あらすじ
ありふれた「日曜日」。だが、5人の若者にとっては、特別な日曜日だった。都会の喧騒と鬱屈した毎日のなかで、疲れながら、もがきながらも生きていく男女の姿を描いた5つのストーリー。そしてそれぞれの過去をつなぐ不思議な小学生の兄弟。ふたりに秘められた真実とは。絡みあい交錯しあう、連作短編集の傑作。(講談社文庫)
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今まで読んできた吉田修一作品とはまた違う雰囲気ではあったけど、改めて彼の文章が好きだなあと思った。
各章で性別も年齢も異なる人物の目線で語られる構成で、文章の書き方を変えている。本当に別の人が書いたみたいに違う。
5章の短編で、東京に生きる5人の男女を描いている。それぞれが人生の分岐点にいて、でもそれは劇的なものでもなく誰にでも訪れる日常の1ページ。東京には華やかな人生を生きる人もいるけど、ほとんどは"その他大勢"なわけで、しかし彼らにも決してドラマチックではないドラマがある。
そして、同じ時、同じ街に生きていても交わることのない彼らの人生に現れる2人の幼い兄弟。各章の主人公たちには点にしか見えていないその兄弟が、線になって繋がっていく。もしかしたら、そんなふうにして僕たちの人生も成り立っているのかもしれない。見えない繋がりがあって、回り回ってどこかで全く知らない人の人生と影響しあって生きている。
人生が嫌になった時に読み返したいと思いました。初めて彼の作品を読みましたが、すごく読みやすくて心にスっと入ってくる文章で他の作品も読みたくなりました。
Posted by ブクログ
たまにどこか投げやりになりながら何かを諦めたりしながらも東京で生きてる若者たちの東京讃歌だった。
そんな何気ない日常の中でどこか記憶の片隅に残っていたある出来事。
母親を探してた兄弟は本当に存在するのかな?夢なんじゃないか?と思ったりしたけど。
どんどん繋がるかんじがおもしろかったです。
投げ捨てたくなるような日々の中でもそれぞれの大切な人や、思い出があって。
"東京で生きることはそんなに悪いことばかりじゃない。"
Posted by ブクログ
読み逃していた初期の作品を読む。
「日曜日のエレベーター」
30歳の渡辺。
生きるのが下手、というか雑というか。
「日曜日の被害者」
女友達からの電話に
3人で出かけた旅行先の出来事が思い出される。
「日曜日の新郎たち」
東京見物に来る父親を出迎える息子。
2人の微妙な関係がバランスよく描かれる。
「日曜日の運勢」
実家暮らしの兄と、何をするにも煮え切らない弟。
兄弟の会話に引き込まれる。
(連作短編集の要といえる幼い兄弟との関わりも深くなる)
「日曜日たち」
東京で働く女性。
恋人から受けたDVを自立支援センターに相談。
そこからセンターで働くことになる。
成長した兄弟との再会も描かれている。
それぞれのタイトルがいい。
幼い兄弟を軸に、物語が進むのも良かった。
Posted by ブクログ
短編集。日曜日の運勢の章が個人的に一番の好みだった。断ったり強く否定できない性格から癖のある女性に好かれ振り回されるものの案外その人生を謳歌している主人公が愉快だった。
Posted by ブクログ
5つの短編から成る一冊です。
5つの違った物語の中に,少しだけ繋がりがあり、最後は全体が繋がっていきます。
日常に溢れている身近な風景の中に生活している人たちの、ちょっと切ない物語です。
それでも、読み終わると肩の荷が下りたようなホッとした気持ちになりました。
キーポイントでもある少年の兄弟も、著者の描く世界観にマッチしていて、すごく良かったです。
Posted by ブクログ
特に何も起こらないけど短編5つを通して最後に兄弟は幸せそうだった。
「日曜日の被害者」の遊んでる若者の雰囲気、平成感が好き。結構キツいことされるけど。
「日曜日の運勢」の優柔不断なモテ男の憂鬱も面白い。男女のやり取りがやっぱり好きなんだなって気づく。あと吉田修一が好みって気づいてきた。
Posted by ブクログ
外で読んで、外で号泣した。
一組の兄弟と、二人に関わりながら特別な日曜日を生きた五人の話。こういう人達がなんとか一日を生きようとしてて、その中で少しだけ特別な日曜日を迎える。
日曜日のエレベーター→彼女の圭子は夢を叶えて、僕渡辺はずっと止まったまま。どっちが幸せ、とかそういう事ではない。自分達が同じエレベーターに二度と乗らない事、それどころか向かっていく方向さえ違う事。理解はしてるのに身体が付いてきていない。だから僕は、エレベーターは10階で止まる気がしたんだと思う。でも圭子は先に進んでいく。一番上まで。渡辺は下へ行く。彼女が昔、好きじゃないと言ったその場所に自ら向かっていく。
そもそもなぜこの話は日曜日なのか?一週間を一つの人生のサイクルとして、その終わりだから?渡辺は圭子と出会ってようやく生き始めた、という話なのだと思う。圭子のサイクルに合わせて日曜日にゴミを出すルーティンができて、必ずエレベーターを使って外に出る事になる。ゴミを出して代謝する。
日曜日の被害者→「何もされないのがちょっと可哀想だと思った」この一言に集約されてる。純潔への軽蔑と憧れ。微妙なバランスで成り立っていた二人のターニングポイント。
日曜日の新郎たち→三人の新郎の、現実と柔らかい夢の話って感じ。結婚するって他人と一生暮らすって事で、物理的な距離って心理的な距離と比例するから、心も一生同じ所にいるって事なんだな。すごい特別で、大切な事だと思う。心の半分を今まさに見つけた人と、半分だけでなんとか生きようとする人と、無くなった半分を未だに探し続ける人。それぞれの形がある。それが狭い狭い一室に集い、それぞれの想いが舞う。ひと部屋だけ切り離された、まさにスノードーム。
日曜日の運勢→「太陽ってさ、見つめすぎると、何も見えなくなるのな」このセリフすごい好き。焦燥感がありつつ、でもこういう生き方もいいんじゃないかな、と。断れなくてふらふらしてたって、自分を愛せるなら良いと思えてくる。
日曜日たち→少しづつ主人公と交差して、特別な日曜日を生き抜いた二人の話。彼氏と、自分の生き方から飛び出すターニングポイントを迎えた主人公が、勇気の連鎖を繋げてく。兄弟は離れ離れになっちゃうけど、命のターニングポイントになった私の事をずっと覚えてる。兄弟と私が喋ったのは、私が兄に聞いた「覚えてるの?」だけだけど、三人は星座みたいに、目に見えない綺麗な模様を書きながら生きてたのね。
Posted by ブクログ
間を空けずに一気読みすべきだった!
それでも不思議な兄弟が出てくる度に話が繋がっていくのがとても面白かった。
最終章ではじんわりと胸が熱くなります。
Posted by ブクログ
誰かを愛するといことが、だんだんと誰かを好きになることではなくて、だんだんと誰かを嫌いになれなくなるということなのだ。
親切など結構だと強がる人が、実はどれほどその親切を必要としているか、これまで考えたことが無かったことに気づいた。
Posted by ブクログ
日雇いのアルバイトを無断欠勤でクビになり、無職でだらだらと暮らしていると、以前に付き合っていた圭子のことを思い出す。圭子は職を転々とするろくでなしの自分と付き合ってくれていたが、実は医者の卵であったことが判明。身分も違うことから別れようと言う話になったとき、腹をすかせた兄弟に出会う…。
繋がっていないようで、あるところから繋がる5本の掌編。人生の分岐点で出会う、得体のしれない親を探す兄弟が、普通ならば人生を変えるきっかけになるようなものだが、本作ではそんなことはない。2本目を読んでいるときに「あれ?さっきも出てた?」とひっかかる程度というのが、なんとも良い重み付けをされている作品である。
全体には、いろんな職業でそれぞれうまく行かない、だいたい孤独の人間模様が描かれており、転職だったり仕事をやめたりというよくある人生である。
全体にエンターテインメントとして読める作品で、それぞれは記憶に残るだろう。そこにスパイスとも言えない程度の違和感。読み終えて振り返ると、芥川賞的な純文学の要素もあるんだなと思える程度で、小難しいブンガクなどと気合を入れるほどではないバランス感覚が良い。
すごくいい、傑作(と裏表紙に書かれている)と称えるような話ではないかもしれないが、なんかいい。手元においておきたくなる1冊だ。
Posted by ブクログ
こちらもそうだし、世之介もそうで、「人間を読む」吉田作品が好き。
心にできるささくれによく効く、家にひとつ置いてあると安心するオロナインてきな作家さん。
Posted by ブクログ
産後初めての小説だからなのか。
兄弟の描写が、あまりにも切なかった。
物語では、兄弟に関わる大人たちの
背景は描かれているものの、
兄弟についてや両親については
多くは触れられていないのに、
それぞれの登場人物と交わる兄弟の様子が
強く印象に残った。
Posted by ブクログ
再読。東京で暮らす20〜30代男女5人と彼らの前に現れる小学生兄弟のとある日曜日を切り取った短編集。生き辛そうな彼らにどこか自分を投影してしまう。都会で暮らす息子と上京した男やもめな父親の不器用な交流を描いた「日曜日の新郎たち」は秀逸だが、やはり涙無しに読めない表題作がベスト。積み重なる小さな優しさはやがて大きな優しさへ変わる。
Posted by ブクログ
それぞれの人生に思うところあるが、
最終的に思ってもないハッピーエンド。
嬉しかった。
どのストーリーもじんわりきて
それぞれよかったなぁ。
日曜日の被害者は、
たぶん時折思い出してしまう
心に残る痛さがあった。
Posted by ブクログ
吉田修一さんの本は8冊目。
表紙には連作短編集と書かれていますが、連作の意味がじわじわとわかってきます。
後半になればなるほど、じわじわ良い感じ。
特に、最後の表題作でもある「日曜日たち」はホロリとします。
『日なた』や『7月24日通り』と同様の読み心地。
吉田さんのこういう感じの本、好みです。
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
ありふれた「日曜日」。だが、5人の若者にとっては、特別な日曜日だった。都会の喧騒と鬱屈した毎日のなかで、疲れながら、もがきながらも生きていく男女の姿を描いた5つのストーリー。そしてそれぞれの過去をつなぐ不思議な小学生の兄弟。ふたりに秘められた真実とは。絡みあい交錯しあう、連作短編集の傑作。
短編より連作の方が集中力が途切れなくて好きです。どの話も風合いが違っていて硬軟取り揃えた中で、同じ差し色として小学生の幼気な2人が出てくるのですが、その存在感が絶妙。皆悩みが有って自分の事ばかり考えているようでいて、少年たちが気になってしまうあたりでとても親近感が沸いて一気に感情移入させられます。感情移入が読書の全てではないけれど、重要なファクターで有るのは確かですからね。
吉田修一氏はとても人間を描くのが上手いと思っています。どの人間にも善と悪、優しさと卑しさが同居していることを描くのに長けています。明るいだけでも暗いだけでも無く、薄暮の寂しさと優しさに似ているような気がします。
Posted by ブクログ
連作短篇集。これは大変面白かった。
それぞれの主人公が抱える想いも、短篇集ならではの切なさを感じさせる。どんな人にも必ず自分の人生に対する想いがあるのだと感じさせる。そしてその主人公が出会う兄弟。少しずつこの兄弟に関する話が繋がっていき、最後の主人公との関わりの中で彼らの話も結末を迎える。
あの兄弟の未来が明るいものであるのだろうと、希望を持たせる終わり方だったのは良かった。
Posted by ブクログ
兄弟のくだりは物語としてキーになっていたのかもしれないけど、個人的にはいらなかった むしろない方が良かったくらい 無理やり入れなくても それぞれの話がちゃんと面白いし、女性の心理描写えぐいなー
Posted by ブクログ
吉田修一の連作短篇集『日曜日たち』を読みました。
ここのところ、国内の作家の作品が続いています。
-----story-------------
ありふれた「日曜日」。
だが、5人の若者にとっては、特別な日曜日だった。
都会の喧騒と鬱屈した毎日のなかで、疲れながら、もがきながらも生きていく男女の姿を描いた5つのストーリー。
そしてそれぞれの過去をつなぐ不思議な小学生の兄弟。
ふたりに秘められた真実とは。絡みあい交錯しあう、連作短編集の傑作。
-----------------------
講談社発行の月刊小説誌『小説現代』に2002年(平成14年)から2003年(平成15年)に掲載され、2003年(平成15年)に刊行された作品です。
■日曜日のエレベーター
■日曜日の被害者
■日曜日の新郎たち
■日曜日の運勢
■日曜日たち
<東京>の地図の上で交差する、男と女の5ストーリーズ…… 最高の連作長篇小説!
きっといつかは忘れてしまう、なのに忘れようとするほど忘れられない…… ありふれていて特別な、それぞれの日曜日――。
東京ひとり暮らしの男女5人、それぞれの物語に同時代の<生=リアル>を映す、長篇最高傑作!
東京で暮らす5人の若者と家出中の兄弟の日曜日の物語を描いた連作短篇集…… 5つの独立した短篇で構成されており、各話は独立していますが、登場人物や出来事が微妙につながっていて、5篇すべてに謎めいた小学生の兄弟が登場し、仕事や恋愛で一段落した登場人物が、兄弟との出会いをきっかけに人生を見つめ直すという展開、、、
最後の表題作『日曜日たち』では、兄弟のその後が明らかになり、感動的なラストを迎えます…… リアルで淡々とした描写が特徴的で、登場人物の心情や背景が丁寧に描かれている印象ですね。
いつの間にか自分の日常や人生にも重ね合わせて読み進めていました…… 人と人との繋がりや優しさの大切さを感じることができる作品でした。
Posted by ブクログ
東京と男女をテーマに、そこに謎の小学生2が縦軸で全編に絡んでいる短編集
東京という地に生きる若者たちの中にある言い表しようのない空虚を感じることができる。
Posted by ブクログ
東京に暮らす、5人の男女がそれぞれ抱える日曜日の思い出を描いた短編集。
大事件ではないけど、平穏ではない思い出。
こういうものに対する心情を表現するのが本当に上手いと思います。
何の関係もない5人のお話に登場する兄弟が、各編の共通項。
5人の登場人物にハッピーが訪れるのかは分かりませんが、みんな大人だから良しとして最後にほっこりと暖かい気持ちになれる一冊でした。
2時間ほどで読み終えられます。
Posted by ブクログ
それぞれの人生で悩んでいる5人の物語。
それぞれのお話の中で小学生の兄弟が関わっていて、ストーリーとしては独立しているが、世界観は繋がっている感じがして良かった。
Posted by ブクログ
東京で生きる人たち、それぞれの日曜日。
母親を探している幼い兄弟との繋がりがあり、どのお話も特別な事はないけど、だからこそ共感出来る事が多かった。
Posted by ブクログ
日曜日たちっていうタイトルの意味がよくわからなかった。確かに、プロットが短編ごとにあって少しだけつながるのですが、つながる意味はそんなになかったのかなって。もっと複雑に絡まるならいいんですけどね。
ただそれぞれの短編は面白くて、リアリティのある登場人物たちで、心情描写はなかなかに納得できるものでした。