有栖川有栖のレビュー一覧
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ネタバレ久しぶりに読みました、火村&アリスの長編作品。やはりこのコンビの掛け合いが良い……そしてシリーズが続くにつれ、二人の関係性の深みが増していく……。今作は臨床心理士と前世についての論戦を繰り広げるシーンで、二人がそれぞれを慮ってフォローし合う場面がグッと来ました。あとカレー食べたくなった(笑)
それと今作で驚いたのは、このシリーズのタイトルが、「火村が関わった事件にアリスが勝手に命名したもの」という設定だと判明したこと。そうだったのかアリス……ちょっと痛いぞアリス……(待)
事件そのものについては、トリックや犯人・動機を解明することよりも、真相へ迫るための各々のアプローチ方法がメインなのかな、という感じ。動機については読者によって賛否が分かれそうな気もしますが、私はアリ派です。
余談ですが、弾丸出張に出かけてしまう頑固一徹な野上さんの株が、今作で一気に上がりました(笑) -
Posted by ブクログ
ネタバレ若さをモチーフにした4篇のお話。
どの話も様々な年代における「若さ」について考えさせられた。
特に表題作は、老いに抗うようなアンチエイジングの第一人者が被害者の話。
その流れで若さを考え、アリスが自分を創作の世界へと掻き立てた青春時代の苦い思い出を火村に吐露する場面が好き。揶揄するでもなく、それは辛かったなって受け止める火村先生も好き。2人の関係性が出ててとても好き。
「探偵、青の時代」も大好き。ツンツンツンツンな火村青年が、疎外感を感じながらもちょっと申し訳なさそうに謎解きする感じがなんともいえないね!
最後の現在のアリスの謎解きも可愛い。「俺の方がわかってんのさ」的などや感?的な(笑)
私は2人に高校生の時に出会ったけど、いつのまにか2人の年齢に追いつき、追い越してしまって、ちょっと寂しかったのだけれども、それは恙無いことでよかったなと、後書き読んで思い直した。
火村先生とアリスとほぼ同年代の今読むのと、もっと若い時に読むのと、更に歳を重ねてから読むのではきっとこの本の感じ方は違う気がする。今読めて良かった。また歳を重ねてから若さへ思いを馳せるために読み直そう。 -
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#鍵の掛かった男
#有栖川有栖
人気の『火村英生シリーズ』
ホテルに長期宿泊していた、謎多き男の自殺案件をひょんな事から調査する事になった有栖と火村。
しかし火村は、しばらく調査に加わることができない。
まずは有栖のみで調査に乗り出すのだが…。
謎に包まれ、鍵が掛かったような男の謎を少しずつ有栖がほどいていく中、火村英男の推理が炸裂する。
男はやはり自殺なのか?
それとも他殺なのか?
最後まで一進一退の本格ミステリ。
#本格ミステリ
#火村英生シリーズ
#有栖がメインで動く
#終盤は二転三転
#人間ドラマ
#登場人物が少なくわかりやすい
#長編ですがさっくり読めます
#読書 -
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ネタバレ――
再読。
家にいる時間が長くなると、気付かなかったことにも気付くようになるもので。
多分近所から逃げ出したインコが家の裏で鳴いてたり、
いまとても綺麗にカッコウが鳴いてたり。
調布飛行場の空便は案外真上飛ぶんだなぁとか。
裏のお家は紫陽花育ててて、いい季節。紫陽花ってちゃんと育てると長生きするのねぇ。
そんなわけで短編集、『絶叫城』です。
有栖川作品の中でも結構好きで度々手に取るのだけれど、どれも非常にらしくて良いのです。
黒鳥邸は全体の、静かに謎に浸る感覚と真相のやりきれなさと。
壺中庵の密室トリックはいかにも有栖川、って感じ。
月宮殿はそのタイトルと、実際に登場してくる人物たちのギャップ。そこに有栖川さんの独特な視線を感じるところ。
雪華楼ではミステリの、有り得なさとの戦いが垣間見えるけれど、あとがきを読むとそれこそ事実は小説よりも奇なり。
紅雨荘は骨太な真相と、本筋とは関係ないところでアリスがロマンチストなのがにやり。
そして表題の絶叫城。これは実は短編集の筋からは外れているんだけれど、作家アリスの真髄なんじゃないかと思っている。導入から事件の様相、解決までの流れと、何より火村先生との関係性がよく出ている。その上で事件の真相を暴くときの、ひどくぞっとする闇の深さ。それに対面するアリスと火村先生の描かれかたは、他の作品すべてに通じている核みたいなものが明確で、とても読み応えがある。
レヴュ書いてなかったので改めて。
これもまた、気付かなかったことに気付いてる、ということなのかしら。
しかしいろいろ読むもの沢山あるんだけどなぁ…はふう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレここのところ作家アリスシリーズを集中的に読んだのは、ずっと積読してた本作品をいい加減何とかしたかったから。(←シリーズモノは刊行順に読みたいタイプ)
4編収録だけど、ひとつは超短いので中編3編って感じ。
「意図しない共犯モノ」でまとめたわけじゃないんだろうけど、どれもちょっと変わり種な感じで、楽しかったです。
「助教授の身代金」
元俳優の誘拐事件が殺人事件に発展するんだけど、被害者の死亡推定時刻は誘拐より前だった。
自分が殺したはずの人を誘拐したなんて電話を貰ったら、さぞかし怖いだろう。犯行現場を見られたと思うだろうか。録音された台詞がなければ、死んだと思った被害者は実は生きていたと思うんだろうけど。
「ABCキラー」
A町でA氏が、B町でB氏が射殺される。アルファベット順の殺害を仄めかす手紙が警察に届いて、C町でC氏が殺され、D町でD氏が殺される。
事件そのものが演出がかってて面白かった。絶叫城の事件に触れられたりして、サザエさん時間の作品世界に突如生まれた時系列に驚いたり。
殺人犯が2人、手紙書いたのはまた別人という事実が、結果を複雑にする。最初の2件の犯人(C氏)が殺されてることで動機を分からずじまいにしちゃうの、理屈はそうなんだけど、なんかズルい(笑)。そして手紙の筆者も明かされずじまいで、ズルい。
D氏のトリック(剥がした人工芝の上で殺害し、人工芝ごと運んでもとの庭に戻した)は、実行可能なんだろうか。
記者の因幡が手紙を出した張本人かと思ってたのに、有栖川さんのあとがき読むとそういうことでもないみたい。なんで登場したんだ?因幡氏。
「推理合戦」
超短編。火村と焼き鳥食べれるなんて朝井小夜子さんになりたい(笑)。
推理のからくりを知りたくてS***町まで出向くアリスが可愛かった。
「モロッコ水晶の謎」
火村お得意の理詰め推理。自分と彼女は将来結ばれると占われてるんだからここで死ぬ訳はない、って思考回路は、信仰の力と人間の勇気が炙り出されて怖い。でも全く物証がなくて犯人の自白に頼らざるを得ない事件は、いつもちょっとモヤモヤする。
行き詰まる推理をモロッコの迷路のような路地に喩えるのは良かったけど、水晶はモロッコ産じゃないし、タイトルがややこじつけ気味に感じた。
この作品の一番グッと来たところは、アリスのモノローグ「人は、親しくなった友人に打ち明け話をするのではない。このように、通りすがりの者に人生の重さを戯れに吐き出す。だから、私は火村から聞けない話があるのだろう」ですね。腐女子に刺さる名文です。このフレーズだけで名作認定です(笑)。
解説の「モロッコ水晶の謎」解釈は、美苗に責任転嫁しているという見解は慧眼だけど、弘俊が阿江を愛していたとするのは穿ち過ぎだと思う。この物語はどう頑張ってもそうは読み取れない。姉を愛していた、まではアリだと思うけど。 -
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ネタバレ大分このシリーズの虜になってるのでもう冷静な判断が下せないけど、本作品も楽しかった。
各話がバラエティに富んでいて退屈しなかった。解説ではその印象が見事に文章化されていて、解説ともども好き。
単に相性の問題かもしれないけど、有栖川さんの作品は自分にしっくり来る。考え方なんかが似てるのかも。
「切り裂きジャックを待ちながら」
本書の中では最も正統派ミステリっぽい。でも短編なので、殺人が起き、火村が登場し、事件が解決し、犯人がどうにかなる、というミステリのハイライトだけが無駄なく抽出されて仕上げられた感じを受けた。つまり手っ取り早く満足できる。
動機は確かにやや弱いか。でも作家アリスシリーズって大抵動機が弱い(笑)。
火村のカッコ良さも無駄なく抽出されてる話。
「わらう月」
容疑者の恋人(女性)視点の一人称、という変わり種の作品。オーストラリアにいたというアリバイ工作のために日本で撮影された写真のトリックに、警察と火村とアリスが迫る。彼女を質問攻めにするのが火村でなくアリスなのが新鮮だった。
写真のトリックには協力したけど容疑者が本当に殺人を犯したのかどうかは知らない、という彼女の立場はなかなか面白かった。
女性の一人称を書かせても全然違和感ない男性作家は、有栖川さんと北村さんが私の中の2大巨頭。
「暗号を撒く男」
ちゃんとは分からなかったけど、なんか星座臭いなとは思った。
朝井小夜子さんは久々の登場。作家同士ってこういう飲み付き合いあるのかな?
「赤い帽子」
アリス・火村と協力関係にある大阪府警捜査一課のアルマーニ森下視点で、ある事件の捜査風景を描写した話。アルマーニ以外は存在感の薄かった森下と仲良くなれた気がした(笑)。真面目なイイ子だった。
警察の社内誌で連載されたものらしく、警察の地道な仕事を丁寧に綴った話になってる。火村もアリスも最後まで出てこなかったけど、退屈せず読めた。
「悲劇的」
ある学生がレポートと称して提出してきた感情的な文章に、火村が彼なりの答えを書き加えて終わる、というこれもちょっと変わったごく短い話。もはやミステリ要素は皆無で、火村の冷酷な一面を味わえる、キャラ小説のボーナストラックみたい。
冒頭の、アリスと片桐の程良い距離感はいつも好ましく思う。旅行とかも一緒に行って割と親しいのに、友達関係とは一線を画した礼節を忘れないアリスの接し方に、アリスの性格が滲み出ている(見どころはそこじゃない)。
「ペルシャ猫の謎」
私はミステリにファンタジーが入り込んでくるのを嫌うタイプだけど、この話は割とすんなり読めた。おそらく、ドッペルゲンガーが犯行の主体じゃなかったことと、ドッペルゲンガー現象の原因が一酸化炭素中毒であることが仄めかし程度とはいえ合理的な説明として受け入れられたからだと思う。
「猫と雨と助教授と」
猫に優しい火村のエピソードに触れる(だけの)これもボーナストラック的な話。「悲劇的」の火村が冷徹ならこちらは優しさを垣間見られる。キャラ好きにとってはこういう何気ないエピソードだけのものが読めるのも単純に嬉しい。
猫はまんま実際有栖川さんが飼ってる猫がモデルのようで、このシリーズはホントに有栖川さんの日常が要所要所に織り交ぜられてるんだなーと思う。もはや火村が実在しないことの方がミステリだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ火村センセ、頭良くてイケメン(多分)で腕っぷし強くてクールでちょっと闇抱えてるの、ホントにどストライクです。
2年前の殺人事件の解決を教え子貴島朱美に依頼された火村、引き受けた矢先に、怪しい電話で新たな犯行現場に呼び出されて殺人の第一発見者になるという、犯人からの挑戦を受ける。殺されたのは朱美の伯父だった。果たして今回の殺人と2年前の殺人との関係性は? 更には6年前の放火事件との繋がりは? 火村(とアリス)は2年前の現場である周参見の宗像家別荘へと赴く。
みたいな。
作家アリスシリーズの長編は、角川文庫モノの方が総じて質が高いように思う。
本作品も、矢継ぎ早に事件が起きるわけではないから分かりやすく丁寧な作品ながら、何ヶ所か読みどころというべきクライマックスがあって、一気に読ませる。トリックと呼べるのは最初のマンションの階違いのところ(メイントリックに持って来ないあたりが憎い)で、これを解く火村がカッコイイ。2年前の殺人を含めた全体の真相は、むしろ犯人の心理的葛藤を中心に語られ、ちょっとした会話劇的な演出になってる。
火村の存在も引き金のひとつになったというアリスの考察と、「火村は朱美が磨いた六人部の拳銃だった」って表現は、言い得て妙だと思った。
良い意味で中庸で、隠れた名作かもしれない。
あと、アリスが割と活躍するのが新鮮(ただし推理以外で)。
早くも21頁目から火村とアリスはイチャイチャし始める(早い)。
口を開くと憎まれ口叩く火村センセだけど、能動的に泊まりに来るの、アリスのことめっちゃ好きだよね。信頼してるんだろうな。
毎度ながらこの二人の気の置けない関係性がすごくツボ。
現実世界ではこんな関係性の友人を持てる人って少ないからこその羨望なのだろう。
終盤に本作品は純愛譚の様相を見せ始める。
でも、犯人六人部の大野夕雨子殺しの動機は、実はイマイチ腑に落ちて来なかった(心が汚いから?)。
朱美への恋心を本人に伝えることなく想い続けることを良しとする若き青年のナイーブさは、過去の彼方に確かに在った自分の中の感情と重なって、遠くで共感する。
だけど、その心を搔き乱す(穢すと言い換えてもいい)存在の夕雨子が赦せなくて殺すなんて、掻き乱されてる自分を正当化してるだけで結局エゴでしかないじゃないか。
犯人を知ってから再読すると、六人部、最初からかなり挑戦的な態度で危ない橋を渡ってる。なかなかの役者である。
中村と夕雨子が付き合ってたって事実がいつの間にか登場人物間で自明になったのが、よく分からなかった。だとしたら中村が夕雨子が死んだ日に悲しみもせず夕陽に夢中でシャッター押してたのは怖い。
山内の殺害現場が有耶無耶なままだったのもモヤった。けど、まぁいいや。
アリスと有栖川さんを同一視しちゃいけないのは分かってるんだけど、有栖川さんって猥褻なモノ苦手そうだし、あんなピュアな学生シリーズが書けちゃうところとか、ちょっと潔癖なところがあると思う。その質を引き継いでる感のあるアリスが、自分と六人部が似てると感じるのは、なんか分かる。
火村に比べてアリスのキャラ設定が弱いと時々思うけど、多分に自己の投影なので、説明を飛ばしてるところありそう。
それにしても、アリスって何故こうも推理力がポンコツなんだろうか。
推理作家なんだよね?
しかも学生アリスシリーズの作者って設定だよね??
あんなにしっかりしたプロット書ける作家の推理がこんなのって、どゆことよ?
作家アリスシリーズは、最初に第一作を読んだにも拘らず、その後はあまり順序立てて読まなかったのを、今回も後悔した。
火村の悪夢、ここでカミングアウトされてんのか!
火村が殺したいほど憎んだ人、地獄に堕ちろと呪った人のことが、ほんの少し口端にのぼったのに、そこを糸口に深く追及しようとしないアリス、相変わらず優しい。
ファンとしては知りたいところだけどこのまま明かさないでいてほしいところでもあり、今回はこれでいいです(笑)。
このシリーズはアリス目線なので火村の心境はなかなか語られず、何故火村がアリスといちゃつくのか分からないんだけど、やっぱりアリスのバランス感覚と安定した情緒が火村を癒やすんだ、と自分の仮説の正しさを確信した。(妄想です) -
Posted by ブクログ
アガスティアの葉ー。
それはその人の来し方行く末がすべて記された賢者の葉。
前世を未来を知ることができるなら、あなたはそれを聞きたいですか?
火村&アリスのソウルメイトコンビが送る国名シリーズ第9弾(らしい)
インドって神秘の国というイメージが強い。
古代文明発祥の地で、ゼロを発明した国で、現代では証明できないナニカをたくさん持ってても不思議じゃない国って思っているので、輪廻転生とか言われてもなんとなく「そーなんかー、そうかもなー」と受け入れてしまう。(わたしだけか)
アリスは輪廻転生を「あるかもしれないこと」としながらも、とことん懐疑的につっこみ、火村は「信じない」といいながら柔軟に推理に取り入れたりして面白い。
火村もアリスもとっても紳士で、関係者に信頼されてステキ。
読んでみて、大筋の推理は当たり、犯人も当てたのだけれど、論理的に追い込めずスッキリしなかったんですが、最後まで読むと論理的な説明がなされていて、己のツメの甘さを知るという結果に。
面白かったです。