有栖川有栖のレビュー一覧

  • 絶叫城殺人事件

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    ネタバレ

    ――

     再読。

     家にいる時間が長くなると、気付かなかったことにも気付くようになるもので。
     多分近所から逃げ出したインコが家の裏で鳴いてたり、
     いまとても綺麗にカッコウが鳴いてたり。
     調布飛行場の空便は案外真上飛ぶんだなぁとか。
     裏のお家は紫陽花育ててて、いい季節。紫陽花ってちゃんと育てると長生きするのねぇ。

     そんなわけで短編集、『絶叫城』です。
     有栖川作品の中でも結構好きで度々手に取るのだけれど、どれも非常にらしくて良いのです。
     黒鳥邸は全体の、静かに謎に浸る感覚と真相のやりきれなさと。
     壺中庵の密室トリックはいかにも有栖川、って感じ。
     月宮殿はそのタイトルと、実際に

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    2021年06月02日
  • 朱色の研究

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    ネタバレ

    死後に神の裁きが待っているのなら、人間が人間を裁くことは僭越であるばかりか、犯罪的に傲慢です。この世には人間しかおらず、あの世は存在しないから、犯罪者は人間の手で裁かれるべきなんです

    by 火村英夫

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    2021年05月21日
  • モロッコ水晶の謎

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    ネタバレ

    ここのところ作家アリスシリーズを集中的に読んだのは、ずっと積読してた本作品をいい加減何とかしたかったから。(←シリーズモノは刊行順に読みたいタイプ)
    4編収録だけど、ひとつは超短いので中編3編って感じ。
    「意図しない共犯モノ」でまとめたわけじゃないんだろうけど、どれもちょっと変わり種な感じで、楽しかったです。

    「助教授の身代金」
    元俳優の誘拐事件が殺人事件に発展するんだけど、被害者の死亡推定時刻は誘拐より前だった。
    自分が殺したはずの人を誘拐したなんて電話を貰ったら、さぞかし怖いだろう。犯行現場を見られたと思うだろうか。録音された台詞がなければ、死んだと思った被害者は実は生きていたと思うんだ

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    2021年05月19日
  • 海のある奈良に死す

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    ネタバレ

    火村英生シリーズ第四弾

    (紙の本で読んでいるので)残り少なくなるページ数に対して、散りばめられた伏線をどうやって回収するのだろう?
    と気になりつつ、そんな事も伏線として張ってあったのか!と驚きもあると言うスピード感のある展開で、後半をほぼ一気に読み切りました。

    色々な注釈が数ページに渡って書かれてあり、朧気にしか知らなかった事等も知れたのは、知識が深まった様な気がして嬉しいですね。

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    2021年05月04日
  • ダリの繭

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    ネタバレ

    火村英生シリーズ第二弾

    人間の嫉妬心は怖い。
    現実にも似たような感情で殺してしまう事があるけれど、この作品内では計画性を持ってと言うのがまた…

    誰かを殺してでも一緒になりたい人がいると言うのは素敵な事の様に思うけれど、それを実際に実行してしまうのはもはや愛情云々と言うより狂気に思える。
    しかも最後に分かった事実が事実なだけに、なんとも物悲しい気持ちになりますね。

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    2021年04月14日
  • マレー鉄道の謎

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    久々、アリスと火村先生の長編!

    なぜかマレー鉄道、タイが舞台で、
    アリスが英語があまりできない設定なので、
    翻訳されていない部分があり、
    さらに事件が起きるまではダラダラと旅行記が続くで、
    最初はイライラするかも。

    最終的には、英語が堪能でないアリスが
    重要な役割を果たす場面があって、
    このためだったのか!と膝を打ちました。
    いやー、面白かったです。

    メインのトリックも好きでした。

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    2021年04月08日
  • ペルシャ猫の謎

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    大分このシリーズの虜になってるのでもう冷静な判断が下せないけど、本作品も楽しかった。
    各話がバラエティに富んでいて退屈しなかった。解説ではその印象が見事に文章化されていて、解説ともども好き。
    単に相性の問題かもしれないけど、有栖川さんの作品は自分にしっくり来る。考え方なんかが似てるのかも。


    「切り裂きジャックを待ちながら」
    本書の中では最も正統派ミステリっぽい。でも短編なので、殺人が起き、火村が登場し、事件が解決し、犯人がどうにかなる、というミステリのハイライトだけが無駄なく抽出されて仕上げられた感じを受けた。つまり手っ取り早く満足できる。
    動機は確かにやや弱いか。でも作家アリスシリーズっ

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    2021年04月09日
  • マレー鉄道の謎

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    ネタバレ

    面白かった!
    これまで読んできた作家アリスシリーズの中でもトップレベルだと素直に思う。
    夢中で読んだし、二回読んだ。
    賞獲ったのも納得。

    アリスと火村が大学時代に交友した留学生の経営するマレーシアのホテルに遊びに行く話。
    最初っからマレーシアで観光していて、作品を通して旅特有の夢心地な雰囲気が漂う。
    珍しく火村のもとに殺人がもたらされるまでが長い。でも最初から火村とアリスは蛍見ながらイチャイチャしているので、退屈しない。アリスがずっと訊けずにいた「お前は、何と戦ってるんや」なんてシリアスな質問を初っ端から発しちゃうあたりにも、旅行中の開放感を感じる。

    旅先での事件ゆえ警察に顔が利かないはず

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    2021年03月21日
  • 怪しい店

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    お店を題材にした火村英生シリーズの短編集。
    「潮騒理髪店」が少し変わってて、火村とアリスの日常が見えて楽しめた。
    謎解きでいうと、表題作の「怪しい店」が好き。読み返してやっと理解できた。

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    2021年03月15日
  • 朱色の研究

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    ネタバレ

    火村センセ、頭良くてイケメン(多分)で腕っぷし強くてクールでちょっと闇抱えてるの、ホントにどストライクです。

    2年前の殺人事件の解決を教え子貴島朱美に依頼された火村、引き受けた矢先に、怪しい電話で新たな犯行現場に呼び出されて殺人の第一発見者になるという、犯人からの挑戦を受ける。殺されたのは朱美の伯父だった。果たして今回の殺人と2年前の殺人との関係性は? 更には6年前の放火事件との繋がりは? 火村(とアリス)は2年前の現場である周参見の宗像家別荘へと赴く。
    みたいな。

    作家アリスシリーズの長編は、角川文庫モノの方が総じて質が高いように思う。
    本作品も、矢継ぎ早に事件が起きるわけではないから分

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    2021年03月11日
  • 7人の名探偵

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    どの作者名を見ても、ミステリ好きなら知らない者はいないと言ってよい作家ばかりで、その人たちの個性が感じられるアンソロジーなのである。
    7人の名探偵とは、とりもなおさず作者達自身のことであり、この名探偵達の生み出す世界にゆったりとひたるのがよい。
    とはいえ、一つ一つは決して長くないので、どんどん読み進めることができる。

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    2021年02月28日
  • インド倶楽部の謎

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    アガスティアの葉ー。
    それはその人の来し方行く末がすべて記された賢者の葉。
    前世を未来を知ることができるなら、あなたはそれを聞きたいですか?

    火村&アリスのソウルメイトコンビが送る国名シリーズ第9弾(らしい)
    インドって神秘の国というイメージが強い。
    古代文明発祥の地で、ゼロを発明した国で、現代では証明できないナニカをたくさん持ってても不思議じゃない国って思っているので、輪廻転生とか言われてもなんとなく「そーなんかー、そうかもなー」と受け入れてしまう。(わたしだけか)
    アリスは輪廻転生を「あるかもしれないこと」としながらも、とことん懐疑的につっこみ、火村は「信じない」といいながら柔軟に推理に

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    2021年02月28日
  • 狩人の悪夢

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    動機は無視して論理で推理し犯人を“狩る”男、火村英夫の事件簿。悪夢に囚われている男でもある火村もアリスのやりとりがとても良かった。
    あと最後のサプライズ!!マジか!!

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    2021年02月26日
  • 江神二郎の洞察

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    有栖川有栖といえば「学生アリス」と「作家アリス」のシリーズが二枚看板であり、互いが互いの小説を執筆しているというパラレル設定である(それにしたら学生アリスは多作すぎ作家アリスは寡作すぎるのだがそういうことを気にしてはいけない)。
    「学生アリス」シリーズ初の短編集である「江神二郎の洞察」はもうタイトルそのまんま、謎の大学生名探偵江神二郎が深い洞察を披露してくれる短編集である。
    連作短編ではなく、書かれた時期も相当バラバラだが、最初から通して読むと有栖川有栖くんがEMCに入部したところから始まり、1年を経て有馬麻里亜が入部するところで終わる。
    短編はきちんと独立して謎を提示して解決しているものの「

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    2021年02月02日
  • 絶叫城殺人事件

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    作家アリスシリーズ、短編集。基本的に短編は嫌いだが、これは全体的にどれも高評価で甲乙つけがたい…。良かった点は「黒鳥亭」のアリスと少女のやり取り。「月宮殿」のタイトルの意外性+幻想的な建築美。「雪華楼」の犯行?の意外性。表題作の「絶叫城」はドラマ化もされました。大分前に観ましたが犯人などの細かい点は忘れ、初読のように楽しめました!連続殺人のあの結末にはなんとも言えない悲しい気持ちになりました…。星四つ半。

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    2021年01月25日
  • 暗い宿

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    様々な「宿」で起こる事件に挑む短編集。各話が短くスピード感溢れるので、一気に読んでしまった。特に好きなのは2話目「ホテル・ラフレシア」で、明るい爽やかなリゾートホテルの雰囲気の中に漂う不気味さが印象に残る。

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    2021年01月22日
  • 月光ゲーム

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    それぞれが異なる犯人を思い描きつつ、なかなか判明しない真犯人と暗号の謎、事件にも影響しつつ皆を追いつめるクローズド・サークルなど、思った以上に読み応えあり。

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    2021年01月16日
  • ダリの繭

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    錯乱した現場、混乱した被害者・加害者・第三者の立場。前作よりさらに、人の内面にウェイトをおいた謎解きが面白い。秀一のフロートカプセル、優子のライトハウス、相馬の女装癖etc. 例え共感されずとも、その人にとって特別な繭というのはある。守られた世界、あるいは子宮内の楽園。それが動機となっているのが悲しく、冒頭を読み返すと一層哀れだ。
    それにしてもアリスが小説を書くのも、意外に重い理由があるんだなぁ。知らないだけで皆いろんなものを背負ってるもんなと暗くなりかけたところで、絶妙に新婚ごっこをやる二人。いいコンビ。

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    2021年01月16日
  • 火村英生に捧げる犯罪

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    いい感じの表紙に、このタイトル、そりゃ一体どんな犯人が出てくるのかとドキドキしちゃう。あとがきでも触れてあって思わず笑ってしまった。確かにママやら妻やらに捧げる犯罪だったら、犯罪者不在のいわゆる人が死なないミステリーっぽさがあるな。今度読んでみようかしらん。
    鸚鵡返しや殺風景な部屋とかも変わりネタだったけど、ネタより火村の安楽椅子探偵ぶりに驚嘆。今回は二人で出掛けていって謎解きっていうの少なかったけど、「くるか、アリス?」「付き合えということやな」から受けるコンビの安定感に和む。

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    2021年01月16日
  • 高原のフーダニット

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    オノコロ島はトリックがなかなか突飛だったけど、それよりも見所は相手の立場をいかに正しく見抜いて尋問するか、だな。
    表題作といい、火村の頭脳の冴えと、繊細な駆け引きの巧さに嘆息するばかり。それに、頑迷固陋だと思ってた野上さんの以外な一面も知ることができて、ちょっと好感が持てるようになったのもうれしい。
    ミステリ夢十夜は、ミステリかどうかはさておき、これは西宮神社かしらと思いつつ、福男をかけてめっちゃ頑張る火村の姿を想像して笑ってしまった。

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    2021年01月16日