有栖川有栖のレビュー一覧
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購入済み
推理小説初心者でも読めた
作家アリスシリーズの1作目ということで購入。
これまで推理小説をさっぱり読んでこなかった人間なので、事件の真相や犯人を予想しながら読んだりはしませんでしたが普通に楽しめました。
トリックを理詰めで説明してくれるので私のようなド初心者でも分かりやすかったです。
また執筆されたのが大分前の作品のようですが、時代背景を反映した描写とかも(多分)ないのでそういった面でも読みやすかったかなと
語り手であるアリスの関西弁が会話に子気味よさを感じさせてていい味出してます -
Posted by ブクログ
ネタバレ「丸ごと新興宗教の街」(バチカン市国みたいな?)にそびえ立つ城に江神を救い出すつもりで乗り込んだアリスたち英都大学推理小説研究会のメンバーは、ミイラ取りがミイラになった状態。
謎を解かないと解放してもらえないゲーム?
ミステリのネタバレほど語ってはいけないものは無いので、多くは語れませんが・・・
(上)のレビューで、次に殺される人が分かったとか書いたのがお恥ずかし過ぎでした。
時事問題的に、新興宗教についてはあまり触れたくないのですが、この「人類協会」は宇宙人ペリパリの再臨を待ち焦がれる、というある意味SFサークル活動的なノリであると、何度も強調されている。
物語の設定は1990年で、その後に起きるサリン事件を引き起こしたような危険な教団では無いということの説明なのだろう。
殺人事件を警察に通報しない、アリスたち「ゲスト」を監禁して外に出さないなど、非常識な手段を取ってくるが、協会上層部の者たちや会務員の会話や感情表現は普通に人間的であり、なかなか謎が解けなくて焦れてくるところを、彼らと江神、アリスたちの丁々発止のやりとりが飽きさせない。
マリアの大立ち回りや、織田との逃避行、アクションシーンもあってサービス満点!
なんだかジブリ的なチーちゃんの存在も物語に彩りを添え、かつ重要なカギを握っている。
そして、十一年前の不思議な事件ももちろん絡んでいて、江神が皆を集めての謎解きが始まるのですが、名探偵が全て物語って終わり、というのではなく、集められた容疑者たちがそれぞれ考察し、意見を述べ、まるで捜査会議のようになっているので、『読者への挑戦状』で玉砕した読者(私です)も、段々と考察が進んでいくのだ。
犯人が誰、というところより、別の件で「やられたー!」と思った。
警察への通報を頑なに拒む理由というのは、少し考えれば分かることなのに、胡散臭い、何か企んでいるのでは?国家に対するテロとか?・・・とついそちらに目が向いてしまったために、全然気づかなかった。
宗教に「立ち入ってはいけない聖域」が存在する事で事件は複雑になり、また逆にトリックが成立する。
そして・・・江神さんが人類教会を訪れたことにはやはり隠された理由があった・・・
アリスとマリアの会話に出てくる「さびしさ」についての考察。
ストレートにこういう談義ができるのが、この時代の若者らしいと思う。
彼らの語る「さびしさ」に耳を傾けながら、目の前に浮かんでくるのは江神の横顔だ。
これは、学生アリスシリーズの長編5作を予定しているうちの4作目ということ。
あと一作、書かれるんですね?
待ち遠しすぎます。
必ず書いて下さい!なむなむ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ火村シリーズ、今回はアリスが頑張ってた。
ホテルで亡くなった男は自殺か、他殺か、そこから不明なため男性、梨田さんの生い立ちや、ホテルで過ごした5年など、様々なことを様々なひとから聞くうちに段々と謎の多い梨田さんの人物像がわかっていく。
そして段々と真実に近づいていく様子が、アリスと一緒にこちらも一緒に肉薄している気がして楽しめた。
梨田さんが孫を抱くことを楽しみにしていたのはこちらも目頭が熱くなった。
我が子は抱けなかったけど、孫が抱けるかもしれない、なんて、そんな楽しみで幸せなことはない。
それが叶わなかったのは悲しかった。
犯人の動機はなんとも自己中な気がするけど、人間は多面的な生き物だから。作中でも触れられてたけど、犯人だってその日いろいろな事情が重なって、どうしても快く目の前の老人に席を譲りたくなかったのかもしれない。その行動がまさか、結婚という幸せが手から滑り落ちる原因になるとは思わないだろう。
逆恨みだって言われるだろうけど本人としてはやるせ無いよなあ。
物凄く盛り上がりのある作品ではなかったけど、個人的はとても好きな一作。
火村先生のイケメン設定がなかなかしっくりこない笑 -
Posted by ブクログ
単なる「次に読みたい本が見つかるブックガイド」ではありません。
有栖川有栖さんの文庫本のラストに収録されている解説を集めた一冊。
ミステリ界のフロントランナー有栖川有栖が、ミステリだけにとどまらない豊富な読書体験と知識をもって、古典の名作から近年の注目作までを敬意と愛をこめて語ります。
ミステリ初心者は古典や名作の橋渡しになるはず。そして中級者以上なら新たな作品の発見や、一度読んだ作品でもまた違った読書のポイントを見つけたり、作品の素晴らしさを再発見できるでしょう。
現に自分は今まで名前しか知らなかったQEDシリーズや、建築探偵桜井恭介の事件簿に俄然興味が湧いてきました。シリーズの途中の作品に収録された解説にも関わらず、そのシリーズの魅力をたっぷりと伝えてくれます。
元々自分がミステリ好きなので、収録されている解説は思っていた以上に既読のものがありましたが、こうして一冊の本にまとめられ順々に読んでいくと違った味わいがあります。
先にも書いたように古典の名作から最近の注目作まで幅広く解説されているので、ミステリ史をこの一冊でたどっていったようにも感じられるのです。
江戸川乱歩の「明智小五郎もの」や松本清張『点と線』。クイーン『Xの悲劇』、クリスティー『オリエント急行の殺人』といった古典の名作。綾辻行人をはじめとした新本格ミステリ作家の作品。そして近年を代表するミステリ『屍人荘の殺人』
オールドスタイルから新たな怪物的ミステリの誕生までがこの一冊に収められている。そこに新本格のトップランナーとして走り続ける有栖川さんがときに熱く、ときに知的に、ときにユーモアを交え、作品を語ってくれるのだからミステリ史から見ても貴重な一冊なのではないかとも思えてしまう。
ミステリ以外の作品の解説も収録されています。エッセイやSF、ホラーまで幅広いので、新ジャンルの開拓にもなるかもしれません。
特に「鉄道探偵の冒険」は面白そうだった。小池滋さんという方の『「坊ちゃん」はなぜ市電の技術者になったのか』という本に収録された解説ですが、名作文学に鉄道という視点から考察を加えていった評論集だそう。
『鉄道と文学に留まらない豊かな学識、犀利な推理と洞察に満ちた一冊である。著者が鉄道や文学にそそぐ愛情は、それらを生んだ人間にも及んでいる。ふくよかなユーモアは、読む者を幸せにしてくれる。これ以上、望むことはない。』
軽やかで興味深い作品紹介のあとに、こうした文章がさらりと挟まれると、読みたい気持ちが増してしまう。
最初に書いたように有栖川さんの豊富な知識やミステリだけにとどまらない読書体験が、作品を重層的にとらえ直します。
そして作品に対し、作者に対し、ミステリというジャンルに対し真摯で真面目で優しい有栖川さんの視点と文章が、自分の中にそっと根を下ろしていく感覚を覚えます。
自分も本を紹介するときはこんな文章を書きたいと心の底から思いました。こうした文章を書けるのは単に知識や経験だけではなく、もっと深い有栖川さんの人間的な魅力もこの文章の中に息づいているからでしょう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ何度目かの再読。
うっすら記憶のある中読んだ。概ね忘れてたけど。
4作の短編・中編集。
あとがきで作者の言う通り本格ミステリ揃い踏み。
どの話も面白かった。
ダイイングメッセージの「あるYの悲劇」、死体の首が消える「女彫刻家の首」、倒叙ものの「シャイロックの密室」、そしてゴリゴリのロジックで攻めてくる表題作。
特に好きなのは次の2作。
「あるYの悲劇」は途中でダイイングメッセージの意味は分かるんだけど、被害者の口走った言葉がわからず、終盤にアリスと一緒にびっくりすること請け合い。そしてそこかしこに伏線のような、話の要素が散りばめられてて面白い。
そして表題作。
1つずつ疑う要素を消して言って、最後に残ったのが犯人、的な。考えたら辿り着けるかもと思ったけど、3回くらい犯人当て部分読み返してやっと理解した。
ミステリーの中でも超合理的な犯人でないと追い詰められないロジック。
だからこその舞台設定、そしてそこに付け加えられたアリスの過去話。不条理な出来事から逃避するために、合理的なロジックの世界で繭を作ったアリス少年。20年近く経ってもまだ傷が癒えないアリス。この話は、表は超合理的にロジックで犯人を攻め立てる火村の話で、裏は容疑者達と再会して不条理な出来事を未だ消化してないアリスの話のように感じた。
最後、ちょっと救われて良かった。
そして美少女騒動はきっと後ほど火村に問い詰められたのだと思う(笑) -
Posted by ブクログ
長年生活していたホテルで命を絶ったと見られる男性。
物語は主人公の小説家「有栖川」が、この事件が自殺でないことを証明してほしい、と依頼を受けるところから始まる。
ホテルという空間、登場人物のキャラクターなど魅力に溢れている。
捜査を進めるにつれひっかかる部分はきちんと伏線回収されているので「よく出来た推理モノ」だと思うし、読んでいて純粋に楽しい。
謎解き要素をきちんとメモして自分で推理するのも楽しいと思う。
作中の有栖川が披露する小説論で、「苦くシニカルな結末をつけた小説というのはお涙頂戴に匹敵するほど書くのが容易で、それでいて作者が馬鹿に見えにくいという利点を持っている。」と語っている。
本作はちゃんと有栖川さんの美学を実践している気がした。
つまり、きちんとオチがあって読み手に優しい。
オチのない物語が最近は多いけど、文学ぶらないミステリとして好感が持てる。