有栖川有栖のレビュー一覧
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裏表紙に書いてある通り、珠玉の6作だと思いました。
アンソロジーは初めて読みましたが、1冊で様々な話を読めて非常に楽しかったです。
どの話も面白かったんですが、特に有栖川有栖さん作の話と辻村深月さん作の話が印象に残りました。
有栖川有栖さん作の話は主人公たち推理研がパズル研の人たちから出題された論理パズルをお互いに知恵を出しながらパズルを解いていく、というものでした。
探偵役はずば抜けた推理力であっさりとパズルを解いてしまいます。
この探偵役の鮮やかな推理も痛快で面白いのですが、探偵役でないその他の推理研メンバーがお互いに知恵を出し合ってパズルを解こうとしている様子を見るのが非常に楽しかったです。
辻村深月さん作の話は、時代設定が2020年と比較的最近の話となっています。
大学入学と共に上京したごく普通の大学1年生の主人公が知らず知らずのうちに詐欺に加担させられ、当たり前だった日常から突如人生のどん底まで突き落とされるという話。
物語中盤から後半にかけて終始ハラハラしながら読んでいましたが、このスリルが溜まりませんでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ長編ということで、最初の事件発覚までがやや長く、楽しみながらも読み掛けで放置してしまってた。ところが再開していざ殺人事件が起こると、あれよあれよという間に完読。おもしろかった!!
個人的にはトレーラーハウスを傾けるトリックは「そんなうまくいくか?」「手で貼ったところよりは接着が甘いから鑑識の時に分かるのでは?」とか思いはしたが、全体的に納得度が高かったのと、すべての謎のヒントが作中にうまーーいこと散りばめてあったのが「さすが」の一言。事件には直接関係しないシーンでも、謎解きの理解が進みやすいように先出しで道具を使っていたり(序盤のジャッキのシーンなど)。
密室トリックは全く看破できなかったけど、犯人の動機、動機に至る背景、真犯人が誰か、というあたりの推理は当たってたのでそれも嬉しく。ただ細かい部分は粗だらけだったので、終盤の畳み掛けでどんどん謎がほどかれていくのが気持ち良いこと!
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序盤の蛍の対話が、物語全体にとてもよく効いていて、それが本当に良かった。
火村はあらゆる殺人者を赦さず、裁きの場へ送り込んできたけれど、その火村が唯一、狩ることができなかったのが大井なんだろうなと。
大井自身は手を下しておらず、殺人の意志があったかも分からない。ただ、確実に引き金を引いた。故意に、意識的に。
作中には気弱な人から力強くタフな人までいろんな個性を持つ人物が登場するが、自分の裡に潜む暗い意図を遂げ、誰にも捕まらず生き延びることができた(火村さえも追い詰めることができない)のは、唯一大井だけだった。
「永く種を存続させるために個々人は多種多様な個性を持ち、失敗と死を経験するようになった。どの状況でどんな個体が生き残るかは分からない」という序盤の談義を踏まえて、作中で生き残った者は、火村でさえ狩ることができない者……という構造が、今までの作家シリーズでは初なのでは(刊行順に読んでるつもりだが抜け漏れはあるかも)と思い、これまでとは違う読後感だった。
火村でさえ、生態系の個体の一つでしかない。このシリーズにおいて、探偵は特権的/超越的な存在ではない。
ということかなーと、個人的解釈でした。
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最後に一点だけ!
終盤のあの名シーン。淳子さんが夫の罪を知り、罪の上に生きてきた自分自身にも罪を認識しながら、愛する夫を生かすために銃を取り、庇うシーン(まじで名場面)。
火村は銃がモデルガンだと知りながら、淳子さんが夫に代わって銃を向けると、取り押さえるのをやめ30分も待った。その間に夫の虎雄は逃走した。
「気が変わった」と火村は発言したけど、夫婦の切ない愛情の場面を目にしたくらいで火村は犯人を見逃すのか?というのが引っ掛かった。
半島中の警備が強化され、ジャングルは危険であり、逃げたところで捕まるか死ぬか。その可能性は高いとしても、何かの拍子に逃げ延びることができるかもしれない。
絶対にないとは言い切れないはずなのに、逃げる虎雄をそのままにしていたのが、殺人者を絶対に赦さないスタンスの火村に対して「なんで?」となる。
殺人や殺人者に対する価値観は、火村の人となりの根幹を形成するはずなので、これは単なるキャラ設定ミスではないと思うんだよな。
罪の上に生きた罪を自覚した淳子さんとその行動に対して、火村が何を思ったのか。
これが私には全く解釈できなかった。この先のシリーズを読み進める中で、また解釈を構築できたらいいなと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとにかく分厚い力作!
有栖川有栖は、個人的には話もしたことのない大作家・影浦浪子(かげうら なみこ)から、警察が自殺と断定しようとしているある男の死の真相を、火村とともに究明してほしいとの依頼を受ける。
火村は、勤務する大学の入試の監督業務に当たるため、有栖が先行して調査に当たることになった。
前半は有栖の地道な聞き込み調査、後半は火村が登場して怒涛の解決編!
梨田稔(なしだ みのる)は、大阪中之島の「銀星ホテル」に5年前から滞在していた。
ホテルで一番良いスイートを利用し、死後に二億円入った預金通帳が発見される。
クレジットカードも携帯電話も持たず、身寄りもなかった。
これだけで、何か身を隠すような訳ありの人物なのだろうと思う。
梨田が自殺でなく他殺であるとすれば、支配人夫妻を含む当日宿泊していた人物たちと従業員が容疑者となる。
すでに警察の聞き込みは済んでいるのだが・・・
常連たちが語る梨田の印象は、生活のほとんどをボランティア活動に費やし、節度を持った人付き合いをする穏やかな人物。
彼らは梨田の自殺の原因を、寂しかったのだろう、孤独だったのだろうと口を揃えて言う。
有栖が話を聞いている間は「家族的なホテルのスタッフと常連さんたち」に思えていた人々が、火村が登場した途端に「容疑者」の顔に見えてくるのが不思議。
しかし、この流れでは他殺なんだろうなと思っても、誰が怪しいのかということさえ全く分からなかった。
ミステリ物の小説やドラマにおいては、こいつはまあ殺されても仕方ないな、むしろ死んでよかったじゃないのなどと思うこともある。
しかし、なんでそんなくだらない理由で殺すの?と思う時、犯人は刑務所から出てまた生きていくのだということがたまらなく理不尽に思えてくるのだ。
梨田稔は、「事故多発型」の人生だった。
その挙げ句の最後には、石ころに蹴つまずいた程度の犯人のくだらない理由で殺されてしまう。
しかし、死後には、救いがあったのだろうか。
少なくとも報いはあったと信じたい。 -
Posted by ブクログ
まさしく傑作揃いというしかないホラーアンソロジーです。全部再読だけれどどれもこれも全部素敵すぎる一冊でした。
なんといっても綾辻行人「バースデー・プレゼント」が最強です。これは今まで読んだすべての作品でトップ1だと思っているし、そもそも私がホラーとミステリにどっぷりハマるきっかけになった一作なので、何度繰り返し読んでも飽きることがありません。おぞましく、美しく、そしてどこかしら穏やかで静謐な印象が強く残ります。
鈴木光司「浮遊する水」、三津田信三「集まった四人」は本当に怖くって、嫌。ホラーは怖くても楽しいと思えるものが多いのだけれど、こういう質の怖さは本当に嫌。なのだけれどもちろん大好きです。夜中にひっそり読めないというだけで……。 -
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文春文庫のアンソロは面白い!
前作の「神様の罠」が好きだったので今回も購入。
新川帆立「ヤツデの家」
初読みだったけど読みやすかった。アンソロの最初のとっかかりに最適。内容も好みで二回読んだ。
結城真一郎「大代行時代」
こちらもまた初読み作者だったけど面白かった。ありえそうな話だ。
こういう新入社員おるおる~。最後のオチもよかった。
米澤穂信「供米」
この話を読めただけで大収穫です。大好き米澤穂信。愛してる米澤穂信。
3ヶ月ぶりに本を読んだんだけど、2023年最後にこのお話を読めてよかった。やっぱ本読むの大好きだ。
最初読み始めたときは「うわっ苦手な歴史ものだ!」と若干引いたものの、あれよあれよと読み進められた。文章がうますぎる。途中まではどういう話なのよと不思議に思っていたけれど、最後の奥さんとの会話で鳥肌。ああああそういうことだったの!?慌てて読み直し。もう大好きすぎる……。見事でした。
あとはそんなに心に残りませんでした。
斜線堂有紀「妻貝朋希を誰も知らない」
なんとなく彼の正体がわかっていたので特に心に響かず。
てかこれを読んでなにを思うべきなのだろうか。
中山七里「ハングマン」
これなんかのスピンオフ?
そろそろ中山七里だからといって買うのはやめそうです。
有栖川有栖「ミステリ作家とその弟子」
ウサギとカメについての着眼点は面白かったし、なるほどと思った。
でも肝心のオチがわかりきっていたので、うーんって感じ。 -
購入済み
推理ものほぼ初読み
初心者なので密室がどうのと難しいことを言われてもまったくわかりませんが、読みながら推理をするという観点を抜きにしても、火村先生と有栖川さんのコンビが面白くて楽しく読めました。
昔、ドラマを少し観ましたけどすぐに止めてしまったので、こういう二人だったのだなと初めて知りました。
火村先生の口が悪くて驚きでした。と言っても愛ある口の悪さでしたから、そこも好きです。 -
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ネタバレ『絶叫城』以来の有栖川作品。作家アリスの長編。ひさしぶりに先生の作品を読んで、終始ワクワク感が半端なかった!好きすぎてなんて感想を書いていいかわからん…。あっ!犯人との対峙シーンは見所です(笑)。特にラスト、彼女の行動には終始ハラハラでした。いつ自分の頭の向けた引き金を引いてしまうのか、と——彼の代わりに。犯人の逃走後の意外な真犯人(?)の発覚にはワンフーへの同情が沸き起こりました…なんて可哀想な、ってね。その直後、火村の新たな事件への関与が語られるが、それはどの作品で読めるのだろうか……とにかくパーフェクトな作品でした!!星五つ。