今野敏のレビュー一覧
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今野敏『虎の道 龍の門 (下) 新装版』中公文庫。
二人の格闘家を主人公にした長編格闘小説の上巻。2006年に中公文庫から上中下巻の三分冊で刊行された同名作品を上下巻にまとめ、再刊。
納得のいく、感動の結末。非常に面白かった。南雲凱と麻生英治郎の正反対の二人が全力で激突したらどうなるのか。プロレスが勝つのか、それとも伝統派空手が勝つのか……
極貧の中、騙されてシベリアに渡り、過酷な肉体労働を課せられた南雲凱はあくまでも金のために闘いの舞台に上る。一方、恵まれた環境で育ち、空手道を極めようと本来の琉球空手の型の理解に努める麻生英治郎は迷いながらも着実に頂点へと近付いていく……そして、南雲凱 -
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今野敏『虎の道 龍の門 (上) 新装版』中公文庫。
二人の格闘家を主人公にした長編格闘小説の上巻。2006年に中公文庫から上中下巻の三分冊で刊行された同名作品を上下巻にまとめ、再刊。
格闘技ファンにはたまらないくらい面白い。この時代に総合格闘技の世界を描いた作品としては、もはや誰が主人公か解らぬままダラダラと未だに続いている夢枕獏の『餓狼伝』が有名だが、本作はきっちりと決着を付けたところに意味があるのだろう。
一攫千金を夢見ながら騙され、シベリアの極寒の地で過酷な肉体労働に明け暮れていた南雲凱は元プロレスラーの沼田伸之が主宰する新格闘技団体に入門する。一方、裕福な環境で伝統派の空手道場に -
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これは面白い!
明治の警視庁、日露戦争時の東京での連続殺人事件。
黒幕があれで、あの元新選組の斎藤一、藤田五郎も出てきた。この藤田さんの立ち位置が新選組ファンとして萌えたぎった。岩井巡査のセリフは私の気持ちそのものだったよ……!
鳥居さんもめっぽう小粋。寡黙な葦名さんもいい雰囲気。
藤田さんの佇まいと言動と、そして魅せてくれる剣戟シーン。この頃は御老体なので、グッと抑えた動きの描写がまた良かった。
現代の警察ではがんじがらめで、チームもこんな風には動けないだろう。もちろん警官として制約はあるけれど、心のままに動ける明治の彼らの自由度が読んでいてとても快い。
この作品、いいなあ。本当に好きだなぁ -
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シリーズ第2弾。前回よりさらに面白くなった。
倉島が随分成長していたのが頼もしかったし、何よりヴィクトルが研ぎ澄まされていく過程が格好いい。
外務省がかなり嫌な感じで描かれていたのが、ほんとかなあなどと思いながら知らないし、ほんとにこんなバカな方向の野心家がいるんだろか?とこのあたりは現実味はないかなぁという感じ。
まあそのへんはともかく、他の警察小説で公安は散々秘密主義とか一般人は知らなくてよい的な感じで事を進める暗くてイヤなイメージがあるけど、それはこういったことからなのだと改めて知らされたような気がしてしまった。
とにかく最後は一気読み。
とてもスッキリ清々しく読み終えました。 -
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久々にちゃんとした警察モノを読んだ気がする。
自分で残り4冊をまとめ買いしたSTシリーズのエピソード0。
まだSTチーム結成前の菊川さんが若かった頃のお話。なんとST結成の10年前とのこと。
このため、まだまだ科学捜査が活用しきれておらず、地道で泥臭い捜査を刑事さんたちがしっかりとやってくれる本格的警察小説だと思えた。
この事件をもとに三枝さんが科学捜査の必要性を強く意識していったのね。
のほほんとしたベテラン刑事と真面目で堅物っぽい若手刑事という王道の組み合わせ。でも、のちの菊川さんを思わせる融通が利かないというわけでもないところがよい。
また最後の最後、結局嫌な人が誰もいないというのが清々