吉田修一のレビュー一覧
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リアル。
義父母の住む母屋の離れに夫・真守と暮らす桃子。
真守は不貞を働いており、不倫相手の日記部分を読むことで、読者はその不貞を桃子より先に知ることになります。
また、桃子の日記も途中途中現れるので、桃子の気持ちも読み手は知ることができます。
が、この日記。途中で役割がガラリと変わります。
夫の気持ちが離れていく事に気付く妻の気持ち。妻帯者を愛してしまい、幸福と不信感の間に置かれる愛人の気持ち。子供を授かった女性の気持ち。
よくここまで描写できるものだと思います。
みんなそれぞれ、その瞬間、その瞬間では真面目に、誠意と愛情を持って、
いや、愛情がある時は、真面目に誠意を持って向き合 -
Posted by ブクログ
「パーク・ライフ」以来吉田さんの作品を読んで
無かったのですが、久々に新刊として、出てたので
買ってすぐ読みました。本作のテーマは「逃亡」で、人生につまづいたり、何かの拍子に行き止まりにあった人たちの行き場のない逃亡劇が描かれています。本作の兄弟作でもある「犯罪小説集」と、共通しているのが、実在の事件をモチーフにして、描いている点で、吉田さんの作品の醍醐味だと感じています。そして、登場人物たちが、何かから逃げる
様を色濃く作品に投影していると私は感じています。是非実写化して欲しいし、吉田さんの作品はこれまで、多く映画化されているので、設定がしっかりされているイメージです。
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Posted by ブクログ
映画「楽園」を見て原作が気になったので購入。
実際の事件を下敷きに作られた5編の短編集。
・青田Y字路
行き所のない怒りの矛先はやがて最も弱い者へ
・曼珠姫午睡
何故地味だった女は男に巣食う毒婦となったか
・百家楽餓鬼
実直な御曹司は如何にしてバカラ沼に嵌ったか
・万屋善次郎
些細なすれ違いが起こした限界集落での大惨劇
・白球白蛇伝
輝ける栄光の中に最後まで生き続けた男の末路
全編を通じて人間の弱さや危うさが漂う。
人は常識という枠の中を何かを支えに生きている。だが些細なことの積み重ねや偶然の出来事によってその支えを失った時、徐々に或いは一気にその枠を踏み越えて行く事がある。
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Posted by ブクログ
吉田修一は大好きだけど、この系統の彼の小説には実はあまり魅力を感じない。
太陽は動かない、はあまりにも思っていたものと違い過ぎて、珍しく途中でやめた程。国際的なスパイ組織とか、謎の美女 Ayakoとか、そういうのは吉田小説には求めていないんだよね・・と思いながら。
それでも、本作はの書評を読んで同じシリーズと知りつつチャレンジする事に。こちらの方は、読めた(こういうものだという、事前知識があったからか?)。それなりに面白かった。スリリングだし、組織に所属している人達の悲しい生い立ちや特殊性が際立っているし、最後のシーンはスカッとするし。
まあでもやっぱり、心には残らないかな。