あらすじ
※本作品は 2011年8月5日~2014年7月10日まで販売しておりました単行本版『化合』の文庫版となります。本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。
エリート検事の暴走vs.捜査現場の必死。STの原点がここにある!"捻じ曲げる"検事。心に叛旗を翻し刑事は孤独に戦う。現場は検察の暴走を止められるのか? エリート検事は殺人事件を異例の陣頭指揮と鑑識結果の強引な解釈で早期解決を強行する。疑念を抱く捜査一課の若手・菊川と所轄のベテラン・滝下は独断で動き始める。拘束された被疑者が"落ちる"までに二人は証拠を捜し出せるのか!?
感情タグBEST3
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STシリーズ、といってもSTが結成される以前のお話しということで「エピソード0」というタイトルが冠されたものになっています。
若かりし頃の菊川が捜査したとある殺人事件を軸にしたストーリー。STで描かれているより10年以上前の出来事であるため、STの端緒すら出てきませんが、捜査本部で菊川とコンビを組んだ所轄の滝下の仕事っぷりがなかなかいいんです。
適度に力を抜き、仕事をさぼり(つつアタマでは捜査のことを考えている)、でも勝負所では一気に畳みかけるかの如く集中して捜査をおこなう、それでいて、捜査の着眼点はいいところを突いているという、ちょっとクリエイティブっぽい雰囲気もあります。
本作は捜査本部を仕切る検事と彼の捜査方針に対立すべく、滝下・菊川コンビが有力な物証を得ようと地道な捜査活動を繰り広げるところが”肝”といえるでしょう。DNA鑑定に対する信頼度もまだ十分確立されていない時代であるからこそ、地道な捜査をおこなう以外手段がなく、それゆえ三枝がST設立という着想を得た、という構成になっています。
いつもの”面々”は登場しませんが、所轄のなんてことない刑事による地道な捜査を追いかけるという点では臨場感満点な作品と言えます。こういった世界観を楽しめる方にはオススメできる一冊だと思います。
Posted by ブクログ
駆け出し刑事の頃の菊川が冤罪を防ぐべく、真犯人に迫るSTシリーズの前日譚。バディ物として面白く、タイムリミットが設定されているため、ハラハラしながら読める。STと違って刑事物の王道ストーリーのため、文章も重厚。本件の教訓がST設立に繋がる。
Posted by ブクログ
久々にちゃんとした警察モノを読んだ気がする。
自分で残り4冊をまとめ買いしたSTシリーズのエピソード0。
まだSTチーム結成前の菊川さんが若かった頃のお話。なんとST結成の10年前とのこと。
このため、まだまだ科学捜査が活用しきれておらず、地道で泥臭い捜査を刑事さんたちがしっかりとやってくれる本格的警察小説だと思えた。
この事件をもとに三枝さんが科学捜査の必要性を強く意識していったのね。
のほほんとしたベテラン刑事と真面目で堅物っぽい若手刑事という王道の組み合わせ。でも、のちの菊川さんを思わせる融通が利かないというわけでもないところがよい。
また最後の最後、結局嫌な人が誰もいないというのが清々しくて良かった。
さて、あとはプロフェッションの一冊のみ。
名残惜しい気がするけど、早速読もうかな。
Posted by ブクログ
STシリーズでは味あるベテラン刑事で登場する菊川さんが活躍するのが面白い。
滝下さんも味があって素敵だし、刑事たちを束ねる課長たち3人、そして、上司の三枝さん、ラストで潔く非を認めた検事さんもそれぞれ一癖ふた癖味わいがあって、とても面白かった。
Posted by ブクログ
めちゃめちゃ面白くて一気に読んだ。
S Tのメンバーは出てこないけど 今まで読んだS Tシリーズの中でこれが1番面白かった。正確には これはS Tシリーズじゃないかもしれないけど。
もともとS Tを読んでて 菊川刑事が1番好きだったし。
滝下刑事 三枝刑事とのやりとりや捜査 検事との対立 そして殺人事件の真相 すべて面白かった。
自分の意見に固執する検事には本当イラっとしたし こわいと思った。その検事にある時はオトナの対応 ある時はハラをくくった対応。カッコいいし 真っ当。この辺りの対応はフツーの会社組織でも十分役に立ちそう。
見習わねば 笑。
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STシリーズを読んだ上でこのエピソード0を読むのがいい。まだSTと出会う前の、捜査官の菊川のお話。あの菊川も、最初はこうやって操作方法などを学んでいたんだなーとなんとなく微笑ましい。
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「化合 エピソード0」
STが出る前の話し!
検事の力ってものすごい威力を持ってるんだって初めて知った!
検事が有罪と決めれば裁判官も高い確率で有罪判決を出す。
判事に至っては研修で無罪に持っていく勉強をしないとか。
小説なんで盛ってるのかもしれないけどこれで冤罪になってる人って多いんだろうか?
ともあれ、話はとても面白くてSTシリーズでは一番面白かったかも!
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STメンバーは出てこなかった!
菊川さんの若かりし頃の話
警察の捜査方法とか、検事との関係性がわかって面白かった。
刑事事件99.9%の有罪率は恐ろしいと思った
科学捜査も何もないし、STメンバーは出てこないけど、面白かった。科学捜査の必要性を感じた。科学捜査が発展すれば、完全犯罪はないんだろうなって思った
滝下さんはすごく切れ者でかっこよかった。真正面からぶつかればいいもんではないんだなって学んだ。
菊川さんはやはりすてきだった。
Posted by ブクログ
STシリーズ序章。若き菊川刑事が主人公。深夜の殺人事件。暴走検事の見立てに必要な証拠集めを指示される捜査員。自分の考えに固執して客観性を欠いた検事に目をつけられたら犯罪者に仕立て上げられるのも簡単に行われてしまう。冤罪を阻止するため奔走する刑事達。これらの経験が元になって三枝刑事はSTを立ち上げることを決意するんですね。いつものメンバーがいなくてちょっと寂しかったけど楽しめました。
ST 化合
タイトルだけみると科学捜査の話かと思ったが、警察と検事の対立するような考えとか、検事主導の捜査の危うさや冤罪の怖さを知った気がしました。
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【あらすじ】
深夜の公園で発見された他殺体。
捜査一課の若手刑事である菊川は、所轄のベテラン滝下と組むことになり、事件を捜査することになるが、捜査本部の指揮を執るエリート検事が解決を急ぎ、冤罪を生み出そうとしていた。
拘束された被疑者が“落ちる=自白する”までに、菊川たちは確たる証拠に辿り着けるのか。
【感想】
今野敏さん、あまりにもシリーズをたくさんお持ちなので、どこから手をつけていいかと躊躇しているうちに、どハマりした父が先に読み終わった本を端から回してくれるようになりました。
このSTシリーズもまだ手付かずだったのですが、やはり今野さんの描く人物像には骨太で読み応えがありますね。
手元にSTシリーズも、安積班シリーズも何冊も積まれているのですが、まずはSTシリーズから読み進めて行こうかな、と思います。
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シリーズ第十二作。今回はSTメンバーは登場しない。ST誕生前の三枝と菊川の話で、シリーズのスピンオフである。エリート検事が悪役となる勧善懲悪的ストーリーで面白かった。
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ST結成の前日譚であり、菊川を主役にした外伝である。超人的能力を持つSTの娯楽性はなく、由緒正しい警察小説に仕上がっている。「日本の刑事裁判における有罪率は99.9%」これはTVドラマ『99.9』でのオープニングナレーションにもなっている。検察の暴走による冤罪事件を、本書は刑事達が阻止すべく奮闘する。三枝がまだ警部補、菊川は捜査一課配属1年程と初々しい。捜査本部で菊川と組んだ所轄の滝下が、その後の菊川に与えた影響はかなり大きかったんだな~、という設定にニヤリ。
ST結成10年前の物語。
百合根もSTメンバーも登場しない、菊川が主役のストーリー。
捜査一課に上がって1年、やる気満々で青臭い菊川がとても新鮮です。
所轄の滝下とコンビを組んでの捜査では、そのやり方に戸惑いや不安、不満を感じつつも、真相究明の為に突き進んでいく菊川。
その姿は、今の菊川にも十分通じるものがあります。
とは言うものの、10年後と言う歳月は菊川をすっかりふてぶてしいオジさんに変えてしまいました(笑)
現在とのギャップを楽しみたい方はぜひ読んでみて‼︎
もちろん、話の中身も重厚で読み応え十分、菊川を知らない人でも楽しめる一冊です。
Posted by ブクログ
警視庁科学特捜班 ST シリーズ。
エピソード0なので、ST発足前の話。
菊川や三枝の昔の話。
これはこれで、泥臭い刑事ドラマのようで面白く読めました。
ただ、検事のチカラってすごいんだなってこともわかり、恐ろしい気分にもなりました。
次回作が楽しみです。
Posted by ブクログ
STが出来るまでの前日譚。本編より私は楽しかった。特殊能力を持った人たちの活躍も楽しいけれど、基本、地道に自分の足や、積み上げた経験で詰めていくタイプが好きなんだと再認識。菊川さんが優秀な刑事なんだと知れて嬉しかったです。滝下さんも実は熱いし、三枝さんも素敵でした。烏山検事が余りにも頑なで、この人が真犯人なんじゃないの?と思うくらいの横暴っぷりでした。最後謝罪してちょっと良い人のポジションに上がってる雰囲気ありますが、ちょっと問題ありすぎる検事さん。STが必要だと思った三枝さんの気持ちがよく分かりました。
Posted by ブクログ
「ST 化合 エピソード0」つまり、警視庁科学特捜班が登場する前の話が描かれている。若かりし頃の捜査一課の菊川とベテランの滝川が活躍する話だ。最近の今野氏の作品では、捜査本部に検事や刑事調査官が登場する話は殆どないが、そういう意味では、この作品で登場するエリート検事や刑事調査官が捜査本部をかく乱するというのは少し変な気がしたが……
Posted by ブクログ
STが出来る前の菊川さんや三枝さんがメインの話。まだ科学捜査が証拠として正確性をそれほど持っていなかった頃、もっと科学が進化すれば、冤罪が防げると感じる三枝さん。菊川さんはまだ刑事としては若く、いちいち動揺する様がちらほら。STメンバーが出ていなくても、十分楽しめました。
Posted by ブクログ
STが設立される以前の物語である。
同時に、何故STが設立されたのか。その謎が物語の中に提示されている。
菊川は30歳半ば。まだ捜査一課にきて一年という駆け出し刑事だ。
三枝は同じ捜査一課の先輩刑事として登場している。
ある夜、普段の生活圏とかけ離れた場所でひとりの男が刺殺された。
目撃者の証言から、事件現場から走り去る黒っぽい上着の男が犯人として有力視される。
被害者には膨大な借金があり、返済の目処も立っていない。
性急に事件を解決しようとする鳥山検事。
集められた証拠の中から都合のいいものだけを取り出し、取調べを強行しようとする。
自白さえ取ってしまえば・・・そんな検事の思惑は現場の刑事たちを困惑させる。
菊川と組んだベテラン刑事・滝下のマイペースさに戸惑う菊川。
しかし次第に滝下が優秀な刑事だと気づいていく。
過去の出来事が影をさしているものの、滝下はけっして刑事としての本分は忘れてはいない。
検事た起訴した場合、ほとんどが裁判で有罪になるという現実。
刑事の良心と誇りをかけて、真実に迫る滝下たちの捜査が始まる。
いまどき自白にこだわるなんて、と思った。
だが、現実に起きていることを考えると笑ってもいられない。
法は確かに誰に対しても平等だろう。
けれど、その法を司る人間たちが平等とは限らないのだから。
誰もが納得する客観的で説得力のある証拠。
間違いを犯さないための、そして、捜査員も、検事も、判事も、誰もが納得する裏付け。
そのためにSTは設立された。
Posted by ブクログ
「バッドエンドだったのでこれからはSTが必要です」みたいな話なのかな、と思いながら読んでいたがそんなことなくて安心した。滝下が良い。検事が困ったちゃん。
Posted by ブクログ
公園で刺殺された男は
その周辺に生活圏のない男だった。
初動捜査で物取りの犯行と目されるが
捜査一課の若手刑事・菊川は
被害者が何のために
この場所に来たのかがひっかかる。
彼とペアを組んだ所轄の叩き上げ滝下は
はじめこそやる気のない捜査員に見えたが
捜査を強引に仕切るエリート検事に反発を覚え
菊川と共に真相を解明しようと…。
再開の1冊目は「若き日の」菊川物語。
ぶぶぶ。
駆け出しで熱血漢なんで
適当に手を抜いている所轄のデカさんに
イライラしまくっている姿がほほえましい。
科学的根拠が事件の決め手になり
「これからの捜査には科学も必要」と
思うところでエンディングなため
「エピソード0」になっていますが
シリーズキャラを知らなくても
刑事物として成立してます。
容疑者が自白を強要される前に
真犯人を見つけなくては…という
タイムトライアルっぽい面もあるし。
Posted by ブクログ
現場は検察の暴走を止められるのか?エリート検事は殺人事件を異例の陣頭指揮と鑑識結果の強引な解釈で早期解決を強行する。疑念を抱く捜査一課の若手・菊川と所轄のベテラン・滝下は独断で動き始める。拘束された被疑者が“落ちる”までに二人は証拠を捜し出せるのか!?「ST警視庁科学特捜班」シリーズ、序章。
Posted by ブクログ
若い頃の菊川さんが新鮮。STの序章という感じはあまりしなかったけど(ラストの三枝さんのセリフがとって付けた感じがした)、若い菊川さんと滝下さんのお話は楽しかった。
Posted by ブクログ
2016/4/26
菊川さん若かりし頃。
三枝さんも若い。
キャップもSTのメンバーもまだいない、ごく普通の刑事の物語。
とんでもない人はいないけどこれはこれで硬派で面白い。
Posted by ブクログ
STの前日譚。
菊川さん以外のメンバーが出てこないので、ちょっと残念だけど、先輩刑事の滝下がいい味。
検事と判事、そして警察の関係、あれが事実でないことを切に願う。
Posted by ブクログ
STができる要因となった菊川と三枝が絡んだ事件。ST発足の10年前であり、描写にところどころ時代を感じさせる。検事とのやり取り、菊川の相方のベテラン刑事滝下、またSTシリーズにずっと出てくるが謎の多い三枝も今回は結構出てきており、普段のSTメンバーとは異なる雰囲気で進行していくのがまた面白かった。
Posted by ブクログ
殺人事件解決を拙速に急ぐエリート検事。
本庁の菊川と所轄の滝川は、真犯人の追及を急ぐ。
STシリーズに登場する三枝と菊川、その若き頃を描き、
ST設立前のプロローグ的な内容。
三枝・菊川両名が何故STに協力的なのか?その背景が分かる。
ただ、シリーズの爽快さはなく、事件も至ってシンプル。
そして、メンバーも当然誰も登場せず、ファンにはやや物足りない。