桜木紫乃のレビュー一覧
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決して明るいストーリーではないのに、読んでいて穏やかで心地よさを感じました。
お気に入りは、「卒婚旅行」と「青い絵本」。
「卒婚旅行」
卒婚を描いた作品なのに殺伐とした空気とは程遠い、穏やかで優しい雰囲気が良かった。
夫の願いが沁みた。その願いに相手への愛情が透けていて切なくなった。
好きな人の声が愛おしい気持ちに、懐かしさを覚えてしまいました。
「青い絵本」
血の繋がらない、切れてもおかしくない「母」と「娘」。二人の距離感が心地よく、それぞれが歩んできた人生を思う。
タイトルと表紙に繋がるストーリーがいい。
桜木紫乃さんの文章を、今度は長編を読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
意図せず犯罪の共犯者にさせられていた主人公の、17年間にわたる逃亡生活の物語。出会う人は、様々な事情で世間から身を潜めているような人達。自分が日々忙しく充実した生活を送る今も、どこかで身を潜めたり、何かに怯えたりしながら生きている人がいるのかもしれないと思うと、やり切れなくなる。
意図せず犯罪の現場に同行していたことで意図せず逃亡生活に突入し、辻褄を合わせ身を隠すために自動的に次の行動が決まり、死体遺棄をも厭わなくなってしまう。このような状況下で「出頭」に舵を切ることができなかったのも、自然な流れのように感じた。
一体何が罪だったのか。主人公は罪人なのか。自殺者を死体遺棄したことくらいしか -
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桜木紫乃『孤蝶の城』新潮文庫。
『緋の河』の続編。カルーセル麻紀をモデルにした小説である。主人公の秀男の芸名がカーニバル真子とは良く思い付いたものだ。
自分は、最近流行りのLGBTQなるものには、どうしても抵抗を感じる昭和世代である。昭和の時代にもゲイとかオカマと呼ばれる人たちが存在したが、今ほど権利や何だと騒ぐことも無く、一般人にその存在を容認しろと強要することは無かった。
今や一般企業の管理職向け教育などでLGBTQを容認しろと強要してくるものだから呆れてしまう。そういう存在や生き方を嫌うのも自由であるはずだ。そういう今流行りの立派な教育を行う企業もLGBTQの皆様のために多くの種類 -
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「ホテルローヤル」「ラブレス」に連なる、作者の家族を描いた作品。
作者の父親がモデルだという主人公の猛夫。卑屈で身勝手で、怒りに任せて女子供に手を挙げる、どこまでも自分本位で身勝手で、山気があって、堪え性がない。
読んでいて本当に不快になるけれど、こういう親父昭和初期生まれにはザラにいたな〜とも思う。
「男だもん仕方ないんだ」と我慢し、受け入れ、甘やかせてきた女がこういう男たちを育ててきた時代だったと思う。
カツ、駒子、里見といった女たちは皆、強かでたくましい。そして作者自身投影した春生も。
「親を肯定することは自己肯定に直結する」という作者が、この小説を書いて親の生き方を肯定できたと言 -
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表紙の青色に惹かれて手にとった。
絵本は、子どもの頃読んでもらって幸せな想いや楽しい思い出があったり。
大人になり、読み聞かせしての思い出が出来たり。
子どもの頃に受けた印象と大人になり読んだ後とでは、感想などが違ったり。
絵本といえば、子どもが対象のような感じも受けますが、大人も十分楽しめると思う。
5編からなる話の中で、私が良かったなと思ったのは、“鍵key”と“青い絵本”。
青い絵本の中の作品『あお』、実際手に取って読んでみたいと思った。読んでいて、色々なあおを想像した。
表紙は、美弥子と好子が見た支笏湖の碧なのでは??と思った。
皆さんがみた “あお”は、どんなあおですか?
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桜木紫乃さんの五編の短編集。
表題作の「青い絵本」では、一時期親子だった2人の来し方行く末が描かれていました。
絵本作家と漫画の背景を描くアシスタントの2人の合作の絵本は、どんな青色で表現されたのか、とても興味深くて見てみたいなと思わせてくれました。言わなくてもわかってしまった悲しい事実と向き合って懸命に作られた絵本。親子として過ごす時間は少なかった2人だけれど、この絵本がずっと2人の繋がりを残してくれることになったのが、とても印象的でした。
もうひとつ印象的だった短編は「卒婚旅行」です。定年後の夫婦の生活は、お互いの思いがすれ違うとよく聞きます。この短編もまさしくそのとおりでした。
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核家族などと言われて久しいけれど、もはや核家族どころかおひとり様世帯の時代と言っても過言ではない。
「ママがね、ボケちゃったみたいなのよ。」
長女である智代の元へ届いた、妹乃理からの一本の電話。
身勝手でワンマンな父について行けず、実家とは疎遠となった智代に「これはお姉ちゃんにも関係あることなの!親は親でしょ。」と妹の言葉が重くのしかかる。
28歳バツイチの陽紅は、農協の窓口業務について間もなく、3日に1回は訪れる80歳過ぎのおばあちゃんから「ウチの嫁にきてくれ」と迫られていた。
55歳未婚。
結婚離婚を5回も繰り返した母は、悩む娘に「ありだね」と言った。
とうとうテレビも映らなくなって