桜木紫乃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「生き惑う大人たちの物語」という帯に惹かれて手に取ったのだけど、思っていたよりも上の年齢の設定(50〜70代)だった。
歳を重ねていくことは当然老いていくことなんだけど、決してそれだけじゃない。色々ひっくるめてみると、そんなに悪くないよねって思わせてくれる本だった。
6つの短編のうち、気に入ったのは「ひも」。老人ホストなんてものがほんとにあるの?と思わず検索してしまった。ありました!シニアホストとかジジホスって言うらしい。どんな感じか、外からちょっと覗いてみたいような…
ホストクラブの話はそんなに出てこないのに、設定が妙に気になってしまった。 -
Posted by ブクログ
50代から70代、熟年から老境にさしかかる男女の胸の内を乾いた文章で淡々と描く6つの物語。
桜木さんの文章は相変わらず好きだ。
ただ、どの話の主人公もあまりにも枯れすぎていて(これが分別?)同世代の自分としてはこんなもの?という印象も。
それでも、「家族じまい」に出てきた紀和と漆原の10年後「グレーでいいじゃない」はしみじみ良かったし、「らっきょうとクロッカス」も好き。
「ひも」で美容師がする朗人の娘の話の意味が今ひとつわからなかったのは私の読解力のなさだろうか。全体的に含みがありすぎて曖昧なまま終わる話が多くて戸惑った読後。雰囲気は嫌いじゃないんだけどね。 -
Posted by ブクログ
認知症になった女性の娘2人、義弟嫁、姉etc目線で話が進んでいく。
夫だから家族だから…といって何でもかんでも言い合えるわけではなく、伝えたい言葉を飲み込んでしまうこともある。
次女は自分に役割が与えられたことに浮き足立って張り切る。確かに頑張っているけど、なんだか空回っている印象。
夫は善良で優しく、外から見れば好印象しかないけど、妻からすれば何かが満たされない要因でもある。良い人なだけに余計しんどいだろう。
長女は冷静なのはいいけど、もうちょっと寄り添う姿勢を見せてくれたらいいのにと思う笑
認知症云々の話というより「夫婦」についての物語であるように感じた。