有栖川有栖のレビュー一覧

  • 江神二郎の洞察

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    有栖が入学してからの1年で起きた出来事を時系列順に並べた短編集。

    実際に作品が書かれた順ではなく、時系列順にしているのが良い。

    作品内の時期的には長編1作目と2作目の間にあたる。

    内容としては長編のように実際に殺人事件に遭遇して解決すると言うよりは、日常の謎であったり、殺人事件だとしても安楽椅子探偵的に推理していく内容なので、読者への挑戦状など長編作品のような内容はあまり期待しないほうがよい。

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    2022年04月03日
  • スイス時計の謎

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    ネタバレ

    何度目かの再読。
    うっすら記憶のある中読んだ。概ね忘れてたけど。
    4作の短編・中編集。
    あとがきで作者の言う通り本格ミステリ揃い踏み。
    どの話も面白かった。
    ダイイングメッセージの「あるYの悲劇」、死体の首が消える「女彫刻家の首」、倒叙ものの「シャイロックの密室」、そしてゴリゴリのロジックで攻めてくる表題作。
    特に好きなのは次の2作。
    「あるYの悲劇」は途中でダイイングメッセージの意味は分かるんだけど、被害者の口走った言葉がわからず、終盤にアリスと一緒にびっくりすること請け合い。そしてそこかしこに伏線のような、話の要素が散りばめられてて面白い。

    そして表題作。
    1つずつ疑う要素を消して言って

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    2022年03月14日
  • 鍵の掛かった男

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    長年生活していたホテルで命を絶ったと見られる男性。
    物語は主人公の小説家「有栖川」が、この事件が自殺でないことを証明してほしい、と依頼を受けるところから始まる。

    ホテルという空間、登場人物のキャラクターなど魅力に溢れている。

    捜査を進めるにつれひっかかる部分はきちんと伏線回収されているので「よく出来た推理モノ」だと思うし、読んでいて純粋に楽しい。
    謎解き要素をきちんとメモして自分で推理するのも楽しいと思う。

    作中の有栖川が披露する小説論で、「苦くシニカルな結末をつけた小説というのはお涙頂戴に匹敵するほど書くのが容易で、それでいて作者が馬鹿に見えにくいという利点を持っている。」と語っている

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    2022年03月12日
  • 英国庭園の謎

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    とっても読みやすい短編集。
    全部面白かった!
    言葉遊びが巧みで、火村先生のようにはなかなか解けない。

    短編の登場人物達もそれぞれ個性があっていいなぁ。
    特に『ジャバウォッキー』は犯人が独特で強烈。
    『三つの日付』ではアリスの記憶力が羨ましかったけど、『完璧な遺書』ではお茶目な行動に笑った!
    愛されキャラでもっと好きになった。

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    2022年03月06日
  • 女王国の城 下

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    下巻最高でした。バイクの驀進もマリアの消化器もユーモアがあって笑えたし、ミステリー要素もしっかり練られていて、面白かった。こんなに気持ちよく読めるミステリーもあるんだなと。
    文章が読みやすいからしっかり掴めるのが切実にに有り難い。
    長編はこれでおしまいかと思うと5人が見れなくて寂しい。今後5作目は出るのでしょうか。。?

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    2022年02月20日
  • 猫はわかっている

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    ネタバレ

    猫にまつわる7編の短編。それぞれに猫の特徴をよく捉えている作品たち。

    阿部智里さんの『50万の猫と7センチ』は、タイトルからはどのような内容なのか全く想像できなかったが、一匹の茶トラとこの猫に関わりを持つようになった一家の物語は、これはもしかしてドキュメンタリーなのかと思えるほどにリアリティがあって、ほっこりしたりハラハラしたりして愉しめた。

    それにしても、「猫に九生あり」という諺は聞いたことがあったが、一生に一度だけ、人間の言葉を喋るとは知らなかった。そんな馬鹿なとは思えず、彼らならやりかねない!

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    2022年02月14日
  • 女王国の城 下

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    ネタバレ

    江神シリーズの最高傑作では!? と感激した本作。
    数々の名誉ある賞に選ばれるわけです。
    宗教団体の総本山に囚われの身となったアリスたちの脱出劇は前作を凌ぐほどのダイナミックさで冒険小説さながら。そして同時に多発する殺人の謎、何かを隠している人類協会の謎、とにかく謎だらけ。ピースがバラバラすぎて、これは繋がるのか?と疑問だらけでしたが、江神さんがほつれた糸を紐解くように全てが一つづつ繋がっていくのが本当に気持ちが良い。偶然弾丸が樽にあたっていなければ、解決は困難を極めていたのではないでしょうか。
    江神さん一人が淡々と真相を明かすのではなく、様々な議論が交わされるのが面白い。答えが提示され、そして

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    2022年02月08日
  • 鍵の掛かった男

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    面白かったー!分厚いのでむしろのんびり読み進めようと思ったけど止まらない。じっくりゆっくりのめり込める充実感のあるミステリーでした。登場する有栖川のキャラクターも好印象で、緊張感もあれば独り言のツッコミも面白くて。

    初、有栖川有栖で、ベテラン本格ミステリーの印象に躊躇していたけれど、読みやすかった。そして、火村英生シリーズとは知らなかったので、他のも読んでみたい。

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    2022年02月05日
  • 「火村英生」シリーズ【5冊 合本版】 『ダリの繭』『海のある奈良に死す』『朱色の研究』『暗い宿』『怪しい店』

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    豪華!

    火村先生のシリーズ大好きな私としては豪華すぎる本。
    有栖川有栖先生の文章は読みやすくてサクサク読めます。
    火村先生と有栖の掛け合いも面白くて好きです。

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    2022年02月04日
  • 江神二郎の洞察

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    若き学生時代の日常ミステリー、緻密な推理の凄さとフレッシュな仲間達が素敵すぎ! 学生アリス短編集、シリーズ第5弾。

    本シリーズの主人公である新大学生となった主人公が、様々な事件や変わった出来事に巻き込まれる短編物語集。主人公のアリスが推理小説研究会に入ってから、マリアが参入するまでの約一年間のストーリー。

    いやー、やっぱり学生アリスシリーズは最高っすね。また月光ゲームから読みなおしたくなりました。今はライト文芸と本格ミステリーを組み合わせた作品がたくさんありますが、起源はこのシリーズですよね。新本格第一世代の貢献ぶりったら、すさまじいと思いました。

    どの話もどっぷり本格ミステリーで面白す

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    2022年01月26日
  • ダリの繭

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    読み終わるのに10日ほどかかった。
    白状すると、最初の方は特に引き込まれないというか、ノってこないというか、とにかく寝落ちをしまくった。
    でも謎がどんどん深まり火村が「分かんねぇんだよな」と呟くところに同感し、二転三転する犯人像にこの話はきちんと解決するのかと不安になった。残り少なくなるページにやきもきしていたけど、とある真実から一気に急展開。うわあああ面白いとなって読み進めた後、十章の展開ととあるセリフに胸を撃ち抜かれお手上げ。
    有栖川有栖の作品は、警察に引き渡す前に犯人に真実を突きつけ、その後犯人が自白するのがお決まり。私はその独白のシーンで有栖川有栖にどっぷりはまったんだけど、これはもう

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    2022年01月21日
  • 乱鴉の島(新潮文庫)

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    ハラハラする

    私が読んだ中で、ここまでハラハラする作家アリスシリーズはないと思う。思わず最後の40%を一気に読んでしまった

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    2021年11月27日
  • カナダ金貨の謎

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    ネタバレ

    偶然、ミステリの分類について調べていたあとだったので、カナダ金貨の謎を読み始めてすぐに、
    おお、これがあの倒叙ものか!とわくわくした。
    ※たしか以前にもあったはずではあるが、もともと細かいことは気にしないタイプなので、その時はあまり調べていなかった。

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    2021年10月07日
  • カナダ金貨の謎

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    表題の中編は作者らしく合理的な理由づけでスッキリした解決。ただ、いわゆる倒叙ミステリ(犯人視点で語られ犯人がわかっている)なので、好まない人はご注意を。
    ある短編では火村&アリスコンビのファンには、長らく語られなかったあれがここで明かされるか!というところもあって面白いです。
    関西の県警所属のおなじみ刑事たちもそれぞれ登場して、長年のファンとしては元気そうで何より(?)という視点でも楽しめました

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    2021年08月15日
  • カナダ金貨の謎

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    火村とアリスの名コンビが活躍する国名シリーズ10作目。王道の本格推理から二人の出会いを描く掌編まで、バラエティー豊かな作品集です。

    ミステリの趣向としては表題作の「カナダ金貨の謎」が面白かった。
    ワトソン役であるアリスの視点と犯人側の視点と二つの視点で語られる、倒叙型ミステリの趣向も凝らされた一編。
    倒叙型ミステリは犯人の追い詰められていく視点が面白いけど、この「カナダ金貨の謎」はいきなり犯罪計画が狂ってしまった犯人の視点から始まるのが面白い。
    犯人が狂ってしまった計画を立て直そうと悪戦苦闘する様子と、火村がいかに犯人にたどり着くか。当初の犯罪計画とはどのようなものだったのか。読むポイントが

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    2021年08月29日
  • モロッコ水晶の謎

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    ネタバレ

     「臨床犯罪学者 火村英生の推理2019」をケーブルTVで録画した。視聴に先立って原作を読むべく「ABCキラー」収録の本書を借りる。
     お目当ての「ABC〜」、オマージュ先の「ABC殺人事件」を児童向けリライトで読んだきりなのだが、原典にひねりを加えて藍より青し。なお、死体の移動などチカラ仕事が要る場合、容疑者をそのように描写していることに気づく。「狩人の悪夢」でもその点フェアプレーだった。
     表題作「モロッコ水晶の謎」、一種の心理的トリックか? 横溝正史のアレでは、犯人の異常な潔癖さが犯行動機に繋がる。松本清張のアレでは、被害者が度を越した善人ゆえに殺される。それら先駆作品を思い出した。

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    2021年07月20日
  • 名探偵傑作短篇集 火村英生篇

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    学生の頃から友達に勧められていたが、ようやっと読めた初有栖川有栖作品。この作品にだけ当てはまることなのか、結構がっつりとしたミステリーを想像していたら、割とライトめなミステリー。話自体は面白くテンポもいいのでさくさくと一気に読めた。なんとなく有栖川先生の作品の風合いが分かったのでいろんな作品を読んでみたい。

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    2021年05月09日
  • 鍵の掛かった男

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    ネタバレ

    分厚すぎ!と思って読み始めたが、話が進むにつれおもしろくて一気に読んでしまった。見た目通り長いので、散りばめられた伏線は綺麗に回収するし、「鍵の掛かった男」の何重にも掛かった鍵も最後にカチッと回されて開かれる。とてもすっきり。
    なので、見た目に反してすぐ読んでしまった。

    今回は半分以上アリスの単独捜査で、真実に肉薄していくのがとても良い。いつもは奇想天外なトリックをぽんぽん言って火村にバカにされがちだけど、今回は違う。地味ーな捜査ながら、足を使って様々な人から少しずつ被害者の話を聞き出し、人物像を形作っていく。読者も同じ情報から、大体アリスと同じような結論に至るので読んでいてとてもわくわくし

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    2021年04月24日
  • 鍵の掛かった男

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    単行本版を既読。そういえば文庫版を買っていなかったな、というのと分厚い本が読みたいな、というので購入した。単行本を読んだのは5年近くまえ。細部を覚えていたりいなかったりしたが『鍵の掛かった男』の死の真相はまったく覚えておらず、初見のように読めた。そしてシリーズのファンならよく知るアリスの取り扱いが他作品とはひとあじ違うという点でも、本書は読みごたえがあるだろう。緊張感を程よく持続させながらぐんぐん読ませるので、700ページがあっという間であった。こんなアプローチをされるから、ミステリから離れられないのだ。

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    2021年03月23日
  • 自薦 THE どんでん返し

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    ミステリーを楽しみたい、という人にオススメかなと思います。
    どんでん返しと分かっていながらでも楽しめますよ。
    ただ有名な作者の作品が集まってるので、本格ミステリーが好きな人には既読の内容はいくつかあるかもしれません。
    個人的には法月綸太郎さんの作品がいい意味でも悪い意味でも印象的でした。

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    2021年01月12日