【感想・ネタバレ】朱色の研究のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2019年04月25日

どうしてさっさとレビューを書かなかったんだろうと思ったけれど、たしか長い感想を書き終わったあとすぐに消してしまってショックすぎてほったらかしにしてたんだった。
ミステリとしてもかなり好きな内容だった。ドラマの前に読み切ろうと頑張った記憶が。噂の新婚ごっこもあっさりしつつ面白かった。二人の掛け合いが絶...続きを読む妙。こんな親友ほしい。
生徒の秘密の告白から、事件は動き出し、二年前、五年前のふたつの事件がつながっていく。そこに隠された恋と呼ぶには幼いような感情が、それでも存在を否定されなかったことはアリスの存在が大きかったのかなぁ。
火星の話、素敵な未来だ。

0

Posted by ブクログ 2023年11月10日

火村英生シリーズ8作目。
動機が弱いという感想がよく出てくる作品ではありますが、
人間なんてどんな動機で何をしでかすか分からないので、いいんじゃないでしょうか。
今回は火村先生の内面に少し触れる部分もあり、読み進めると面白いものが出てきそうだなと思わされる回でした。

0

Posted by ブクログ 2023年08月18日

長編は本当外れがないなって思う。

過去と現在で起きた事件を追ううちにだんだんと分かってくる真相とは。

タイトルの通り夕焼けがちょくちょく出てくるので夕焼けが見たくなる。

ただ動機に賛否両論あるのかな…

0

Posted by ブクログ 2022年05月08日

初っ端から火村先生&アリスに挑戦状を叩きつけるような事件。
そんな始まりのわりに事件は地味だなぁと思っていたら、思ってたよりも大胆な犯人だった。
流石に過去の事件は解決するにも手がかりが…な状態から、突然の閃きと推理。
最後はあっという間に全ての事件を解き明かしちゃう火村先生、流石でした!

今回は...続きを読むアリスの推理小説に対する考え。
それに『海のある奈良の死す』での火村先生が見る悪夢の内容を知ることが出来たので、ミステリだけでなくキャラクターへの興味も満たせて良かった。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年03月27日

夕焼けを題材にしたストーリー。最新作もだけど、有栖川さんは夕焼け空が好きなのかな。
今回は、作中でアリスがミステリーを書く意味だとか、火村のフィールドワークの理由なんかが描写されてて、派手さはないんだけど満足度の高い一作だった。

この世には人間しかおらず、あの世は存在しないから、犯罪者は人間の手で...続きを読む裁かれるべきなんです。

この辺りの台詞が特に好き。

好きなひとがいるのに、他の女のひとの魅力に傾いてしまった自分が許せなくて他の女のひとを手にかけるって…動機の面は全く意味がわからなかったな…有栖川さんの作品は割と動機がよくわからない。たぶんこのひとの価値観が自分と違うんだろうな…

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年03月08日

派手さはないが、完成度が高い、とても有栖さんらしい作品。
車の陰という小さな手がかりから犯人を導く手腕もさすがだが、どちらかというと動機に重点が置かれているのだろうか。
想い続けている人がいる中で、他の女性を好きになってしまう。
朱色に染まった、なんとも物悲しい物語だ。
飛鳥部勝則さんの解説も面白か...続きを読むった。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年05月21日

死後に神の裁きが待っているのなら、人間が人間を裁くことは僭越であるばかりか、犯罪的に傲慢です。この世には人間しかおらず、あの世は存在しないから、犯罪者は人間の手で裁かれるべきなんです

by 火村英夫

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年03月11日

火村センセ、頭良くてイケメン(多分)で腕っぷし強くてクールでちょっと闇抱えてるの、ホントにどストライクです。

2年前の殺人事件の解決を教え子貴島朱美に依頼された火村、引き受けた矢先に、怪しい電話で新たな犯行現場に呼び出されて殺人の第一発見者になるという、犯人からの挑戦を受ける。殺されたのは朱美の伯...続きを読む父だった。果たして今回の殺人と2年前の殺人との関係性は? 更には6年前の放火事件との繋がりは? 火村(とアリス)は2年前の現場である周参見の宗像家別荘へと赴く。
みたいな。

作家アリスシリーズの長編は、角川文庫モノの方が総じて質が高いように思う。
本作品も、矢継ぎ早に事件が起きるわけではないから分かりやすく丁寧な作品ながら、何ヶ所か読みどころというべきクライマックスがあって、一気に読ませる。トリックと呼べるのは最初のマンションの階違いのところ(メイントリックに持って来ないあたりが憎い)で、これを解く火村がカッコイイ。2年前の殺人を含めた全体の真相は、むしろ犯人の心理的葛藤を中心に語られ、ちょっとした会話劇的な演出になってる。
火村の存在も引き金のひとつになったというアリスの考察と、「火村は朱美が磨いた六人部の拳銃だった」って表現は、言い得て妙だと思った。
良い意味で中庸で、隠れた名作かもしれない。
あと、アリスが割と活躍するのが新鮮(ただし推理以外で)。

早くも21頁目から火村とアリスはイチャイチャし始める(早い)。
口を開くと憎まれ口叩く火村センセだけど、能動的に泊まりに来るの、アリスのことめっちゃ好きだよね。信頼してるんだろうな。
毎度ながらこの二人の気の置けない関係性がすごくツボ。
現実世界ではこんな関係性の友人を持てる人って少ないからこその羨望なのだろう。

終盤に本作品は純愛譚の様相を見せ始める。
でも、犯人六人部の大野夕雨子殺しの動機は、実はイマイチ腑に落ちて来なかった(心が汚いから?)。
朱美への恋心を本人に伝えることなく想い続けることを良しとする若き青年のナイーブさは、過去の彼方に確かに在った自分の中の感情と重なって、遠くで共感する。
だけど、その心を搔き乱す(穢すと言い換えてもいい)存在の夕雨子が赦せなくて殺すなんて、掻き乱されてる自分を正当化してるだけで結局エゴでしかないじゃないか。

犯人を知ってから再読すると、六人部、最初からかなり挑戦的な態度で危ない橋を渡ってる。なかなかの役者である。
中村と夕雨子が付き合ってたって事実がいつの間にか登場人物間で自明になったのが、よく分からなかった。だとしたら中村が夕雨子が死んだ日に悲しみもせず夕陽に夢中でシャッター押してたのは怖い。
山内の殺害現場が有耶無耶なままだったのもモヤった。けど、まぁいいや。

アリスと有栖川さんを同一視しちゃいけないのは分かってるんだけど、有栖川さんって猥褻なモノ苦手そうだし、あんなピュアな学生シリーズが書けちゃうところとか、ちょっと潔癖なところがあると思う。その質を引き継いでる感のあるアリスが、自分と六人部が似てると感じるのは、なんか分かる。
火村に比べてアリスのキャラ設定が弱いと時々思うけど、多分に自己の投影なので、説明を飛ばしてるところありそう。

それにしても、アリスって何故こうも推理力がポンコツなんだろうか。
推理作家なんだよね?
しかも学生アリスシリーズの作者って設定だよね??
あんなにしっかりしたプロット書ける作家の推理がこんなのって、どゆことよ?

作家アリスシリーズは、最初に第一作を読んだにも拘らず、その後はあまり順序立てて読まなかったのを、今回も後悔した。
火村の悪夢、ここでカミングアウトされてんのか!
火村が殺したいほど憎んだ人、地獄に堕ちろと呪った人のことが、ほんの少し口端にのぼったのに、そこを糸口に深く追及しようとしないアリス、相変わらず優しい。
ファンとしては知りたいところだけどこのまま明かさないでいてほしいところでもあり、今回はこれでいいです(笑)。
このシリーズはアリス目線なので火村の心境はなかなか語られず、何故火村がアリスといちゃつくのか分からないんだけど、やっぱりアリスのバランス感覚と安定した情緒が火村を癒やすんだ、と自分の仮説の正しさを確信した。(妄想です)

0

Posted by ブクログ 2019年11月01日

再読。昔読んだ時は火村先生の悪夢の話ばかり印象に残っていて犯人の事はあんまり覚えていなかったのだけれど今読んでみると犯人の最後の言葉が切なくて苦しい。有栖川先生はいつ読んでも風景の描写が美しいよなぁ。

0

Posted by ブクログ 2019年06月12日

久しぶりの長編〈作家〉アリス。やっぱり面白いッ!今作で火村先生のあの“悪夢”の詳細が語られる—— 。読後感は「孤島パズル」に似た悲しみを感じましたね。

0

Posted by ブクログ 2019年06月08日

 ロジックも良かったし、アリスの推理小説論も面白かった。朱色とは夕日のことなのですが、冒頭の夕日の描写も印象的でした。

 でも、それをすべて持って行ってしまったのが犯人の動機。人ってそんな感情になることがあるのか…

 順を追って感想書いていきます。まずロジックについて。

 この話は前半、後半に...続きを読む分けられそうですね。

 准教授の火村が自身のゼミの学生から、過去の未解決事件の捜査を依頼されますが、その事件を本格的に追い始めるのは後半から。

 前半は火村とアリスが謎の電話に呼び出され、マンションの一室を訪れると、そこに他殺体があります。そして、その部屋に直前までいた容疑者が現れるのですが、その容疑者の話では部屋に死体は無かったらしく…。この謎が主題です。

 個人的には、過去の事件だけでがっつり長編にしてほしかった思いもあるのですが、この前半部もきちんと意味があり、それはそれでやっぱりよかったのかな、と思ったり。

 トリックについては、ちょっと悔しかった…。もうちょっとじっくり考えたら分かりそうだったんだけどなあ…。

 そして、後半部。いよいよ過去の事件へ。こちらはロジックがしっかりしてました。たった一つ条件が変わるだけで、ここまで推理が展開されるとは!

 続いてアリスの推理小説論について。アリスたちが火村のゼミの学生と過去の事件現場へ向かう電車内で、アリスは質問されます。

「なぜ推理小説は殺人事件を描くことが多いのか?」

 それに対しアリスはこう答えます。

『死者は、こちらがいくら問いかけても絶対に答えることがない。その不可能性が鍵のような気がします』

『問いかけても答えないと確信しているものに、答えてくれないと確信しながらなお問いかけるというのは、切ない行為だと思いませんか?』

 推理小説とは、世界や運命、過去になぜ? と問わずにはいられない人間の思いを引き受けたものなのかもしれない、と。

 推理小説をここまで昇華してみることができる作家さんって、有栖川さんをおいて他にいないような気がします。

 有栖川さんの描く推理小説やその探偵たちの魅力の秘密は、こうした有栖川さんの思いなんでしょうね。

 夕日の描写に限らずなのですが、有栖川さんの描写って何だか好きです。どこか推理小説ぽくないセンチな感じや、繊細な印象を受けるときがあります。この作品の夕日の描写もそうでした。

 きっと有栖川さんのどこかロマンチストなところが反映されているからだも思うのですが、これ本人に言ったらどう思われるでしょうか(笑)

 そして犯人の動機。個人的にはなかなか理解の難しいものだったのですが、犯人の最後の告白はなんだか身につまされる、切ないものでした。

 きちんとロジックや物的証拠を検証したわけではないのですが、個人的な意見だと、まだ犯人は言い逃れできそうな感じではあったんですよね。

 ではなぜ犯人は、罪を語ったのか。それは今まで決して表に出すことの無かった感情を告白できる、最初で最後の機会だったからだと思うのです。

 共感しがたいのに、なぜか犯人の切ない思いを想像してしまう、そんな不思議な結末でした。

0

Posted by ブクログ 2019年04月03日

犯人の動機・・・
人によっては意味不明だし、全くもって共感できないかもですけど、個人的にはすごく共感できるところがあって、思い出深い作品です
火星の青い夕焼け見てみたい!!( ・∀・)ノ

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年04月12日

“2年前の未解決殺人事件を、再調査してほしい。これが先生のゼミに入った本当の目的です”臨床犯罪学者・火村英生が、過去の体験から毒々しいオレンジ色を恐怖する教え子・貴島朱美から突然の依頼を受けたのは、一面を朱で染めた研究室の夕焼け時だったー。さっそく火村は友人で推理作家の有栖川有栖とともに当時の関係者...続きを読むから事情を聴取しようとするが、その矢先、火村宛に新たな殺人を示唆する様な電話が入った。2人はその関係者宅に急行すると、そこには予告通り新たなる死体が…?!現代のホームズ&ワトソンが解き明かす本格ミステリの金字塔。


ハードカバーの装丁がとても好きで、実家にあるはずと思っていたのに捨てられていて悲しい…

アリスが、「観光スポットで記念写真」を疑問に思う火村にぺらぺら解説するのが面白くて何度も読んだ。
最後に朱美に「青い夕焼け」のはなしをするのがとても好き。

動機は何それ?って意見が多いみたいですが、あまり疑問なく読んでしまった。

0

Posted by ブクログ 2021年01月18日

初版本で読んだ記憶があったが、最近見たら表紙が変わっていて面食らった
新装版はなんかサイケ…

2021再読。
「二十一世紀に待ち受けているウィルスの恐怖」
この頃はなんとも思わず読んでたなあ。

0

Posted by ブクログ 2019年01月07日

トリックや謎の解明はもちろん、人の心の不思議まで描かれており、ただの推理小説から一歩進んだ印象。

ただ正直、動機に関してはすぐに理解できるものではなかった。

夕焼けに関する伝承や風景やそれぞれの思い、作品内に散りばめられたオレンジ色のモチーフは印象的。真っ赤に染まる一瞬の時は確かに心を動かすもの...続きを読むである。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年11月22日

火村先生の生徒の夕焼け恐怖症。夕焼けっては悲しい気持ちになるな…けど始まりでもあるんだな なんだか切ない話。

0

Posted by ブクログ 2018年06月20日

火村英生×有栖川有栖シリーズ8作目です。2016年1月期にテレビドラマ化された際、6話と7話で放送されてます。ドラマよりも原作の方がやっぱり有栖川ワールドを堪能できますね。所々に散りばめられた、有栖の笑いを誘う一言がすごくいい。警察が捜査しても解かれなかった謎が、警察と同じ物しか見てないのにするする...続きを読むと謎を解いていく様はさすが火村先生。トリック云々ではなく、目の前に提示された事実をかみ砕いて真実に辿り着く。地味な感じですが、面白かったです。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年12月04日

火村のゼミ生、黄島朱美から持ち込まれた、二年前の未解決殺人事件の再調査依頼から始まる物語。夕焼けがテーマで、繰り返し描写されてたのが割と印象的かな。なんだか物悲しい物語で、それが夕焼けと相まって寂寥感を掻き立てるのかも。
アリスのところにかかってきた謎の電話から、二年前の殺人事件の関係者の一人が殺さ...続きを読むれている現場に踏み込んだ火村とアリス。容疑者に挙がったのは、やっぱり二年前の殺人事件の関係者だった、というところから再調査も兼ねて、関係者の話を聞く二人。どうも二年前の殺人事件と関係しているんじゃないか、さらには、それ以前に起こった、朱美の伯父が死んでしまった放火事件にもつながりがあるんじゃないか、と過去をひっくり返しながら物語は進んでいくんですが。

犯人は朱美に憧れを抱いていた人物で、その憧れが強すぎて二年前の殺人事件を起こしてしまい、その殺人の事実を知った人も殺してしまった、というオチなんですけど、狡猾でありながら、なんかこう純粋っていうか…それがいいというわけじゃないけど、そういうところもなんだか物悲しいなあ、って思ったのでした。
イカロスみたいなもんかね、などと思ったりして。

この話の萌えポイントとしてはー(突然のテンション変更w)、夜を徹して語り明かすこともあった二人、二年前の殺人現場検証ついでに恋人岬を回る二人、夜中に事件のことを語り合いながら酔っ払ってる先生、悪夢にうなされた朱美に自分の見る悪夢について語る先生とかですかね!
火村の見る悪夢は酷い方法で人を殺す夢で、手に血がべったりついている感触が残っていて、という話をしてから、悪夢のことを思い出したのか、アリスと朱美に気づかれないようにそっとシャツの裾でその手を拭いてたっていう描写がなんかもう、なんかもう!ですよ。あとそういえば、アリスは一番最初にその現場に居合わせた時は、火村に声をかけたんだな、って思ったのでした。それ以降は声もかけられないって相当なことですよね、あんなに打ち解けて見える二人なのに。打ち解けているからこそ踏み込めないのかもしれないですけどね。

全然関係ないけど、自分はこの物語の中でいうと朱美の従兄の正明に似てるかもしれない…とちょっと思ったのでした。無意識に無神経っていうか。それがある意味事件のきっかけにもなってたりして、ちょっと自分を省みたりしている…そういう話じゃないですけど…。

0

Posted by ブクログ 2023年08月11日

「有栖川有栖」の長篇ミステリ小説『朱色の研究』を読みました。
『虹果て村の秘密』、『孤島パズル』に続き「有栖川有栖」の作品です。

-----story-------------
過去のトラウマから毒々しいオレンジ色を恐怖する依頼者が推理作家「有栖川」と犯罪社会学者「火村」を訪れた

“2年前の未解...続きを読む決殺人事件を再調査してほしい”臨床犯罪学者「火村英生」が、過去のトラウマから毒々しいオレンジ色を恐怖する教え子「貴島朱美」から突然の依頼を受けたのは、一面を朱で染めた研究室の夕焼け時だった――。
さっそく「火村」は友人で推理作家の「有栖川有栖」とともに当時の関係者から事情を聴取しようとするが、その矢先、「火村」宛に新たな殺人を示唆する様な電話が入った……。
現代の「ホームズ」&「ワトソン」が解き明かす本格ミステリの金字塔。
-----------------------

探偵役である臨床犯罪学者「火村英生」と、「ワトソン」役の推理作家「有栖川有栖(アリス)」のコンビが活躍する作家「アリス」シリーズの長篇5作目にあたる作品… 名探偵「シャーロック・ホームズ」シリーズ第1弾『緋色の研究(原題: A Study in Scarlet)』を意識したタイトルのようですね。

 ■プロローグ――夕景
 ■第一章 幽霊マンション
 ■第二章 疑惑の男
 ■第三章 二つの灯
 ■第四章 枯木灘を望む家
 ■第五章 朱色の悪夢
 ■終章 遠い太陽
 ■エピローグ――落日
 ■あとがき
 ■文庫版あとがき
 ■解説 朱色の研究者たちあるいは『本格推理の悲しみ』について 飛鳥部勝則

臨床犯罪学者「火村英生」は教え子の「貴島朱美」から、2年前の未解決殺人事件について捜査依頼を受けた… 2年前の6月末、被害者である「大野夕雨子」は周参見の別荘近くの浜辺で、後頭部を鈍器で殴殺された状態で発見された、、、

被害者と恋人関係にあった「山内陽平」が疑われたが、物的証拠がない上に、アリバイが成立したことで迷宮入り… 遺体の背後にある高さ5メートルの崖から、大きな石が落とされていた点も捜査を難航させたという。

依頼を受けた「火村」は、当時の事件関係者に事情を聴取しに向かった… その足で友人である推理作家「有栖川有栖」を訪ねた「火村」、、、

翌朝、「アリス」の元へ不審な電話が入る… 「今すぐにオランジェ夕陽丘の806号室に行け、と火村先生に伝えてくれればいい。そうだ、あなたも一緒に行ってもらおう」、、、

そのマンションは前日、「火村」が事情聴取のために訪れた建物である… 訝しがりながらも指定された806号室へ向かった二人は、浴室で絞殺された男性の遺体を発見する。

被害者は2年前の「大野夕雨子」殺しの関係者「山内陽平」だった… 6年前の深夜の放火(殺人?)、2年前の「大野夕雨子」殺し、そして今回の「山内陽平」殺し、、、

3件の事件の真相を、「火村」と「アリス」は紐解いていく……。


それぞれの動機と犯人… 3件の事件がパズルのピースを嵌めるように繋がっていく終盤は一気読みでしたね、、、

事件に至る男女の思惑の微妙なズレは、現実世界でもありそうですね… 2年前の「大野夕雨子」殺しの殺害時間を特定する推理、「山内陽平」殺しのトリックよりも、その目的を明らかにする推理、これが冴えていましたね。

本シリーズは、「有栖川」と「火村」二人のコンビが、丁寧に事件を解決してくれるので、わかりやすくて愉しみやすいですね。

0

Posted by ブクログ 2023年03月16日

久しぶりの火村シリーズ。初期の作品で火村の犯罪者に対する想いが聞ける稀有な回でもある。肝心のストーリーは長編ならではの旅情性と2人の掛け合いが十分に楽しめて良かった。解説でも書かれていたように「どちらへ転んでもいいトリック」というのが秀逸で他にあまり例が浮かばない。だが、犯人の殺人の動機だけが解せな...続きを読むい。流石にそれで犯行には及ばないだろうと思えてならない。有栖川作品の初期に見られる物語全体を覆うセンチメンタルな雰囲気(今風ではエモい雰囲気)が何とも物悲しく、これぞ本格ミステリの王道とも言える。

0

Posted by ブクログ 2022年10月10日

犯人の動機に納得できない部分があった。犯人はある女性をほとんど宗教的情熱を持って信仰し、その情熱のままに殺人を犯す。まるで宗教者が悪魔や鬼と対峙したかのように。そしてその信仰は夕日とも重なる。また作中ではその犯人が「若きウェルテルの悩み」のウェルテルに重ねられるなどいささか文学的すぎる。世の中のほと...続きを読むんどの人間はウェルテルに共感はできても本当に実行はしない。
また動機が情緒的なのに対して、犯行が用意周到すぎる気がした。
ただ狂信的とも言える犯人の信仰と犯罪が夕日の切なさとかかってくる展開は良い。容疑者Xの献身を思い出した。あと動機なんて後付けだと言った探偵もいたな。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年10月08日

何を言っても変な感じになりそう。放火から繋がる一連の事件。アリスの珍推理が楽しい。たまに当たったり、火村が頷くとちょっと嬉しそうなのもよい。こんなに違和感なく居続けられる友だちって貴重よ。 事件は、始まりの放火で全てだった。そうかもなぁって思っていた人が犯人という、珍しいパターン。 珍しくといえば、...続きを読む事件の解決を依頼した学生が好きになれなかったな。男性が描く女性って難しい。逆もそうなのだと思うけど。火村シリーズの中ではライトな気がする。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年04月20日

めちゃくちゃ読むの時間かかった~。
夕日の真っ赤に燃える描写がとても鮮烈。
二段階構えの謎解き、面白かった…。
これドラマで見たことあったからエレベーターのトリックは覚えていたけど、
犯人とか別荘のトリックとかは全部忘れていたので新鮮に驚いた。
犯人の動機はよくわからないと思ったけど、納得している人...続きを読むもいて、そういう衝動に駆られることもあるのだなと新鮮に驚いた。
風景描写がとても好き。
「夕日」をこれでもかと出してくるのに、毎回違った表現で表してくるから脱帽。

0

Posted by ブクログ 2022年03月24日

一章から火村さんもアリスもずっと一緒。そんな始まりが好みだった。夕焼け、極楽浄土、風景、、火村さんとアリスの掛け合いがとても良かった。

0
ネタバレ購入済み

2021年01月16日

罪と罰の話が面白かった。全ての殺人者はこの世で裁いてやるのが慈悲というのと、あの世はないから犯罪者は人間の手で裁かれるべきというのは似てるようで違う気がする。裁かれる者と裁く者…いや罪人を許す者と許せない者の差か。越えてはならない境界線上を歩きながら、彼はずっと夢を見るのだろうか。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年11月19日

自作自演。
トリックは最初から犯人が言っていたのね。
最後のいいところはアリスが持っていきました。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年10月06日

派手な立ち回りも絶体絶命のピンチもないけれど、しっかり推理小説。火村と有栖の気心の知れたゆるい会話も魅力的。冒頭の恐ろしくも魅惑的な夕焼けと、ラストのどこか遠くあたたかい夕焼けが印象的だった。

前半のトリックがあまりに運頼みだなと思ったら、という結末。推理に必要な情報が、きちんと開示されてるあたり...続きを読むのフェアさがさすが。
犯人の動機についてはすんなり理解できた。自分の信念を脅かす誘惑はマーラということだよね。この感性はとても男性的だと感じる。途中、宗教的な話もあったけど、動機の背景としては少し軽い感じがしたな。

個人的に亜紀が結構好きなので、朱美とセットでも、また出てきてくれたら嬉しいな笑

0

Posted by ブクログ 2018年08月26日

“2年前の未解決事件を再調査してほしい。これが先生のゼミに入った本当の目的です”臨床犯罪学者、火村英夫が過去の体験から毒々しいオレンジ色を恐怖する教え子、貴島朱美から突然の依頼を受けたのは一面を朱で染めた研究室の夕焼け時だった。
さっそく火村は友人で推理作家の有栖川有栖とともに当時の関係者から事情を...続きを読む聴取しようとするが、その矢先、火村宛に新たな殺人を示唆するような電話がはいった。2人はその関係者宅に急行するとそこには予告通り新たなる死体が……。

夕焼けの美しさ、差し込まれる人生観、息苦しい動機。全体的に物悲しい作家アリス。先生してる火村せんせや悪夢について語る火村せんせが見られる。ただ ぼんやりしていたせいかもしれないけど、わりと事件自体は大雑把でなぜ一連の事件が2年前に明らかにならなかったのが不思議だった。

0

Posted by ブクログ 2016年12月06日

ドラマで放送していたので、読んでみた。
確かにホームズ、ワトソンのようなちょっと懐かしいミステリー。

0

Posted by ブクログ 2016年07月18日

2年前の事件の解決を依頼された矢先に
その一人が住んでいる場所にて、の死体。

夜中に電話が入ってくる時点で、なぜ? ですが
そこは言ってはいけない話。
いけば死体、そして容疑者。
2年前の事件だけかと思ったら、さらに掘り起こされる
前の事件。

現場にいかないと分からない事がある、といいますが
...続きを読むさに今回それ!
崖にしても表現で何を想像するかにしても
人間、自分の知識の基準で考えますから。

0

Posted by ブクログ 2019年05月29日

うーん、謎解きがあまりしっくりしなかったなー。
そこにたどり着くまではワクワクして読んでたかも。
夕景が脳裏に焼き付いて離れない。

0

「小説」ランキング