見られて面白いじゃないか。"
    "嫌なら別れる。一回も二回もたいして変わらないし、こういうことは三回目からは楽になっちゃうもんよ。"

    "いいね、こういう静けさ。仕事場にはいつも同じようなBGMが流れてるから、家に帰ってきて静かだと、すごく贅沢な気がする。僕たちはけっこういろんな音に囲まれながらやってるんだよね"

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    2026年05月21日
  • ふたりぐらし(新潮文庫)

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    ネタバレ

    2人と2匹で暮らしているのでタイトルに惹かれて読んでみた。
    大きな事件は起こらないけど、日常の年齢とともに変化する環境中で『2人』というフィルターを通して自分の内面を見つめていく。
    視点が章ごとに夫から妻と変わるんだけど、いまいち夫の妻への愛情が感じられなかった。
    そこがまたリアルかも。
    この2人はいつか子供ができたとき、夫はもっと妻への愛情が深くなりそうな気がする。

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    2026年05月15日