東川篤哉のレビュー一覧
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★馬鹿な大人より賢い子供のほうが信用できる(p.111)
(一)地元で「なんでも屋」を立ち上げた良太くんは、名探偵を両親に持つアリスっぽいコスの小学四年生アリサのワトソン役として今日もお世話を任されるというかいいように使われるのであった。
(二)おとなしいお嬢様と、強気な名探偵の両面を持つアリサのわがままさと年相応の子どもっぽさに苦労させられる良太くんだが保護者愛が少しずつ増えていってるような気も。
(三)今回の表紙カバー絵もたまたまスカイエマさん。意識してみるとけっこうたくさんゲットできてたりします。
■探偵少女についての簡単なメモ■(★は主要語)
【一行目】冒頭から無駄話をするようで恐縮だが、こんな話を聞いたことないかな?
【第一巻 第一話 名探偵、溝ノ口に現る】なんでも屋の良太は絵のモデルをさせられているとき殺人事件に遭遇しその後知り合った名探偵の娘アリサとともに捜査するハメにおちいる。
【第一巻 第二話 名探偵、南武線に迷う】アリサは「はじめてのおつかい」をさせられることになった。
【第一巻 第三話 名探偵、お屋敷で張り込む】浮気調査についていったアリサ。
【第一巻 第四話 名探偵、球場で足跡を探す】良太に草野球の助っ人を依頼した監督が矢で射殺された。
【綾羅木有紗/あやらぎ・ありさ】→アリサ
【綾羅木慶子/あやらぎ・けいこ】アリサの母、孝三郎の妻。世界的に有名な名探偵。エジプトでナイル川をクルーズする豪華客船の船内で大富豪が銃殺されるという事件があり請われて出張中。続いてニューヨークの連続殺人や爬虫類館の事件も手がけたりカンヌで《猫》と呼ばれる怪盗を追いかけたりしている。
【綾羅木孝三郎★/あやらぎ・こうざぶろう】アリサの父。全国的に有名な名探偵。武蔵溝ノ口に篠宮家をしのぐ豪邸を構える。良太はその名を知らなかった。五十代と思われる。太っていて饅頭のような丸い顔は優しげ。小豆のような目にも愛嬌がある。岡山で落武者伝説に纏わる八つの連続殺人が起きるという予告状が届いたので行かねばならずアリサの世話を良太に依頼した。続いてスカイツリーの麓での殺人事件や獄門島のような事件や黒死館殺人のような事件に駆り出される。
【アリサ★】孝三郎、慶子の娘。十歳。自称「探偵」で「探偵になりたい女の子」ではない。不思議の国のアリスをモチーフにしたロリータ系ファッション。ツインテール。私立衿糸小学校四年。自称探偵。彼女のお世話と煙突掃除の仕事を比較するとどちらを選ぶか悩ましいところ。電車の運転席の後ろから運転手気分で前を眺めるのが好き。わりとよく泣く。子どもらしさとナマイキさが同居している。蹴りには自信あり。いろいろわがままな口はきくが良太のことはなぜか信頼しているようだ。
【飯田孝平/いいだ・こうへい】楓の木の下で良太たちの会話を盗み聞きしていた男。二十五歳居酒屋アルバイト。長嶺に逮捕された。
【岩代剛史/いわしろ・たけし】武蔵新城駅前の老舗だんご屋の若旦那。草野球チーム「新城ホッピーズ」のエース。
【浮気調査】たまに入ってくる依頼。私立探偵に頼んだほうがいいのではと思うがどうやら私立探偵は怖がられているようだ。
【オイルサーディン】二千個誤発注したら売れ残る。が、食事にはなる。
【大島/おおしま】怖い顔をした刑事。長嶺勇作の部下。
【奥野智美/おくの・ともみ】須崎家の家政婦。二十代半ばくらい。メイド服が似合う。正確に機械のように動く。
【俺】→良太
【剣崎英雄/けんざき・ひでお】草野球チーム「新城ホッピーズ」監督。五十五歳独身。
【子供】《子供を連れた大人は、基本、善人として認識される》p.126
【殺戮の館】また出てきた名前。一部で名作と言われているようだ。この著者の作品でよく語られる。
【篠宮一郎/しの・いちろう】栄作の息子、龍也の兄。小太り。栄作の連れ子なので龍也や花代と血のつながりはない。
【篠宮栄作/しのみや・えいさく】有名な画家らしい。武蔵溝ノ口に豪邸を構える。良太ですらその名を知っていた。
【篠宮龍也/しのみや・たつや】依頼人。男前で神経質そう。篠宮栄作の息子だが花代の連れ子なので血のつながりはないらしい。いちおう画家らしいが栄作と花代が結婚したときにはすでに絵を描いていたらしい。良太は裸で薔薇をくわえて窓辺に立った姿のモデルをやらされた。
【篠宮花代/しのみや・はなよ】龍也の実の母。
【白くま】鹿児島伝来のかき氷。その美味しさにがっついているとアレが来る。
【須崎瑛子/すざき・えいこ】依頼人。五十一歳。
【須崎建夫/すざき・たけお】江の夫。須崎興行の社長。浮気の疑いあり。
【須崎敏夫/すざき・としお】建夫と前妻の息子。三十三歳。知性の欠片もない。アリサをいやらしい目で見る。
【須崎光代/すざき・みつよ】瑛子の母。八十歳を超える。
【須崎理絵/すざき・りえ】瑛子と建夫の娘。二十歳。利発そう。国立大の学生。
【橘良太/たちばな・りょうた】→良太
【塚本潤子/つかもと・じゅんこ】溝ノ口在住の三十三歳。殺された。派手めな印象。
【中崎浩介/なかざき・こうすけ】旅行ライター。
【長嶺勇作★/ながみね・ゆうさく】神奈川県警溝ノ口署刑事。洒落た眼鏡をかけたインテリふうの男。良太の高校時代の同級生。良太は、こいつロリコンかもと疑っている。
【なんでも屋タチバナ】地元に戻った良太はなぜか人から頼られるようになっていったのでアパートの自室で立ち上げた店。なんでも屋というのは小説の設定としては作りやすそうでいい感じ。モットーは「犯罪以外はなんでも」。年中無休二十四時間営業。
【南武線】JRの路線。利便性の悪さで知られていたが最近快速電車が走るようになった。
【長谷川】綾羅木家の家政婦。
【ブリン】四千個誤発注してもTwitterでつぶやけばなんとか売れる。
【ブンバイ】分倍河原の喫茶店。
【便利屋】便利屋当人にとっては《ちぇ、便利屋って便利じゃねえな!》p.165
【水沢夏希/みずさわ・なつき】塚本潤子の同居人。二十九歳。同じ店の後輩。
【武蔵小杉】再開発で高層ビルとか建ち最近ブイブイ言わせており溝ノ口や新城を下に見ているとか。草野球チーム「武蔵小杉マテンローズ」がある。
【武蔵新城】神奈川県のJR駅。良太の地元。草野球チーム「新城ホッピーズ」がある。
【武蔵溝ノ口】神奈川県のJR駅。通称は「ノクチ」。吉祥寺をジョージと呼ぶ感じのレトロな若者言葉か? 草野球チーム「溝ノ口ホルモンズ」がある。
【村上可南子/むらかみ・かなこ】篠宮栄作の弟子で、篠宮さんちの家政婦もしている。
【山下昭二/やました・しょうじ】依頼人。溝ノ口の商店街で金物屋を営む。草野球チーム「溝ノ口ホルモンズ」監督。矢で射殺された。
【吉岡哲司/よしおか・てつじ】溝ノ口の商店街の青果店の若旦那。草野球チーム「溝ノ口ホルモンズ」俊足強打の一番バッター。
【ラブホ理論】一度部屋に入った男女はだいたい二時間くらいで出てくるという、良太の理論。
【良太★/りょうた】橘良太。主人公の「俺」。「なんでも屋タチバナ」を立ち上げた。意外に仕事は来ているようだ!三十一歳独身趣味ナシ。「おじさん」でなく「おにいさん」であることにこだわる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ以下、印象的作品。
◆東川篤哉『陽奇館』。予想外の結末でびっくりしました。まさか探偵が死ぬなんて。
◆一肇『銀とクスノキ』。館はあくまで舞台装置という印象。(そういう意味では、澤村さんの作品の方がまさにその舞台って感じかな。)メインは一人の女の子の心を救うお話。罪善くんのキャラ良かったなー。
◆周木律『煙突館の実験的殺人』。一番びっくりしたのがこれ。急に世界が、スケールが大きくなったな。
◆六作共通して言えるのは、登場人物の名前が特徴的。あと、なぜ「白」なのかはよく分からない。
唯一はまれなかったのが古野さんの『文化会館の殺人』。登場人物、特に探偵役の言葉使いとか、改行の感じとかかな~。その辺りが引っ掛かった感じ。あとシリーズものの一つとしてお馴染みのキャラ(ユイカ)が急に出てきた感じがしてしまって、慣れないうちに終わってしまった。もちろん自分の知識不足もあると思う。ごめんなさい。 -
Posted by ブクログ
★平塚でいちばんのガールズ探偵ユニット(p.81)
東川篤哉さんの作品はほぼ、どのストーリーをどのキャラクタたちに当てはめてもかまわないといったものだと思いますので結局のところキャラクタたちの行動や会話やギャグを見物するキャラクタ小説でしょう。その中ではこのライオン探偵と調教師コンビはほどよいバランスで心地よく愉しめると思います。
【第一話】赤いハイヒールの数奇な運命。
【第二話】密室の死体はVサインしていた。
【第三話】射られたライオンの敵を討とうとする調教師。
【第四話】依頼人とその恋人の意中のひと。
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■ライオン探偵についての枝葉末節■
【設定】誰にでもタメ口で協調性は持ち合わせていないが美脚金髪巨乳で男の目を釘付けにする二十七歳の女探偵エルザの探偵としての能力はなかなかのもの。「ライオン」というほど他者に恐怖感は与えてないでしょうか。どっちかというとやんちゃな感じです。語り手はエルザの高校三年間での同級生で、助手で調教師で突っ込み役で十人並みのルックスらしい美伽。二人がワイワイガヤガヤしながら平塚というちょっとメジャーから外れているらしい街で起こる数々の事件に挑戦。いまのところ短編集のみ。
【一行目】
その建物は競輪場から少し歩いたあたりに、ガラクタのような佇まいを見せていた。(第一巻)
「おねえちゃん、ほら、あそこあそこ!」(第二巻)
平塚市豊田。そこは庶民的な住宅街と狭い農地が混在する一帯。(第三巻)
【岩本和江】エルザたちとは競輪場で出会った老婦人。ひき逃げされたが命に別状はかった。でもなぜかコーヒーまみれにされた。キャラ立ってるんでまた出てくることもあるかも? とメモ。
【海猫ビルヂング】三階建てのおんぼろビル。三階に「生野エルザ探偵事務所」がある。一階は「粋なとんこつ」というラーメン屋、二階は「ケームセノクー」となってしまった看板を掲げるゲームセンター。近くに平塚競輪場がある。
【エルザ】生野エルザ(しょうの・えるざ)。美伽は「エル」と呼ぶ。探偵。二十七歳。「野生のエルザ」でライオン。依頼人であろうが乱暴なタメ口、美脚、金髪ショート、巨乳。高校時代はソフトボール部で誰よりも実力派だったが協調性ゼロで疎ましがられていたが「ベンチがアホやから」とどこかのE投手のようなことを言って退部。その後ソフトボール部は連戦連敗だった。
【オトシマエ】探偵としては依頼人を殺されたら謎がどうとかいうのではなく犯人に対してちゃんとオトシマエをつけねばならないというのがエルザの流儀。
【ガールズ探偵ユニット】《平塚でいちばんのガールズ探偵ユニット》ということばが出て以来美伽は気に入ったようだ。
【紅】スナック。長崎皿うどんを頭に乗せたようなママがやってる。焼きうどんとポテトサラダは絶品。
【シトロエン】エルザの愛車。五千円でも売れ残りそうなほどおんぼろ。
【湘南経済大学】そこそこ近くにあるらしい。とある事件の被害者と容疑者と犯人が通っていた。
【湘南平】エルザと美伽のテンションを大きく下げさせたこの場所ではカップルが金網に南京錠をぶら下げて永遠の愛を誓い合うという厳粛な儀式が行われる。
【湘南ひらつか七夕まつり】平塚が世界に誇る一大フェスティバルで、なんでも「日本三大七夕祭り」のひとつらしい。ひとつは有名な仙台で、あとはこの平塚のと、残りひとつは未定らしい。
【湘南文化大学】探偵部があるらしい。創作や研究のためのサークルではなくあくまでも現実の探偵活動に従事することを主旨とする実践的サークルなんだとか。
【生野エルザ探偵事務所/しょうのえるざたんていじむしょ】平塚競輪場近くの海猫ビルヂング三階にある。営業は午前十時から夜エルザが缶ビールのプルトップを開ける瞬間まで。《愛と推理とガールズトークあふれる我らが聖地》第三巻p.9
【スーパーカブ】尾行用。
【酢湯麺/すたんめん】平塚のソウルフードなんだとか。ひやむぎみたいな麺にあっさり酸味のきいたスープ。
【探偵】《それは依頼人の利益のために働く存在だからだ。》p.288
【生チョコ発祥の地】なんと平塚にあるらしい。
【忍耐力】生野エルザ探偵事務所に来た依頼人(候補)はだいたい二十分で気を悪くして出ていく。それ以上いる人は忍耐力があります。
【猫】エルザは猫扱いが上手い。同じネコ科だから。
【平塚】よその人間にとってはイメージしにくいが湘南あたりという認識はあります。しかしこの本によると「西湘」とか呼ばれ湘南とは厳密区別されているらしい。たぶん湘南から?
【平塚水族園】ペットショップ。鰐みたいな顔の店長がいる。
【マニア】「そんなにイライラしないで。相手はマニアなんだから」(ライオンの歌p.22)
【ミーコ】白猫。とある事件の結果路頭に迷いそうだったところをエルザが引き取って探偵事務所の猫となった。当初名前はなかったがとある依頼人が勝手にミーコと呼んで以来ミーコとなった。
【美伽/みか】川島美伽。語り手。エルザとは高校三年間同級生。テニス部員だったので部活は別。東京でひどい目に遭って帰ってきたらエルザに取っ捕まるというまたまたひどい目に遭い「生野エルザ探偵事務所」の探偵助手兼猛獣の調教師兼突っ込み役となった。二十七歳。コンサバ系ファッションが基本。エルザと並んでいるとだいたいの男はエルザしか見ない。「インターホンのエキスパート」とか「物干し竿のエキスパート」とかの異名がある?
【ミツキ】武田幸彦という超肥満の銀行員が探しているカミツキガメのミツキちゃん。
【宮前】若い刑事。神奈川県警平塚署。エルザとは既知。いつも憎まれ口を叩くがライオン娘たちのおかげでけっこう手柄を立てている。エルザと美伽のコンビを「平塚ライオンズ」と命名したが受け入れてもらえなかった。
【ルノー・ルーテシア】青色の車体。とある事件でエルザのシトロエン修理中に運転手と一緒にかしてもらえた車。どこかの探偵が乗っていたような気がする。 -
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■感想■
今回は手も足も出ませんでした。もともと推理しながら読もうとはしてないのですけどそれにしても事件の真相がまったく想像できなかった。まあ、あれはこうなんやろなというとっかかりくらいまでは感じてたんやけど。みんなアイツが悪いんや~
■要点■
(1)交換殺人、誰と誰が誰と誰を? そして、いつ?
(2)鵜飼&朱美、流平&さくら&新キャラの水樹彩子、刑事たちには新キャラ和泉。
(3)いつも通りの漫才的会話と地の文と、事件。
■キーワード■
交換殺人、浮気調査、別荘、才能ない画家、金髪青年、怪奇映画風西洋館、関西弁女子、大雪、八ミリカメラ、彩子、和泉刑事、探偵と大家、探偵弟子と再登場のお嬢さま、謎の美女殺害事件、白骨死体、悪徳リフォーム業者、伝説のホラー映画。かんじんなキーワードは書いてません。
【一行目】――つけられている。
■設定■
基本的にはおかしなキャラクタたちのおかしなセリフや行動(と地の文)をおもしろがるギャグ小説だがちゃんとミステリしておりしっちゃかめっちゃかにはならないので安心して心地よく楽しめる。著者は楽しそうでないシーンは省略する方針のようでストレスもあまりない。読書の楽しみを得やすい作品。
■キーワード■
【烏賊川市】千葉の東、神奈川の西にあるそうだ。異次元? かつては年に数回海面が盛り上がるほど烏賊がやってきていて烏賊御殿とかあったようだ。烏賊の運搬に使っていた川が現在一級河川の烏賊川だった。探偵鵜飼杜夫やビルオーナー二宮朱美や探偵助手戸村流平たちがいる。烏賊川市警察の砂川警部は日々クラゲを眺めて天気予報をしているくらいヒマ。映画館は一軒もない。大学には映画学科がある。《大したことない事件には事欠かないのが烏賊川市なのである。》撃て!p.26。近隣に盆蔵山を抱く奥床市などがある。
【鵜飼杜夫/うかい・もりお】探偵。中肉中背で目立たない顔。ルノー・ルーテシアに乗る。なんか似合わないイメージ。金がないくせに仕事を選り好みする。タウンページに記載されているキャッチコピーは「Welcome trouble」。《なんだ、刑事さんか。ちぇ、敬語で話して損したな》密室の鍵p.160。「猫は」では報酬の金額に逆らえず(朱美に逆らえず)豪徳寺さんちの三毛猫探しに乗り出すことになった。ちなみに猫に好かれやすいタイプのようだ。《まあ、この探偵の行動は、どれをとってもあまり理解しやすいものではない。》猫p.368
【二宮朱美/にのみや・あけみ】黎明ビルの若きオーナー。修羅場をくぐった根っからの大家。四階に住む。客観的に美女。愛車はベンツ。家賃滞納しがちな鵜飼は朱美に頭が上がらない。嫌味はちょっと言ったりするが。意外なことに鵜飼とは互いに憎からず思っているフシがある(「猫は」あたりでは)。戦闘能力は高い。「密室の鍵」では白波荘のオーナーだった(白波荘は後になくなった)。まだ鵜飼たちと知り合いではなく故障中のオートバイの整備(破壊?)にせいをだしていた。《ただいじり回しているのが楽しいからいいの。》密室の鍵p.151。同アパートの住人茂呂とも知り合いだった。死体を見ていちおう悲鳴を上げた。
【黎明ビル】二宮朱美がオーナーで彼女自身四階に住んでいる。鵜飼杜夫の探偵事務所が三階にある。歓楽街の外れにある。
【戸村流平/とむら・りゅうへい】鵜飼杜夫探偵事務所の探偵助手(弟子)。また、鵜飼は流平の姉の元夫らしいので元義兄(赤の他人ともいう)。事務所のキャッチコピー「Welcome trouble」は流平が考えた。烏賊川市大映画学科中退。かつてホームシアターを舞台にした密室殺人事件に巻き込まれ鵜飼に救われ弟子になった。ミステリ映画は好きだが原作は読まない。両親は夢を諦めさせるために大学に入れたようだ。しかし探偵助手にもなってほしくはなかっただろう。烏賊川市でもっともアロハシャツが似合う男かもしれない。虎キチ。酔っぱらうと何を言い出すかわからない恐ろしい男。
【十乗寺さくら】お嬢さま。高校生くらいに見えるが二十歳。ちょっと天然系のふしぎなタイプ。三人の花婿候補を持つ。なぜか流平に惚れる。《このお嬢様は冗談をいうタイプではない。存在そのものが冗談みたいな――》撃て!p.275。『現代用語の基礎知識・最新版』や『烏賊川市近郊職業別電話帳』やフランスパンを武器に使う。《つまり《重いもの》さえこちらの手で握っておけば、あとは安心して付き合えるというわけだ。》交換殺人p.83
【烏賊川市署】砂川や志木がヒマをもてあましている。
【砂川/すながわ】烏賊川市署の自称エースで警部。素直ではなく右を向けと言えば左を向く扱いにくい性格。アホっぽいがたまにシャープなところも見せる。特技は運河を流れるクラゲを見て天気予報できること。ミステリ好きだが探偵は嫌い。《モテる男にはとりあえず反感を覚えるのが砂川警部の特徴的なメンタリティーであることを、志木はよく理解していた。》密室の鍵p.162。「猫」の十年前は刑事。彼が高林警部にしたアドバイスのせいで? 事件は迷宮入りした。和泉いわく《あの人はな、やる気がなくて優秀なんだ》交換殺人p.166
【志木/しき】刑事。烏賊川市署の自称ホープ。同乗すると命を大事にしたくなるような運転技術の持ち主。昔はワルでブイブイ言わせてた。どんな罪状であれ、犯人逮捕に喜びを感じる。《僕は、拳銃を撃ちたくて撃ちたくてたまらない、どこにでもいる目立たない普通の刑事です。》撃て!p.239
▼烏賊川市についての枝葉末節(適当にメモしてっただけですが、後から見てみると結果的にネタバレなってたかも)
【IKA映画社】教育映画をつくる地味~な映画制作会社。地元のテレビ局の系列会社。茂呂耕作が勤めている。ほぼブラック。
【烏賊川市】舞台。どうやらシリーズになってるようですね。「猫は何匹」から読みはじめてしまいました。
【烏賊川斎場】収容人数の多いところが取り柄。要人が死んだときはここを使う。
【烏賊川大学】若者の減少に危機感を抱いた市長ががんばって設立した。理系学部はない。まあ、そこそこの大学。最近では映画学科が注目されている。烏賊川市に映画館はないが。
【和泉/いずみ】刑事。志木の先輩。女性。ショートカット。美人。オートバイの運転はたぶん車を運転する志木並みかと。上司の前では「結構いけてる女刑事」を演じ、後輩の前では「相当いけない女刑事」の本性を剥き出しにする。一人称は「おれ」。
【井上カメラ商会】烏賊川市のシャッター商店街にあるカメラ屋。美女を見るとモデルにして撮りたがる。店には高級カメラといっしょに古い八ミリカメラがあった。
【依頼人】《一説によると、探偵というものは、依頼人を殺されてはじめて半人前なのだそうだ。》猫p.175
【岩村敬一/いわむら・けいいち】通称なんでも屋の岩村。
【馬ノ背海岸】烏賊川市の外れにある複雑な海岸線の一帯で観光地化の話もあったが地形が険しすぎてボツ。
【魚丸武司/うおまる・たけし】漁師。
【映画監督サイコ】彩子が学生の頃監督して撮ったアマチュア映画。問題作として話題になって流平も名前だけは知っていた。内容は、「シャイニング」の映画監督版のような「カメラを止めるな」のような。
【エルザ】野良猫だったが桂木がエサをやったりしているうちに豪徳寺家によく来るようになった。三毛猫だが小柄でミケ子とは似ても似つかない。
【奥床市立大学】烏賊川市の隣と思われる奥床市にある大学。映画研究会があり水木彩子が所属していた。
【外注】《無闇な外注は自殺行為! よーく覚えておきなさい》撃て!p.110
【桂木】豪徳寺家の使用人。執事であり、料理人であり、庭師でもある便利な男。達磨さんのような丸っこい身体。
【加藤信夫/かとう・のぶお】交番勤務の警察官。
【河内龍太郎】映画監督。「殺戮の館」「戦慄の島」「復讐の村」などB級の巨匠。この著者の他の話でも名前を見かけたことがある。特に「殺戮の館」の題名はよく出てくるかも。映画好きとしてはイヤな予感はしつつ怖いもの見たさの一本。
【神崎隆二/かんざき・りゅうじ】さくらの花婿候補のひとり。二十五歳。市会議員神崎隆太郎の次男でコネにより現在烏賊川信用金庫勤務。フォードに乗っている。右手の甲に烏賊川市の地図に似た古傷(火傷のあと?)がある。鳥ノ岬の飛魚亭で射殺された。
【教養猫】烏賊川市大教養部の喫茶室の周辺で暮らす数匹の猫のこと。
【キンゾー/金蔵】松金正蔵。通称「金蔵」。鵜飼の知り合いのホームレス。鵜飼を「兄貴」と呼ぶ。烏賊川の西幸橋の下の段ボールハウスで暮らしている。何の誇張もなく頭がいいらしい。登場した次の巻で拳銃で撃たれ死亡。
【桑田一樹/くわた・かずき】流平の同級生で映画好き。ビデオ屋「アトム」でバイトしている。「殺戮の館」は駄作だと言う。紺野由紀の最後の恋人。
【剣崎京史郎/けんざき・きょうしろう】豪徳寺家の居候。招き猫狂。暮らしている土蔵の中には招き猫がぎっしり。異常によくしゃべるが会話という言葉のキャッチボールはほぼできない。
【豪徳寺真一】豊蔵の長男。前の妻との間にできた子ども。二十八歳。
【豪徳寺豊蔵/ごうとくじ・とよぞう】回転寿司チェーン「招き寿司」の創業社長。無類の猫好き(というより招き猫狂)で自宅の玄関に人間サイズの招き猫が二体置いてある。経営する回転寿司店にもある。豪徳寺さんやもんね。養子なのでもしかして豪徳寺という名前が欲しくて昌代と結婚した? また自宅にビニールハウスがある。いかつい顔に紳士らしい服装と物腰。十条寺十三の知人。自宅のビニールハウスで殺人事件があった十年後鵜飼に猫探しを依頼してきた。その後ビニールハウスで死体となって発見された。
【豪徳寺真紀/まき】豊蔵の娘。十九歳の美人女子大生。豪徳寺豊蔵の殺された夜ビニールハウスに呼び出されうかつにも誘いに乗って捕まり豊蔵殺害現場を見てしまった。と証言している。
【豪徳寺昌代】豊蔵の奥さん。三十代に見えるが四十三歳。
【豪徳寺美樹夫/みきお】豊蔵の次男。二十二歳。映画好きで矢島達也とときどき映画鑑賞会をやってる。
【権藤一雄/ごんどう・かずお】源次郎の長男。折り合いが悪くいつも取っ組み合いの喧嘩をしている。出奔中。
【権藤源次郎/ごんどう・げんじろう】水木彩子の別荘のご近所さん。建築業「権藤ホーム」を営んでいるらしい。悪徳リフォーム業者。
【権藤英雄/ごんどう・ひでお】源次郎の息子。折り合いが悪く取っ組み合いの喧嘩をしていた。
【紺野由紀/こんの・ゆき】流平の学生のときの彼女。流平がIKA映画社に内定したとき失望して別れ話を切り出した。
【彩子/さいこ】水樹彩子(みずき・さいこ)。ゴージャスな美女。さくらの友人。女優。映画研究会時代は監督経験もあり。愛車はBMW。「サイコ」とはまた意味深な名前で。
【佐野/さの】十乗寺家の執事兼ボディーガード。流平は十乗寺家のオッドジョッブと思った。
【執事】名前こそよく聞くが実際に出会ったものはあまりいないという希少な職種だがいるところにはいる。
【収支】《殺人にだって収支という概念はあるだろうに》撃て!p.251
【十乗寺家の屋敷】馬ノ背海岸の鳥ノ岬にある。重厚ではなく軽快で開放的。
【十乗寺十一/じゅうじょうじ・じゅういち】さくらの父。十三の息子。十乗寺食品の社長。
【十乗寺十三/じゅうじょうじ・じゅうぞう】七十歳、物心ついてから六十年、いまだ自分の名前がいいにくい。十乗寺食品の会長。かつて自らの屋敷を舞台にした拳銃乱射事件の謎を鵜飼に解決してもらった。
【十乗寺道子】十一の妻。さくらの母。
【白波荘】茂呂耕作が住んでいたボロアパート。もう維持管理する気もないようで建物を壊さなければかなり部屋の改造をしてもOK。ちなみにオーナーは二宮朱美。
【白熊郡猪鹿村】烏賊川市に隣接する山村。人口一千七百人。畑作と酪農と林業。盆蔵山(ぼんくらやま)がシンボル。
【真実】《そもそも掛け値なしの真実など世の中にそうはない。》撃て!p.94
【鈴木のマー坊】荷台がちょっと大きめでわりとカッコいい車でした。昔はよく見かけてたけど。吉岡宗助の愛車。
【スルメ】本名はサクラスルメオー。十乗寺さくらの飼い犬。ゴールデンレトリバー。
【善通寺咲子/ぜんつうじ・さきこ】鵜飼の依頼人。春彦の妻。冷めたあと二回レンジでチンするとさらに美味しくなる料理をつくる。
【善通寺春彦/ぜんつうじ・はるひこ】画家。咲子の夫。紳士っぽいが芸術家のオーラはいっさいない。父親の善彦(よしひこ)も画家でそちらは教科書にも載っている超メジャー。最近浮気がアヤシイ。
【逮捕】犯人逮捕の基本、それは《形》だ!(撃て!p.10)
【高梨孝太郎/たかなし・こうたろう】女が落ちてきた事件の目撃者。
【高林】凄腕警部。今は現場からは離れているようだ。
【田野上秀樹/たのうえ・ひでき】さくらの花婿候補のひとり。二十七歳。烏賊川市立大学経済学部教授で次期学長候補の田野上秀彦の三男。現在烏賊川市立大学経済学部講師。赤いフォルクスワーゲンに乗る。
【探偵】《探偵は事件の渦中にいるうちは眠くならないんだ。》p.261
【椿ビル】オンボロ雑居ビル。岩村敬一が暮らしていた。オーナーの老人はなかなか楽しい。
【田園】豪徳寺真一の行きつけのバー。友人の田代俊之がマスター。
【盗聴】《盗み聞きは変質者の趣味。盗聴は私立探偵のお仕事だ。》交換殺人p.61。盗聴器には盗聴特許許可局が認知すると丸Tマークが入るらしい。
【遠山真里子/とおやま・まりこ】善通寺春彦の遠縁の娘。就職活動のため善通寺家に下宿している。関西弁。レギュラーの品揃えのため欲しい人材。車の車庫入れは苦手。善通寺春彦の浮気相手かもと夫人は考えている。鵜飼は彼女がアッケラカンと関西弁をしゃべるので浮気相手ではないと断じた。大雑把すぎる性格。
【友子】佐野の妻。十乗寺家の料理はすべて彼女がまかなっている。
【鳥ノ岬】馬ノ背海岸にある。鳥のように嘴状に突き出している部分がある。そこには十乗寺家の離れ(飛魚亭)が建っている。本当は屋敷を建てたかったらしいが嘴の強度の問題で不可能だった。
【内出血密室】凶器によって即死や動けないわけでない場合被害者自身が密室を作ってしまうことということのようだ。
【中谷SV8】昔の8ミリカメラ。さくらが買おうとしている。
【中山章二/なかやま・しょうじ】四十一歳独身。金属パイプ等を加工する町工場経営者。腕はいい。酒癖はわるくあるときチンピラ二人を殴り倒したら被害届を出されてしまった。偶然、拳銃密造をしていた。
【ニャーネルニャンダース】「招き寿司」の入り口に置かれている招き猫の人形。ほぼ人間サイズ。地元の子どもたちは「ニャーネルニャンダース」と呼ぶ。
【猫】ミユキには漁師がエサをやっていた。教養猫は大学教養学部の喫茶室におり猫舌は壊れている。黎明猫は黎明ビルの近くに最近来た。ニャーネルニャンダースは招き寿司チェーンと豪徳寺さんちの玄関を飾っている。猫のお面の誰かは豪徳寺豊蔵を殺した。ミケ子は豪徳寺豊蔵の死体のあったビニールハウスにいた(かもしれない)。剣崎京四郎が暮らしている豪徳寺家の土蔵には招き猫がぎっしり。エルザは桂木がエサをやってるうちに豪徳寺家によく来るようになった。十年前矢島医院に怪我で死にかけた三毛猫が来て洋一郎が手当てして生き延び「マオ」と名付けられた。
【恥】相手に恥をかかせるのは紳士のおこなうことではないらしい。流平はそれを「勝利の方程式」だと思っていたが。
【原田】刺された女性をひきかけたがなんとか回避したものの女性はすぐ死んだので結果的に第一発見者になった銀行員。淡々と説明的に説明する。
【ビニールハウス】豪徳寺さんちの庭にある蒲鉾型のビニールハウス。農家のものよりは小ぶりな感じだがけっこう大きい。頑丈な作りで少し揺すったくらいではびくともしない。すりガラスのように半透明なビニールが張られており中はほぼ見えない。特に何も栽培されていない。なんのために庭に建てたのだろう。よからぬことに使うのが目的? 殺人事件の被害者と思われる死体が二度発見された。単純なつくりなのでトリックには使いやすそう。
【ひまわり荘】盆蔵山の別荘地にある水木彩子のセカンドハウス。山小屋ふう。
【盆蔵山】奥床市にある山。環境がよく別荘地などがある。
【本陣殺人事件】ATG製作の映画。ミステリ映画ブームの火付け役かとこの小説(密室の鍵貸します)では書いてあった。原作横溝正史。ぼく的にはけっこう好きです。
【牧田裕二/まきた・ゆうじ】戸村流平の大学時代の友人。
【升村光二郎/ますむら・こうじろう】さくらの花婿候補のひとり。二十六歳。居酒屋チェーン「升むら」を経営する升村家の次男。商才はあるが長男もそうなので立場は微妙。黄色いポルシェに乗る。
【松金正蔵/まつかね・しょうぞう】→金蔵
【招き寿司】豪徳寺豊蔵さんが創業し経営している回転寿司チェーン。
【ミケ子】豪徳寺さんちの三毛猫。可愛げがなく大きい。脱走したミケ子をなぜ豊蔵さんは金に糸目もつけず探すのか。家族にもさわらせず猫部屋に「保管」していたようだし。その辺になにかありそうだとは思う。財宝の隠し場所がどっかに描かれてるとか。それはま、冗談ですけど。
【三毛猫】この話(猫は何匹)には多くの三毛猫が登場する。招き猫も登場するが招き猫が三毛猫なのかどうかはよく知らない。三毛猫は遺伝子かなにかのせいで基本的にメスなのだとはよく知られていることだがオス三毛猫もまれに誕生するらしい。その場合の価値がどれくらいになるのかも知らないけど豪徳寺豊蔵さんが金に糸目をつけず探しているのはそのせいかもしれない?
【水樹彩子/みずき・さいこ】→彩子
【水沼/みずぬま】善通寺春彦が訪れた別荘の表札にそう書かれていた。
【ミステリ作家】午前三時に散歩しているときあるものを見た。《なんだミステリ作家か。それじゃ深夜の散歩も無理ないな》猫p.114。そういや『深夜の散歩』という福永武彦、中村眞一郎、丸谷才一著のミステリエッセイ集を持ってます。
【ミユキ】魚丸が三毛猫につけた名前。別れた女房の面影を見て。
【茂呂耕作/もろ・こうさく】流平の映画学科地代の三年先輩。二十五歳。ボロアパート「白波荘」で暮らしている。改築ほぼ自由なので茂呂は一室を完全防音に改造しホームシアターとして使うためにあえてこのアパートで暮らしている。聴く音楽はエアロスミスか藤あや子。志木刑事の高校時代の友人。
【矢島達也】洋一郎の息子。父の死んだ十年後、三十一歳のときには豪徳寺家の主治医になっている。豪徳寺真紀に気があるようにも見える。傷を見たら縫いたくなる。
【矢島弓子/やじま・ゆみこ】洋一郎の妻。車椅子を使っているいう設定にわざわざしてるってことは視点の低さになにかあるのかもしれない?
【矢島洋一郎/やじま・よういちろう】開業医。豪徳寺家の主治医。十年前豪徳寺家のビニールハウスで腹部を刺されて殺された。死亡時四十八歳。妻の弓子と二人暮らし。息子の達也は某有名大学の医学部の学生で東京暮らしだったが、十年後には豪徳寺家の主治医になっている。
【安木理絵/やすき・りえ】豪徳寺豊蔵が殺された夜恋人とともに招き猫を目撃した一人。どうやら画像として記憶を保持できる能力を持っているようだ。
【山村良二/やまむら・りょうじ】剣崎京四郎の麻雀仲間。
【吉岡宗助/よしおか・そうすけ】椿ビルに暮らすプロのカメラマン。岩村敬一の呑み友だち。愛車は鈴木のマー坊。
【黎明猫(仮称)】黎明ビルの近くにいる三毛猫。名前は特にないが体形からデブと呼ばれたことあり。
【ルノー・ルーテシア】鵜飼の愛車で精一杯の見栄。《見かけは国産のハッチバックと大して変わらないのだが、その実、価格も装備もやはり国産と大して変わらないという、すこぶる個性的なフランス車である。》撃て!p.59
【連続殺人】《実際、連続殺人を描くミステリに人間ドラマが本当に必要なのだろうか、という疑問は以前から流平のなかにあった。》密室の鍵p.67 -
Posted by ブクログ
★犯人逮捕の基本、それは《形》だ!(p.10)
■感想■
・東川篤哉さんの作風にかなり馴染んできて読書の楽しみを存分に得られます。
・ギャグってのは最も難しい技術のひとつなんでそれをミステリと同居させられるってのは豪腕やなあと思います。
■内容■
・今回は一丁の拳銃が主役、だそうです。あの二人組刑事のミスで誰かに持ち去られた改造拳銃。
・馬ノ背海岸でホームレスが射殺された。
・馬ノ背海岸で流平がさくら&十乗寺十三と出会う。
・鵜飼が二宮朱美と再会。
・さくらの花婿候補のひとりが断崖にある飛魚亭で殺された。
■一行目■
関東某県に存在するとかしないとか、あるいはかつてそんな街もあったとかいわれている烏賊川市のことを、読者の皆さんはご記憶のことだろう。
■設定■
基本的にはおかしなキャラクタたちのおかしなセリフや行動(と地の文)をおもしろがるギャグ小説だがちゃんとミステリしておりしっちゃかめっちゃかにはならないので安心して心地よく楽しめる。著者は楽しそうでないシーンは省略する方針のようでストレスもあまりない。読書の楽しみを得やすい作品。
■キーワード■
【烏賊川市】千葉の東、神奈川の西にあるそうだ。異次元? かつては年に数回海面が盛り上がるほど烏賊がやってきていて烏賊御殿とかあったようだ。烏賊の運搬に使っていた川が現在一級河川の烏賊川だった。探偵鵜飼杜夫やビルオーナー二宮朱美や探偵助手戸村流平たちがいる。烏賊川市警察の砂川警部は日々クラゲを眺めて天気予報をしているくらいヒマ。映画館は一軒もない。大学には映画学科がある。《大したことない事件には事欠かないのが烏賊川市なのである。》撃て!p.26
【鵜飼杜夫/うかい・もりお】探偵。中肉中背で目立たない顔。ルノー・ルーテシアに乗る。なんか似合わないイメージ。金がないくせに仕事を選り好みする。タウンページに記載されているキャッチコピーは「Welcome trouble」。《なんだ、刑事さんか。ちぇ、敬語で話して損したな》密室の鍵p.160。「猫は」では報酬の金額に逆らえず(朱美に逆らえず)豪徳寺さんちの三毛猫探しに乗り出すことになった。ちなみに猫に好かれやすいタイプのようだ。《まあ、この探偵の行動は、どれをとってもあまり理解しやすいものではない。》猫p.368
【二宮朱美/にのみや・あけみ】黎明ビルの若きオーナー。修羅場をくぐった根っからの大家。四階に住む。客観的に美女。愛車はベンツ。家賃滞納しがちな鵜飼は朱美に頭が上がらない。嫌味はちょっと言ったりするが。意外なことに鵜飼とは互いに憎からず思っているフシがある(「猫は」あたりでは)。戦闘能力は高い。「密室の鍵」では白波荘のオーナーだった(白波荘は後になくなった)。まだ鵜飼たちと知り合いではなく故障中のオートバイの整備(破壊?)にせいをだしていた。《ただいじり回しているのが楽しいからいいの。》密室の鍵p.151。同アパートの住人茂呂とも知り合いだった。死体を見ていちおう悲鳴を上げた。
【黎明ビル】二宮朱美がオーナーで彼女自身四階に住んでいる。鵜飼杜夫の探偵事務所が三階にある。歓楽街の外れにある。
【戸村流平/とむら・りゅうへい】鵜飼杜夫探偵事務所の探偵助手(弟子)。また、鵜飼は流平の姉の元夫らしいので元義兄(赤の他人ともいう)。事務所のキャッチコピー「Welcome trouble」は流平が考えた。烏賊川市大映画学科中退。かつてホームシアターを舞台にした密室殺人事件に巻き込まれ鵜飼に救われ弟子になった。ミステリ映画は好きだが原作は読まない。両親は夢を諦めさせるために大学に入れたようだ。しかし探偵助手にもなってほしくはなかっただろう。烏賊川市でもっともアロハシャツが似合う男かもしれない。虎キチ。酔っぱらうと何を言い出すかわからない恐ろしい男。
【烏賊川市署】砂川や志木がヒマをもてあましている。
【砂川/すながわ】烏賊川市署の自称エースで警部。素直ではなく右を向けと言えば左を向く扱いにくい性格。アホっぽいがたまにシャープなところも見せる。特技は運河を流れるクラゲを見て天気予報できること。ミステリ好きだが探偵は嫌い。《モテる男にはとりあえず反感を覚えるのが砂川警部の特徴的なメンタリティーであることを、志木はよく理解していた。》密室の鍵p.162。「猫」の十年前は刑事。彼が高林警部にしたアドバイスのせいで? 事件は迷宮入りした。
【志木/しき】刑事。烏賊川市署の自称ホープ。同乗すると命を大事にしたくなるような運転技術の持ち主。昔はワルでブイブイ言わせてた。どんな罪状であれ、犯人逮捕に喜びを感じる。《僕は、拳銃を撃ちたくて撃ちたくてたまらない、どこにでもいる目立たない普通の刑事です。》撃て!p.239
▼烏賊川市についての枝葉末節(適当にメモしてっただけですが、後から見てみると結果的にネタバレなってたかも)
【IKA映画社】教育映画をつくる地味~な映画制作会社。地元のテレビ局の系列会社。茂呂耕作が勤めている。ほぼブラック。
【烏賊川市】舞台どうやらシリーズになってるようですね。「猫は何匹」から読みはじめてしまいました。
【烏賊川斎場】収容人数の多いところが取り柄。要人が死んだときはここを使う。
【烏賊川大学】若者の減少に危機感を抱いた市長ががんばって設立した。理系学部はない。まあ、そこそこの大学。最近では映画学科が注目されている。烏賊川市には映画館はないが。
【依頼人】《一説によると、探偵というものは、依頼人を殺されてはじめて半人前なのだそうだ。》猫p.175
【岩村敬一/いわむら・けいいち】通称なんでも屋の岩村。
【馬ノ背海岸】烏賊川市の外れにある複雑な海岸線の一帯で観光地化の話もあったが地形が険しすぎてボツ。
【魚丸武司/うおまる・たけし】漁師。
【エルザ】野良猫だったが桂木がエサをやったりしているうちに豪徳寺家によく来るようになった。三毛猫だが小柄でミケ子とは似ても似つかない。
【外注】《無闇な外注は自殺行為! よーく覚えておきなさい》撃て!p.110
【桂木】豪徳寺家の使用人。執事であり、料理人であり、庭師でもある便利な男。達磨さんのような丸っこい身体。
【加藤信夫/かとう・のぶお】交番勤務の警察官。
【河内龍太郎】映画監督。「殺戮の館」「戦慄の島」「復讐の村」などB級の巨匠。この著者の他の話でも名前を見かけたことがある。特に「殺戮の館」の題名はよく出てくるかも。映画好きとしてはイヤな予感はしつつ怖いもの見たさの一本。
【神崎隆二/かんざき・りゅうじ】さくらの花婿候補のひとり。二十五歳。市会議員神崎隆太郎の次男でコネにより現在烏賊川信用金庫勤務。フォードに乗っている。右手の甲に烏賊川市の地図に似た古傷(火傷のあと?)がある。鳥ノ岬の飛魚亭で射殺された。
【教養猫】烏賊川市大教養部の喫茶室の周辺で暮らす数匹の猫のこと。
【キンゾー/金蔵】松金正蔵。通称「金蔵」。鵜飼の知り合いのホームレス。鵜飼を「兄貴」と呼ぶ。烏賊川の西幸橋の下の段ボールハウスで暮らしている。何の誇張もなく頭がいいらしい。拳銃で撃たれ死亡。
【桑田一樹/くわた・かずき】流平の同級生で映画好き。ビデオ屋「アトム」でバイトしている。「殺戮の館」は駄作だと言う。紺野由紀の最後の恋人。
【剣崎京史郎/けんざき・きょうしろう】豪徳寺家の居候。招き猫狂。暮らしている土蔵の中には招き猫がぎっしり。異常によくしゃべるが会話という言葉のキャッチボールはほぼできない。
【豪徳寺真一】豊蔵の長男。前の妻との間にできた子ども。二十八歳。
【豪徳寺豊蔵/ごうとくじ・とよぞう】回転寿司チェーン「招き寿司」の創業社長。無類の猫好き(というより招き猫狂)で自宅の玄関に人間サイズの招き猫が二体置いてある。経営する回転寿司店にもある。豪徳寺さんやもんね。養子なのでもしかして豪徳寺という名前が欲しくて昌代と結婚した? また自宅にビニールハウスがある。いかつい顔に紳士らしい服装と物腰。十条寺十三の知人。自宅のビニールハウスで殺人事件があった十年後鵜飼に猫探しを依頼してきた。その後ビニールハウスで死体となって発見された。
【豪徳寺真紀/まき】豊蔵の娘。十九歳の美人女子大生。豪徳寺豊蔵の殺された夜ビニールハウスに呼び出されうかつにも誘いに乗って捕まり豊蔵殺害現場を見てしまった。と証言している。
【豪徳寺昌代】豊蔵の奥さん。三十代に見えるが四十三歳。
【豪徳寺美樹夫/みきお】豊蔵の次男。二十二歳。映画好きで矢島達也とときどき映画鑑賞会をやってる。
【紺野由紀/こんの・ゆき】流平の学生のときの彼女。流平がIKA映画社に内定したとき失望して別れ話を切り出した。
【さくら】お嬢さま。高校生くらいに見えるが二十歳。ちょっと天然系のふしぎなタイプ。三人の花婿候補を持つ。なぜか流平に惚れる。《このお嬢様は冗談をいうタイプではない。存在そのものが冗談みたいな――》撃て!p.275。『現代用語の基礎知識・最新版』や『烏賊川市近郊職業別電話帳』やフランスパンを武器に使う。
【佐野/さの】十乗寺家の執事兼ボディーガード。流平は十乗寺家のオッドジョッブと思った。
【執事】名前こそよく聞くが実際に出会ったものはあまりいないという希少な職種だがいるところにはいる。
【収支】《殺人にだって収支という概念はあるだろうに》撃て!p.251
【十乗寺家の屋敷】馬ノ背海岸の鳥ノ岬にある。重厚ではなく軽快で開放的。
【十乗寺さくら】→さくら
【十乗寺十一/じゅうじょうじ・じゅういち】さくらの父。十三の息子。十乗寺食品の社長。
【十乗寺十三/じゅうじょうじ・じゅうぞう】七十歳、物心ついてから六十年、いまだ自分の名前がいいにくい。十乗寺食品の会長。かつて自らの屋敷を舞台にした拳銃乱射事件の謎を鵜飼に解決してもらった。
【十乗寺道子】十一の妻。さくらの母。
【白波荘】茂呂耕作が住んでいたボロアパート。もう維持管理する気もないようで建物を壊さなければかなり部屋の改造をしてもOK。ちなみにオーナーは二宮朱美。
【真実】《そもそも掛け値なしの真実など世の中にそうはない。》撃て!p.94
【鈴木のマー坊】荷台がちょっと大きめでわりとカッコいい車でした。昔はよく見かけてたけど。吉岡宗助の愛車。
【スルメ】本名はサクラスルメオー。十乗寺さくらの飼い犬。ゴールデンレトリバー。
【逮捕】犯人逮捕の基本、それは《形》だ!(撃て!p.10)
【高梨孝太郎/たかなし・こうたろう】女が落ちてきた事件の目撃者。
【高林】凄腕警部。今は現場からは離れているようだ。
【田野上秀樹/たのうえ・ひでき】さくらの花婿候補のひとり。二十七歳。烏賊川市立大学経済学部教授で次期学長候補の田野上秀彦の三男。現在烏賊川市立大学経済学部講師。赤いフォルクスワーゲンに乗る。
【椿ビル】オンボロ雑居ビル。岩村敬一が暮らしていた。オーナーの老人はなかなか楽しい。
【田園】豪徳寺真一の行きつけのバー。友人の田代俊之がマスター。
【友子】佐野の妻。十乗寺家の料理はすべて彼女がまかなっている。
【鳥ノ岬】馬ノ背海岸にある。鳥のように嘴状に突き出している部分がある。そこには十乗寺家の離れ(飛魚亭)が建っている。本当は屋敷を建てたかったらしいが嘴の強度の問題で不可能だった。
【内出血密室】凶器によって即死や動けないわけでない場合被害者自身が密室を作ってしまうことということのようだ。
【中山章二/なかやま・しょうじ】四十一歳独身。金属パイプ等を加工する町工場経営者。腕はいい。酒癖はわるくあるときチンピラ二人を殴り倒したら被害届を出されてしまった。偶然、拳銃密造をしていた。
【ニャーネルニャンダース】「招き寿司」の入り口に置かれている招き猫の人形。ほぼ人間サイズ。地元の子どもたちは「ニャーネルニャンダース」と呼ぶ。
【猫】ミユキには漁師がエサをやっていた。教養猫は大学教養学部の喫茶室におり猫舌は壊れている。黎明猫は黎明ビルの近くに最近来た。ニャーネルニャンダースは招き寿司チェーンと豪徳寺さんちの玄関を飾っている。猫のお面の誰かは豪徳寺豊蔵を殺した。ミケ子は豪徳寺豊蔵の死体のあったビニールハウスにいた(かもしれない)。剣崎京四郎が暮らしている豪徳寺家の土蔵には招き猫がぎっしり。エルザは桂木がエサをやってるうちに豪徳寺家によく来るようになった。十年前矢島医院に怪我で死にかけた三毛猫が来て洋一郎が手当てして生き延び「マオ」と名付けられた。
【恥】相手に恥をかかせるのは紳士のおこなうことではないらしい。流平はそれを「勝利の方程式」だと思っていたが。
【ビニールハウス】豪徳寺さんちの庭にある蒲鉾型のビニールハウス。農家のものよりは小ぶりな感じだがけっこう大きい。頑丈な作りで少し揺すったくらいではびくともしない。すりガラスのように半透明なビニールが張られており中はほぼ見えない。特に何も栽培されていない。なんのために庭に建てたのだろう。よからぬことに使うのが目的? 殺人事件の被害者と思われる死体が二度発見された。単純なつくりなのでトリックには使いやすそう。
【本陣殺人事件】ATG製作の映画。ミステリ映画ブームの火付け役かとこの小説(密室の鍵貸します)では書いてあった。原作横溝正史。ぼく的にはけっこう好きです。
【牧田裕二/まきた・ゆうじ】戸村流平の大学時代の友人。
【升村光二郎/ますむら・こうじろう】さくらの花婿候補のひとり。二十六歳。居酒屋チェーン「升むら」を経営する升村家の次男。商才はあるが長男もそうなので立場は微妙。黄色いポルシェに乗る。
【松金正蔵/まつかね・しょうぞう】→金蔵
【招き寿司】豪徳寺豊蔵さんが創業し経営している回転寿司チェーン。
【ミケ子】豪徳寺さんちの三毛猫。可愛げがなく大きい。脱走したミケ子をなぜ豊蔵さんは金に糸目もつけず探すのか。家族にもさわらせず猫部屋に「保管」していたようだし。その辺になにかありそうだとは思う。財宝の隠し場所がどっかに描かれてるとか。それはま、冗談ですけど。
【三毛猫】この話(猫は何匹)には多くの三毛猫が登場する。招き猫も登場するが招き猫が三毛猫なのかどうかはよく知らない。三毛猫は遺伝子かなにかのせいで基本的にメスなのだとはよく知られていることだがオス三毛猫もまれに誕生するらしい。その場合の価値がどれくらいになるのかも知らないけど豪徳寺豊蔵さんが金に糸目をつけず探しているのはそのせいかもしれない?
【ミステリ作家】午前三時に散歩しているときあるものを見た。《なんだミステリ作家か。それじゃ深夜の散歩も無理ないな》猫p.114。そういや『深夜の散歩』という福永武彦、中村眞一郎、丸谷才一著のミステリエッセイ集を持ってます。
【ミユキ】魚丸が三毛猫につけた名前。別れた女房の面影を見て。
【茂呂耕作/もろ・こうさく】流平の映画学科地代の三年先輩。二十五歳。ボロアパート「白波荘」で暮らしている。改築ほぼ自由なので茂呂は一室を完全防音に改造しホームシアターとして使うためにあえてこのアパートで暮らしている。聴く音楽はエアロスミスか藤あや子。志木刑事の高校時代の友人。
【矢島達也】洋一郎の息子。父の死んだ十年後、三十一歳のときには豪徳寺家の主治医になっている。豪徳寺真紀に気があるようにも見える。傷を見たら縫いたくなる。
【矢島弓子/やじま・ゆみこ】洋一郎の妻。車椅子を使っているいう設定にわざわざしてるってことは視点の低さになにかあるのかもしれない?
【矢島洋一郎/やじま・よういちろう】開業医。豪徳寺家の主治医。十年前豪徳寺家のビニールハウスで腹部を刺されて殺された。死亡時四十八歳。妻の弓子と二人暮らし。息子の達也は某有名大学の医学部の学生で東京暮らしだったが、十年後には豪徳寺家の主治医になっている。
【安木理絵/やすき・りえ】豪徳寺豊蔵が殺された夜恋人とともに招き猫を目撃した一人。どうやら画像として記憶を保持できる能力を持っているようだ。
【山村良二/やまむら・りょうじ】剣崎京四郎の麻雀仲間。
【吉岡宗助/よしおか・そうすけ】椿ビルに暮らすプロのカメラマン。岩村敬一の呑み友だち。愛車は鈴木のマー坊。
【黎明猫(仮称)】黎明ビルの近くにいる三毛猫。名前は特にないが体形からデブと呼ばれたことあり。
【ルノー・ルーテシア】鵜飼の愛車で精一杯の見栄。《見かけは国産のハッチバックと大して変わらないのだが、その実、価格も装備もやはり国産と大して変わらないという、すこぶる個性的なフランス車である。》撃て!p.59
【連続殺人】《実際、連続殺人を描くミステリに人間ドラマが本当に必要なのだろうか、という疑問は以前から流平のなかにあった。》密室の鍵p.67