桜木紫乃のレビュー一覧

  • 誰もいない夜に咲く

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    この人の作品は何冊か読んだがいずれも物哀しさと寒々しさを感じさせる短編集。
    その寒々しさが東北ではなく北海道をイメージさせるのは先入観のなせる業か。

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    2021年02月05日
  • それを愛とは呼ばず

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    全12章で構成されており東京、北海道、新潟を舞台に女性主人公、紗季と男性主人公、亮介のストーリーが展開されて行きます。

    美しく丁寧な文章で読みやすい物語ですが、紗季に感情移入出来る部分が少なかった事と紗季と亮介の間にそれ程までに強い絆がある様に感じられなかった中でのあの展開には少し違和感を感じてしまいます。

    文中に絶えず流れていた陰鬱感や寂寥感、そしてその中で紗季が取った数々の行動には狂気すら感じ「それを愛とは呼ばず」のタイトルに納得しつつも何とも言い難い余韻が残りました。

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    2021年02月04日
  • 砂上

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    *「あなた、なぜ小説を書くんですか」北海道・江別で平坦な生活を送る柊令央は、応募原稿を読んだという編集者に問われ、渾身の一作を書く決意をする。いつか作家になりたいと思いつつ40歳を迎えた令央にとって、書く題材は、亡き母と守り通した家族の秘密しかなかった。執筆にのめりこむうち、令央の心身にも、もともと希薄だった人間関係にも亀裂が生じ―。直木賞作家・桜木紫乃が創作の苦しみを描ききる、新たな到達点! *

    うーーーん??
    桜木さん、好きな作家さんなのですが。
    冷淡な女編集者の言いたいことがよくわからず、主人公の書く小説の良さも全く伝わって来ず・・・
    人間関係の機微についてはさすがでしたが、珠子おばさ

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    2021年01月06日
  • ワン・モア

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    その日のまえにを彷彿とさせる連続性のある短編集。ドラマになりそうな感じもするが今の私にはどの人もそこまでリアルには迫ってこなかった。

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    2020年11月24日
  • 無垢の領域

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    大人はみんな生きづらさを抱えながら生きていて、
    幸か不幸かの線引きもできない。
    親子も夫婦もきょうだいも、煩わしいと思っても簡単には捨てられないし縁を切れない。
    自分の生きる道を探りながら、選んでいく。それが正解かどうかは分からないけど。
    すっきり読み終える本ではなくて、生きていくことの"グレーさ"を感じさせられる物語。

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    2020年11月12日
  • 蛇行する月

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    結婚や幸せが、目に見えて光輝く美しいものではない。そう思える現実味のある話だった。
    6人の話はそれぞれなんとも言えない気持ちになったが、直子の話の最後の2行でなぜか涙が溢れた。

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    2020年10月03日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    何から自由になりたかったんだろう。でも全ての繋がりを絶ちたかったんじゃないんだよね?などと考えてしまった。読み始めと最後で、ああそうだったのか、と印象が変わるけど、面白く読めました。

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    2020年09月26日
  • 誰もいない夜に咲く

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    北海道のイメージはこんな感じなのだろうか。
    いや、いいかえるなら、こんなに貧しくて暗いのだろうか。
    周りをみてもそこまでお金に困っているイメージはないけれど、実際には違うのかもしれない。パチンコに通っているひとも多そうだし、知らない世界が身近にははやっぱりあるのかもしれない。
    自分の知らない薄闇を覗いた感じになりました。
    寂しいです。そして悲しくて寒い。

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    2020年09月23日
  • 砂上

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    ポイントが三つある。
    小説家を目指している柊玲央が小説を生み出していく苦しみ、新人を叱咤する編集者、そして柊玲央本人の人生事情。

    いや、むしろ登場する小説に厳しい目線の編集者小川乙三を描くことで、桜木紫乃さんの小説への心意気を言いたかったのかのではないかと。

    この小説中の小説「砂上」が、もし出版されないという結論だったらどうだろう。やっぱり小説家志望はあきらめないのか?また、本になったのはいいけれど、売れなかったら?読まれなかったら?読者に理解されなかったら?

    出版されなくて、売れなくて、うずもれていった物書きたちの積んでも積んでも崩れる砂の山。

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    2020年08月24日
  • 砂上

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    純文学新人賞に応募を重ねながらも、候補作止まりの40歳の柊令央。突然現れた編集者の一言で渾身の一作を書く決意をする。直木賞作家の著者が創作の苦しみを描ききる、新たな到達点。
    芥川賞を受賞するような純文学作品は、自らの身体を切り刻んで創作するようなものと聞いたことがある。自分や身内の恥をさらけ出す、それが読者の共感を呼ぶ。他人の恥ずかしい部分を人々が求め、作家はそれに応えるからこそ文学の世界が成立する。

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    2020年08月19日
  • それを愛とは呼ばず

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    ある会社の社長である10歳年上の妻が、交通事故で意識不明の状態になってしまった亮介。副社長の地位も追われ、会社を辞め、新たな会社に勤めた。
    かたや北海道からタレント(なのかな)を目指して上京してきた沙希は恵まれた容姿を持ちながら、なかなか芽が出ず、銀座にある老舗のグランドキャバレーでホステスのバイトをし、生活している。

    2人は彼女の勤めるお店で出会い、お互いの行き詰まった状態に共感し合うが、その日は何事もなく終わった。でも、沙希は亮介に惹かれていた。その感情は好意とともに、同情や憐憫の気持ちも含まれていたようだ。
    人は、自分より不幸な人が近くにいると安心する場合もある。うまくいっていない今の

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    2020年07月19日
  • それを愛とは呼ばず

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    初めての桜木作品でした。
    亮介の章子さんがいない哀しみ、不安、所在なさが痛いほど伝わってくる。
    一方、紗希の良く言えば一途、率直に言えば得体の知れない不気味さが作品全体のスパイスになっていると思います。
    全体的にゆったりした時の流れを感じさせる展開にも関わらず、最終章の急展開に頭が追い付きませんでした。知りたい部分が全て想像させるか「文脈で察して」と放り出されてしまったような感じがして個人的には消化不良でした。
    (作者のファンの方にはこの曖昧さがいい、となるのかもしれませんが…)

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    2020年06月21日
  • 風葬

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    一気読みしました。
    桜木さんらしい暗い作品です(笑)

    官能的な描写は少なめ。

    川田親子の末路、警察の無能っぷりなど、
    ふに落ちない点はありますが、往年の火サスチックで楽しめました。

    夏紀自身の色恋沙汰が、全くありませんでしたが、彼女には幸せになってもらいたいです。

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    2020年05月08日
  • 氷平線

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    既に「起終点駅(ターミナル)」と「誰もいない夜に咲く」を読んでいるので、デビュー作の本作は読む順番を明らかに間違えていた。
    しかし、表題作は作者の中でもとても良かった。普段と作風が違うような印象を受けたが、それが良かった。少し駆け足のような感じがしたし、最後のシーンは唐突で、そこが目新しくも後味がなんとも絶妙だった。

    他だと、「海に帰る」の床屋の師匠から「いいか、失敗したなと思っても、その素振りはは絶対に見せちゃいけない。謝ることで楽になったぶん、客は不満を持つんだ」「恥はお前だけのものだ。満足させるんだ。それが技術じゃないのか技だけじゃ何も作れないぞ。人間相手なんだからな」サービス業で働い

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    2020年04月08日
  • 裸の華

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    いつもはスラスラ読みやすい桜木紫乃だけど
    今回はちょっとキツかったかな

    だけど、つい探して行ってみたくなるような
    その曲を聴いてみたくなる身近な感じはやっぱり好きだった

    あの後のノリカはどうなるのかな?
    みのりと瑞穂は幸せな人生を歩み始めたーとハッピーエンドっぽいのに、ノリカだけが抜け出せないところにいる様で‥
    JINとの新しい展開が待っていたら嬉しい

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    2019年11月21日
  • それを愛とは呼ばず

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    如何にも桜木紫乃。って感じの本です。
    掴みどころない本です。
    白川紗希が最後に伊澤亮介に言わせた言葉。
    「幸福、ということですよ」
    ここじゃないですかね、愛とは呼ばず。

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    2019年11月14日
  • 裸の華

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    著者の作品はそこはかとない色っぽさが特徴と思っています。でも、この作品はそれを通り越してエロっぽく感じるのは、そりゃそうでしょう、ストリッパーがヒロインですから、題材によるものもあります。といっても桜木ワールドなんです、「へえへえ、こんなふうなんだ、この世界」という興味も大ありですが、ひとり、ひとりの自立した人間たちの生きる道筋があざやかに描き出されていて、どの辿る道も容易ではない、けれどもやりがいがあるのだってことはわかるでしょうと読まされるのはいつも通りです。それが応援・演歌調と言うのかもしれません。

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    2019年07月30日
  • 無垢の領域

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    今回学びました。桜木さんの本は、続けて読むものではないと。舞台は北海道、子どものいない夫婦、夫は甲斐性なしで妻が生計を立てる.....って、この間読んだ本と同じ設定や。ストーリーの大きな核は、子供の心まま成長できない天才書道家女子・純香なのだけど、彼女以外の登場人物が全てイヤだなぁ。各々の言動・心理描写が地味ーにイヤらしい。そしてラストにかけてがちょっとわかりづらくて、ネタバレサイト見たところ、ゾッとさせられた。心に墨汁を垂らされて、その染みがこすっても取れないような、そんな後味の書道にまつわる物語。

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    2019年02月19日
  • 氷平線

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    【今より一歩進もうとしている人たちの話】

    『ホテルローヤル』で直木賞を受賞した桜木紫乃さんの短編集。書評を読みいつか読んでみたいと思っていた本です。

    北海道の田舎で現状にあがきながら、それでも今の状況を受け止めつつ、でも一歩先へ進もうとしている人たちの物語でした。全部で6篇収録されています。

    文庫の解説を滝井朝世さんが書かれていたのですが、桜木さんは物語の筋(ストーリー)だけではなく風景描写も読ませる力のある作家さんらしいです。確かにな〜と思いました。風景描写になるとちょっと集中力が切れたり、流し読みしてしまうことがあるのですが、ほとんどなかったなあと。

    「霧繭」に登場する和裁師の仕事

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    2019年01月01日
  • 硝子の葦(新潮文庫)

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    ホテルローヤルがとても好きで、続けてラブレスと凍原を読みとても引き込まれました。その流れで来ると硝子の葦は、こういうのも書くんだ〜みたいな新鮮な驚きです。

    この人の本、暗いんだけど案外湿気を帯びない感じが好きなのかなぁ。

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    2018年08月24日