吉田修一のレビュー一覧

  • アンジュと頭獅王

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    安寿と厨子王の日本の童話を時空を超えてのお話。

    父を訪ね求めて母とアンジュと頭獅王の姉弟は旅に出るものの、人買いに売られ、母と別れ、姉弟は非道な主に無理な仕事を手伝われてる日々を送る。

    一度の脱出に失敗し、二度目はアンジュがその身を犠牲にして頭獅王がお寺に助けられながらも乞食とサーカスに拾われ、六条院夫婦の養子となり
    再び姉アンジュと母と再会するまで。

    意外(?) と読めて、面白かった。

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    2023年03月15日
  • 平成猿蟹合戦図

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    罪を犯した弟にどう贖罪させるんだろう。兄をどう救うんだろうと思いながら読んで、弟に関してはこれしかないかなという感じ、兄に関しては仕方ないこれが現実か、という感じ。
    ラストが何だか惜しかった。この終わり方だと、この出会いが全ての始まりのような印象になってしまうが、実際には全ての出会いがつながっているんだから、このエピソードに限定しない方が良かったのではと思った。

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    2023年03月06日
  • 日曜日たち

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    東京と男女をテーマに、そこに謎の小学生2が縦軸で全編に絡んでいる短編集

    東京という地に生きる若者たちの中にある言い表しようのない空虚を感じることができる。

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    2023年03月02日
  • もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。

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    NHKの「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」を書籍化した作品。

    角田 光代・吉田 修一・村山 由佳 ・柚月 裕子・保坂 和志・養老 孟司
    6人の作家さんの愛猫の写真、エッセイ、小説が綴られている。

    オールカラーなので写真だけでも十分見応えあり。

    あくびをしている顔、ドアの隙間から様子を窺う顔、背中に文房具を置かれてもへっちゃらな様子、人間のように見えるへんてこな格好、どれもほのぼのとしていてクスっと笑える。

    お気に入りは148ページ下段の養老さんのまるの写真。

    猫愛に溢れた1冊で読み終わると、きっと猫が飼いたくなる。

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    2023年02月14日
  • 怒り (上)

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    とにかく読みやすいし、物語が色んな人の視点で書かれているから続きが気になって一気に読んでしまった。上巻は面白かったが、下巻、特にラストにかけて失速、なんだろう、最後こういう展開かぁ、と、モヤモヤして終了。

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    2023年02月14日
  • 橋を渡る

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    3.0 最後の伏線回収に向けての物語。伏線張りすぎかなあ。売れなくなっても聴き続けるロックバンドのように読み続けたい作家。読んだ方が良いかと聞かれたら、読んだ方がいいと答える。

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    2023年02月12日
  • 森は知っている

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    ある南の島で暮らす少年。彼はある組織によって育てられ、そしてその組織のために働く運命にあった。その彼の初任務は波乱に富んだものだった。

    エンタメ小説としか言いようがない。何か感じるかと言ったら何も感じない。まあまあ面白いかなぐらい。
    この作家さんはあんまり触れられたくない心理を抉り出してくるのが上手だと思っているのだが、この小説には必要なかったのか、その点がほとんどない。

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    2023年02月09日
  • 怒り (上)

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    八王子で夫婦惨殺事件が起き、犯人は山神一也と判明するが、行方がわからない。そんな中、千葉・東京・沖縄の3カ所に身元不詳の男が現れる。その中に山神はいるのか、どうそれぞれが結びついていくのか、下巻が楽しみです。

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    2023年02月07日
  • 路

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    文庫の表紙が素敵だったので 映像化もされていることだし(見れてないけど) 著書が吉田修一さんだし…と思って読んだ

     最後になって物語の主だった人達が絶妙に交錯する感じがなかなかおもしろいなと感じた
    人生って こういう風に最後には交錯する部分が大いにあるんじゃないかな?と期待!

     物語は台湾に日本の技術を持って時速300キロの新幹線を台北から高雄(カオシュン)まで走らせるという大掛かりな計画を遂行するものだ
    日本と台湾の背景がうまく表現されている
    その新幹線の計画に関連している人物のそれぞれの生き様や 恋の行方も読みどころとなっている
    舞台設定は2000年〜2007年で 年ごとに章が分かれて

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    2023年01月29日
  • 作家と一日

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    吉田修一の旅にまつわるエッセイ集。
    なかなか旅行に行けない世の中なので、本の中で存分に堪能した。
    吉田修一のことは1ミリも知らないけど、きっと穏やかな人なんだなあと思う。
    一番最初の猫の話(長生きして欲しいから金ちゃん銀ちゃんと名付けたらしい)がとても可愛い。

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    2023年01月29日
  • 逃亡小説集

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    「逃げる」短編集

    生活保護の申請に市役所に車で行った帰りに
    警官に呼び止められて
    母を後部座席に乗せて逃走する男

    交換日記のやり取りをする男女の逃亡

    昔からの大ファンの女優の夫の俳優が覚醒剤で逮捕される
    女優は逃げる
    ファンの民宿の主人の前に現れた

    離婚した妻の弟が配送の仕事中に逃走
    警察も動き出した

    逃走の先に見える景色
    登場人物達は逃げ切れるのか

    どうしようもない気持ちに
    少しだけ救いの光がさしている
    描き方が上手い!!

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    2023年01月24日
  • あの空の下で

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    非常に読みやすい短編小説集でした。
    吉田修一さんの作品は、読後、心にじんわりと染み入る良さがあるように思います。
    「流されて」という最後の作品がそうでした。
    良い読書体験になりました。

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    2022年12月26日
  • アンジュと頭獅王

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    あの安寿と厨子王が。。
    古典が大冒険になってる感じ。
    途中から何歳?何百年生きてる?不思議だった。
    さくっと読める。

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    2022年12月17日
  • 最後の息子

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    ゲイの閻魔ちゃんの家に転がり込んでる男が主人公の最後の息子

    家業の酒屋で働く弟と東京に住んでる兄が長崎に帰ってきた時の話の破片

    長崎の高校の水泳部のキャプテンが主人公のWater

    上記三部作

    最後の息子は読み始めかなり文に引き込まれてこの本あたりだ!って思ってけど後半にかけて文学的な描写が増えてう〜んで感じになった

    2作目の破片は会話がゴリゴリの長崎弁で少し読みにくかった、弟がストーカー

    最後のWaterは青春!って感じの爽やかな話で好きだった

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    2022年11月25日
  • 逃亡小説集

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    職を失った男、教師と教え子、転落した芸能人、失踪した郵便配達員…。日常からの逸脱を描く4つの物語。
    逃亡はその設定だけで物語になる。逃げ切れるのかというスリル、偶然の出会いからの人間ドラマ、過去の後悔と未来への希望。そんな贅沢なストーリーが4編ってのが堪らない。

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    2022年11月06日
  • 怒り (上)

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    ネタバレ

    三人の男と1人の殺人鬼の話が、3つの家の中に漂っていて考察が深まる作品でした。少し読みづらさを覚えたのは私の読書不足故かもしれません…。田代は愛子と洋平に、田中は泉に、直人は藤間にそれぞれ影響を与え変わりだしていくのと同時に凄惨な殺人鬼の輪郭を浮かび上がらせているようで心暖かくなったかと思えば奇妙な不気味さを持った作品でした。

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    2022年10月25日
  • 日曜日たち

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    東京に暮らす、5人の男女がそれぞれ抱える日曜日の思い出を描いた短編集。

    大事件ではないけど、平穏ではない思い出。
    こういうものに対する心情を表現するのが本当に上手いと思います。

    何の関係もない5人のお話に登場する兄弟が、各編の共通項。
    5人の登場人物にハッピーが訪れるのかは分かりませんが、みんな大人だから良しとして最後にほっこりと暖かい気持ちになれる一冊でした。

    2時間ほどで読み終えられます。

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    2022年10月15日
  • 最後の息子

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    色々なことが見えていながらも見えてていないふりを続けながら生きていく青年像がよく伝わってきました。人に愛されかまわれるために多少のことは気にしななかったり許せないものに歯向かう意志など持ちつつも、色々なことを隠し隠しやりくりしたりどこか全力でやりきれない逃げがちな生き方にリアルさを感じました。

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    2022年10月01日
  • 愛に乱暴(下)(新潮文庫)

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    リアル。

    義父母の住む母屋の離れに夫・真守と暮らす桃子。

    真守は不貞を働いており、不倫相手の日記部分を読むことで、読者はその不貞を桃子より先に知ることになります。
    また、桃子の日記も途中途中現れるので、桃子の気持ちも読み手は知ることができます。

    が、この日記。途中で役割がガラリと変わります。

    夫の気持ちが離れていく事に気付く妻の気持ち。妻帯者を愛してしまい、幸福と不信感の間に置かれる愛人の気持ち。子供を授かった女性の気持ち。
    よくここまで描写できるものだと思います。

    みんなそれぞれ、その瞬間、その瞬間では真面目に、誠意と愛情を持って、
    いや、愛情がある時は、真面目に誠意を持って向き合

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    2022年09月30日
  • 逃亡小説集

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    「パーク・ライフ」以来吉田さんの作品を読んで
    無かったのですが、久々に新刊として、出てたので
    買ってすぐ読みました。本作のテーマは「逃亡」で、人生につまづいたり、何かの拍子に行き止まりにあった人たちの行き場のない逃亡劇が描かれています。本作の兄弟作でもある「犯罪小説集」と、共通しているのが、実在の事件をモチーフにして、描いている点で、吉田さんの作品の醍醐味だと感じています。そして、登場人物たちが、何かから逃げる
    様を色濃く作品に投影していると私は感じています。是非実写化して欲しいし、吉田さんの作品はこれまで、多く映画化されているので、設定がしっかりされているイメージです。

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    2022年09月28日