あらすじ
ありふれた「日曜日」。だが、5人の若者にとっては、特別な日曜日だった。都会の喧騒と鬱屈した毎日のなかで、疲れながら、もがきながらも生きていく男女の姿を描いた5つのストーリー。そしてそれぞれの過去をつなぐ不思議な小学生の兄弟。ふたりに秘められた真実とは。絡みあい交錯しあう、連作短編集の傑作。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
読んでてすごく幸せな気分になるわけではないのに、むしろちょっと切ないような気持ちがあふれそうになるのに、途中で本を閉じると早くあの物語のなかに戻りたいと思わされる、吉田修一のそんなところが好きだ。
この本も。
それぞれの短編の中に共通して出てくる男の子の兄弟。
最後の話で、うぅぅ・・・と涙が出る。
Posted by ブクログ
とびきり幸せでも、とびきり不幸でもない普通の男と女たちの何気ない日常を切り取った5つの短編。
5つの短編の主人公それぞれの人生は交差しないものの、すべての物語に、九州から家出してきた小学生の兄弟がかかわり最後に掲載された表題作へと連なっていく。
それぞれの物語を味わいながらも、兄弟の行く末が気になる。
そして、ラストでは心が温かいもので満たされ、この作品の本当の主人公はこの兄弟だったのでは…と思う。
吉田さんらしい、冷めた目線に隠れた他者への温かさが心地よい。特に、「日曜日の新郎たち」は秀逸。
みんな頑張って生きている。みんな、幸せになって欲しい。そんなことを素直に思えた作品だった。