吉田修一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
吉田さんの作品では『怒り』を読んだことがあり、
読みながら苦しくやるせない気持ちになった記憶。
でも、人間の奥の奥に隠された感情に迫る感じが懐かしくなり、今回『悪人』を読むことにしました。
誰が本当の悪人なのか、
それを白黒で決めつけることはできない。
誰しもの中に善も悪も混在していて、1人の人間が誰かにとっての悪でもあり、また別の誰かにとっては善だったりする。
本で描かれているのは極端な例だけど、
きっと日常の中でもこの構図は当たり前に存在するんだろうと思った。
祐一のおかした殺人は絶対にいけないこと。
それは揺るぎない事実で、私が佳乃の親だったら間違いなく祐一を120%悪(≒許せない) -
Posted by ブクログ
『ああ、俺、もしかしたらずっと逃げたかったのかも』
ヒリヒリした緊迫感の中で逃亡の果てにつぶやいた者の言葉だ。4つの短編のどれもが、ふとしたことがきっかけで逃げなければならなかった者たちの、明日は我が身の物語である。
どのお話も、つい先日 テレビのニュースで見たようなリアルな現実感がある。逃亡するだけの犯罪を犯したということよりも、ごくまっとうな人々が事件を起こし逃げるまでの過程がストンと腑に落ちて共感を呼ぶ。作者 吉田修一さんの、人間の心の動きを見つめる目が好きだ。優しい。
ふと、偉大な社会派推理作家、松本清張さんを思い出す。松本清張さんも犯罪の背景と、罪を犯した者の心理に共鳴を覚える描 -
Posted by ブクログ
NHKでドラマ化されたものを観たこともあり、原作である、こちらの本も読んでみました。
ストーリー全体としては若干強引さを感じたので「★★★☆☆」かも、と思ったのですが、部分部分での人間関係の描き方については、胸が熱くなったところが多かったこともあり、「★★★★☆」としました。
個人的には、「台湾新幹線を実現する上で、欧州連合と日本連合が折り合いをつけていく具体的な過程や技術的なところをもっと厚くしてほしい」と思いながら読んでいました。
が、おそらく、著者としては、ここ100年ぐらいの日本と台湾の関係を軸にした人間模様や台湾の人々や風景を描きたかったと思われるので、「この本のような内容にならざ -
Posted by ブクログ
籍も入れていないのに、子連れの女とともに過ごす大輔。さらには仕事をしないで引きこもっている光男。光男は毎日出かけずに熱帯魚の世話をする。大輔はボーナスで家族全員を連れて海外旅行へ行こうというが、だれもまともに取り合ってくれない…。
吉田修一の短編3編で、いつもどおりなにか起こるようで起こらないようなグズグズとした話である。しかし、とにかくあるかね全部使って何かを変えようとしたり、女子中学生に手を出したり、女にグリーンピースを投げつけたり、作りかけの酢豚を皿ごとゴミ箱に捨てたりと、突然爆発する。
どこかにあるようでどこかにない、掴みどころのない作風なのだが、なぜか日本映画のような妙な静けさと