【感想・ネタバレ】朱色の研究のレビュー

あらすじ

“2年前の未解決殺人事件を再調査してほしい”臨床犯罪学者・火村英生が、過去のトラウマから毒々しいオレンジ色を恐怖する教え子・貴島朱美から突然の依頼を受けたのは、一面を朱で染めた研究室の夕焼け時だった――。さっそく火村は友人で推理作家の有栖川有栖とともに当時の関係者から事情を聴取しようとするが、その矢先、火村宛に新たな殺人を示唆する様な電話が入った……。現代のホームズ&ワトソンが解き明かす本格ミステリの金字塔。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「朱色」がさまざまなところでキーになった物悲しい事件だった。
火村の夢の内容を突然知ることになったアリスもちょっと寂しいよな……
「人は複雑さと単純さの混血児」がまさしく当てはまるような事件だった。犯人の心情を語るアリスがとてもよかった。
登場人物みなの心の奥底にある想いやトラウマが「朱色」によって照らされて外に出てきているようだった。

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2025年07月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

夕焼けを題材にしたストーリー。最新作もだけど、有栖川さんは夕焼け空が好きなのかな。
今回は、作中でアリスがミステリーを書く意味だとか、火村のフィールドワークの理由なんかが描写されてて、派手さはないんだけど満足度の高い一作だった。

この世には人間しかおらず、あの世は存在しないから、犯罪者は人間の手で裁かれるべきなんです。

この辺りの台詞が特に好き。

好きなひとがいるのに、他の女のひとの魅力に傾いてしまった自分が許せなくて他の女のひとを手にかけるって…動機の面は全く意味がわからなかったな…有栖川さんの作品は割と動機がよくわからない。たぶんこのひとの価値観が自分と違うんだろうな…

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2022年03月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

派手さはないが、完成度が高い、とても有栖さんらしい作品。
車の陰という小さな手がかりから犯人を導く手腕もさすがだが、どちらかというと動機に重点が置かれているのだろうか。
想い続けている人がいる中で、他の女性を好きになってしまう。
朱色に染まった、なんとも物悲しい物語だ。
飛鳥部勝則さんの解説も面白かった。

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2022年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

死後に神の裁きが待っているのなら、人間が人間を裁くことは僭越であるばかりか、犯罪的に傲慢です。この世には人間しかおらず、あの世は存在しないから、犯罪者は人間の手で裁かれるべきなんです

by 火村英夫

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2021年05月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

火村センセ、頭良くてイケメン(多分)で腕っぷし強くてクールでちょっと闇抱えてるの、ホントにどストライクです。

2年前の殺人事件の解決を教え子貴島朱美に依頼された火村、引き受けた矢先に、怪しい電話で新たな犯行現場に呼び出されて殺人の第一発見者になるという、犯人からの挑戦を受ける。殺されたのは朱美の伯父だった。果たして今回の殺人と2年前の殺人との関係性は? 更には6年前の放火事件との繋がりは? 火村(とアリス)は2年前の現場である周参見の宗像家別荘へと赴く。
みたいな。

作家アリスシリーズの長編は、角川文庫モノの方が総じて質が高いように思う。
本作品も、矢継ぎ早に事件が起きるわけではないから分かりやすく丁寧な作品ながら、何ヶ所か読みどころというべきクライマックスがあって、一気に読ませる。トリックと呼べるのは最初のマンションの階違いのところ(メイントリックに持って来ないあたりが憎い)で、これを解く火村がカッコイイ。2年前の殺人を含めた全体の真相は、むしろ犯人の心理的葛藤を中心に語られ、ちょっとした会話劇的な演出になってる。
火村の存在も引き金のひとつになったというアリスの考察と、「火村は朱美が磨いた六人部の拳銃だった」って表現は、言い得て妙だと思った。
良い意味で中庸で、隠れた名作かもしれない。
あと、アリスが割と活躍するのが新鮮(ただし推理以外で)。

早くも21頁目から火村とアリスはイチャイチャし始める(早い)。
口を開くと憎まれ口叩く火村センセだけど、能動的に泊まりに来るの、アリスのことめっちゃ好きだよね。信頼してるんだろうな。
毎度ながらこの二人の気の置けない関係性がすごくツボ。
現実世界ではこんな関係性の友人を持てる人って少ないからこその羨望なのだろう。

終盤に本作品は純愛譚の様相を見せ始める。
でも、犯人六人部の大野夕雨子殺しの動機は、実はイマイチ腑に落ちて来なかった(心が汚いから?)。
朱美への恋心を本人に伝えることなく想い続けることを良しとする若き青年のナイーブさは、過去の彼方に確かに在った自分の中の感情と重なって、遠くで共感する。
だけど、その心を搔き乱す(穢すと言い換えてもいい)存在の夕雨子が赦せなくて殺すなんて、掻き乱されてる自分を正当化してるだけで結局エゴでしかないじゃないか。

犯人を知ってから再読すると、六人部、最初からかなり挑戦的な態度で危ない橋を渡ってる。なかなかの役者である。
中村と夕雨子が付き合ってたって事実がいつの間にか登場人物間で自明になったのが、よく分からなかった。だとしたら中村が夕雨子が死んだ日に悲しみもせず夕陽に夢中でシャッター押してたのは怖い。
山内の殺害現場が有耶無耶なままだったのもモヤった。けど、まぁいいや。

アリスと有栖川さんを同一視しちゃいけないのは分かってるんだけど、有栖川さんって猥褻なモノ苦手そうだし、あんなピュアな学生シリーズが書けちゃうところとか、ちょっと潔癖なところがあると思う。その質を引き継いでる感のあるアリスが、自分と六人部が似てると感じるのは、なんか分かる。
火村に比べてアリスのキャラ設定が弱いと時々思うけど、多分に自己の投影なので、説明を飛ばしてるところありそう。

それにしても、アリスって何故こうも推理力がポンコツなんだろうか。
推理作家なんだよね?
しかも学生アリスシリーズの作者って設定だよね??
あんなにしっかりしたプロット書ける作家の推理がこんなのって、どゆことよ?

作家アリスシリーズは、最初に第一作を読んだにも拘らず、その後はあまり順序立てて読まなかったのを、今回も後悔した。
火村の悪夢、ここでカミングアウトされてんのか!
火村が殺したいほど憎んだ人、地獄に堕ちろと呪った人のことが、ほんの少し口端にのぼったのに、そこを糸口に深く追及しようとしないアリス、相変わらず優しい。
ファンとしては知りたいところだけどこのまま明かさないでいてほしいところでもあり、今回はこれでいいです(笑)。
このシリーズはアリス目線なので火村の心境はなかなか語られず、何故火村がアリスといちゃつくのか分からないんだけど、やっぱりアリスのバランス感覚と安定した情緒が火村を癒やすんだ、と自分の仮説の正しさを確信した。(妄想です)

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2021年03月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

“2年前の未解決殺人事件を、再調査してほしい。これが先生のゼミに入った本当の目的です”臨床犯罪学者・火村英生が、過去の体験から毒々しいオレンジ色を恐怖する教え子・貴島朱美から突然の依頼を受けたのは、一面を朱で染めた研究室の夕焼け時だったー。さっそく火村は友人で推理作家の有栖川有栖とともに当時の関係者から事情を聴取しようとするが、その矢先、火村宛に新たな殺人を示唆する様な電話が入った。2人はその関係者宅に急行すると、そこには予告通り新たなる死体が…?!現代のホームズ&ワトソンが解き明かす本格ミステリの金字塔。


ハードカバーの装丁がとても好きで、実家にあるはずと思っていたのに捨てられていて悲しい…

アリスが、「観光スポットで記念写真」を疑問に思う火村にぺらぺら解説するのが面白くて何度も読んだ。
最後に朱美に「青い夕焼け」のはなしをするのがとても好き。

動機は何それ?って意見が多いみたいですが、あまり疑問なく読んでしまった。

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2019年04月12日

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ネタバレ

火村先生の生徒の夕焼け恐怖症。夕焼けっては悲しい気持ちになるな…けど始まりでもあるんだな なんだか切ない話。

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2018年11月22日

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ネタバレ

何を言っても変な感じになりそう。放火から繋がる一連の事件。アリスの珍推理が楽しい。たまに当たったり、火村が頷くとちょっと嬉しそうなのもよい。こんなに違和感なく居続けられる友だちって貴重よ。 事件は、始まりの放火で全てだった。そうかもなぁって思っていた人が犯人という、珍しいパターン。 珍しくといえば、事件の解決を依頼した学生が好きになれなかったな。男性が描く女性って難しい。逆もそうなのだと思うけど。火村シリーズの中ではライトな気がする。

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2022年10月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

めちゃくちゃ読むの時間かかった~。
夕日の真っ赤に燃える描写がとても鮮烈。
二段階構えの謎解き、面白かった…。
これドラマで見たことあったからエレベーターのトリックは覚えていたけど、
犯人とか別荘のトリックとかは全部忘れていたので新鮮に驚いた。
犯人の動機はよくわからないと思ったけど、納得している人もいて、そういう衝動に駆られることもあるのだなと新鮮に驚いた。
風景描写がとても好き。
「夕日」をこれでもかと出してくるのに、毎回違った表現で表してくるから脱帽。

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2022年04月20日

ネタバレ 購入済み

罪と罰の話が面白かった。全ての殺人者はこの世で裁いてやるのが慈悲というのと、あの世はないから犯罪者は人間の手で裁かれるべきというのは似てるようで違う気がする。裁かれる者と裁く者…いや罪人を許す者と許せない者の差か。越えてはならない境界線上を歩きながら、彼はずっと夢を見るのだろうか。

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2021年01月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自作自演。
トリックは最初から犯人が言っていたのね。
最後のいいところはアリスが持っていきました。

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2020年11月19日

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