Posted by ブクログ
2014年09月21日
おもしろかった。
スカッとする話、これに尽きるんだろう。
「スカッとする話さは毒っこ入ってらど」
そう、だからいい。
と、いいつつこのお話自体にそんな毒はない。
いや重い背景はそれぞれにみんなが背負ってるんだけど、
むしろすごい優しい。優しいというか爽やかというか。
登場人物多くて最初戸惑うけ...続きを読むど、みんな優しくてみんな好きになる。
「悪人」にあふれ不幸でひねくれた世の中だけど、
たまにはこんな話もいいでしょう、的な。良いっす。
「なんで颯太ってこんなに何の匂いもしないんだろ。こんなに近くにいるのに、ほんとに何の匂いもしない。(略) でもそれが嫌なわけじゃない。だからこそ、颯太を好きなのかもしれないなー。」
所々に挟まれる独白が吉田節前回でとても良いんですが、特に好きだったのがこれ。
この小説自体のイメージもこんな感じ。
すごく軽くて毒がなくて、でもそれが嫌とか物足りないわけじゃなくて、だからこそいい、というか。
横道世之介に続く吉田修一の優しい世界。
悪人も好きだけど、こっちも好きです。