吉田修一のレビュー一覧
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読み終えた後にふらりと旅に出たくなる昭和の名曲・山口百恵さんの「いい日旅立ち」がピタリと来る気分爽快な作品集です。旅と人生の一コマを切り取ったかの様な掌編小説12編と海外旅行記エッセイ6編には本当の意味での悲しみは一切なく辛い過去があってもそれを乗り越えたからこその今の自分がいるみたいなひたすらポジティヴな考えの主人公達が描かれていて前へ進む事を恐れない一歩踏み出す事の希望と勇気をもらえましたね。これらの作品達を読むと過去を悔やんでも仕方ない事で自分の選んだ道を信じて生きる事が大切だと改めて感じましたね。
『願い事』飛行機内で神さまに願う。『自転車泥棒』最悪の気分を救ってくれた届け先間違いの -
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吉田修一の小説を読むのは4冊目くらいですが、かつて読んだ「最後の息子」の主人公の10年後という設定で書かれたのがこの連作短編小説です。
「最後の息子」は、新宿二丁目で働くオカマのヒモをしている若い男の話。
その男が30代になり、子持ちの女性と結婚して4歳になる血のつながらない息子の父親になっている、という設定。
男が家族3人で新宿のバーニーズ・ニューヨークで買い物をしているとき、偶然にかつて一緒に暮らしていたオカマと会ってしまう…というのが表題作にもなっている「春、バーニーズで」。
設定だけ聞くと突拍子もないコメディを連想してしまいますが、いたって静かで細やかな小説です。
吉田修一は、平和で -
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産業スパイ鷹野一彦シリーズの第二弾。
とは言っても、前作の太陽は動かないよりも過去のお話。
鷹野がどういった経緯でAN通信で産業スパイとして
働くことになったのかが描かれている。
どちらかと言うと、前作よりも今作の方が好みかも。
壮絶な人生を歩む鷹野、だがそれでも人間味が溢れる部分に
少なからず共感というものは生まれる。
こんな突拍子もない世界の話であれば尚更。
前作の太陽は動かないと今作の森は知っていると併せて
映画化が発表されたが、
はてさて、普通に描けば興ざめでしかない世界観を
どう表現してくれるのか大いに楽しみだ。
どうか、込められた人間の存在意義も含めて
痛みも含めて、見事に表 -
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「Water」が3つの短編の最後でよかった。清涼感で読み終えることができたから。「最後の息子」と「破片」は薄暗いところがあってちょっと苦手。でも、現実の青春はドロドロ、ギトギトもしている。「Water」はそういったものを泣き笑いで跳ね返す勇気と希望を感じる。凌雲にとって水泳部でキャプテンをしたことがきっとその後の人生でも何かの役に立つだろう。省吾に対する優しい想いは大人になっても忘れないと思う。凌雲は兄の雄大が言うように、人生の最高の時を何度も塗り変えていくのだろう。最高記録は破るためにあるのだから。そして、そのために全力を尽くすだろう。若い頃を懐かしんで『あの頃はよかった』なんてi言うのはず
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朝の種類
(P81より)
朝の歌舞伎町というのはどこかぽかんと気が抜けている。
街全体が大欠伸をしているような感じで、
どういう思考の流れからなのかは自分でも説明できないが、「なんか人間っていいなー」と素直に思える。
浪速の従姉妹漫才
(P142より)
こうやって大阪の親戚たちと会った時というのは、
その代わりに誰かを亡くした時でもある。
祖母、伯母、伯父・・・。
そんな時、彼女たちといると、人間というのは可笑しいから笑うのではなく、
悲しい時にも笑うことがあると教えられる。
いや、本来、笑いというものが人生の可笑しみからではなく、悲しみの底から立ち上がろうとして生まれたものではないのかとさ -
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ネタバレ好きだ!
(P105より)
ぜひ自分が好きなものを「好きだ!」と堂々と口にしてみてほしい。
大切なものを、「大切だ!」と叫んでみてほしい。
新しい一年が始まる四月でもあることだし。
(P106より)
望みを手にするために、誰かの承認を求める必要なんてない。
誰かを羨んだりせず、今の自分自身に満足する。
ユニークで、レアで、大胆な自分自身に。
『怒り』完成
(P167より)
(映画『怒り』の話)今回、この映画のポスターを、
篠山紀信さんが担当されている。
森山未來さん、宮﨑あおいさん、妻夫木聡さんの三人は、笑っているように見えなくもない。
だが、その顔をじっと見つめているうちに、
泣いてい