吉田修一のレビュー一覧
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吉田修一氏がANAの機内誌『翼の王国』に載せていたエッセイの集大成。2019年〜2021年に掲載されていた内容が主なのでちょうどコロナウィルスで緊急事態宣言が出されたり、今読んでみるとなかなか面白い。
吉田修一氏は歳は5歳くらい下だが、実は同じ大学なので学生時代の回想を書いていたりすると、妙な親近感もある。
学生時代の飲み会で吉川晃司の歌を振り付きで歌わされたとか、もしかしたら神楽坂や飯田橋の居酒屋だったのかなと想像してしまう。
また吉田修一さんの小説『湖の女たち』『横道世之介』『悪人』などを書いた際のエピソードなども触れられているので興味深い。 -
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吉田修一氏のオリンピック時に掲載された短編小説集。香港林檎、上海蜜柑、ストロベリーソウル、東京花火と、アジアの若者たちの4つのストーリーを綴りながら、暖かい励ましをくれているような、包み込まれているような感覚だ。
香港では、ボート部の男が将来を案じながら、その道を終えようとしているときにオリンピックが始まろうとしている。中国上海、ソウルでは夢と夢を託す人、頑張れと応援する人、それでいてどこか切ない。応援しても、届かない声。ふんわりとした内容で、突き刺すような内容はないからこそ、コロナ禍のオリンピックは、何もなかったかのように過ぎて行くような感じと重なり合う。人生のどこかで交錯しているような感覚。大事なことは、そんなに他の人からすると大事でもない。そういう過去、昨日の話である。 -
Posted by ブクログ
吉田修一がさまざまな企業や媒体からの依頼に応じて寄せた掌編・エッセイ集。吉田修一の上質な文章で切り取られる人生の瞬間は美しく、ブランドというものを際立たせる。ただ、もうちょっと編集は工夫できたのではないかなぁ。掌編と取材旅行記的なエッセイが混ざって次々に出てくると読み手側のテンションが追いつかない。執筆順の掲載なのかもしれないけれど、だとしたら20年にもわたるさまざまな時期のいつぐらいに書かれたものなのかだったりどんな媒体にどんな文脈で寄せられた作品なのかの補足情報が少しでもあれば親切かなと思う。普段の小説作品では書けないものが出せる機会、という言葉を最後のインタビューで引き出しているのでどの作品を書いている時期の文章なのかなどの情報もあればより楽しめただろうと思う。おそらく吉田修一のファンが手にすることの多い本だからこそもう少しファンに寄り添った編集はなかったものかと、一つ一つの文章が美しいだけにもったいない。
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主人公の初瀬(はせ)桃子は、大手外資系の美容関連企業でキャリアを積み、現在は手作り石けん教室の講師としてポツポツと働いている主婦。結婚8年になるが子供はおらず、夫の真守の両親が暮らす母家とは別の離れに住んでいる。いわゆる二世帯住宅ってやつに近いのかな。
義理の母親はよくいるタイプの姑で、息子の嫁である桃子に対しては少し言葉に棘があり、良い年の息子を「マーくん」と呼ぶ子離れのできない母親ではあるが、桃子と共通のある話題があがってからは2人の距離も縮まる。
初瀬家の問題は、この嫁姑の関係ではなくて(それもあるけど根本ではない気がする)、ズバリ真守の不倫。ところどころ挟み込まれている不倫相手の手記は上巻の「ドロドロ感」のアクセントになっていて、下巻では「ゾワゾワ感」の原因になると同時に「小さな違和感」を解決する鍵になる。上下巻ともページが多くないので、一気に読めるはず。ホラーです。