桜木紫乃のレビュー一覧

  • 砂上

    Posted by ブクログ

    ポイントが三つある。
    小説家を目指している柊玲央が小説を生み出していく苦しみ、新人を叱咤する編集者、そして柊玲央本人の人生事情。

    いや、むしろ登場する小説に厳しい目線の編集者小川乙三を描くことで、桜木紫乃さんの小説への心意気を言いたかったのかのではないかと。

    この小説中の小説「砂上」が、もし出版されないという結論だったらどうだろう。やっぱり小説家志望はあきらめないのか?また、本になったのはいいけれど、売れなかったら?読まれなかったら?読者に理解されなかったら?

    出版されなくて、売れなくて、うずもれていった物書きたちの積んでも積んでも崩れる砂の山。

    0
    2020年08月24日
  • 砂上

    Posted by ブクログ

    純文学新人賞に応募を重ねながらも、候補作止まりの40歳の柊令央。突然現れた編集者の一言で渾身の一作を書く決意をする。直木賞作家の著者が創作の苦しみを描ききる、新たな到達点。
    芥川賞を受賞するような純文学作品は、自らの身体を切り刻んで創作するようなものと聞いたことがある。自分や身内の恥をさらけ出す、それが読者の共感を呼ぶ。他人の恥ずかしい部分を人々が求め、作家はそれに応えるからこそ文学の世界が成立する。

    0
    2020年08月19日
  • それを愛とは呼ばず

    Posted by ブクログ

    ある会社の社長である10歳年上の妻が、交通事故で意識不明の状態になってしまった亮介。副社長の地位も追われ、会社を辞め、新たな会社に勤めた。
    かたや北海道からタレント(なのかな)を目指して上京してきた沙希は恵まれた容姿を持ちながら、なかなか芽が出ず、銀座にある老舗のグランドキャバレーでホステスのバイトをし、生活している。

    2人は彼女の勤めるお店で出会い、お互いの行き詰まった状態に共感し合うが、その日は何事もなく終わった。でも、沙希は亮介に惹かれていた。その感情は好意とともに、同情や憐憫の気持ちも含まれていたようだ。
    人は、自分より不幸な人が近くにいると安心する場合もある。うまくいっていない今の

    0
    2020年07月19日
  • それを愛とは呼ばず

    Posted by ブクログ

    初めての桜木作品でした。
    亮介の章子さんがいない哀しみ、不安、所在なさが痛いほど伝わってくる。
    一方、紗希の良く言えば一途、率直に言えば得体の知れない不気味さが作品全体のスパイスになっていると思います。
    全体的にゆったりした時の流れを感じさせる展開にも関わらず、最終章の急展開に頭が追い付きませんでした。知りたい部分が全て想像させるか「文脈で察して」と放り出されてしまったような感じがして個人的には消化不良でした。
    (作者のファンの方にはこの曖昧さがいい、となるのかもしれませんが…)

    0
    2020年06月21日
  • 風葬

    Posted by ブクログ

    一気読みしました。
    桜木さんらしい暗い作品です(笑)

    官能的な描写は少なめ。

    川田親子の末路、警察の無能っぷりなど、
    ふに落ちない点はありますが、往年の火サスチックで楽しめました。

    夏紀自身の色恋沙汰が、全くありませんでしたが、彼女には幸せになってもらいたいです。

    0
    2020年05月08日
  • 氷平線

    Posted by ブクログ

    既に「起終点駅(ターミナル)」と「誰もいない夜に咲く」を読んでいるので、デビュー作の本作は読む順番を明らかに間違えていた。
    しかし、表題作は作者の中でもとても良かった。普段と作風が違うような印象を受けたが、それが良かった。少し駆け足のような感じがしたし、最後のシーンは唐突で、そこが目新しくも後味がなんとも絶妙だった。

    他だと、「海に帰る」の床屋の師匠から「いいか、失敗したなと思っても、その素振りはは絶対に見せちゃいけない。謝ることで楽になったぶん、客は不満を持つんだ」「恥はお前だけのものだ。満足させるんだ。それが技術じゃないのか技だけじゃ何も作れないぞ。人間相手なんだからな」サービス業で働い

    0
    2020年04月08日
  • 裸の華

    Posted by ブクログ

    いつもはスラスラ読みやすい桜木紫乃だけど
    今回はちょっとキツかったかな

    だけど、つい探して行ってみたくなるような
    その曲を聴いてみたくなる身近な感じはやっぱり好きだった

    あの後のノリカはどうなるのかな?
    みのりと瑞穂は幸せな人生を歩み始めたーとハッピーエンドっぽいのに、ノリカだけが抜け出せないところにいる様で‥
    JINとの新しい展開が待っていたら嬉しい

    0
    2019年11月21日
  • それを愛とは呼ばず

    Posted by ブクログ

    如何にも桜木紫乃。って感じの本です。
    掴みどころない本です。
    白川紗希が最後に伊澤亮介に言わせた言葉。
    「幸福、ということですよ」
    ここじゃないですかね、愛とは呼ばず。

    0
    2019年11月14日
  • 裸の華

    Posted by ブクログ

    著者の作品はそこはかとない色っぽさが特徴と思っています。でも、この作品はそれを通り越してエロっぽく感じるのは、そりゃそうでしょう、ストリッパーがヒロインですから、題材によるものもあります。といっても桜木ワールドなんです、「へえへえ、こんなふうなんだ、この世界」という興味も大ありですが、ひとり、ひとりの自立した人間たちの生きる道筋があざやかに描き出されていて、どの辿る道も容易ではない、けれどもやりがいがあるのだってことはわかるでしょうと読まされるのはいつも通りです。それが応援・演歌調と言うのかもしれません。

    0
    2019年07月30日
  • 無垢の領域

    Posted by ブクログ

    今回学びました。桜木さんの本は、続けて読むものではないと。舞台は北海道、子どものいない夫婦、夫は甲斐性なしで妻が生計を立てる.....って、この間読んだ本と同じ設定や。ストーリーの大きな核は、子供の心まま成長できない天才書道家女子・純香なのだけど、彼女以外の登場人物が全てイヤだなぁ。各々の言動・心理描写が地味ーにイヤらしい。そしてラストにかけてがちょっとわかりづらくて、ネタバレサイト見たところ、ゾッとさせられた。心に墨汁を垂らされて、その染みがこすっても取れないような、そんな後味の書道にまつわる物語。

    0
    2019年02月19日
  • 氷平線

    Posted by ブクログ

    【今より一歩進もうとしている人たちの話】

    『ホテルローヤル』で直木賞を受賞した桜木紫乃さんの短編集。書評を読みいつか読んでみたいと思っていた本です。

    北海道の田舎で現状にあがきながら、それでも今の状況を受け止めつつ、でも一歩先へ進もうとしている人たちの物語でした。全部で6篇収録されています。

    文庫の解説を滝井朝世さんが書かれていたのですが、桜木さんは物語の筋(ストーリー)だけではなく風景描写も読ませる力のある作家さんらしいです。確かにな〜と思いました。風景描写になるとちょっと集中力が切れたり、流し読みしてしまうことがあるのですが、ほとんどなかったなあと。

    「霧繭」に登場する和裁師の仕事

    0
    2019年01月01日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ホテルローヤルがとても好きで、続けてラブレスと凍原を読みとても引き込まれました。その流れで来ると硝子の葦は、こういうのも書くんだ〜みたいな新鮮な驚きです。

    この人の本、暗いんだけど案外湿気を帯びない感じが好きなのかなぁ。

    0
    2018年08月24日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    うらぶれた飲み屋街、寂れた漁港、ラブホテル、愛人、幼い頃の虐待・・・など暗いイメージの世界観に、こういうの無理だと思いながらも止まらなかった。
    こういう小説もたまにはいいか。

    0
    2018年08月06日
  • ワン・モア

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    短い作品なのでサクッと読める。
    読後感は良い。


    生きることの辛さと、前を向くことをしみじみ作品から感じた。

    0
    2018年08月05日
  • それを愛とは呼ばず

    Posted by ブクログ

    伊澤亮介は54歳、伊澤コーポレーションの副社長。10歳年上の章子が社長である。章子が事故で意識不明に・・・
    さて、物語が始まります。3.5かな。なかなか面白いです。

    0
    2018年06月27日
  • ホテルローヤル

    Posted by ブクログ

    北海道釧路市のラブホテルをキーとして進んでいく、
    第149回直木賞受賞の連作短編集。

    少しずつ、でも、確かに深みにはまっていくような読感。
    初めの一篇はなんのことなかったのに、
    次の短篇を読み進めていくことで重なっていくものがある。

    「つらさ」、「悲しみ」とか「寂しさ」とか、
    そういう言葉が陳腐になってしまう。
    たとえ人生の中の短い瞬間であっても、
    そこに感情の多層性、現実の状況・局面の多層性、関係の多層性などがあることを
    作者はそのフィクション表現のなかでつまびらかにしているからだと思う。

    ラブホテル業はうしろめたい商売です。
    そして、この小説に登場する人々は金銭的にだったり人間関係的

    0
    2025年07月14日
  • ブルース

    Posted by ブクログ

    闇にどんどん引き込まれてしまうような一冊。

    性、金、血、ドロドロと渦巻く汚い泥のような生活を、淡々と綴る筆者の描き方が、とっても爽やかで大人の青春というのか、ダークファンタジーのような本。

    つい、深入りして、つい、目が離せなくなって、つい、追体験をしそうになる。

    あとがきが壇蜜で、私もこの中の女の一人で、、、

    っていうあとがきは、なんだかなるほどなぁ。たしかに、なんかわかるかも。と、思ってしまう説得力のある内容で、壇蜜なかなかやるな。と、思ってしまいました。笑笑

    0
    2018年04月07日
  • ブルース

    Posted by ブクログ

    あらすじ(背表紙より)
    没落した社長夫人が新聞に見つけた訃報、それはかつて焦がれた六本指の少年のものだった。霧たちこめる釧路で生まれた男が、自らの過剰を切り落とし、夜の支配者へとのしあがる。男の名は影山博人。貧しく苛烈な少年時代を経て成熟していった男は、女たちに何を残したのか―。謎の男をめぐる八人の女たちの物語。

    0
    2017年12月17日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    年の離れた夫の喜一郎が事故に遭い、意識不明の重体となる。
    母と喜一郎は昔愛人関係にあったという複雑な関係ながらも、節子もまたそういった関係を夫以外にも持っていた。
    しかし、夫の事故以来、節子の日常が崩れ始める。
    節子という理解不能な女性に、徐々に引き込まれていく。
    そして訪れる結末は、少し意外だった。

    2017.11.26

    0
    2017年11月26日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    まとめると小説やドラマでは有りそうな話なんだが、それでは終わらせない迫力がある作品でした。作家さんの力を再認識させられました!

    0
    2017年09月02日