吉田修一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ社会派、ミステリー、殺人、恋愛等々、様々なジャンルのもの書きの人達。
年代もタイプも違うのに共通していることは"猫好き"。
そして揃いも揃ってもみんな"もふもふ"の猫達。
飼い猫と一緒にくつろぐ姿や猫を見つめる優しい眼差し。
写真を見ているこちらも、つい微笑んでしまう。
各々の巻末にある猫エッセイや短編からも猫愛が真っ直ぐ伝わってくる。
生活を変えてくれた存在でもあり、昼寝仲間でもあり、相思相愛の同志でもある猫達は、顔を見ていれば、ただそこに居てくれればそれでいい、大切な存在。
もの書きの傍らにいる猫達から安らぎと癒しを貰った。 -
Posted by ブクログ
著者の吉田修一は、旅行にあう本を探していて、ANAの機内誌で連載しているエッセイをまとめた『あの空の下で』を読んでファンになって以来、追いかけている作家。
特に前述書に収録された「東京画」は、たぶん短編小説のオールタイムベストを選ぶとしたら、ベスト10には入れたいほど気に入っている。
本書は、そんな『あの空の下で』、『空の冒険』に次いでシリーズ三作目となるエッセイ集。旅のちょっとした出来事を、著者独特の視点でうまく切り取っており、エッセイを読む醍醐味を味わわせてくれる。同じ著者の短編集『初恋温泉』と合わせて、旅にもっていくのにぴったりの本だ。 -
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読み終えた後にふらりと旅に出たくなる昭和の名曲・山口百恵さんの「いい日旅立ち」がピタリと来る気分爽快な作品集です。旅と人生の一コマを切り取ったかの様な掌編小説12編と海外旅行記エッセイ6編には本当の意味での悲しみは一切なく辛い過去があってもそれを乗り越えたからこその今の自分がいるみたいなひたすらポジティヴな考えの主人公達が描かれていて前へ進む事を恐れない一歩踏み出す事の希望と勇気をもらえましたね。これらの作品達を読むと過去を悔やんでも仕方ない事で自分の選んだ道を信じて生きる事が大切だと改めて感じましたね。
『願い事』飛行機内で神さまに願う。『自転車泥棒』最悪の気分を救ってくれた届け先間違いの -
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吉田修一の小説を読むのは4冊目くらいですが、かつて読んだ「最後の息子」の主人公の10年後という設定で書かれたのがこの連作短編小説です。
「最後の息子」は、新宿二丁目で働くオカマのヒモをしている若い男の話。
その男が30代になり、子持ちの女性と結婚して4歳になる血のつながらない息子の父親になっている、という設定。
男が家族3人で新宿のバーニーズ・ニューヨークで買い物をしているとき、偶然にかつて一緒に暮らしていたオカマと会ってしまう…というのが表題作にもなっている「春、バーニーズで」。
設定だけ聞くと突拍子もないコメディを連想してしまいますが、いたって静かで細やかな小説です。
吉田修一は、平和で -
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産業スパイ鷹野一彦シリーズの第二弾。
とは言っても、前作の太陽は動かないよりも過去のお話。
鷹野がどういった経緯でAN通信で産業スパイとして
働くことになったのかが描かれている。
どちらかと言うと、前作よりも今作の方が好みかも。
壮絶な人生を歩む鷹野、だがそれでも人間味が溢れる部分に
少なからず共感というものは生まれる。
こんな突拍子もない世界の話であれば尚更。
前作の太陽は動かないと今作の森は知っていると併せて
映画化が発表されたが、
はてさて、普通に描けば興ざめでしかない世界観を
どう表現してくれるのか大いに楽しみだ。
どうか、込められた人間の存在意義も含めて
痛みも含めて、見事に表