今野敏のレビュー一覧
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購入済み
おじさんだけれど清潔で筋の通った主人公が、その実力と人格で自然に若手から慕われていく様子は読んでいて気持ち良く、カタルシスが感じられました。物語も破たんなく綺麗に落ちています。また楽しみなシリーズが増えました。
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ネタバレ事件自体に派手さはないのに、それぞれのキャラが立っていて、今回もやはり面白かった。
良いんだか悪いんだか、窃盗は再犯率が高いことからも、刑事と盗人の付き合いも長くなるからか。
それ故に、事件の犯人や前科者であってもどこか憎めず、人の温かみすら感じてしまう。
今回は捜査二課との捜査。前作のようは派手な張り合いはなく、一見周囲から理解されづらい若手警部補 舎人の能力と個性を次第に理解することで事件解決へと近づいていく。
今回は師弟関係の強さが描かれ、心が温まった。
特に、舎人が最後に柏井と2人で行動するようになった成長が印象的だった。本当は組織に溶け込めないことを気にしていて、それでも能力を生かして真っ直ぐに頑張る人だったんだな。 -
Posted by ブクログ
窃盗をテーマにどんなストーリーが繰り広げられるかと思ったら、とても面白かった。
何より、萩尾警部補の捜査一課に対する物言いに、胸のすく思いだった。情報源である元盗人や相棒である秋穂、自身の仕事に誇りに思い、立ち向かう姿が頼もしい。
一度気持ちに火がつくと歯止めがきかず、係長や捜査一課長すらも手を焼くほどだが、そこがまた良いキャラクターで、思わず「行け、やってやれ!」と感情移入してしまう。
碓氷シリーズや樋口シリーズも読んでおり、彼等の謙虚なキャラクターも好きだが、萩尾さんの勢いのある感じはまた新しく、面白い。
検察官の因幡さんも格好良かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズ第6弾にして心理調査官藤森紗英が再登場し、またも碓氷とのコンビで、同じ日付、同じ時刻に発生した殺人事件2件、自殺2件、そして強姦2件、盗撮1件、計7件の事件のつながりの解明に挑みます。
殺人事件で確保した被疑者の供述が要領を得ない様子があり、だったらあの心理調査官が出てくればいいのに、と思っていたところに登場したものですから、個人的にはすごく盛り上がりました。
タイトルの「マインド」、また7つの事件の裏になにかつながりがありそう、被疑者は犯行当時のことをよく覚えていない、となればマインドコントロール的なものが介在しているであろうことは、かなりの読者が気付いていたのではないかと思いますが、それでも容疑者の水沢とのやりとりはさながら高度な心理戦の様相を呈していて、次々とページを読み進めてしまいます。
そして黒幕である持田と藤森の対峙も非常に読み応えがありました。直接対面しているシーンよりもむしろ、持田の足取りや行動を読み解こうと藤森が推理力を駆使するシーンをこそ推します。果たして、藤森の読み通りの結果であるのかが知りたくて、またしてもページをめくる手が止まりません。
いわば”静”なる戦いというべきでしょうか、力や迫力を感じさせる”動”の展開とはまた違った魅力がありますね。
それにしてもシリーズが進むにつれて、碓氷による自身の内面を描写するシーンが増えましたね。また捜査一課の係長や課長など碓氷の周辺の人物の登場シーンも増えました。1作目ではちょっぴりアウトローなイメージがあった碓氷ですが、なかなかどうして組織、いやチームといったほうがしっくりくるでしょうか、そのなかで自身の居場所を確立し、周囲からもその実力を認められ、碓氷本人が思っている以上の存在感なのだと思います。
そして家庭でも、本人が思っている以上に家族は碓氷のことを父親として、夫として想っている、そんなことが伝わってくるラストシーンでした。 -
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今野敏『アンカー』集英社文庫。
『スクープ』シリーズ第4弾。今年2月に文庫化されていたのに見逃していた。
警察とマスコミの駆け引き、報道番組を巡るテレビ局内での軋轢といった状況の中を自由に泳ぎ回る布施のキャラが立っていて非常に面白い。物語のメインストーリーは10年前の未解決事件の犯人と真相が明らかになるのかということなのだが、マスコミの報道の在り方や未解決事件への警察の捜査体制、被害者家族など、現代社会の抱える問題にも深く触れている。
報道番組『ニュースイレブン』で数々のスクープを物にして来た記者の布施は、未解決の10年前に起きた大学生刺殺事件に関心を持ち、独自に取材を進める。警視庁はこの事件の継続捜査に新たに特命捜査対策室の黒田と谷口の2人の刑事を任命する。布施は、さっそく被害者の両親や黒田と谷口にアプローチするなど独特の嗅覚で謎の動きを見せる。こうした中、『ニュースイレブン』の視聴率低迷に関西の系列局から栃木という男がサブデスクとして送り込まれる……
本体価格740円
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Posted by ブクログ
ネタバレスクープシリーズ第三弾。ラスト50ページの展開はまさに急転直下、いや~堪能しました。
第一弾以来、久々に布施が殺人犯と行動を共にしているというちょっぴり(?)危険な状況におかれ、それを追う鳩村、黒田と谷口、しかも追いかけるみちすがら飛行機での移動となり、もっとも危険と思われる瞬間、機上の人であるため現地の様子がわからないという、読み手もじれったいと思わせられてしまう展開。
結局、最後は犯人確保、布施も無事だった、といういつものパターンではあるのですが、これまで布施が陥った窮地は必ず黒田が助け出す展開であっただけに、肝心の黒田が布施の側にいない状況で何事かが起こるのでは、と思わせる局面でした。
脇を固めるいつもの登場人物たちも、もやは”安定”の感があり、安心して読み進めることができました。事件そのものも、今回は政治家がらみ、しかも布施や黒田が追う事件の犯人は実は意外な人物だった、というちょっとしたどんでんがえしもあり、真相に迫るおもしろさも感じることができました。
そして、主人公である布施の、仕事をしていないようでしている、ライフワークバランスの対極ともいえる姿はある意味カッコイイと思わずにいられません。
シリーズ最新刊「アンカー」にも期待。