桜木紫乃のレビュー一覧

  • ふたりぐらし(新潮文庫)

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    ネタバレ

    特別な事情を抱えているわけでもない、どこにでもいる夫婦の話。だからといって心に響かないわけではなくて、夫婦であってもお互いに遠慮して言えないことがあって、それが足かせになるけど、相手が好きであることに変わりはない、そんな状態が当たり前、というか、そんな状態でもいいんだ、と思わされる。
    解説で友近さんも書いているが、特に、娘が母を嫌うのは一人の女性として当然であるという視点は新しかった。

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    2022年08月05日
  • 光まで5分

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    インスタで読書感想の投稿に惹かれて購入。
    エモさを期待しすぎて、期待値は超えられず。
    でも終始、夏の気だるさのような空気感は好きだった。
    蛇にピアスが好きな人は好きだと思う。

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    2022年07月05日
  • 砂上

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    著者在住地が舞台となっています。実際にあるビストロもそのままの名で出ていることから、何となくリアリティーを感じてしまいそうでした。
    同級生のビストロでアルバイトをしながら小説を書き続ける柊令央。
    新人賞に何度応募しても落選。しかし、ある編集者から声がかかる。期待して会うと、母親に対し、乾いた感情を持つ自分の親子関係を書いた小説を令央の胸をえぐるような短い言葉でダメ出し。でも、視点を変えてこの小説を書き直すことを勧められる。
    何度書き直しても、表情も変えずダメ出しされるが、しがみついて書き続ける令央。
    母親とはどういった人物だったのか、それを知るために母を昔から知る、そして自分も出産のときにお世

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    2022年06月19日
  • ふたりぐらし(新潮文庫)

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    平坦な感じで、子なし倹約夫婦の日常が綴られている。つまらない夫婦ではなくて、お互いに愛情深く支え合っている夫婦なんだな、という印象。傷つけまいと全てを話すことはしなかったり、お互いの親の話だったり、夫婦のひとつの在り方をみた。ヤマナシオチナシって感じはしたけど、安心して読み進められた。評論家カップルの生き方も素敵。
    「気遣いの仕方を間違わない」人に私もなりたいなぁ

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    2022年06月01日
  • ふたりぐらし(新潮文庫)

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    現在は無職の元映写技師と看護婦の話、紗弓の父が素晴らしい 義父になるが信好との秘密
    この議父の意外な姿を知って変わっていく信好、気が合うか、好きで一緒になった2人だが時間をかけて夫婦になっていく。

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    2022年05月28日
  • ワン・モア

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    読み始めはずーっと曇天。曇っていて今にも雨が降り出しそうで…そこから雲ひとつない青空に向かっていく、そんな連作だったように思う。

    医療に携わる人びとと、命。
    うまくいきそうでいかない、素直になれない、それでも前を向いて歩いていく。

    桜木紫乃さんの他の本も読んでみたいと思った。

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    2022年05月12日
  • ふたりぐらし(新潮文庫)

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    ネタバレ

    紗弓の、言いたいことをすべて口にすると却って傷ついてしまう癖は子供のころから直っていない。思いはできるだけ仕舞っておきたい。信好といるとそれができた。そしてまさにこの、過剰な言葉を欲しない生活の静かな幸福感が、母に上手く説明できないのだった。

    「わたし、お母さんのことたぶん嫌いなの」
    言ってしまうと、涙がこぼれ落ちた。

    いつからか佇まいの良いひとだと思うようになった。気遣いの方向を間違わない男として、信好はまだ紗弓の父の足下にも及ばない。

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    2022年04月19日
  • 蛇行する月

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    桜木紫乃らしい。
    東京に菓子職人と駆け落ちした、順子から、親子3人の貧しい生活を、しあわせと伝えてくる・・・,

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    2022年04月04日
  • ワン・モア

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    静かに話が進む連作短編集。人の生命が物語の中心ななるので、特に大きな出来事などがなくても、内容に深みがあり素敵なお話だと思いました。一話ごとでは余韻を持たせる終わりかたでしたが、最終話で綺麗にまとめてあるので、そこもよかったです。星4にちかい3です。

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    2022年04月02日
  • それを愛とは呼ばず

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    暗い気持ちになったり、問題提起されたような気がして心にモヤモヤを残していくのに、桜木紫乃さんの作品が好きだ。
    でもこの小説はどの人物にも感情移入ができなくて、小説の中の誰かになりきって読むから物語の中の出来事がすんなり受け入れられるんだなと思った。だから、泣いたりドキドキしたり苦しかったり、リアルな感情にはならなかった。
    このお話の感想を書き留めたいのに、うまく感想が出てこなかった。悔しい…

    愛しみ(かなしみ)というのにはぐっときた。

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    2022年03月23日
  • 砂上

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    北海道・江別市に暮らす柊令央は、友人が経営するビストロ勤務で得る数万円の月収と、元夫から毎月振り込まれる5万円の慰謝料で細々と暮らしていた。いつか作家になりたいと思ってきたものの、夢に近づく日はこないまま気づけば40代を迎えた。
    ある日、令央の前に1人の女性編集者が現れ、彼女は強い口調で今後何がしたいのかと令央に問うた。彼女との出逢いにより令央は過去に書いた自伝的小説の改稿に取り掛かることになる。理解しきれずにいた亡き母のこと、そして他人任せだった自分自身のことを見つめ直した果てに、令央はひとつの小説を書き上げる。

    主人公の令央は作家志望の女で、作品の中で令央は小説を書く。令央が書いた小説の

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    2022年03月21日
  • 風葬

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    無垢の領域や硝子の葦に通じるような、悲しく、辛く、読後感のある作品。設定にやや無理があるような気がするが、短めでギュッと詰まってるところが読みやすくて良い。

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    2022年03月15日
  • 風葬

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    過疎地の狭い中とは言え、繋がりすぎでちょっと興醒め。みんな知り合いじゃないか。
    ロシアとの国境で生き方が垣間見えた。
    作風は好き、他の読もう。

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    2022年03月06日
  • ブルース

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    まさに“男の美しさ”
    ゴミ溜めのようなところで育った男が闇の帝王に
    まで成り上がる、劇画のような世界観
    まったくカタギじゃないのに女たちは皆、彼の危険な香りを意識し繋がる姿を想像する

    表紙の森山大道先生の写真が雰囲気にぴったり
    ハマる

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    2022年03月05日
  • 風葬

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    ミステリ色強めの長編作品。

    オホーツクの岬。
    寒くて暗くて、悲しい。

    真実を明らかにすることだけが正しいとは限らない。

    そっと、そのまま、閉じ込めたまま自然に還す。

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    2022年02月22日
  • ふたりぐらし(新潮文庫)

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    映画脚本家の夢を追う信好は定職に就かず、看護師の妻の紗弓と2人暮らし。

    紗弓は
    義母の距離
    子供を望むこと
    実母との確執
    などに悩む

    夫婦や家族の形を考えさせられる

    家族には色々な形があってよい
    色々なことを乗り越えてつくられていく
    人への思いも様々で正解はない

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    2022年02月17日
  • 砂上

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    編集者という職業が存在することは知っていましたが、作家に与える影響や関係性がどの程度のものかを考えたことはありませんでした。この本を読む限り、その存在は大きく、力量次第で作家も変わるほどなのだろうと感じました。

    自分の卒業論文を思い出しました。教授が朱書きを入れ、自分の文章はどこへやら。そして力作になったことが懐かしい。
    2022,1/31-2/3

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    2022年02月03日
  • 光まで5分

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    北海道から沖縄へと流れ着いたツキヨは、元歯科医の万次郎、青い目をしたヒロキと出会う。希望を持たない三人は、どこへ向かうのか…。直木賞作家が沖縄を舞台に描く挑戦作。
    いつも北海道が舞台の桜木作品なので、その真反対の沖縄に違和感を覚える。それでも男はやっぱり欲望まみれで、女はしたたかに生きる。

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    2022年02月03日
  • 砂上

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    スラスラ読みやすい桜木紫乃をイメージして
    読み進めると、あれ?となりながらも
    どうなっていくのかが気になっていく。

    登場人物の女たちが
    これからどうなっていくのか
    気になったままラスト

    こんなラストもまた良い

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    2022年02月02日
  • ふたりぐらし(新潮文庫)

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    母に勧められ読んだ。
    30代後半の夫婦間のやり取りや関係性、性欲のリアルさ、言わなくても良い事、ちょっとした嘘…面白かった。
    連作の短編で読みやすい。

    色んな「ふたりぐらし」が出てくる。
    一人っ子が多いのに気づくのも面白い。
    1話ごとに、2人に関わる様々な登場人物が出てきて面白かった。
    和田やタキの娘の現在等分からない事は分からないまま、なのも良い。



    好きなセリフ

    *「いいんだよ、女の子はそれで。母親が大好きだなんて、女として次の一歩を踏み出せていない証拠でしょう。彼女のことは、紗弓のぶんまで僕が好きでいればいい。もしも彼女が娘の言葉以外の事で傷つくときは、僕が全力で守ればいいんだ」

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    2022年02月01日