吉田修一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「パーク・ライフ」を読んだ時に感じた、なんかいいな〜という感覚を確かめたくて読んだ。
前半はANAの機内誌に1年間連載された短編を集めたもの、後半は吉田修一さんのエッセイ集。
短編は、何か大きな出来事があるわけでもなく、様々な背景を持つ人物の日常の一片を描いている。
走馬灯どころかその日の日記にも出てこないであろうささやかな時間。
飛行機に乗りどこかに向かっている人に対して投げかける話として、「日常の祝福」をテーマにするのはかなり良いと思う。
視点を変えれば誰もが主人公になり得るというメッセージは機内で不安や期待や倦怠の中にいるひとにまっすぐ届いたことだろう。
それぞれの話に繋がりがあるわけではないが、なぜか脇役の名前や、家族構成や、仕事などが同じだったり、そうかと思えば少しだけ変えてあったりと、奇妙な交錯をする。
パラレルワールドの世界を神の視点から見ているようで、今まで味わったことのない体験だった。
吉田修一さんは格言めいたものをご自身ではたくさん持っているがそれを物語の中では言葉でスパッと言い切らないのがなんか、いいな…。 -
購入済み
台湾に行きたくなる
台湾ガイドブックとしても使えるとの評判どおり、台湾への愛と大切にしたいという気持ちが伝わってきます。序盤はNHKのプロジェクトXみたいな感じです。みんなで協力して一つのプロジェクトを成し遂げるというストーリーを気負わず読みたい方にオススメの作品です。
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Posted by ブクログ
吉田修一のエッセイ、ANAの機内誌で見かけた人は多いと思うが、定期的に旅するわけでもないので、これはありがたい。
作家の一日は、あまり多くは起きないようだけど、言葉をつかって人を感動させる仕事だから一般的な職業人と視点がすこし違うのかもしれない。
路、ルウを読んだときにも思ったが、台湾が好きみたいだ。本書にもいくつか登場する。安全だし、一人でブラブラしても大丈夫。誠品書店に出入りしたり、観光客とほぼ同じながら、その視点は鋭い。台湾独特の匂いや、そそられる美味しい食べ物、まあいいでしょ的な雰囲気、自分も滞在していてそうだよねと思うポイントがいくつもある。
ホテルの過ごし方も、素敵な場所、ラウンジの特徴を最後によい風が通っているという風に論じるところも、確かになと。よい流れが、そこにはあって、疲れを癒し、幸せを感じる人たちに優しい風が通り抜ける。沖縄のリッツ、京都星野や、ハワイのハイアットなど、記憶を辿り、やはり確からしいと思う。 -
Posted by ブクログ
『森は知っている』吉田修一著
1.購読動機
202005放送の『路』の番組がきっかけです。
実際の歴史出来事と人間のドラマを交錯させる見せ方に関心があったためです。
2.森は知っている から投げつけられたこと
「死にたいならばいつ死んでもいい。
今日死のうが、明日死のうがそんなに
違いはないだろう。
ならば、今日一日だけでいい。
ただ、一日を生きてみろ。」
強烈だった。
がつんときた。
3.本書
幼きころ肉親に捨てられた。
弟は目の前で餓死。
自身は孤児院で生き始める。
彼は、その後ある組織に拾われる。
名前を戸籍を変えて、別の人生を歩みはじめる。
そう、産業スパイだ。
時は水道事業の民営化。
韓国企業と日本企業の駆け引きが始まる。
そして、それぞれの国の産業スパイ。
組織のルール。
18歳で正式な構成員となるか?やめるか?
なるならば、肉体に爆弾をうめて奉仕をする。
拒否ならば、戸籍を無くして、名もなきひととして生きるだけ。
どちらも酷な運命である。
4.18歳の主人公と周りからの学び
組織への裏切りは罰せられること。
当たり前の顛末。
ひとは、何かに所属して、何かのさだめを与えられて、一日を生きていけること。
孤独であることが、どれほど耐えづらいものなのか?ということ。
#読書好きな人とつながりたい。
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Posted by ブクログ
おそらく再読なのだろうけど,ほとんど忘れていた.あらためて読み直してみたら,なんともまぁ吉田修一が初々しい.
「最後の息子」 芥川賞の候補になったんだっけ?まあ,そういう感じ.オカマの閻魔ちゃんを上っ面では小馬鹿に思いながらも,閻魔ちゃんに気に入られるように努力してヒモ暮らしをしている自分に嫌気がさしている自意識過剰な自分ってなに?ってことを考えているバイの青年の一人語り.彼がビデオの撮影に執着しているのは疎外感の現れか.たぶんこれが吉田修一の原点なんだろうな.
「破片」 幼い頃,自分たちの軽率な行いのせいで母親を失ってしまった過去を持つ兄弟.その原因となってしまった弟と,弟の手を離してしまいそれを防げなかった兄の話が,母親の葬儀の数週間後に親子で行った海での出来事を挟みながら,物語られる.弟は入れ込んだ女性を守ることに異常に執着し,その女性のためにへんてこな家を造っているのだが,それを異常とは考えない.
自信がなくて行動できていないだけで兄も実は同じ気持ちを持っているというのはいいのだけれど,最後に見つけた屋根の上に飾る物(ゴム・ボート)は何を表しているのだろうか?
それより,長崎ってあんな風なんだ.ちょっとびっくり.
「Water」 ああ青春小説だなーという感じの作品.水泳部のキャプテンをしている凌雲君の夏休みから大会までのお話.読後感がなんともいい.