吉田修一のレビュー一覧

  • 春、バーニーズで

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    最初の章を読んで、ああ、いつもの短編か、と思ったら短編の続き物でした。
    妻子ある男の、何気ない生活を描いたものです。時々脱線する感じが、なんとなく村上春樹の作品に似てますね。って思ってたら、作中に村上春樹の作品が出てきたりします。「パーキングエリア」の、いかにもありそうでやっぱり無い日常と、「楽園」の虚無感がいいです。いややっぱ「パパが電車をおりるころ」もいい。

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    2011年12月27日
  • 長崎乱楽坂

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    1回途中まで読んで放り投げたけど、もう一回読んでみたらすいすい読めました。なんだか終わり方が『天人五衰』っぽい…感じがしました。うまく言えないけど。

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    2010年03月21日
  • 熱帯魚

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    【あらすじ】
    大工の大輔は子連れの美女、真実と同棲し、結婚を目指すのだが、そこに毎日熱帯魚ばかり見て過ごす引きこもり気味の義理の弟・光男までが加わることに。不思議な共同生活のなかで、ふたりの間には微妙な温度差が生じて…。ひりひりする恋を描く、とびっきりクールな青春小説。表題作の他「グリンピース」「突風」の二篇収録。

    【感想】

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    2010年01月06日
  • ランドマーク

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    人は見た目じゃわからないというものの象徴が主人公の貞操帯で、内と外という(内面外面というよりも文字通りの内側と外側)面をそれぞれの登場人物に適したアイテムで鋭く描かれている。


    ふたつのサイドからの構想も変に感傷的じゃないので鼻につかなくてよかった。

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    2009年12月21日
  • ランドマーク

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    好きな作家はと聞かれたら、必ず入れるであろう作家の一人です。

    文学界や芥川賞を取るなど純文学の作家ですが、この「ランドマーク」は彼の作品の中でも特に純文学っぽい作品だと感じました。


    舞台は大宮。大宮駅前に建設中の地上35階建ての超高層ビル。
    その建設に関わる設計士・犬飼と、鉄筋工の隼人という二人の毎日が描かれます。
    犬飼が設計したビルはフロアが捩れながら積み上げられる螺旋の構造を持っている。
    そのビルの設計が進むに伴って交互に描かれる犬飼と隼人の毎日も少しずつずれていき・・・、というお話。

    舞台が東京でなく九州でもなく、大宮であることには意味があるんですが、個人的には、大宮

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    2009年10月25日
  • 長崎乱楽坂

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    読み始めはなんて温度が高い小説かと驚いた。そして、主人公である瞬が、小1、小5、中1、中3、そして高校2年で中退し、最後には最初は赤ん坊に近かった弟が大学生となり、主人公ではなくなった兄をあきれた目で見るようになるまでの、どんどん温度が低くなっていく過程に悲しくなった。一話一話進むごとに、三村家の人間がいなくなっていき、比例するように確実に温度が下がっていく。悠太が瞬を見る視線に遣る瀬無さがつのった。幼くして父親を亡くし、たくさんの男たちを見てきた瞬は、何も覚えてない悠と違い、ずっと「男」の姿を模索し続けてきた。「なんもせんで生きとるのも、なかなか難しかとぞ」と言う瞬に涙が出そうになった。最後

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    2009年10月07日
  • 熱帯魚

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    うっぷんやわだかまり、いろんな事を抱えながら人は生きている。
    それをどう表現するかは人それぞれだけど、それによって隣にいる人を傷つけてしまうこともある。

    心の交わりをモノに託していて、透明感のある素敵な表現だなと思った。

    ちょっとでも共感できるところのあるキャラクター達。
    それが心に少し引っかかりながら入ってくる。

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    2009年10月07日
  • 長崎乱楽坂

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    いつからだろう・・・?

    さだまさしの『解夏』を読んでから?吉田修一の本と出会ってから??

    僕は行ったことのない長崎県にとても魅力を感じるようになりました。

    この長崎楽乱坂は、父親が死にヤクザの一家で生活することになった二人の兄弟の話です。

    母が二人のもとを去り、大人になっていく姿が描かれています。三人称ながら主人公が変わるとゆう手法もいいです☆

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    2009年10月04日
  • ランドマーク

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    ねじれながら空へと上っていくビルの建設。
    そこに絡みつくように織り成す人間ドラマを、軽妙なテンポの文章表現で描き出しています。
    生き生きと脳内で踊る登場人物たちに、圧倒させられます☆

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    2009年10月04日
  • 7月24日通り

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    吉田さん初読。読みやすくてびっくり。
    サユリの考え方、すごいわかるなーと思いつつ読んでました。先輩かっこいいですねー。
    でも映画とは結構違うみたいですね。予告で使われていたようなシーンが本ではなかったように思うのですが。でも映画も面白そうです。キャスティングお見事!!

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    2015年02月09日
  • 7月24日通り

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    異国の地図、ピンの刺さった蝶、バスにこもる雨の匂い、吉田修一によって配信される世界はまるで地図。彼の手にかかれば世界(風景)と人間(読者)の距離感は縮められ、情景描写という言葉を使うことさえためらわれる。だから私は吉田修一の小説は地図だと思う。人間模様を象った地図だ。これは女性が書いたものだと紹介しても誰も驚きはしないだろう。女性の心理を書くのが上手すぎる。

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    2011年07月03日
  • 7月24日通り

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    ネタバレ

    長崎が舞台とのことで読んでみたけれど、あからさまな長崎の描写はない。
    平凡な女性小百合が、亜希子先輩に利用されたり、その旦那さんに期待してちょっとショックを受けたり、聡史と再会して穴埋めに使われてるのが分かっても嬉しかったり、なぞの警備員が出てきたり弟の彼女と闘ったり。いろんな人の機敏が描かれていて一気に読んだ。間違ってる、分かってるけど、行ってくる、その清々しさに勇気づけられる。

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    2025年12月07日
  • 国宝 上 青春篇

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    任侠の家に生まれた少年・喜久雄は、抗争によって父を亡くすと、歌舞伎界の名門・花井半二郎に引き取られる。半次郎には、喜久雄と同い年の息子・俊介がいた。喜久雄と俊介は、お互いをライバルとして稽古に励んでいくが、半次郎が後継者として指名したのは喜久雄だった。

    22年ぶりに実写の邦画で歴代No.1の記録を更新した映画の原作。
    話題につられて映画を見たら原作が気になったので読んでみた。

    映画の冒頭で事件を起こそうとする喜久雄。映画では、事件はどうなったのか。その後、どのような経緯で花井半次郎に引き取られることになったのかよくわからなかったんだけど、小説ではきちんと描かれていた。

    小説は、「このとき

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    2025年12月05日
  • パーク・ライフ

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    んー何だかよくわからない本だったな。

    前半の話はかろうじて読めるけど、後半の話は好きな感じではないしで、なぜこれが評価されているのかわかりませんでした。。

    自分が悲しい。

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    2025年12月05日
  • 初恋温泉

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    3.8/5.0

    タイトル通り、温かいお湯に浸かっているような気分になる、優しい小説集だった。
    が、パンチには欠けた。

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    2025年12月05日
  • 横道世之介

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    長崎から上京した世之介、大学生一年目の物語。

    スマホもSNSも無かった自分の学生時代を思い出す。

    途中で未来の話が挟み込まれ良いアクセントになっている。
    友達、彼女、そして自分の未来。
    それぞれの意外な一面が垣間見える。
    話に深みを持たせている。

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    2025年11月29日
  • 国宝 上 青春篇

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    映画を観てから原作を読む。
    独特な語り口調で物語は進むので、ここで好き嫌いが分かれるかも。
    因みに私は少し苦手です。
    映画よりも主人公の人間関係が細かく描かれており、徳次や一駒との関係も切れてはおらず交流が続いていたことが嬉しかった。春江に関しては意外とさっぱり?
    いずれにしても映画を観た時も思ったけれど、俊介も春江もなんだか都合が良くて腹が立つ。
    ここからの逆転劇が楽しみ!

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    2025年11月16日
  • 横道世之介

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    そういえばあんな人やこんな人がいたな、と大学時代に出会った人たちを思い出した。
    特別なことは起こらないけど振り返ってみれば特別な、世之介の大学での1年が描かれている。
    個人的にはラストは違う形がよかった。
    日常系のこの物語が郷愁を誘うのは、やっぱりラストがあってこそなので、ちょっとずるい気がするし、ありがちな話の持っていき方に感じてしまった。
    過去と現在の話が交互に語られて辻褄が合っていくのが面白かった。

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    2025年11月15日
  • 橋を渡る

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    様々な人のストーリーが混ざって最後のラストにつながる構造。
    人物一人ひとりに重みがあった。
    許せること、許せないことだけが人生じゃないよなと思わされた。

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    2025年11月05日
  • 罪名、一万年愛す

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    ネタバレ

    45年前の主婦失踪事件の容疑者でもあった富豪の米寿の祝いの最中、その富豪が姿を消し彼を見つけようとする祝い参加者と45年前の主婦失踪事件の謎に迫る物語。

    読むにつれて次はどのような展開になるのかと興味を持って読み進むことが出来たが、当初は風雨の中、決して島からは出れないと言っておきながら、クルーザーでもやっとたどり着けた離島に88歳の富豪が一人でボートに乗って離島に行ったことになっているのはどう考えても???。せめて、離島への秘密の地下道でもあったとなれば何とか納得は出来るのだけれど。
    このことが頭から離れずすっきりとしない読後感だった。

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    2025年11月04日