あらすじ
幻想を愛し、奇行で知られたシュールレアリスムの巨人―サルバドール・ダリ。宝飾デザインも手掛けたこの天才の心酔者で知られる宝石チェーン社長が神戸の別邸で殺された。現代の繭とも言うべきフロートカプセルの中で発見されたその死体は、彼のトレードマークであったダリ髭がない。そして他にも多くの不可解な点が……!? 事件解決に立ち上がった推理作家・有栖川有栖と犯罪社会学者・火村英生が難解なメッセージに挑む! ミステリー界の旗手が綴る究極のパズラー。
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Posted by ブクログ
やっぱり短編より長編の方が読み応えがある!
手がかりが少しずつ発見される過程が丁寧に描かれているので引き込まれる。
幾つもの要因が絡まりあう謎にはそれぞれの理由があり、無理なく説明がされていて良い。
最後はしんみりしちゃったけれども、きれいな終わり方だったなぁと思う。
アリスたちの掛け合いもコミカルで、ミステリも楽しかったので、本当に面白かった!
Posted by ブクログ
読み終わるのに10日ほどかかった。
白状すると、最初の方は特に引き込まれないというか、ノってこないというか、とにかく寝落ちをしまくった。
でも謎がどんどん深まり火村が「分かんねぇんだよな」と呟くところに同感し、二転三転する犯人像にこの話はきちんと解決するのかと不安になった。残り少なくなるページにやきもきしていたけど、とある真実から一気に急展開。うわあああ面白いとなって読み進めた後、十章の展開ととあるセリフに胸を撃ち抜かれお手上げ。
有栖川有栖の作品は、警察に引き渡す前に犯人に真実を突きつけ、その後犯人が自白するのがお決まり。私はその独白のシーンで有栖川有栖にどっぷりはまったんだけど、これはもうあまりにも美しい最後で、読んだ瞬間ああ……とため息が出ちゃったわ。
そのシーンを見ただけで私はこの作品を読んでよかったと思った。
Posted by ブクログ
社長の死に関係ないところで個々が抱えた秘密が積み重なって謎が複雑になってるところが、謎解きの難易度上げてて面白いなーと思った
以下、自分を推理間違い反省会。
フロートカプセルに死体を入れたのは、氷かお湯で死亡推定時刻を誤魔化すため?→そんなメフィスト賞じみたことではなかった
ヒゲを剃った理由、実は社長以外の誰かに見せかけるためでは?→半分正解だったのが惜しい
Posted by ブクログ
純粋に面白かった。
登場人物すべてに何が秘密にしたいことがあって、それがその人にとっての繭だったってことね。
人として全ての者が持っているであろう繭に、どこか危うさと歪さと安心感みたいなものを感じた。
火村とアリスが本当にくだけた友人である描写がリアルでリアルじゃなくて、オタク心をくすぐられる。
依存してるのかといわれると、どっちともとれない関係がよい。
Posted by ブクログ
鳥羽が出てくると聞いて、鳥羽旅行前に読みました。火村達が歩いた観光地の聖地巡礼が楽しかったです。ただ、話としてはとても物悲しくて、登場人物のその後が気になります。
Posted by ブクログ
1993年。火村さん。
大阪の宝石会社のワンマン社長が六甲山の別荘で殺された。フロートカプセルなる何かの入った水に浮かんでリラックスする高い機械があるのだが、その中で発見された。ダリ好きの社長はダリ髭をはやしていたが、なぜか剃られていた。死んでからカプセル内に移されたのは何故?いろんな物事がちぐはく。一本ずつ解きほぐしていくと、あーなるほどねー、となる。しかーし。そんな理由で殺すのかぁ、とはちょっと思う~。
Posted by ブクログ
有栖川有栖の長篇ミステリ作品『ダリの繭』を読みました。
有栖川有栖の作品は昨年3月に読んだ『英国庭園の謎』以来ですね。
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幻想を愛し、奇行で知られたシュール、リアリズムの巨人-サルバドール・ダリ。
宝飾デザインも手掛けた、この天才の心酔者で知られる宝石チェーン社長が神戸の別邸で殺された。
現代の繭とも言うべきフロートカプセルの中で発見されたその死体は、彼のトレードマークであったダリ髭がない。
そして他にも多くの不可解な点が…。
事件解決に立ち上った推理作家・有栖川有栖と犯罪社会学者・火村英生が難解なダイイングメッセージに挑む。
ミステリー界の旗手が綴る究極のパズラー。
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探偵役である臨床犯罪学者・火村英生と、ワトソン役の推理作家・有栖川有栖(アリス)のコンビが活躍する作家アリスシリーズの第2作……1993年(平成5年)に刊行された作品です。
■プロローグ
■第一章 死の繭
■第二章 カナリアと犯罪学者
■第三章 助教授の現場検証
■第四章 葬儀を終えて
■第五章 雑踏の猟犬
■第六章 最低の夜
■第七章 真珠の目の女神
■第八章 生者たちの繭
■第九章 鳥羽にて
■第十章 きらめくもの
■エピローグ
幻想を愛し、奇行で知られたシュールレアリズムの巨人サルバドール・ダリに心酔してやまない宝石チェーン社長・堂条秀一が神戸・六甲の別邸で殺された……現代の繭とも言うべきフロートカプセルの中で発見されたその死体は、彼のトレードマークであったダリ髭がない、、、
そして他にも多くの不可解な点が……事件解決に立ち上がった推理作家・有栖川有栖と犯罪社会学者・火村英生が辿り着いた意外な真実とは?! 都市を舞台に、そこに生きる様々な人間たちの思惑を巧みな筆致と見事な理論で解き明かした、有栖川ミステリの真髄。
アリバイ崩しに兇器に付いた指紋の謎、そして動機……トレードマークのダリ髭が剃られていたこと含め、伏線が全て回収される終盤の展開が愉しめましたね、、、
関係者の立場が逆転する、驚きの結末も良かった……作家アリスシリーズは面白いですねー 機会があれば、また読みたいですね。
Posted by ブクログ
作家アリスシリーズ2作目。
今回も、火村とアリスのコンビが謎を推理します。
有栖川さんの小説は、テンポがよく読みやすいです。
最後には全ての謎が解けてスッキリしました。
最後は少し泣いてしまった…
犯人はだれだだれだと話しが進み、ようやく犯人が明かされたときは少しだけ泣いてしまいました。
被害者?側の話はダリだとか繭だとかで重いので、火村先生のアリスさんに対する愛ある毒舌が話を陽の方に傾けている気がします。
Posted by ブクログ
タイトルで面白そうとは思わなかったけど読んでみたら面白くてビックリ。
ただ実際に出来るのかちょっと疑問な所はあった。
そしてカナリアが心配になってしまう。
人が皆繭を持ってるなら、私にとっての繭は何だろうと考える。
Posted by ブクログ
なんだかふしぎな話だった。
ミステリとしては、「えー」って思うようなところがそれなりの理由を持って説明されるので、わりとすっきりした感じで読めてよかったし、ダリと繭のイメージが印象的でそこがよかったな。
幻想とか妄想とか感覚とかの揺らぎとか現実との乖離とか、TRUMPシリーズの繭期のイメージもあってすごい不安定でもろい感じがしたんだよね。
Posted by ブクログ
前半はかなりのんびりした感じなので飽きずに中盤まで一気に読むのが良さそう。一度前半途中まで読んで飽きてたので...
まだ2作しか読んでいないのですが、有栖川作品、最後が物悲しいというか切ない感じが多いのでしょうか。
最後の描写好きでした。
Posted by ブクログ
何度読んでも悲しくなる。 その動機も、結末も、明かされる弟たちも恋人も、明かす火村もアリスも、何だか全てが悲しい。 ダリに魅せられ、でもダリにはなれなかった被害者。 繭のカプセルがどうしても怖い。 殺人が起きて、解決までの道のりに大小謎が多すぎるのも、色んな人が疑われて、関係ない秘密も暴露される。事件て色んな人を傷つける。解決して謎という面ではスッキリするのに、悲しさのせいでもやもやしたまま。 でも、きっとまた読むと思う。
Posted by ブクログ
火村&有栖シリーズ第2作(角川文庫1作目)。今回は状況からこの人が犯人だった人以外以内という結論を早めに出すことができた。そこから、動機や方法をある程度推測することができた。孤独な社長は可哀そうにも見えたが、計画を立てるのは完全な悪だし同情はできないし自業自得。また、犯人に関しては追い打ちをかけてしまったのはダメだが、仕方ない部分もあるとは思う。人間の感情の動きなどを読むのはとても楽しかった。
Posted by ブクログ
とても丁寧で、ある種の安心感を抱きながら読むことができ、最後には程よい驚きを味あわせてくれる。
"なぜ遺体にトレードマークの髭がないのか"
"いつもと違ってなぜフロートカプセルは50分に設定されていたのか"
などの奇妙な謎を残したまま、一つ一つ手がかりを提示していく。
それらの謎が綺麗に解かれる様も鮮やかだし、手がかりを基にした推測で犯人を指し示しながらも、最後には失言によってロジカルに犯人を特定しているところも好印象。
学生アリスシリーズとは少し雰囲気が違うが、このシリーズにも既にハマりかけている。
Posted by ブクログ
「超現実主義」者であるサルバドール・ダリに心酔していた宝石商の社長が殺害されたが…という話。
様々な人間が犯人なのじゃないかと匂わせながら、最終的にたどり着くのは殺人という非現実的な行為をした人物の解明。彼の「繭」の中において、殺人はとても現実的な行為であるのかもしれないけれど、周囲の人間から見たらやっぱり非現実的な行為に映ってしまう。
人が取り扱い、人が裁くものでありながら、その判断を下すための根拠が曖昧で脆すぎる。火村の言う通り、罪というのは人間が都合よく生きるために作り出した不完全な社会システムであり、非常に不確定なのかもしれない。
Posted by ブクログ
火村英生シリーズ第二弾
人間の嫉妬心は怖い。
現実にも似たような感情で殺してしまう事があるけれど、この作品内では計画性を持ってと言うのがまた…
誰かを殺してでも一緒になりたい人がいると言うのは素敵な事の様に思うけれど、それを実際に実行してしまうのはもはや愛情云々と言うより狂気に思える。
しかも最後に分かった事実が事実なだけに、なんとも物悲しい気持ちになりますね。
錯乱した現場、混乱した被害者・加害者・第三者の立場。前作よりさらに、人の内面にウェイトをおいた謎解きが面白い。秀一のフロートカプセル、優子のライトハウス、相馬の女装癖etc. 例え共感されずとも、その人にとって特別な繭というのはある。守られた世界、あるいは子宮内の楽園。それが動機となっているのが悲しく、冒頭を読み返すと一層哀れだ。
それにしてもアリスが小説を書くのも、意外に重い理由があるんだなぁ。知らないだけで皆いろんなものを背負ってるもんなと暗くなりかけたところで、絶妙に新婚ごっこをやる二人。いいコンビ。
時代に慣れれば面白く読めます
昭和後期~平成初期らへんの時代感覚です。
携帯電話がありません。ワープロ、ラジカセ、自作のカセットテープ、店探しはタウンページ、買い物はテレフォン・ショッピング。
オフィスの自席で喫煙、40代の登場人物の父親が第二次世界大戦に出兵経験あり、など。
また、作家アリスシリーズの最近の作品を先に読んだ人は、この本の火村先生に違和感を抱くかもしれません。女嫌い設定が前面に出て、煙草のマナーもちょっと…、あと警部や容疑者に横柄というか、それにセリフの語尾もちょくちょく変です。
でも長編本格推理小説としてとても面白いので、もろもろの違和感に目を瞑ってガッと読んでほしいです。
大きく分けて2部構成です。
前半は、容疑者の一人が「こりゃコイツが犯人だわ」と早々に決着しそうになり、その真偽に火村先生とアリスが立ち向かう流れ。
後半は、全ての容疑者に新事実が次々と発覚し「コイツこそ犯人だ」がひっきりなしに繰り返される流れ。
個人的には後半の方が楽しめました、テンポが良いです。
反対に前半の、被害者の死体を見つけるくだりは「話の流れで分かるよ、そん中に死体があるんだろ、ちゃっちゃと進めてくれ」と思いました。
この本のテーマは「繭」です。
己の心を護る繭。それを護るためなら偽証だってする。己の繭について警察に正直に話せばアリバイが成立する人ですら、繭のために「犯行時間帯は一人でした」と言う。
アリスや火村先生の繭にも言及します。アリスが火村先生の繭に踏み込めないのは最近の作品でも同様ですね。それだけ火村先生の過去や内面に深い何かがあるんだろうなと思います。
あらすじのとおり被害者からは特徴的な髭が消えているのですが、その理由、凶器に隠された新事実、この人物は冤罪なのか?事件に関わっているのか?、アラームは何故10分だけ普段より遅く鳴る設定に変えられていたのか、犯行現場と死体遺棄現場が異なる理由…、謎は山ほどあります。
火村先生がそのすべてに理由をつけ、最後には真犯人をズバリと当てるのが爽快です。
あとは女性ファンが驚いた(喜んだ?)セリフ、アリスと火村先生の「まるで新婚家庭」「新妻になったような」「新婚ごっこはもう終わりだぜ」などのセリフが出て来るのはこの本です。
Posted by ブクログ
大昔に楽しみに読んでたので
火村英生が気になっての再読なのに
探偵と助手の自語りめんどくせーと思ってしまう矛盾よ…
ちょっと長かったけど、推理は面白かったです。
スマホがない時代の感覚が懐かしかった。
Posted by ブクログ
サルバドール・ダリの心酔者が奇妙な状況で殺された事件の解決に駆り出された有栖川と火村先生。色恋絡みか?遺産争いか?と一緒に推理しながら読み進める過程は面白かったが、終盤の謎解きはわりとあっさりで物足りなさも。でも、あの奇妙な現場の状況が成立する過程は無理なく書かれていたと思う。有栖川と火村先生のコンビの安定感も魅力的。
Posted by ブクログ
一 優しく慈愛に満ちた人口の母の胸に抱かれながら、邪悪な殺人計画を練ったのだとしたら、彼にとって繭とは何だったのだろう?
数ヶ月前有栖川先生の火村英生シリーズの1作目「46番目の密室」を読み、すっかり大ファンになりました。
そこでシリーズを順番に読んでいこうと手に取ったのがこのシリーズ2作目「ダリの繭」です。
今回も前回と同様長編ものだったので少し読むのに時間がかかりました…
少しユニークな内容でもあり面白かったです。
やっぱり有栖川と火村のコンビは最高ですね!
3作目も楽しみです!
Posted by ブクログ
「自分にとっての繭はなんだろう?」と読んだ。
作家アリスシリーズは面白い!
やっぱり本格ミステリはいいな〜
正当防衛とは思わなかった!
トリックも良かったです!
Posted by ブクログ
作家アリスシリーズの二作目でした。
火村さんはカッコ良いですねぇ。惚れ惚れします。ストーリーは読み易く、トリックも中々のものでした。続きが楽しみです。
Posted by ブクログ
中盤くらいまであまり読み進まなかったけど、曝露が始まってから推理がどんどん進んだ。
火村さんシリーズも好きで、推理の行動範囲が広まるけど、やっぱ大人になるとどうやっても男女のもつれの類が入ってくる。学生アリスシリーズは青年達の奮闘が面白かったんだよなーと思いつつ、大人の推理を堪能。
Posted by ブクログ
事態が一転、二転、三転して読みながら翻弄された
犯人を特定する手がかりが出てきても、すんなり事件解決に向かうのではなくて、さらに謎が深まるのも面白い
でも、それがちゃんと糸口になっているんだから凄い
「安らかに眠りなさい」の一文が好き
Posted by ブクログ
フロートとか髭とか、犯人に何かそうせざるを得ないのっぴきならない理由があったのか?!とワクワクしてたけど、まぁそっか、そんな理由はやっぱないか笑(特に髭)
本筋とはあまり関係ないけど(いや見方によっては大アリだけど)、結婚相手を決めるのにインチキ臭い占い師を頼る人がそんなに魅力的かねぇとは思った
Posted by ブクログ
推理しながら読むのに楽しかったですね。凶器、アリバイ、血痕などなど要素がたくさんあって犯人誰か考えながら読むのに良いミステリーでした。
学生アリスのが好きですが、火村シリーズもまだまだたくさんあるので楽しみです。