吉田修一のレビュー一覧

  • 空の冒険

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    「パーク・ライフ」を読んだ時に感じた、なんかいいな〜という感覚を確かめたくて読んだ。
    前半はANAの機内誌に1年間連載された短編を集めたもの、後半は吉田修一さんのエッセイ集。

    短編は、何か大きな出来事があるわけでもなく、様々な背景を持つ人物の日常の一片を描いている。
    走馬灯どころかその日の日記にも出てこないであろうささやかな時間。

    飛行機に乗りどこかに向かっている人に対して投げかける話として、「日常の祝福」をテーマにするのはかなり良いと思う。
    視点を変えれば誰もが主人公になり得るというメッセージは機内で不安や期待や倦怠の中にいるひとにまっすぐ届いたことだろう。

    それぞれの話に繋がりがあるわけではないが、なぜか脇役の名前や、家族構成や、仕事などが同じだったり、そうかと思えば少しだけ変えてあったりと、奇妙な交錯をする。
    パラレルワールドの世界を神の視点から見ているようで、今まで味わったことのない体験だった。

    吉田修一さんは格言めいたものをご自身ではたくさん持っているがそれを物語の中では言葉でスパッと言い切らないのがなんか、いいな…。

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    2020年10月01日
  • あの空の下で

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    文庫本で10ページ程度、テーマとしては旅に関連するものといったところか。青の航空会社の機内誌に掲載された小説とエッセイ集はちょっと読んで旅先に想いを馳せるきっかけとなる。作者の小説は人間的に不思議な魅力があるものが多いが、短編小説の巧さが心地よい。

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    2020年09月28日
  • 初恋温泉

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    温泉に行く男女の物語5篇の短編集。実在の温泉旅館が舞台となっていて、臨場感がありとても楽しめた。特に最後の純情温泉は、甘酸っぱい感じがとてもよかった。

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    2020年09月19日
  • 日曜日たち

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    兄弟が幸せになってたので、後の話がどよよんとしててもOK。でも4話目の主人公はちょい共感できないわー

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    2020年09月11日
  • ウォーターゲーム

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    ネタバレ

    そういえば「太陽は動かない」を読んでいたな。
    あの時のイメージよりもずっと衝撃的。
    無駄のない、余裕さえある展開をこの少ないページ描き切る力。
    爆破はともかく、水をめぐる利権争いは現実問題としてリアル。
    このジャンル、極めてほしい。

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    2020年09月08日
  • あの空の下で

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    外国に今すぐ行きたくなった。ヨーロッパでもアジアでもアメリカでもいい。
    飛行機に今すぐ乗りたくなった。ANAでもJALでもエールフランスでもタイ航空でもいい。
    コロナのバカやろうーっ!

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    2020年07月12日
  • 路

    購入済み

    台湾に行きたくなる

    台湾ガイドブックとしても使えるとの評判どおり、台湾への愛と大切にしたいという気持ちが伝わってきます。序盤はNHKのプロジェクトXみたいな感じです。みんなで協力して一つのプロジェクトを成し遂げるというストーリーを気負わず読みたい方にオススメの作品です。

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    2020年06月26日
  • 作家と一日

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    吉田修一のエッセイ、ANAの機内誌で見かけた人は多いと思うが、定期的に旅するわけでもないので、これはありがたい。
    作家の一日は、あまり多くは起きないようだけど、言葉をつかって人を感動させる仕事だから一般的な職業人と視点がすこし違うのかもしれない。
    路、ルウを読んだときにも思ったが、台湾が好きみたいだ。本書にもいくつか登場する。安全だし、一人でブラブラしても大丈夫。誠品書店に出入りしたり、観光客とほぼ同じながら、その視点は鋭い。台湾独特の匂いや、そそられる美味しい食べ物、まあいいでしょ的な雰囲気、自分も滞在していてそうだよねと思うポイントがいくつもある。
    ホテルの過ごし方も、素敵な場所、ラウンジの特徴を最後によい風が通っているという風に論じるところも、確かになと。よい流れが、そこにはあって、疲れを癒し、幸せを感じる人たちに優しい風が通り抜ける。沖縄のリッツ、京都星野や、ハワイのハイアットなど、記憶を辿り、やはり確からしいと思う。

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    2020年06月13日
  • 森は知っている

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    『森は知っている』吉田修一著

    1.購読動機
    202005放送の『路』の番組がきっかけです。
    実際の歴史出来事と人間のドラマを交錯させる見せ方に関心があったためです。

    2.森は知っている から投げつけられたこと
    「死にたいならばいつ死んでもいい。
     今日死のうが、明日死のうがそんなに
     違いはないだろう。
     ならば、今日一日だけでいい。
     ただ、一日を生きてみろ。」

    強烈だった。
    がつんときた。

    3.本書
    幼きころ肉親に捨てられた。
    弟は目の前で餓死。
    自身は孤児院で生き始める。

    彼は、その後ある組織に拾われる。
    名前を戸籍を変えて、別の人生を歩みはじめる。
    そう、産業スパイだ。

    時は水道事業の民営化。
    韓国企業と日本企業の駆け引きが始まる。
    そして、それぞれの国の産業スパイ。

    組織のルール。
    18歳で正式な構成員となるか?やめるか?
    なるならば、肉体に爆弾をうめて奉仕をする。
    拒否ならば、戸籍を無くして、名もなきひととして生きるだけ。

    どちらも酷な運命である。

    4.18歳の主人公と周りからの学び
    組織への裏切りは罰せられること。
    当たり前の顛末。

    ひとは、何かに所属して、何かのさだめを与えられて、一日を生きていけること。
    孤独であることが、どれほど耐えづらいものなのか?ということ。

    #読書好きな人とつながりたい。

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    2020年06月11日
  • 日曜日たち

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    産後初めての小説だからなのか。
    兄弟の描写が、あまりにも切なかった。

    物語では、兄弟に関わる大人たちの
    背景は描かれているものの、
    兄弟についてや両親については
    多くは触れられていないのに、
    それぞれの登場人物と交わる兄弟の様子が
    強く印象に残った。

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    2020年05月30日
  • 森は知っている

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    身近な高校生らしさありつつ、ハリウッド映画のようなスパイ感ありつつ、深い闇もちらつきながら、光も見えながらの一冊。
    積ん読してたのを、映像化するって聞いて消化。思った以上に引き込まれ、本屋さんで続編も見つけてホクホク読み終わって気が付く。
    これが、、続編だ、、、
    前情報なしでフィーリングで本買っちゃうから、一冊目から読めないこと多い、、、、

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    2020年05月03日
  • あの空の下で

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    短篇(の中でもさらに短い方)なのに、ここまで「まだ終わらないでほしい」「続きが読みたい」と思うほど心の琴線に触れたのは初めての感覚でした。短い文章でもしっかりと細やかな描写を盛り込む、筆者の技術は他のプロの作家とも一線を画するすごい才能だと思いました。
    ヒット作「悪人」の重厚なイメージから入ったからか、このような作品を書く方だとは全く想像していませんでした。(だから飛行機に乗った時も読んでいませんでしたごめんなさい。次からは絶対読もう!)

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    2020年05月01日
  • 日曜日たち

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    話のつながりは弱いけど、それぞれの話は吉田修一らしさが出てて良かった。人間の弱いところを書くのが上手。

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    2020年04月05日
  • 最後の息子

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    おそらく再読なのだろうけど,ほとんど忘れていた.あらためて読み直してみたら,なんともまぁ吉田修一が初々しい.

    「最後の息子」 芥川賞の候補になったんだっけ?まあ,そういう感じ.オカマの閻魔ちゃんを上っ面では小馬鹿に思いながらも,閻魔ちゃんに気に入られるように努力してヒモ暮らしをしている自分に嫌気がさしている自意識過剰な自分ってなに?ってことを考えているバイの青年の一人語り.彼がビデオの撮影に執着しているのは疎外感の現れか.たぶんこれが吉田修一の原点なんだろうな.

    「破片」 幼い頃,自分たちの軽率な行いのせいで母親を失ってしまった過去を持つ兄弟.その原因となってしまった弟と,弟の手を離してしまいそれを防げなかった兄の話が,母親の葬儀の数週間後に親子で行った海での出来事を挟みながら,物語られる.弟は入れ込んだ女性を守ることに異常に執着し,その女性のためにへんてこな家を造っているのだが,それを異常とは考えない.
     自信がなくて行動できていないだけで兄も実は同じ気持ちを持っているというのはいいのだけれど,最後に見つけた屋根の上に飾る物(ゴム・ボート)は何を表しているのだろうか?
    それより,長崎ってあんな風なんだ.ちょっとびっくり.

    「Water」 ああ青春小説だなーという感じの作品.水泳部のキャプテンをしている凌雲君の夏休みから大会までのお話.読後感がなんともいい.

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    2020年03月25日
  • 初恋温泉

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    海外旅行よりも温泉派。温泉旅館の独特な雰囲気と非日常感、そして何より心と身体の底からリラックスできるあの感覚が身体にありありと蘇ってくるような素敵な短編集でした。特に最後の、高校生カップルのお話が甘酸っぱくて懐かしくて、素敵でした。

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    2020年03月20日
  • 東京湾景(新潮文庫)

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    吉田修一の初期の代表作をまだ読んでいなかったので、あらためて読む。

    本作は男女のヒリヒリするような感情描写が素晴らしい。東京湾の光と影とも言えるお台場と品川埠頭をコントラストとしながら、本来交わるはずがない男女の、心の深い部分をお互い貪るようなそんな恋愛描写に心が動かされる。

    後日談とも言える短編が書き下ろしで新たに書き加えられたのも、例え時代が令和の現代に変わっても、男女の気落ちが思わず溢れ出すような感情の交信は不変なんだと思わせて貰えて、余韻を楽しめた。

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    2020年03月04日
  • 森は知っている

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    シリーズ第2段。今回は前作の主人公「鷹野」の学生時代の話。前回は「スパイ」感が強かったけど、今回は「アクション」感が強かった一冊。鷹野の生い立ちやAN通信のバックボーンなどなど補完的な意味合いが強いのかな。まぁ面白かったから良いや、満足。しかし、著者の本は裏のあらすじだとそんなに惹かれないのに、読んでみるとずっぽりはまるの本多いな。

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    2020年03月01日
  • アンジュと頭獅王

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    そういえばこんな話だったな。古典に出てくる悪人はほんとに悪人で心底嫌な感じ。古文読んでる感じで面白かったです。

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    2020年02月19日
  • 女たちは二度遊ぶ

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    ネタバレ

    男が持つ恋愛の記憶と女が持つ恋愛の記憶って、まったく違うんだろうなあ。男はどちらかというと、いつまでも引きずっていたりしがみついていたりする。それはどれほどどうしようもない恋愛でも、だ。
    吉田修一は切り取りがやはり上手い。いろいろな(どうしようもない)恋愛を覗き見た感じがする。
    「最初の妻」でこの本が終わったのがよかった。

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    2020年02月06日
  • アンジュと頭獅王

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    『安寿と厨子王丸』の吉田さん版。令和版?
    現代風にアレンジしてなかなかの内容でした。最後の方はもう独特の世界、そこまでいっちゃいますかと言ったところ、長い旅だねえ。元々のとセットで残したい作品。滞りなく読み進めて、おもしかったあ。いろんなもの描ける人だね、素晴らしい。

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    2020年01月19日