吉田修一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
吉田修一(1968年~)氏は、長崎市生まれ、法大経営学部卒の小説家。芥川龍之介賞(2002年/『パーク・ライフ』)のほか、山本周五郎賞、大佛次郎賞、柴田錬三郎賞等の文学賞を受賞している。
本書は、初出はANAの機内誌「翼の王国」への2007年4月号~2008年9月号の連載(短編小説12篇+エッセイ6篇)で、2008年に単行本で出版、2011年に文庫化された。尚、同連載は、2016年9月までのものが、本書、『空の冒険』、『作家と一日』、『泣きたくなるような青空』、『最後に手にしたいもの』の計5冊で書籍化(文庫化)されている。
私は、本書を含む3冊目までを2019年にまとめて購入し(4、5冊目は文 -
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ミスサンシャインという著者の新作へのインタビュー記事の「人はどんどん優しくなってきていると思う。」というコメントを読んで、なんだか好きな予感がして読んでみたらやはりとても面白くハマりました。
男性作家が書く女性像はなんとなく違和感を覚えるものが多いのだけど、この本に出てくる女性達の描写は細部までリアルで鼻白むところがなく、とても女性のことを理解している方なんだろうなあと著者の人としての深さを感じました。
自分の子供を宿したと思われる女性にふらふらと移ろっていく真守もまた「こんな人いそう」とリアルで、本気で始まった愛が乱暴に終わっていく様が悲しい。最後に救いがあったのも、人生悪いことばかりじゃな -
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「最後の息子」「破片」「Water」の三篇。
先日(と言っても昨年8月)に読んで良かった『春、バーニーズで』がこの本の後日譚だと知り手にしました。
勿論、吉田さんの方が先達ですが、最近嵌まっている桜木紫乃さんと同じ香りがします。片や長崎、片や釧路。場所は違うけれど、場末の夜の繁華街。背徳感のある愛憎劇。最後の短編「Water」なんて、水泳部で競い合う高校生の爽やかな青春物語なのだけど、そんな話でさえどこか夜の酒場や背徳の香りが漂うのですから。
「破片」は良く判らなかったけれど、ショートムービーを繋ぎ合わせるようにしてストーリーを紡いで行く(しかも今はやりのLGBTネタ)構成力。そして、こういう -
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ネタバレ同性愛者の閻魔ちゃんとの同棲を続けながら、同性愛者に向けられる偏見の眼差しを他者からも自己からも感じる「最後の息子」
幼い頃土石流で母を亡くした弟が、女性は自分がいなければ死んでしまうものという強迫観念から彼女を執拗に束縛してしまう「破片」
亡くなった兄の後を追うように高校の水泳部のキャプテンとなった凌雲が、仲間たちと大会に挑む青春小説「Water」
前二作は社会派でもあり重いところもあるが、「Water」は比較的爽やかで読みやすかった。くじ引きで水泳部の顧問になった大人の女性な黒木先生が、ジンを飲みながら練習を眺めてる場面が好き。惨めに見える先生に、どうしてあげたら良いか尋ねる凌雲に、そのま -
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あの『悪人』や『怒り』と同じ系統の群像劇を期待して読み始めたら何だか違う。現代を舞台にした3編はそれぞれにつながりがなく、最後の4編目で時代は2085年に。私の苦手なSFチックな話になっているという。
現代の3編でそれぞれの主人公やその周囲の人は、ちょっとした悪事や倫理・正義にもとる行動をとるかとらないかという狭間におかれる。「橋を渡る」ってどういう意味だろうかと思うけど、人間として越えちゃいけないものを暗示しているんだろうかと思いながら読んだ。
4編目の未来でそれまでの3編がつながるんだけど、かといってよかったとも悪かったともいえない読後感。いやいやどっちかというと「そして、冬」ってだけあっ -